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■用語 巻き爪 [用語(ま)]

[足]つめの甲が高度に弓なりに曲がり、両側縁に食い込んだ状態
 巻き爪(づめ)とは、爪の甲が両側縁に向かって深く湾曲して、側爪廓(そくそうかく)に巻き込み、爪廓部を損傷する状態。
 側爪廓に食い込んでいるものは陥入爪(かんにゅうそう)といい、側爪廓に巻き込んでいて爪の両端が丸まっている巻き爪は、陥入爪の変形です。巻き爪と陥入爪は、合併して起ることもあります。
 巻き爪は足の爪に起こることがほとんどで、まれには手の爪にもみられます。
 統計的に欧米人に多く、また3対1の割合で男性に多いとされていましたが、近年では、日本人の間にも老若男女を問わず急速に増加し、ことに若い女性での発生が目立ちます。
 主な原因は、先天的な爪の異常、爪の外傷、爪の下がうむ疾患であるひょうそ後の変形です。これに、窮屈な先の細い靴による爪の圧迫、不適当な爪切り、立ち仕事や肥満による過度の体重負荷ないし下肢の血流障害、あるいは、爪の水虫による爪の甲の変形などが加わって、悪化します。
 爪の甲の端が爪廓に巻き込むと、圧迫によって痛みを生じます。また、巻き込んだ爪の甲が爪廓の皮膚を突き刺すようになると、指の回りがはれたり、その部分を傷めて痛みが増強します。
 爪の甲の端が変形して起こるため、肉眼で確認しづらい状態で進行していくことが多く、気付いた時には皮膚に深く巻き込んでしまっていることもあります。場合によっては、出血を起こすほどに爪が深く突き刺さってしまうこともあります。
 この傷に、ばい菌が入ると、より赤くはれ上がってくるとともに、赤い出来物を生じるようになります。これを化膿性肉芽腫(かのうせいにくげしゅ)と呼びます。
 ひょうそなどの感染は、巻き爪や陥入爪を誘発したり、悪化させたりするため、早期に適切な治療を必要とします。巻き爪や陥入爪の再発を繰り返す場合や、側爪廓の盛り上りが強すぎて歩行に支障を来すような場合には、皮膚科専門医による外科的治療を行わないと完治しません。
[足]巻き爪の検査と診断と治療
 皮膚科の医師による治療の基本となるのは、爪の端を皮膚に刺さらないように浮かせて伸ばし、とげ状の部分をカットする方法と、手術で爪の端を取り除く方法です。爪の変形が強くなるため、原則的に抜爪は行われません。
 巻き爪の矯正にはさまざまな方法があり、プラスチック製のチューブを爪の端に装着するガター法も行われています。爪を切開して、爪の端をチューブで包むことで指の組織を保護するのが目的で、傷口が化膿している場合などに、ガーター法は行われます。
 形状記憶合金のワイヤーやプレートを使用する方法もあります。ワイヤー法は、爪の先端に2カ所穴を開け、太さ0・5ミリ程度の特殊なワイヤーを通して矯正する方法です。早ければワイヤーを装着した直後に痛みが治まり、ほとんどが数日中には痛みなどの症状が軽くなります。
 2~3カ月に1度、ワイヤーを入れ替えて爪を平らな状態に近付けていきます。ワイヤーの装着後も通常、運動の制限や入浴の制限などありません。
 プレート法は、主に巻き爪と陥入爪を併発して症状がひどく、痛みもひどい場合や、ワイヤーの穴を開ける余裕がない場合などに行われます。爪の表面に、形状記憶合金製のプレートを医療用の接着剤を使用して接着します。
 後は自宅で、ドライヤーなどの熱を利用して1日に2〜3回、巻き爪の部分に熱を加えてプレートを伸ばすだけです。
 また、深爪した爪、巻き込んでいる爪の先端にアクリル樹脂の人工爪を装着して、人工的に爪が伸びた状態を作り、周囲の皮膚への巻き込みを緩和し、巻き爪を矯正する人工爪法もあります。
 矯正や人工爪による治療は時間がかかりますが、手術と違ってメスを使わないので痛みもほとんどなく、見た目も正常にになるという利点があります。
 巻き爪を治療するためではなく、化膿した組織を治すためには、硝酸銀が使われます。硝酸銀を巻き爪でできた傷口に滴下し、傷口を溶かし正常な組織への再生を促します。硝酸銀が滴下された皮膚は、しばらくの間、黒く染色されます。
 巻き爪がひどい場合、激しい痛みがある場合には、爪の元となる組織である爪母を除去する外科手術を行って、改善を図ることがあります。爪母を外科手術で除去する鬼塚法と、薬品で爪母を焼き取るフェノール法がありますが、どちらも再発する可能性があるというデメリットがあります。
