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■用語 櫛状胃炎 [用語(く)]

[バー]胃の粘膜の表面だけに炎症が起こっている疾患
 櫛状(くしじょう)胃炎とは、胃の粘膜の表面に慢性の炎症が起こっている疾患。表層性胃炎とも呼ばれます。
 慢性胃炎の初期症状ともいえる状態で、胃腺(せん)の委縮はあまり目立たず、胃の出口近くの粘膜の表面に、櫛で引っかいたような線状の発赤や、斑状(まだらじょう)の発赤、むくみなどの症状がみられるのが特徴です。
 飲酒やたばこ、香辛料の摂取、熱い飲食物の刺激、薬物による刺激が原因になるほか、感染したピロリ菌に対して、人体の免疫が反応している状態であるために炎症が起こっているのが原因の場合もあります。また、櫛状胃炎は不安やストレスなどの精神的な状態との関連もあるようです。
 胃の粘膜の表面のみの炎症ですから、それほど症状は強くなく、自然と改善していく場合もあります。しかし、そのまま進行して長期化してくると、胃粘膜は次第に委縮し、胃液(胃酸)や粘液を分泌しない状態になり、委縮性胃炎になってしまう恐れがあります。
 櫛状胃炎はどちらかといえば若い人に多く、胃に不快感があり、胃もたれを起こしたり、食後に腹痛を起こすことがあります。場合によっては、胃潰瘍(かいよう)と同様に空腹になると胃に痛みを感じたり、重苦しさが起こってくることがあります。食事をすると軽減されますが、げっぷや胸焼けなどを伴うこともあります。
 胃の炎症症状の強い時には、食欲不振に陥ることもありますし、吐き気を覚えることもあります。このような症状は、1〜2年に及ぶこともあります。
[バー]櫛状胃炎の検査と診断と治療
 消化器科、内科の医師による診断では、胃内視鏡検査を行うと、胃の出口近くの粘膜に多数の発赤や、むくみが観察されます。正確な診断には、組織の一部を採取して調べる生検による病理学的検索が必要です。組織を調べると、原因となるピロリ菌がいるかどうかを診断することもできます。
 消化器科、内科の医師による治療では、症状がみられるようであれば、胃液の分泌を抑える制酸剤や抗コリン剤(自律神経遮断薬)を使用します。食後に胃のもたれが起こるようであれば、消化剤を使用することも有効で、症状に合わせて、傷みを和らげる鎮痛剤も使用します。
 薬の効果によって一時的に回復しますが、炎症が治まっていなければ、薬の服用をやめれば再発することも考えられます。薬の服用が必要だと判断された場合では、医師の指示を守り正しく服用することが必要です。
 日常生活では、できるだけ胃に負担をかけない食生活を心掛けることが大切です。1日3食を規則正しく摂取するようにして、脂っこいものなど消化の悪いものや、酒や香辛料など刺激の強いものは控えめにします。
 可能ならば禁煙し、ストレスを改善する方法も見付けましょう。




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■用語 グルカゴノーマ [用語(く)]

