■用語 慢性肥厚性胃炎 [用語(ま)]
胃の粘膜表面が正常より厚くなった状態
慢性肥厚性胃炎とは、胃の粘膜の筋肉が緊張して、胃の粘膜表面が正常より厚く、硬くなった状態。
慢性肥厚性胃炎は慢性胃炎の一種で、慢性胃炎は胃の粘膜が持続的に炎症を起こして、粘膜の性状が変質し、胃が重いとか軽く痛むなどの症状を伴うこともある疾患です。
慢性肥厚性胃炎では、胃液やその中の胃酸の分泌が増加し、過酸症がみられることがあります。原因の多くはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染と考えられていますが、病態は完全には解明されていません。
症状としては、みぞおちから胸にかけて焼けるような不快感がある胸焼け、げっぷ、胃の酸っぱい液体が口まで逆流してくる呑酸(どんさん)、空腹時の胃の痛み、胃もたれなどの症状が現れます。大きな自覚症状が出ない場合もあります。
慢性肥厚性胃炎に過酸症を伴う場合は、酸度の高い胃酸が食後に大量に分泌されることが一般的なため、食後1~2時間で胸焼け、げっぷ、呑酸の症状が現れます。また、食べ物が胃に入っていない空腹時に胃液が大量分泌し、とりわけ夜間に分泌量が増える傾向がある過酸症を伴う場合は、空腹時の胃の痛み、胃もたれ、食欲減退などの症状が現れます。
これらの症状は慢性肥厚性胃炎だけではなく、十二指腸潰瘍(かいよう)、食道がん、胃がんなどでもみられる症状なので、検診などで慢性肥厚性胃炎が発見された際には、消化器科、消化器内科、内科を受診することがお勧めです。
慢性肥厚性胃炎の検査と診断と治療
消化器科、消化器内科、内科などの医師による診断では、胃内視鏡検査を行うと、胃粘膜の筋肉の緊張による粘膜表面の肥厚が観察されます。
また、胃内視鏡検査の時に胃粘膜の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行うと、原因となるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がいるかどうかを診断することもできます。
消化器科などの医師による治療では、胃の粘膜の状態に応じて、胃の中に放出された胃酸を中和する制酸剤や、胃酸の分泌を減少させる抗コリン剤(自律神経遮断薬)、ヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)薬(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などを使用します。
食後に胃のもたれが起こるようであれば、消化剤を使用することも有効で、症状に合わせて、傷みを和らげる鎮痛剤も使用します。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃に感染している場合には、根本的な治療の見地から、抗生物質(抗菌剤)の投与によるピロリ菌の除去が選択肢の一つになります。
ピロリ菌に対しては、2~3種類の抗生物質を、同時に1~2週間服用し続けることで、胃の中に生息しているピロリ菌を除菌します。
慢性肥厚性胃炎、過酸症において日常で注意することは、脂肪食、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、漬物、アルコール、たばこなどの胃酸の分泌を促進するものと、精神的疲労によるストレスを避けることです。ストレスがあると、血流が悪化し胃粘膜の防御機能が低下します。
慢性肥厚性胃炎とは、胃の粘膜の筋肉が緊張して、胃の粘膜表面が正常より厚く、硬くなった状態。
慢性肥厚性胃炎は慢性胃炎の一種で、慢性胃炎は胃の粘膜が持続的に炎症を起こして、粘膜の性状が変質し、胃が重いとか軽く痛むなどの症状を伴うこともある疾患です。
慢性肥厚性胃炎では、胃液やその中の胃酸の分泌が増加し、過酸症がみられることがあります。原因の多くはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染と考えられていますが、病態は完全には解明されていません。
症状としては、みぞおちから胸にかけて焼けるような不快感がある胸焼け、げっぷ、胃の酸っぱい液体が口まで逆流してくる呑酸(どんさん)、空腹時の胃の痛み、胃もたれなどの症状が現れます。大きな自覚症状が出ない場合もあります。
慢性肥厚性胃炎に過酸症を伴う場合は、酸度の高い胃酸が食後に大量に分泌されることが一般的なため、食後1~2時間で胸焼け、げっぷ、呑酸の症状が現れます。また、食べ物が胃に入っていない空腹時に胃液が大量分泌し、とりわけ夜間に分泌量が増える傾向がある過酸症を伴う場合は、空腹時の胃の痛み、胃もたれ、食欲減退などの症状が現れます。
