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■京大iPS研と武田薬品が新薬研究を始める 資金200億円、研究者100人 [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)の技術を応用して心不全や糖尿病などの治療薬を開発する研究を共同で進めることになった京都大学iPS細胞研究所と大手製薬会社の武田薬品工業の研究設備が、神奈川県藤沢市に設けられ、15日、報道関係者に公開されました。
 iPS細胞研究所と武田薬品は今年4月、心不全や糖尿病などの新たな治療薬を開発する共同研究を進める契約を結び、武田薬品が今後10年間で200億円の資金を提供し、京都大学の山中伸弥教授の指導の下、12月から新たな治療薬を開発する研究を本格的に始めています。
 iPS細胞研究所の6人を中心に60人の研究者が参加し、来年4月には40人以上の研究者を国内外からさらに受け入れる予定。
 15日、藤沢市にある武田薬品の湘南研究所に設けられた共同研究の設備の一部が、報道関係者に公開されました。
 両者は今後、この研究施設で、心不全や糖尿病、精神疾患、がんなどの患者から作ったiPS細胞を使って、武田薬品が持つ新薬の候補となる物質に治療効果があるかどうかや副作用がないかなどを調べ、新たな薬の開発につなげたり、病気で傷んだ部位に新たな細胞を移植する治療法を開発したりしていくことにしています。成果は知的財産権を確保した上で、公表するとしています。
 山中教授は「臨床応用という大変な世界に飛び込んでいく最高の舞台と考えています。病気に苦しんでいる患者に一日も早く貢献できるようにしたい」と話していました。
 iPS細胞の人への応用は、体のさまざまな組織を作り出す「再生医療」がよく知られていますが、世界的には新薬の開発のためにiPS細胞を役立てる研究が盛んです。
 新薬の開発は現在、新薬の候補となる有望とみられる物質をまず動物に投与し、安全性や効果が確認できた段階で人に応用する臨床研究や治験に進むのが一般的です。
 しかし、動物で効果があっても人では効果がない物質も少なくありません。また、人に未知の物質を投与してその効果を調べるには、安全性などの面で高いハードルを越える必要もあります。このため、こうした手順を踏んで進んでいくには膨大な時間と費用が必要でした。
 ところが、iPS細胞を使って病気の人の神経細胞や心臓の細胞を大量に作り出せば、さまざまな新薬の候補を直接投与し、実験室で安全性や効果を簡単にしかも安価に調べることができます。候補となる物質が有望なのかどうか、早い段階で見通しを立て、資金を集中的に投入して研究開発を進めることができるため、新薬の開発を大きく変えると期待されています。
 実際に京都大学iPS細胞研究所では昨年、全身の骨を形づくる元となる軟骨ができず、手足などが成長しにくい「軟骨無形成症」という難病の新薬の候補となる物質をiPS細胞を使って見付け出すことに成功しています。
 製薬会社は、新薬として開発途中の物質や当初有望と思われたものの開発を中止してしまった物質を数多く保有しています。これらの物質をiPS細胞の技術を使って効果があるかどうか検証すれば、これまで見付けられなかった新たな薬の効果を発見できる可能性なども期待されています。

 2015年12月16日(水)




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