[トイレ]膵臓のランゲルハンス島の腫瘍で、グルカゴンを過剰に分泌
 グルカゴノーマとは、グルカゴンを過剰に分泌する膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島の腫瘍(しゅよう)。グルカゴン産生腫瘍とも呼ばれ、血糖値が上昇し特有の発疹(はっしん)が現れます。
 グルカゴンは、エネルギー代謝に必要なグリコーゲンを分解して、血糖値を上昇させる作用を持つホルモンの一つ。29個のアミノ酸よりなるペプチドホルモンであり、炭化水素の代謝に重要な機能を持ちます。膵臓の組織内に島状に散在すランゲルハルス島にあるA細胞(α細胞)で生合成、分泌されて血液中に放出されます。
 同じランゲルハンス島にあるB細胞(β細胞)から分泌され、糖尿病の特効薬として知られるインシュリンとともに、血糖値を一定に保つ作用をするホルモンですが、インシュリンとは逆に、血糖値が下がって糖を必要とするようになった際、肝臓の細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進します。つまり、グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制されます。
 このグルカゴンを分泌するグルカゴノーマが発生すると、グルカゴンを過剰を分泌して血糖値が高くなるために、糖尿病症状が出て、体重も減ります。
 ほとんどの発症者に、慢性的な赤茶色の発疹(はっしん)の症状も出て、発疹は水疱(すいほう)を作って破れ、かさぶたとなり、鼠径(そけい)部から始まって臀(でん)部、脚、上腕へと広がります。
 また、口内炎、口角炎もでき、貧血、低アミノ酸血症を示すようになります。
 グルカゴノーマは70パーセントから80パーセントが悪性で、単発性が多く認められます。直径は1センチから35センチで、通常3センチ以上になります。腫瘍の大きさと症状の強さは相関せず、小さいものでも肝臓やリンパ節に転移することがあります。
 腫瘍の成長が遅いので、ほとんどの人が発症後15年以上生存しています。症状が出始める平均年齢は50歳で、患者の約80パーセントは女性。閉経期あるいは閉経後の女性に多くみられます。
[トイレ]グルカゴノーマの検査と診断と治療
 消化器科、内科の医師による診断は、血中グルカゴン値が高いことから判断します。続いて、グルカゴノーマの位置を確認するために、CT検査、超音波検査、動脈に造影剤を注入してX線撮影を行う動脈造影検査を実施します。試験開腹手術が必要となる場合もあります。
 医師による治療は、腫瘍を手術で切除して症状をなくすことが理想的ですが、根治的な切除が行えるのは30パーセント前後とされています。切除可能な腫瘍に対しては、膵頭十二指腸切除術または膵体尾部切除術が行われます。
 根治的な切除が行えない場合にも、グルカゴンの分泌量の減少を目的に可能な限りの切除が行われます。肝臓への転移に対しては、可能な限り評価可能な転移巣の切除が行われます。
 癒着が著しく切除が行えない場合や転移している場合は、化学療法で抗がん剤のストレプトゾシンとドキソルビシンの組み合わせを投与し、グルカゴン値を下げて症状の軽減を図ります。しかし、化学療法では延命は期待できません。
 ホルモン産生を抑制する薬剤のオクトレオチドを投与してグルカゴン値を下げると、発疹が消えて食欲が増し体重も増えてきます。ただし、オクトレオチドの投与によるインシュリン分泌の影響で、体内のブドウ糖代謝能力である耐糖能が低下して、逆に血糖値が上がってしまうこともあります。
 発疹に対しては、亜鉛軟こうを塗ったり、アミノ酸や脂肪酸の静脈投与で治ることもあります。




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■用語 グルカゴン産生腫瘍 [用語(く)]