これらの症状は慢性肥厚性胃炎だけではなく、十二指腸潰瘍(かいよう)、食道がん、胃がんなどでもみられる症状なので、検診などで慢性肥厚性胃炎が発見された際には、消化器科、消化器内科、内科を受診することがお勧めです。
慢性肥厚性胃炎の検査と診断と治療
消化器科、消化器内科、内科などの医師による診断では、胃内視鏡検査を行うと、胃粘膜の筋肉の緊張による粘膜表面の肥厚が観察されます。
また、胃内視鏡検査の時に胃粘膜の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行うと、原因となるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がいるかどうかを診断することもできます。
消化器科などの医師による治療では、胃の粘膜の状態に応じて、胃の中に放出された胃酸を中和する制酸剤や、胃酸の分泌を減少させる抗コリン剤(自律神経遮断薬)、ヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)薬(H2ブロッカー)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)などを使用します。
食後に胃のもたれが起こるようであれば、消化剤を使用することも有効で、症状に合わせて、傷みを和らげる鎮痛剤も使用します。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃に感染している場合には、根本的な治療の見地から、抗生物質(抗菌剤)の投与によるピロリ菌の除去が選択肢の一つになります。
ピロリ菌に対しては、2~3種類の抗生物質を、同時に1~2週間服用し続けることで、胃の中に生息しているピロリ菌を除菌します。
慢性肥厚性胃炎、過酸症において日常で注意することは、脂肪食、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、漬物、アルコール、たばこなどの胃酸の分泌を促進するものと、精神的疲労によるストレスを避けることです。ストレスがあると、血流が悪化し胃粘膜の防御機能が低下します。
■用語 慢性陰茎海綿体炎 [用語(ま)]
男性の陰茎の内部にある海綿体が炎症を起こして、慢性的にはれ上がっている状態
慢性陰茎海綿体炎とは、男性の性器である陰茎の内部にある海綿体が炎症を起こして、慢性的にはれ上がっている状態。単に陰茎海綿体炎とも呼ばれます。
陰茎は、主に3つの海綿体で構成されています。陰茎の下側に尿道海綿体があり、中に尿道が通っています。その尿道海綿体の上方に、勃起(ぼっき)に関係する左右一対の陰茎海綿体があります。
細菌の感染によって発症するほか、事故などによる外傷のために、あるいは勃起した陰茎に過度の力が加わったために、発症することがあります。さらに、ブドウ球菌やクラミジアなどに感染して尿道炎を起こしたために、急性陰茎海綿体炎を生じ、それを放置したり、適切な治療をしなかったことを原因として、慢性化して発症することもあります。
また、陰茎がんや尿道がんなどの泌尿生殖器系の悪性腫瘍(しゅよう)の海綿体への直接浸潤、勃起不全に対する海綿体注射などにより発症することがあります。原因不明のことも多く、病像は明確ではありません。
慢性陰茎海綿体炎を発症すると、陰茎海綿体に慢性的な炎症が起きるために、発熱、陰茎部痛、会陰(えいん)部から陰茎部の発赤や圧痛を伴うはれ、膿(うみ)が混じった膿尿(のうにょう)などの症状が発生します。
炎症が長引くと、陰茎が勃起した時に根元や途中から曲がる陰茎湾曲や、尿道の内腔(ないくう)が狭くなって尿が出にくくなる尿道狭窄(きょうさく)につながり、勃起機能の低下の原因となることもあります。
慢性陰茎海綿体炎の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断では、陰茎部の症状の視診、触診を行います。以前に打撲などによる外傷や炎症があったかどうかが、参考になります。
次に、超音波(エコー)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行って、陰茎の内部を観察し、正確に診断するために、病変部の一部を切除して組織検査を行うこともあります。
泌尿器科の医師による治療では、細菌の感染で発症している場合には、抗生物質(抗生剤)を投与します。多くの症例では、完全に治療することができます。
陰茎部に膿瘍(のうよう)がある場合には、外科手術によって切開して排膿します。悪性腫瘍の陰茎海綿体への直接浸潤などで症状が悪化した場合には、外科手術によって病変部を切除することもあります。
重い勃起障害がある場合には、陰茎海綿体の中にシリコンの支柱材を埋め込むプロステーシス手術も検討されます。
