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■遺伝子変異の肺がん治療 イレッサが女性に高い効果 [健康ダイジェスト]

 肺がんの治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)を使った治療法が特定のタイプの患者に対して、従来の抗がん剤治療に比べて大きく効果があることが、東北大など国内約50施設で行われた臨床試験でわかりました。このタイプは日本人、特に女性に多く、遺伝子診断で対象者を事前に絞れるため、患者はより効果の高い治療を受けられるようになりそうです。
 イレッサは2002年に、世界に先駆けて日本で初めて承認されました。アジア人、特に喫煙との関連が低い女性の肺腺がん患者によく効くと指摘される一方で、承認直後は副作用の間質性肺炎による死亡者が相次ぎ、社会問題となっていました。
 イレッサは、がんの増殖にかかわる上皮成長因子受容体(EGFR)と呼ばれる遺伝子に変異がある、進行性のがん患者に効果があると考えられていました。ただ、遺伝子診断に基づき、投与する患者を限定した場合の有効性を裏付ける十分な研究がありませんでした。
 研究グループは、06年3月から09年5月にかけて、EGFR遺伝子に変異がある進行性の肺がん患者230人(20~75歳)を、最初からイレッサだけを使う患者と、従来の化学療法を受ける患者に分け、大規模な臨床試験を進めました。
 腫瘍が大きくならずに安定している期間を比べると、イレッサを使った患者は平均10・8カ月間、化学療法の患者は5・4カ月間で、大きく差が出ました。平均生存期間は、従来の抗がん剤投与のみでは1年程度でしたが、イレッサ投与の患者は2年半。最初に抗がん剤を投与し、次にイレッサに切り替えた場合でも2年近く生存したといいます。
 日本人の肺がん患者は、約3割にEGFR遺伝子に変異があり、50歳以下の女性に限ると半数以上に上ります。ただ、日本肺癌(がん)学会が05年に作成した指針では、イレッサを治療の最初から使うことは推奨されておらず、現在改定が進められています。
 研究グループは、「遺伝子変異のある患者にイレッサを用いる個別化治療の有効性が示された。QOL(生活の質)の点からも、今後は進行性肺がんの第一選択薬となる」と指摘しています。
 研究成果は、医学系米学術誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載されました。

 2010年6月26日(土)

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