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■ジカ熱ウイルス、成長したマウスの脳を破壊 アメリカ研究チームが発表 [健康ダイジェスト]

 中南米を中心に感染が広がるジカ熱(ジカウイルス感染症)は大人が感染しても多くの場合、症状は軽いとされていますが、アメリカの研究チームはウイルスが大人の脳にも感染するおそれがあることをマウスの実験で突き止め、19日までにアメリカの科学誌「セル・ステムセル」に発表しました。
 研究チームは、人の場合でも長期的に見て脳への影響が出ないか調べることが重要だとしています。
 蚊が媒介する感染症、ジカ熱は妊娠中の女性が感染すると頭部が先天的に小さく、脳の損傷や機能障害などがある小頭症の新生児が生まれるおそれが指摘されている一方、大人が感染しても症状が出ないか、発熱などの症状が出ても比較的軽いとされています。
 しかし、実際に体調が悪化した大人は、発疹、体の痛み、目の充血などの症状を訴える場合があるといいます。また、ジカウイルスは、衰弱やまひなどの神経系の問題を引き起こすおそれがあるギラン・バレー症候群と呼ばれる疾患との関連が指摘されています。
 アメリカのロックフェラー大学などの研究チームは、大人の脳への影響を調べようと、遺伝子操作でウイルスへの抵抗性をなくした生後6週間の成長したマウスの目にジカ熱のウイルスを注射しました。その結果、注射してから3日後には、マウスの脳の中でジカ熱のウイルスの存在を示す抗体が増え、その後、神経細胞の元になる神経前駆細胞の周囲にウイルスが集まって一部の細胞が死んだり、神経細胞(ニューロン)の新生が減少したりしていたことが確認できたとしています。
 この神経前駆細胞は未分化型の脳細胞で、学習や記憶にかかわる領域にある脳細胞です。研究チームは人の場合、ウイルスへの感染が認知機能にどう影響するかはわからないとする一方、感染から長期間が経った後で影響が出ることがないのかについても調べることが重要だとしています。
 共同研究者で、アメリカのラホヤ・アレルギー免疫研究所のスジャン・シュレスタ教授は、「通常はジカウイルス感染が治った後に発症するギラン・バレー症候群の患者発生は、成人の神経前駆細胞への感染に関連している可能性がある」と語っています。
 今回の研究成果について、ジカ熱の問題に詳しい神奈川県衛生研究所の高崎智彦所長は、「ジカ熱のウイルスが大人のマウスの脳にも感染することを示した研究で、これまで報告されている小頭症のような赤ちゃんへの影響だけでなく、成人でも脳炎や記憶障害などの症状を引き起こす可能性を示している」と指摘しています。
 一方、これまでにウイルスが脳に直接侵入し、こうした症状を引き起こした例は実際には報告されていないということです。このため、高崎所長は「ジカ熱のウイルスが大人の脳に障害を与える可能性を明らかにするには、より人に近いサルなどを使って実験を行い、脳への影響を引き続き調べる必要がある」としています。

 2016年8月19日(金)

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