プロステーシス手術には、半固定式と膨張式の2種類があり、半固定式の場合は、陰茎は常に約80パーセントの勃起状態のままになります。シリコンの中には針金が通っているので、性交以外の時には、陰茎を上や下に折り曲げて、目立たせなくすることが可能です。
一方、膨張式の場合は、小型ポンプで生理食塩水などの液体を送ってシリコンの支柱材を伸縮させることができるため、陰茎の硬さを自由に調整できます。
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■用語 慢性再発性アフタ [用語(ま)]
口腔粘膜に円形、あるいは楕円形の浅い潰瘍ができるアフタ性口内炎が再発を繰り返す疾患
慢性再発性アフタとは、単純にアフタとも呼ばれるアフタ性口内炎が再発を繰り返す疾患。再発性アフタ、再発性アフタ性口内炎とも呼ばれます。
アフタ性口内炎は、口腔(こうくう)粘膜に、1センチまでの円形あるいは楕円(だえん)形の浅い潰瘍(かいよう)であるアフタができる疾患で、このアフタが1個できる場合もあれば、多数できる場合もあります。唇や頬(ほお)の内側の粘膜、舌、歯茎など、どこにでもできます。
アフタの表面は白色や黄色がかった白色をしており、中央は少しくぼみ、クレーターのような形をしています。アフタの縁は周囲の粘膜よりも赤く、物が触れたりすると強く痛みます。
通常は1週間から2週間程度で、自然に完治します。発熱や全身倦怠(けんたい)感などの全身症状は伴いません。
このアフタ性口内炎が再発を繰り返す慢性再発性アフタの場合は、7~10日ぐらいで跡を残さず自然に治りますが、また再発します。年に数回から月に1度程度の頻度で、再発することもあります。
何もしなくても痛く、また強い接触痛があります。複数個所にアフタ性口内炎が生じる重度のものでは、痛みのあまり摂食不能になることもあります。
慢性再発性アフタは、20~30歳代に多く生じ、女性のほうが多いといわれています。
アフタ性口内炎そのものの原因は、まだ不明です。過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足、ウイルスの感染、女性では妊娠、月経異常といった内分泌異常などが誘因になります。
ベーチェット病が、慢性再発性アフタで始まることがあり、目や外陰部にも潰瘍のできている時は注意が必要です。ベーチェット病は、原因不明の膠原(こうげん)病類縁疾患で、目のぶどう膜炎に加えて、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍を主症状とし、血管、神経、消化器などの病変を副症状として、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とします。
慢性再発性アフタによる痛みが強い場合は、口腔内科、口腔外科、歯科口腔外科を受診するのがよいでしょう。何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病などの全身的な疾患の部分症状ということも考えられますので、眼科、皮膚科、内科などを受診しておいたほうがよいでしょう。
慢性再発性アフタの検査と診断と治療
歯科口腔外科、内科などの医師による診断では、原因となる誘因の検査を行い、口腔内の炎症部位、炎症状態の観察を行います。アフタが何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病なども考えて、血液検査や免疫学的検査を行います。
歯科口腔外科、内科などの医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の入ったケナログ軟こう、アムメタゾン軟こうや貼(は)り薬をアフタのできている部位に使います。
貼り薬は軟こうと異なり、シールを貼るように潰瘍面を被覆保護するため、貼ることが可能な部位にアフタがあって個数が少ない場合はとても有効であり、食事時の痛みが劇的に減少します。
アフタの個数が多い場合や、口の奥にできた場合には、ステロイド剤の入った噴霧剤、うがい剤なども使います。
予防としては、過労、精神的ストレス、胃腸障害などの誘因となるものを避けるようにします。うがいをして、いつも口内を清潔に保つことも大切です。
慢性再発性アフタとは、単純にアフタとも呼ばれるアフタ性口内炎が再発を繰り返す疾患。再発性アフタ、再発性アフタ性口内炎とも呼ばれます。
アフタ性口内炎は、口腔(こうくう)粘膜に、1センチまでの円形あるいは楕円(だえん)形の浅い潰瘍(かいよう)であるアフタができる疾患で、このアフタが1個できる場合もあれば、多数できる場合もあります。唇や頬(ほお)の内側の粘膜、舌、歯茎など、どこにでもできます。