 近年では、レーザーメスを使って爪母を切除する方法も開発されています。いずれにしろ、外科手術は最後の手段となる場合がほとんどです。
 生活上の注意としては、まず足指を清潔に保つことが大切なので、多少ジクジクしていても入浴し、シャワーでばい菌を洗い流します。ばんそうこうなどで傷口を覆うと、かえって蒸れてばい菌が増殖します。消毒した後、できれば傷を覆わないか、風通しのよい薄いガーゼ1枚で覆います。
 窮屈な靴、特にハイヒールや先のとがった革靴などは、爪を過度に圧迫するので避けます。爪切りの際には、かえって巻き爪を増強させる深爪にしないように気を付けます。




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■用語 慢性びらん性胃炎 [用語(ま)]

[喫茶店]慢性の胃の炎症によって、胃の粘膜にびらんおよび欠損が現れる疾患
 慢性びらん性胃炎とは、慢性の胃の炎症によって、胃の粘膜表面にびらんと呼ばれる組織が多数現れ、わずかにえぐれた欠損も現れる疾患。
 原因としては、アルコールの摂取、アスピリンや抗生物質・非ステロイド性抗炎症剤・副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤など薬の副作用、ストレス、細菌やウイルスによる感染症、クローン病などが考えられます。
 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が慢性びらん性胃炎の原因となることは、まれです。
 慢性のびらん性胃炎の病変は通常、少し赤く、胃の出口近くの前庭部に多発する傾向があります。症状としては、特に決まったものはなく、自覚症状がない場合もあります。一般的には、上腹部の不快感やもたれ、食後の胸焼け、胃痛、吐き気や嘔吐(おうと)がみられます。
 また、初期症状がないのが慢性びらん性胃炎の特徴なので、悪化してきて、急に症状が出てくることもあります。胃の粘膜のびらんが悪化して2~5日後に、下血や吐血で症状が現れます。出血の程度は軽度から中等度で、胃潰瘍(かいよう)と比較すると粘膜の損傷は軽くなります。
 不快感、胃痛、出血など、びらん性胃炎の症状がみられる場合は、内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科の医師の治療を受けるようにしましょう。
[喫茶店]慢性びらん性胃炎の検査と診断と治療
 内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科の医師による診断では、内視鏡検査で多発性の斑(まだら)状また点状のびらんを認めれば、慢性びらん性胃炎と確定します。びらんが認められる部位は、足の裏にできるたこ、いぼ状の形態を示し、胃の出口近くの前庭部に多くみられます。
 内科、胃腸科、消化器内科、消化器外科の医師による治療では、出血している場合は必要に応じて、静脈内輸液および輸血によって出血を管理します。内視鏡で観察しながら、出血部を熱で凝固させて一時的に止血することもあります。
 比較的軽度の慢性びらん性胃炎の場合は、アルコールや薬物といった原因物質の除去と、胃酸の分泌を抑える胃酸分泌抑制剤であるヒスタミンH2受容体拮抗(きっこう)剤、あるいはプロトンポンプ阻害剤を投与します。
 細菌やウイルスによる感染症が併発している場合は、抗生物質を利用して治療します。
 薬物療法によって、慢性びらん性胃炎の症状がとれたとしても、胃炎が治ったとは限りません。症状がなくなったからといって薬をやめると、抑えられていた胃酸の分泌が高まり、胃炎が再発することもあります。出された薬剤は、きちんと終わりまで服用する必要があります。
 胃炎の治療には生活習慣が密接にかかわってくるため、その改善を心掛け、再発の予防をする必要もあります。
 食事を抜くと胃腸の運動に変化が起こり、胃酸の刺激を受けやすくなったり、胃酸が出すぎたりします。きちんとした食生活に努め、刺激性の強い食べ物の摂取を控えます。塩辛い食べ物、甘すぎる食べ物、冷たすぎる飲み物、熱すぎる飲み物、炭酸飲料などは控えるようにします。コーヒー、お茶などカフェインを多く含む飲み物には、胃粘膜を刺激する働きがあり、特に空腹時には控えたほうがいいようです。
 十分な睡眠時間の確保は、胃炎の再発防止に欠かせません。睡眠不足が続くと夜間に胃酸の分泌が促され、胃の粘膜に悪影響を与えます。睡眠不足自体が、ストレスの原因にもなります。