[トイレ]膵臓のランゲルハンス島の腫瘍で、グルカゴンを過剰に分泌
 グルカゴン産生腫瘍(しゅよう)とは、グルカゴンを過剰に分泌する膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島の腫瘍。グルカゴノーマとも呼ばれ、血糖値が上昇し特有の発疹(はっしん)が現れます。
 グルカゴンは、エネルギー代謝に必要なグリコーゲンを分解して、血糖値を上昇させる作用を持つホルモンの一つ。29個のアミノ酸よりなるペプチドホルモンであり、炭化水素の代謝に重要な機能を持ちます。膵臓の組織内に島状に散在すランゲルハルス島にあるA細胞(α細胞)で生合成、分泌されて血液中に放出されます。
 同じランゲルハンス島にあるB細胞(β細胞)から分泌され、糖尿病の特効薬として知られるインシュリンとともに、血糖値を一定に保つ作用をするホルモンですが、インシュリンとは逆に、血糖値が下がって糖を必要とするようになった際、肝臓の細胞に作用してグリコーゲンの分解を促進します。つまり、グルカゴンの分泌は低血糖により促進され、高血糖により抑制されます。
 このグルカゴンを分泌するグルカゴン産生腫瘍が発生すると、グルカゴンを過剰を分泌して血糖値が高くなるために、糖尿病症状が出て、体重も減ります。
 ほとんどの発症者に、慢性的な赤茶色の発疹(はっしん)の症状も出て、発疹は水疱(すいほう)を作って破れ、かさぶたとなり、鼠径(そけい)部から始まって臀(でん)部、脚、上腕へと広がります。
 また、口内炎、口角炎もでき、貧血、低アミノ酸血症を示すようになります。
 グルカゴン産生腫瘍は70パーセントから80パーセントが悪性で、単発性が多く認められます。直径は1センチから35センチで、通常3センチ以上になります。腫瘍の大きさと症状の強さは相関せず、小さいものでも肝臓やリンパ節に転移することがあります。
 腫瘍の成長が遅いので、ほとんどの人が発症後15年以上生存しています。症状が出始める平均年齢は50歳で、患者の約80パーセントは女性。閉経期あるいは閉経後の女性に多くみられます。
[トイレ]グルカゴン産生腫瘍の検査と診断と治療
 消化器科、内科の医師による診断は、血中グルカゴン値が高いことから判断します。続いて、グルカゴン産生腫瘍の位置を確認するために、CT検査、超音波検査、動脈に造影剤を注入してX線撮影を行う動脈造影検査を実施します。試験開腹手術が必要となる場合もあります。
 医師による治療は、腫瘍を手術で切除して症状をなくすことが理想的ですが、根治的な切除が行えるのは30パーセント前後とされています。切除可能な腫瘍に対しては、膵頭十二指腸切除術または膵体尾部切除術が行われます。
 根治的な切除が行えない場合にも、グルカゴンの分泌量の減少を目的に可能な限りの切除が行われます。肝臓への転移に対しては、可能な限り評価可能な転移巣の切除が行われます。
 癒着が著しく切除が行えない場合や転移している場合は、化学療法で抗がん剤のストレプトゾシンとドキソルビシンの組み合わせを投与し、グルカゴン値を下げて症状の軽減を図ります。しかし、化学療法では延命は期待できません。
 ホルモン産生を抑制する薬剤のオクトレオチドを投与してグルカゴン値を下げると、発疹が消えて食欲が増し体重も増えてきます。ただし、オクトレオチドの投与によるインシュリン分泌の影響で、体内のブドウ糖代謝能力である耐糖能が低下して、逆に血糖値が上がってしまうこともあります。
 発疹に対しては、亜鉛軟こうを塗ったり、アミノ酸や脂肪酸の静脈投与で治ることもあります。




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■用語 グルテン腸症 [用語(く)]