アフタの表面は白色や黄色がかった白色をしており、中央は少しくぼみ、クレーターのような形をしています。アフタの縁は周囲の粘膜よりも赤く、物が触れたりすると強く痛みます。
通常は1週間から2週間程度で、自然に完治します。発熱や全身倦怠(けんたい)感などの全身症状は伴いません。
このアフタ性口内炎が再発を繰り返す慢性再発性アフタの場合は、7~10日ぐらいで跡を残さず自然に治りますが、また再発します。年に数回から月に1度程度の頻度で、再発することもあります。
何もしなくても痛く、また強い接触痛があります。複数個所にアフタ性口内炎が生じる重度のものでは、痛みのあまり摂食不能になることもあります。
慢性再発性アフタは、20~30歳代に多く生じ、女性のほうが多いといわれています。
アフタ性口内炎そのものの原因は、まだ不明です。過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足、ウイルスの感染、女性では妊娠、月経異常といった内分泌異常などが誘因になります。
ベーチェット病が、慢性再発性アフタで始まることがあり、目や外陰部にも潰瘍のできている時は注意が必要です。ベーチェット病は、原因不明の膠原(こうげん)病類縁疾患で、目のぶどう膜炎に加えて、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍を主症状とし、血管、神経、消化器などの病変を副症状として、急性炎症性発作を繰り返すことを特徴とします。
慢性再発性アフタによる痛みが強い場合は、口腔内科、口腔外科、歯科口腔外科を受診するのがよいでしょう。何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病などの全身的な疾患の部分症状ということも考えられますので、眼科、皮膚科、内科などを受診しておいたほうがよいでしょう。
慢性再発性アフタの検査と診断と治療
歯科口腔外科、内科などの医師による診断では、原因となる誘因の検査を行い、口腔内の炎症部位、炎症状態の観察を行います。アフタが何度も再発を繰り返す場合は、ベーチェット病なども考えて、血液検査や免疫学的検査を行います。
歯科口腔外科、内科などの医師による治療では、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の入ったケナログ軟こう、アムメタゾン軟こうや貼(は)り薬をアフタのできている部位に使います。
貼り薬は軟こうと異なり、シールを貼るように潰瘍面を被覆保護するため、貼ることが可能な部位にアフタがあって個数が少ない場合はとても有効であり、食事時の痛みが劇的に減少します。
アフタの個数が多い場合や、口の奥にできた場合には、ステロイド剤の入った噴霧剤、うがい剤なども使います。
予防としては、過労、精神的ストレス、胃腸障害などの誘因となるものを避けるようにします。うがいをして、いつも口内を清潔に保つことも大切です。
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■用語 慢性化膿性中耳炎 [用語(ま)]
急性中耳炎で鼓膜に開いた穴が残り続け、中耳腔に慢性炎症が生じる疾患
慢性化膿(かのう)性中耳炎とは、急性中耳炎で鼓膜に穴が開き、急性炎症が治まった後も鼓膜の穴が残り続け、中耳腔(こう)に慢性炎症が生じる疾患。慢性中耳炎の一つです。
耳には、急性中耳炎がひどくなると鼓膜に穴が開き、中耳の中にあるうみを自然に出して、急性炎症を治そうとする働きがあります。この時に開いた穴は自然に閉じますが、中耳炎を繰り返したり、治り方が不十分だと、穴が閉じなくなって慢性化膿性中耳炎になります。
種々の程度の難聴を引き起こす厄介な慢性化膿性中耳炎の多くは、大人にみられます。幼少期に急性中耳炎にかかり鼓膜穿孔(せんこう)を起こしたものがそのまま慢性化することが多いのですが、幼少期にはあまり耳の疾患に気付かずに大人になって発症する場合もあります。
大人になってから発症する慢性化膿性中耳炎は、糖尿病や甲状腺(こうじょうせん)の疾患、進行がんやエイズなどで免疫力が低下することに関係していると考えられます。この場合の起炎菌となるのは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)、緑膿(りょくのう)菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などです。まれに、重い糖尿病の人では真菌の感染によることもあります。