 運動は血行を促進し、消化管の機能を活発にします。また、ストレスの発散にも有効です。休養や運動を含め、ゆとりあるライフスタイルを心掛けることも、再発防止には重要です。




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■用語 麻疹 [用語(ま)]

[ダイヤ]麻疹ウイルスによって引き起こされる小児期に多い急性の感染症
 麻疹(ましん)とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる小児期に多い急性の感染症。麻疹と書いて「はしか」とも読み、こちらのほうが一般に知られています。
 麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染で、その感染力は極めて強く、免疫を持っていない人が感染するとほぼ100パーセント発症します。一度感染して発症すると、一生免疫が持続するといわれています。
 流行するのは初春から初夏にかけてで、秋から冬にかけては流行はみられません。好発年齢は1歳代が最も多く、次いで6~11カ月、2歳の順です。生後5〜6カ月までは母親の免疫抗体が体内に残っているので、かかりません。
 近年は、成人麻疹の増加が問題となっており、10歳代、20歳代での発症が多くなっています。
 10~12日の潜伏期の後、発熱で発症します。発熱期はせき、鼻水、結膜の充血、目やにの症状が強く、38℃以上の発熱が数日続きます。疾患の経過中、最も感染力が強い時期です。
 その後、いったん解熱傾向を示しますが、すぐに耳後部付近から発疹が現れるとともに、39℃以上の発熱が数日続きます。
 発疹の出現前後1、2日間に、臼歯(きゅうし)の横付近の口腔(こうくう)粘膜にコプリック斑(はん)と呼ばれる白い粘膜疹が現れます。この粘膜疹は麻疹に特徴的であるため、早期診断に役立ちます。
 発疹はその後、顔面、体幹、手足に広がって全身の発疹となります。発疹は鮮紅色で少し盛り上がったものが点在しますが、数が多くなると部分的に融合して地図状になる傾向があります。
 発疹の出現後、熱は3、4日で下がり、発疹もやや遅れて暗赤色からさらに薄くなり始め、褐色の色素沈着を残して回復に向かいます。色素沈着以外の症状は7〜10日で回復し、色素沈着も徐々に薄れていきます。
 麻疹の後、肺炎、中耳炎を合併することが多く、1000人に0・5~1人の割合で脳炎を合併することがあり、中にはこのために死亡することもあります。
 また、麻疹ウイルスに感染後、5~10年の潜伏期間を経て特に学童期に発症することの多い中枢神経疾患として、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)があります。知能障害、運動障害、けいれん発作などの症状を示し、発症から平均6~9カ月で死亡する進行性の予後不良な疾患で、発症頻度は麻疹にかかった10万人に1人程度といわれています。
 ワクチンの予防接種が、有効です。ワクチンを接種する前に麻疹の発症者と接触したことが判明した場合は、48時間以内に麻疹含有ワクチンを接種することも、効果的です。接触後5、6日以内であれば、γ(ガンマ)-グロブリン製剤の注射で発症を抑える、あるいは軽くすませる可能性があります。が、安易にとれる方法ではありません。ただし、家族内感染の場合は、これらの予防法では間に合わないことがほとんどです。
 麻疹を発症してしまった場合は、早急に掛かり付けの小児科、成人の場合は内科あるいは皮膚科を受診し、入院の必要性を含めて対応を相談することが必要です。
[ハート]麻疹の検査と診断と治療
 小児科、内科、皮膚科の医師による診断は通常、二峰性発熱、せき、鼻水、目やになどの症状、発疹の性状や特にコプリック斑だけで、ほぼ確実につきます。
 コプリック斑や発疹が出る前の時期は、風邪と似た症状のため診断がつきにくいことがあります。ただし、地域で麻疹の流行が確認されている場合は、かなり早い時期から麻疹の疑いがもたれます。
 診断を確定する必要がある場合は、急性期の血液や咽頭(いんとう)ぬぐい液、尿から麻疹ウイルスを分離したり、RT‐PCR法で麻疹ウイルスの遺伝子(RNA)を検出することで、証明します。この検査は全国の地方衛生研究所(地研)で実施されており、麻疹を疑った場合は、保健所を通して地研に臨床検体を搬送します。地研での実施が困難な場合は、国立感染症研究所で実施します。
