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■甲状腺機能低下の検査、7割で行われず 「治る認知症」を見逃しの恐れ [健康ダイジェスト]

 認知症と診断されて抗認知症薬が処方されたケースのうち、7割は学会が推奨している甲状腺の機能低下の検査を事前にしていなかったことが、医療経済研究機構などの調査で明らかになりました。認知機能の低下が甲状腺機能の問題であれば、抗認知症薬なしで改善が望めます。検査をしなかったことで、本来は必要ない人に薬が処方された可能性があります。
 アリセプトなど4種類の抗認知症薬は、アルツハイマー病などに処方されます。ただし、病気自体は治せず、症状の進行を抑えるだけ。一方、認知症の中には脳の一部が圧迫を受けているなど、対処すれば大きく改善する例もあり、「治る認知症」と呼ばれています。
 甲状腺の機能低下もその「治る認知症」の一つで、一般的な血液検査で判別でき、ホルモン薬で治療できます。日本神経学会は指針で、治療可能な認知症を見逃さないよう、診断に際して検査を推奨しています。
 医療経済研究機構の佐方信夫(さかた・のぶお)主任研究員らは、2015年4月から2016年3月にかけて認知症と診断され、抗認知症薬を新たに処方された65歳以上の約26万2000人を調べました。処方前に甲状腺の機能低下の検査がどの程度されていたかを厚生労働省の保険診療データベースでみたところ、32・6%にとどまっていました。施設別にみると、都道府県が指定する専門施設の認知症疾患医療センターでは57%だったのに対し、病院は38%、診療所では26%でした。また、高齢の患者ほど検査を受けていない傾向がありました。
 認知症とされた人の2・6%が甲状腺の機能が低下していたという海外の報告があります。こうした人は、本来なら不必要な抗認知症薬による吐き気などの副作用を受ける恐れがあります。佐方主任研究員は、「甲状腺の機能が落ちると、疲労感や筋力の低下を招くこともある。検査をしなければ対処する機会も失われてしまう。認知症の増加により、専門でない医師が診る機会が増え、すぐに薬を処方する傾向があるのではないか。」と話しています。
 相模原市認知症疾患医療センター長代理の大石智(さとる)・北里大診療講師(精神科)は、「本来なら、この検査は可能な限り全例で実施されるべきだ。いわゆる『治る認知症』かどうかの鑑別が不十分なまま、抗認知症薬が安易に処方されたと思われる例を多く経験するが、今回のデータはその実態を示しているのではないか」と話しています。

 2018年9月7日(金)

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