小さな子供では、急性中耳炎から頑固な難聴を起こすような慢性化膿性中耳炎に移行することは、まずありません。乳幼児の場合は急性中耳炎を繰り返すタイプが多く、その結果鼓膜に穴が残って慢性化膿性中耳炎のようになることはあります。しかし、病変としては比較的軽いケースがほとんどです。
慢性化膿性中耳炎の症状としては、鼓膜に穴が開いているために、外耳道を通して中耳に汚い水が入ったり、風邪を引くなどにより耳管を通して中耳に細菌が入り、うみが出てきたり、じくじくしたりします。これは耳垂れ、あるいは耳漏と呼ばれ、持続します。
また、鼓膜に穴が開いているために、音が伝わりにくくなる上、中耳腔にある小さな3つの骨である耳小骨の周囲に炎症が及び、耳小骨の動きも悪くなります。その結果、伝音難聴が出現します。
鼓膜に開いた穴が小さい時の伝音難聴は軽度ですが、穴が大きくなり細菌感染が続くと、その影響が中耳の奥にある内耳にも及んで感音難聴や、耳鳴り、めまいが出現してくることもあります。こうなると聞こえはかなり悪くなります。
慢性化膿性中耳炎は、痛くない中耳炎です。耳垂れが主症状で、同じ中耳の炎症でも、耳痛、発熱、耳鳴りを伴う急性中耳炎とは、かなり様子が違っています。痛みがないため、聴力の回復を強く望まない人の中には、病院に行くのが面倒という理由から疾患をそのままにしてしまうこともあります。
放置しておくと、感音難聴が進行したり、まれに顔面神経まひ、脳腫瘍(しゅよう)などに発展することもあるので、症状が進行または悪化するようなら耳鼻咽喉(いんこう)科を受診したほうがよいでしょう。
慢性化膿性中耳炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼓膜を観察することが第一で、できれば手術用顕微鏡や拡大耳鏡を用いて、よく観察します。うみがあるかどうか、穿孔の大きさ、位置、発赤の有無、肥厚、石灰化などを調べることで、現在の慢性化膿性中耳炎の程度や、今まであった炎症の程度を判断します。
純音聴力検査で難聴の程度を調べ、伝音難聴なのか、伝音難聴と感音難聴の両方が起きている混合難聴なのかを判断します。鼓膜の穿孔を和紙などでふさいで聴力が改善するかどうかを調べると、耳小骨の音を伝える機能が正常かどうかがわかります。
耳垂れの細菌検査を行い、細菌の種類と抗生剤の感受性を判断します。細菌としては、MRSA、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが多く検出されます。X線(レントゲン)検査、CT(コンピューター断層撮影)検査も行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、急性増悪時は中耳腔の鼓室洗浄、細菌の種類に合う適切な抗生剤の内服および点耳を行います。
抗生剤の効きにくいMRSAや緑膿菌などの細菌感染を起こしている場合は、耳垂れを止めて炎症を軽くするのに苦慮することがしばしばあります。耳垂れが一時的に止まっても風邪を引いたり、体調を崩すと再発します。
根本治療法としては、手術療法が唯一の方法となり、難聴は手術により鼓膜の穴をふさいで正常な鼓膜を作る鼓膜形成術、さらに耳小骨の伝音機能を治す鼓室形成術を行わなければ改善しません。
慢性化膿性中耳炎を放置しておくと内耳性の感音難聴が進行し、手術によって聴力を改善することが難しくなりますので、医師は早期に手術を受けることを発症者に勧めます。
昔の中耳炎の手術は、耳垂れを止めるために聴力を犠牲にしたり、耳の後ろに穴が開いたり、いろいろ厄介な面もありましたが、現在では技術が飛躍的に進歩し、顕微鏡や内視鏡を用いて微細な部分まで手術を行えるようになり、これらの厄介な問題は解決しています。
穴の開いた鼓膜は側頭筋の筋膜でふさぎ、固着した耳小骨を動くようにしたり、役に立たない耳小骨の代わりに軟骨などを用いて、音を伝える仕組みを再建することにより、耳垂れを止めるだけでなく、難聴もかなりの率で改善しています。手術療法には年齢制限はなく、高齢者の手術も増えています。
慢性化膿(かのう)性中耳炎とは、急性中耳炎で鼓膜に穴が開き、急性炎症が治まった後も鼓膜の穴が残り続け、中耳腔(こう)に慢性炎症が生じる疾患。慢性中耳炎の一つです。
耳には、急性中耳炎がひどくなると鼓膜に穴が開き、中耳の中にあるうみを自然に出して、急性炎症を治そうとする働きがあります。この時に開いた穴は自然に閉じますが、中耳炎を繰り返したり、治り方が不十分だと、穴が閉じなくなって慢性化膿性中耳炎になります。
種々の程度の難聴を引き起こす厄介な慢性化膿性中耳炎の多くは、大人にみられます。幼少期に急性中耳炎にかかり鼓膜穿孔(せんこう)を起こしたものがそのまま慢性化することが多いのですが、幼少期にはあまり耳の疾患に気付かずに大人になって発症する場合もあります。
