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■iPS細胞再生医療、心臓で世界初の手術を実施 大阪大が発表 [健康ダイジェスト]

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にし、重い心臓病の患者の心臓に直接貼り付ける世界初の手術を実施した、と大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授らの研究チームが27日、発表しました。今後の、安全性や有効性の検証が注目されます。
 医師主導治験は2019年12月に開始し、1月に1例目の移植手術を大阪大学病院で実施しました。患者は重篤な心不全患者で、詳細は公表していません。
 京都大学が蓄積するiPS細胞を培養して増やし、心臓の細胞を作製しました。これを凍結保存して置き、手術日程に合わせて解凍して培養し、シート状に加工しました。手術では心筋梗塞などで傷んだ心臓の患部に貼り付けました。1年間の経過観察で、安全性や心機能の回復度合いなどの有効性を調べるほか、今後3年の間に、さらに9人の手術が実施される予定だということです。
 現状では、重症の心不全の根治には心臓移植しかありません。しかし提供者(ドナー)が不足しており、治療を受けられない場合があります。
 澤教授は、「この技術によって、1人でも多くの心不全の方に助かってほしい。内科的な治療の選択肢がなくなり、人工補助心臓や心臓移植が必要になる前の、防波堤のような役割を果たす治療法にしたい」と話しています。
 順調に進めば、大阪大発スタートアップのクオリプス(東京都中央区)などが実用化を目指します。
 澤教授らは、これまでにブタの動物実験で安全性や効果を確認してきました。人への移植では約1億個の心筋細胞を使います。移植細胞ががん化するリスクについて澤教授は、「安全性の課題を克服するために長年、サイエンスを積み上げてきた」と強調しました。
 澤教授らは治験に先立って、臨床研究で心筋細胞シートを使う移植手術を実施する考えでした。臨床研究計画は2018年5月に厚生労働省の専門部会で了承され、2018年度中に実施する計画でしたが、2018年6月の大阪北部地震の影響で遅れ、実施できずにいました。澤教授は今後の臨床研究について、「意義は大きくない」と実施しない見通しを示しました。
 iPS細胞を使う再生医療については、理化学研究所などの研究チームが2014年に、目の網膜の難病患者への移植手術を初めて実施しました。2019年7月には、大阪大が角膜の組織の移植手術をしています。命にかかわる心臓病での手術実施は、世界で初めてとなります。

 2020年1月27日(月)

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