SSブログ

■脊髄性筋委縮症の治療薬「スピンラザ」発売を開始 高額で画期的な初の核酸医薬 [健康ダイジェスト]

 製薬会社バイオジェン・ジャパン(東京都中央区)は30日、全身の筋力が低下する難病の脊髄性筋委縮症(SMA)の初の治療薬「スピンラザ」(一般名・ヌシネルセンナトリウム)の発売を開始しました。
 脊髄性筋委縮症は、主に小児期に現れる病気で、先天性の遺伝子変異のため、筋肉を動かすのに必要なタンパク質が正常に作られないために生じます。生後半年以内に発症する最も重いタイプは、寝たきりで体を動かすのが困難で、人工呼吸器などが生涯必要となります。発症した患者の約6割が最も重いタイプで、出生2万人に1人前後の割合とされます。
 新治療薬のスピンラザは、DNAやRNAといった遺伝情報をつかさどる物質を利用する「核酸医薬」で遺伝子に作用する画期的なタイプで、脊髄性筋委縮症と診断された最重症の乳児が対象。
 投与は4カ月ごとで、費用は1回約932万円。ただし、使い始めは9週までに4回投与します。バイオジェン・ジャパンの予測では、新規患者のピークは2024年度の294人。薬は高額ですが、指定難病の医療費助成を受ければ、患者の自己負担は最大で月3万円ですみます。
 日本人を含む国際共同治験では、約4割の患者が寝返りを打てるようになったり、自力で座れるようになったりするなどの改善がみられました。スピンラザが異常のある遺伝子とは別の似たRNAに結合して、このRNAが筋肉を動かすタンパク質になるためと見なされています。
 12歳までの小児を対象とした別の治験でも、症状の改善が報告されており、厚生労働省は9月に、最重症の乳児以外にも対象を広げ、治療で保険が使えるようにする方針。
 スピンラザは、アメリカやヨーロッパ連合(EU)、カナダでは先行して承認されています。アメリカでは2016年9月に申請し、わずか3カ月の速さで承認が下りたことが話題となりました。日本でも2016年12月に承認申請が行われ、今年の7月に通常よりも大幅に速い7カ月で承認されました。
 アメリカではスピンラザ1瓶1400万円の値段が付いており、最初の1年は8400万円、2年目以降は年4200万円の薬剤費となっています。
 核酸医薬は、第一三共や大日本住友製薬、日東電工など、多くの国内企業が開発に参入しています。スピンラザの発売で、開発に弾みが付きそうです。

 2017年8月31日(木)

コメント(0) 
共通テーマ:健康

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。