大人になってから発症する慢性化膿性中耳炎は、糖尿病や甲状腺(こうじょうせん)の疾患、進行がんやエイズなどで免疫力が低下することに関係していると考えられます。この場合の起炎菌となるのは、MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)、緑膿(りょくのう)菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などです。まれに、重い糖尿病の人では真菌の感染によることもあります。
小さな子供では、急性中耳炎から頑固な難聴を起こすような慢性化膿性中耳炎に移行することは、まずありません。乳幼児の場合は急性中耳炎を繰り返すタイプが多く、その結果鼓膜に穴が残って慢性化膿性中耳炎のようになることはあります。しかし、病変としては比較的軽いケースがほとんどです。
慢性化膿性中耳炎の症状としては、鼓膜に穴が開いているために、外耳道を通して中耳に汚い水が入ったり、風邪を引くなどにより耳管を通して中耳に細菌が入り、うみが出てきたり、じくじくしたりします。これは耳垂れ、あるいは耳漏と呼ばれ、持続します。
また、鼓膜に穴が開いているために、音が伝わりにくくなる上、中耳腔にある小さな3つの骨である耳小骨の周囲に炎症が及び、耳小骨の動きも悪くなります。その結果、伝音難聴が出現します。
鼓膜に開いた穴が小さい時の伝音難聴は軽度ですが、穴が大きくなり細菌感染が続くと、その影響が中耳の奥にある内耳にも及んで感音難聴や、耳鳴り、めまいが出現してくることもあります。こうなると聞こえはかなり悪くなります。
慢性化膿性中耳炎は、痛くない中耳炎です。耳垂れが主症状で、同じ中耳の炎症でも、耳痛、発熱、耳鳴りを伴う急性中耳炎とは、かなり様子が違っています。痛みがないため、聴力の回復を強く望まない人の中には、病院に行くのが面倒という理由から疾患をそのままにしてしまうこともあります。
放置しておくと、感音難聴が進行したり、まれに顔面神経まひ、脳腫瘍(しゅよう)などに発展することもあるので、症状が進行または悪化するようなら耳鼻咽喉(いんこう)科を受診したほうがよいでしょう。
慢性化膿性中耳炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼓膜を観察することが第一で、できれば手術用顕微鏡や拡大耳鏡を用いて、よく観察します。うみがあるかどうか、穿孔の大きさ、位置、発赤の有無、肥厚、石灰化などを調べることで、現在の慢性化膿性中耳炎の程度や、今まであった炎症の程度を判断します。
純音聴力検査で難聴の程度を調べ、伝音難聴なのか、伝音難聴と感音難聴の両方が起きている混合難聴なのかを判断します。鼓膜の穿孔を和紙などでふさいで聴力が改善するかどうかを調べると、耳小骨の音を伝える機能が正常かどうかがわかります。
耳垂れの細菌検査を行い、細菌の種類と抗生剤の感受性を判断します。細菌としては、MRSA、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などが多く検出されます。X線(レントゲン)検査、CT(コンピューター断層撮影)検査も行います。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、急性増悪時は中耳腔の鼓室洗浄、細菌の種類に合う適切な抗生剤の内服および点耳を行います。
抗生剤の効きにくいMRSAや緑膿菌などの細菌感染を起こしている場合は、耳垂れを止めて炎症を軽くするのに苦慮することがしばしばあります。耳垂れが一時的に止まっても風邪を引いたり、体調を崩すと再発します。
根本治療法としては、手術療法が唯一の方法となり、難聴は手術により鼓膜の穴をふさいで正常な鼓膜を作る鼓膜形成術、さらに耳小骨の伝音機能を治す鼓室形成術を行わなければ改善しません。
慢性化膿性中耳炎を放置しておくと内耳性の感音難聴が進行し、手術によって聴力を改善することが難しくなりますので、医師は早期に手術を受けることを発症者に勧めます。
昔の中耳炎の手術は、耳垂れを止めるために聴力を犠牲にしたり、耳の後ろに穴が開いたり、いろいろ厄介な面もありましたが、現在では技術が飛躍的に進歩し、顕微鏡や内視鏡を用いて微細な部分まで手術を行えるようになり、これらの厄介な問題は解決しています。
穴の開いた鼓膜は側頭筋の筋膜でふさぎ、固着した耳小骨を動くようにしたり、役に立たない耳小骨の代わりに軟骨などを用いて、音を伝える仕組みを再建することにより、耳垂れを止めるだけでなく、難聴もかなりの率で改善しています。手術療法には年齢制限はなく、高齢者の手術も増えています。
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