 急性期と回復期に採血して、麻疹ウイルスに対するIgG抗体が陽性に転じたことで診断する場合もあります。
 近年、成人での麻疹の発症が増えていますが、内科医が麻疹患者を見慣れていないという事情もあり、診断が遅れがちです。成人の麻疹の場合、腹痛、黄疸(おうだん)、肝機能障害といった腹部症状が通常の麻疹の症状とともによくみられます。
 小児科、内科、皮膚科の医師による治療では、発症してしまった場合はウイルスに特異的な治療方法がないため、対症療法と細菌感染の予防を行います。
 対症的薬物療法としては、高熱や頭痛には解熱剤、鎮痛剤、不安や興奮には鎮静剤、せきには鎮咳(ちんがい)、去たん剤を使用します。肺炎、中耳炎を合併することも多く、入院率は約40パーセントといわれています。
 なお、麻疹は2008年1月1日から、全数報告の感染症となり、診断したすべての医師が最寄りの保健所に1週間以内に届け出ることが義務付けられました。
 熱が続いている間は安静にし、水分補給を心掛けます。部屋の加湿は、せきを軽減させる効果があります。部屋の温度は、涼しくしすぎないよう注意します。光をまぶしがる時は、部屋の中をやや暗めにします。
 小学生以上の場合、麻疹と診断されれば出席停止となります。解熱後3日以上たてば登校できるようになりますが、その際には医師による登校許可が必要となります。
 ワクチンを接種して発症そのものを予防することが、最も重要です。接種時期は、1歳になったらできる限り早く接種することが望まれます。日本では、2006年からMR(麻疹・風疹混合)ワクチンが広く使用されるようになり、2006年6月からは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児を対象とした2回接種制度が始まっています。これらの時期に受けるワクチンは、定期接種として通常、無料で接種が受けられます。
 また、2007年の全国的な麻疹流行は10歳代、20歳代が中心で、大学や高校で休校が相次いで問題になったため、国の麻疹対策が大きく変わりました。2008年度から5年間の時限措置として、10歳代への免疫強化を目的に、中学1年生(13歳)と高校3年生(18歳)に対する2回目の予防接種(原則としてMRワクチン)が、予防接種法に基づく定期接種に導入され、2012年度で終了しました。




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■用語 慢性じんましん [用語(ま)]

[ハート]大小の赤いはれが繰り返し現れ、かゆみを伴う皮膚病
 慢性じんましんとは、蚊に刺されたような大小の赤いはれが繰り返し生じ、かゆみを伴う皮膚病。はれを膨疹(ぼうしん)と呼びます。
 この慢性じんましんは、体のどこかに毎日赤いはれができていて、一年くらい続く続くものです。急激に全身の皮膚にできて数日で治るものは、急性じんましんです。
 原因としては、肌が服などにこすれる機械的刺激、食べ物、温熱、寒冷、日光、薬剤、内臓の疾患などさまざまです、時には疲労や精神的な影響によるものもあります。
 機械的刺激が原因で生じやすいのは、ベルトやブラジャーなどの下です。食べ物で原因となりやすいのは、サバなどの背の青い魚、貝類、エビ、カニ、卵、牛乳、チーズ、そば、チョコレート、ナッツ類などが挙げられます。合成着色料、保存料、食肉に含まれる抗生物質などの食品添加物も、原因となります。
 アレルギー性のものは、多くはありません。原因の不明なものは、少なくありません。
 慢性じんましんの症状としては、蚊に刺されたような大小さまざまな膨疹が突然できて、徐々に拡大していきます。1個1個の膨疹は数時間で消えますが、違う部分からまた新たな膨疹が出てきたりします。かゆみがあるため手で膨疹をかくと、どんどん拡大します。目の中や唇にできることもあり、夏に発症することが多い傾向があります。
 膨疹は皮膚や粘膜のやや深い部分にできる水膨れで、血管の中を流れている血液の液体成分が血管の外にあふれ出てくるために発生します。目には見えませんが、血管には小さい穴がたくさん開いており、この穴が何らかの原因で大きくなると、血液の液体成分が漏れて血管の外に出てきます。穴より大きな赤血球や白血球は漏れません。
 この血管の穴を大きくするものの一つに、ヒスタミンという物質があります。ヒスタミンはまた、神経を刺激して、かゆみを起こします。じんましんのほとんどは、このヒスタミンかそれに似た物質によって起こされています。
