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■腱で膜タンパク質の働きを高めると運動能力が向上 東京医科歯科大がマウスで実験 [健康ダイジェスト]

 アキレス腱(けん)などの骨と筋肉をつなぐ腱で、運動により加わる力を細胞の表面で感知する膜タンパク質の働きを高めると、ジャンプ力や走る速さが大幅に向上することがわかりました。東京医科歯科大やアメリカのスクリプス研究所、順天堂大などの研究チームがマウスの遺伝子操作実験で発見し、1日付のアメリカの科学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」で発表しました。
 この力を感知するセンサーの役割を果たす膜タンパク質は、ノーベル医学生理学賞を昨年受賞したスクリプス研究所のアデム・パタプーティアン教授が発見した「PIEZO1(ピエゾワン)」。このPIEZO1が腱で強く働くようにしたマウスは、腱がより柔軟で太くなり、ジャンプしたり、走ったりする際のばね機能が強まりました。ジャンプした際に跳べる距離は通常のマウスよりも、1・4倍から1・7倍、伸びていたということです。
 西アフリカがルーツとみられる中米ジャマイカの陸上競技選手では、PIEZO1の働きが高まる遺伝子変異を持つ人が多いことも判明しました。
 東京医科歯科大の浅原弘嗣教授は、「筋肉ではなく、腱だけで運動能力が高まるのは教科書的には想像できなかった発見だ。将来は運動能力が落ちた高齢者の腱を強める薬ができるのではないか」と話しています。浅原教授らはPIEZO1からの信号を受けて腱を作る遺伝子「Mkx」を過去に発見し、人工的に腱を作る研究にも取り組んでおり、技術開発が進むとしています。
 一方でスポーツ選手のドーピングに悪用される懸念も指摘し、対策が必要との考えを示しました。
 PIEZO1は腱だけでなく体のさまざまな細胞にあります。浅原教授や東京医科歯科大の中道亮非常勤講師らはマウスのPIEZO1遺伝子について、働きが高い変異型に置き換える操作を全身、筋肉のみ、腱のみの3パターンで行いました。その結果、全身か腱で操作した場合に運動能力が向上しました。
 浅原教授は、「さらに研究が進めば、高齢者の運動能力の向上や傷付いたアキレス腱の治療法開発などにつながると期待している」と話しています。

 2022年6月2日(木)




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