[レストラン]小麦に含まれる蛋白質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収が減少する疾患
 グルテン腸症とは、小麦に含まれる蛋白(たんぱく)質のグルテンが小腸粘膜に障害を起こし、栄養素の吸収不良が現れる疾患。グルテン過敏性腸炎、グルテン腸症候群、グルテン不耐症、スプルー、セリアック病、セリアックスプルーなどとも呼ばれます。
 グルテンは主に小麦に含まれ、大麦、ライ麦、オート麦など他の麦類では含有量が比較的少量です。このグルテンに対する遺伝性の不耐症がグルテン腸症であり、発症した人がグルテンを含んだ食品を摂取すると、グルテンの分解ができず、腸管免疫システムがそれを異物と認識して過剰に働くことで、産生された抗体が小腸の絨毛(じゅうもう)を攻撃し、慢性的な炎症が起こります。
 この炎症によって、上皮細胞が変性したり、絨毛が委縮して、その突起が平坦(へいたん)になったりします。その結果、平坦になった小腸粘膜は糖、カルシウム、ビタミンB群などの栄養素の吸収不良を起こし、小腸がしっかり機能しなくなることで、さまざまな症状が出てきます。
 しかし、グルテンを含んだ食品の摂取をやめると、正常な小腸粘膜のブラシ状の表面とその機能は回復します。
 グルテン腸症は、小児のころに発症する場合と、成人になるまで発症しない場合とがあります。症状の程度は、炎症によって小腸がどれだけ影響を被ったかで決まります。
 成人で発症する場合は通常、下痢や栄養失調、体重減少が起こります。中には、消化器症状が何も現れない人もいます。グルテン腸症の発症者全体のおよそ10パーセントに、小さな水疱(すいほう)を伴い痛みとかゆみのある湿疹(しっしん)がみられ、疱疹性皮膚炎と呼ばれます。
 小児のころに発症する場合は、グルテンを含む食品を食べるまでは症状が現れません。通常、パンやビスケット、うどんなどによってグルテンを摂取するようになる2歳から3歳の時に発症します。
 子供によって、軽い胃の不調を経験する程度から、痛みを伴って腹部が膨張し、便の色が薄くなり、異臭がして量が多くなる脂肪便を起こすこともあります。
 グルテン腸症による吸収不良から起こる栄養素の欠乏は、全身の栄養状態の悪化を招いて栄養失調を起こし、さらに別の症状を起こします。別の症状は、特に小児で現れやすい傾向にあります。
 一部の小児は、成長障害を起こし身長が低くなります。鉄欠乏による貧血では、疲労と脱力が起こります。血液中の蛋白質濃度が低下すると、体液の貯留と組織の浮腫(ふしゅ)が起こります。
 ビタミンB12の吸収不良では、神経障害が起こり、腕と脚にチクチクする感覚を生じます。カルシウムの吸収不良では、骨の成長異常を来し、骨折のリスクが高くなり、骨と関節が痛みます。
 また、カルシウムの欠乏では、歯のエナメル質の欠陥と永久歯の障害を起こします。グルテン腸症の女児では、エストロゲンなどのホルモン産生が低下し、初潮がありません。
 下痢、脂肪便、体重減少、貧血などのグルテン腸症を疑わせる症状に気付いたら、消化器内科を受診します。
[レストラン]グルテン腸症の検査と診断と治療
 消化器内科の医師による診断では、小腸のX線検査と小腸の内視鏡検査を行います。小腸の繊毛が委縮、平坦化している状態が認められることと、グルテンを含む食品の摂取をやめた後に小腸粘膜の状態が改善していることにより確定します。
 また、グルテンを含む食品を摂取した時に産生される特異抗体の濃度を測定する検査を行うこともあります。
 消化器内科の医師による治療としては、グルテンを含まない食事を摂取し、各種の栄養剤、ビタミンを補給します。
 少量のグルテンでも症状を起こすので、グルテンを含む食品をすべて避けなければなりません。グルテンを含まない食事への反応は迅速に起こり、小腸のブラシ状の表面とその吸収機能は正常に戻ります。
 ただし、グルテンはさまざまな食品中に広く含まれているので、避けるべき食品の詳細なリストと栄養士の助言が必要です。
 グルテンを含む食品の摂取を避けても症状が継続する場合は、難治性グルテン腸症と呼ばれる状態に進んだ可能性があり、プレドニゾロンなどのステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)で治療します。
 まれに、グルテンを含む食品の摂取を避け、薬物療法を行っても改善しなければ、静脈栄養が必要となります。小児では初診時に非常に重篤な状態になっている場合もあり、グルテン除去食を開始する前に、しばらく静脈栄養の期間が必要になります。
 グルテンを避ければ、グルテン腸症のほとんどの発症者はよい状態を保てますが、長期間にわたってグルテン腸症が継続すると、まれに腸にリンパ腫(しゅ)を形成し、死に至ることもあります。グルテン除去食を厳格に守ることで、腸のリンパ腫やがんなどの長期間にわたる合併症のリスクを減少させられるかどうかは、不明です。
 グルテン腸症の人は、グルテンを含まない穀物である米やトウモロコシを中心に、卵、肉、魚、牛乳、乳製品、果物類、野菜類、豆類を中心に摂取することになります。加工食品の場合、グルテンを含まないと表示されている物以外は注意が必要。
 摂取できない食品としては、パン、うどん、ラーメン、ヌードル、パスタ(スパゲッティ、マカロニ)、ビスケット・クッキー・クラッカーなどの菓子、ケーキ、ビール、大麦水などが挙げられます。
 グルテンを含んでいる可能性がある食物としては、豚肉(ソーセージ、ボローニャソーセージ)、缶詰のパテや肉、ミートボール、ハンバーガー、ホットドッグ、ソース、トマトソース、調味料、コーヒー代用品、チョコレート、ココア、アイスクリーム、キャンディー、食品色素などが挙げられます。




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