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■網膜色素変性症の患者にiPS「視細胞」を移植 神戸の病院で世界初の手術 [健康ダイジェスト]

 徐々に光を感じ取れなくなる「網膜色素変性症」という重い目の病気の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した網膜の細胞を移植する、世界で初めての手術を、神戸市の研究チームが10月15日までに実施したと、16日に発表しました。
 この移植手術は、神戸市にある神戸アイセンター病院の栗本康夫病院長らの研究チームが臨床研究として行いました。
 研究チームでは10月上旬、網膜色素変性症を患う関西在住の60歳代の女性の目に、京都大学の関連財団が備蓄するiPS細胞から作製した「視細胞」と呼ばれる網膜の細胞を移植する、世界で初めての手術を実施したということです。
 手術では、iPS細胞から作製した視細胞を直径1ミリ、厚さ0・2ミリのシート状にして3枚移植したということで、手術は2時間ほどで終わり、術後、特に異常はみられないということです。
 網膜色素変性症は徐々に光を感じ取れなくなり、進行すると失明することもある病気で、今のところ有効な治療法はありません。国の指定難病で、2018年度に医療費の助成を受けた患者は約2万4000人。

 研究チームでは、今回移植されたシートはごく小さいため大幅な視力の回復は難しいとしていますが、免疫抑制剤を投与して拒絶反応を防ぎ、今後1年かけて安全性などを確認し、将来的には治療法として確立させたいとしています。
 栗本病院長は記者会見で、「今回移植した視細胞は中枢神経の細胞で、これまで治療法がなかった『網膜色素変性症』の治療法としてだけではなく、再生しないとされてきた中枢神経の細胞の手術という意味でも大きな進歩だ。中枢神経の再生は多くの患者、医療従事者の長年の夢であり、ほんの小さな1歩だが、無事に踏み出せたことは非常に感慨深い」と述べ、意義を強調しました。
 iPS細胞については、国内各地の大学や研究機関で再生医療での実用化を目指して、安全性や有効性を確認する臨床研究や治験が始まっています。
 世界で初めて実際に人での臨床研究を行ったのは、神戸市の理化学研究所などの研究チームです。2014年に「加齢黄斑変性」という重い目の病気の患者にiPS細胞から作製した目の網膜の組織を移植し、安全性などを確認する臨床研究を行いました。
 同じく目の病気を巡っては、2019年に大阪大学などの研究チームが「角膜上皮幹細胞疲弊症」という重い目の病気の患者にiPS細胞から作製したシート状の角膜の組織を移植する臨床研究を実施しています。

 2020年10月17日(土)

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