 ヒスタミンは体の中では、主に肥満細胞(マスト細胞)の中に蓄えられており、アレルギー反応の結果として肥満細胞から出てくる場合と、そうでない場合があります。アレルギー反応による場合は、原因となる食べ物などの抗原に対するIgE(免疫グロブリンE)と呼ばれる抗体がまず肥満細胞にくっつき、そこに抗原がさらにくっつくと、肥満細胞がヒスタミンを放出します。アレルギー反応によらない場合は、物理的刺激などその他の原因で肥満細胞がヒスタミンを放出します。
 最も危険なじんましんは、喉頭浮腫(こうとうふしゅ)といって、気管の入り口の粘膜がはれるタイプです。急に起こると、一気に窒息してしまうこともあります。気管支の粘膜がはれると、ぜんそくの症状が出ます。また、腸の粘膜がはれると、下痢、腹痛、嘔吐(おうと)などの腹部の症状が出ます。 これらの症状が出た場合は、じんましんが体の内部の粘膜にも出ているという印です。その程度が強い場合には、血液の成分がたくさん血管外に漏れ出ており、循環している血液量が減り、ショック状態となる場合があります。
[ハート]慢性じんましんの検査と診断と治療
 皮膚科の医師による慢性じんましんの治療は、原因を早く発見して、それを避けるようにすることが基本となります。 原因を探るには、どんな時にどんな症状が出たか、医師に詳しく伝えることが必要です。
 最も手軽で一般的なのは、血液検査で特定のものに対するIgE抗体を調べる検査です。これが高いものは、じんましんの原因である可能性が高くなります。ヒスタミン遊離テストは少し進めて、原因のものが本当に肥満細胞からヒスタミンを出すかどうかを血液を培養して調べるものです。皮内注射によるテストはさらに進んで、直接皮膚に疑わしいものを入れて、じんましんが出るかどうかを確かめる検査です。
 皮膚をボールペンの頭などでこするとみみずばれができることを皮膚描記症といい、機械的じんましんの診断となります。1カ月以上長引いたり、繰り返す慢性じんましんの場合は、肝機能や血沈、CRPなどの炎症反応を調べて、慢性の感染症や膠原(こうげん)病などが隠れていないかどうかチェックします。
 急性じんましんでは、原因があってから1時間以内に出ることが多いので、その直前に何を食べたか、何をしたか、何を触ったか、どこに行ったかなどを考えると原因に思い当たることがあります。2回、3回と繰り返し起こってきたら、原因がより確信できます。
 しかし残念ながら、原因がわからないことが大半。また、同じ原因があっても、必ずしも毎回じんましんが出るとは限りません。体調の悪い時、特に下痢をしている時などに出やすくなります。
 原因不明の慢性じんましんの一部は、自分自身の体のどこかの部分に対して、アレルギー反応を起こしているのではないかと考えられています。
 もし、原因がわかりましたら、再発を防ぐために可能な限りそれを避けることです。軽いじんましんは、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服で消えます。眠くなることがありますが、数日間飲んだほうがよいでしょう。最近開発されたものは、眠気が少なくなっています。
 薬剤の効果は、個人差があります。通常1~3日飲んで効果のない薬は効果が期待できませんので、内服剤の変更が必要です。急性じんましんは、効果のある内服剤で1~2週間でよくなります。それ以上続く慢性じんましんは、できない薬剤と量を見付け、徐々に減らしながらやめるようにします。治療に抵抗するようなら、原因を見付ける検査などをする必要があります。妊娠早期では、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤の内服には注意が必要です。
 ひどいじんましんは、強力ネオミノファーゲンシー(強ミノ)やステロイドの注射をします。危険なじんましんの場合は、直ちに点滴で水分を補給し、ボスミン、ステロイドなどの注射をします。アナフィラキシーを起こしてしまった場合は、緊急処置としてエピネフリンの自己注射(エピペン)を行います。
 かゆい時はできるだけかかないで、冷やすなどして我慢します。温まると、じんましんはひどくなります。子供の場合は、多くは自然に起こらなくなりますので、特に原因が見当たらなくてもあまり心配いりません。




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