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■がん患者の疲弊した免疫細胞、若返らせる技術を開発 慶大医学部 [健康ダイジェスト]

 がん細胞との闘いで疲弊した免疫細胞を若返らせる技術を開発したと、慶応大学医学部の吉村昭彦教授(微生物・免疫学)の研究チームが、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表しました。
 がん患者の免疫細胞を体外で増やして戻す細胞移入療法と呼ばれる治療はすでに一部で行われていますが、疲弊した免疫細胞では十分な治療効果は得られません。免疫細胞が若返ることで、治療効果がより高まることが期待されます。
 免疫細胞であるキラーT細胞は、がんやウイルスなどの外敵が現れると増殖して攻撃し、敵の情報を記憶した一部のキラーT細胞を残して死滅します。残ったキラーT細胞はまた同じ敵が現れると、すぐに増えて攻撃します。
 しかし、がんとの闘いが長く続くと、キラーT細胞は疲弊して攻撃力や増殖力が弱まります。培養しても、虚弱な細胞しかできません。
 研究チームは、がん患者の腫瘍組織などから疲弊したキラーT細胞を分離し、免疫細胞の発生を助ける作用のある間質細胞(ストローマ細胞)と一緒に培養。疲弊したキラーT細胞は、敵の情報を記憶したばかりの増殖前の状態に戻りました。寿命が延び、外敵が現れた際の増殖能力も高まりました。
 この若返ったキラーT細胞を、人のリンパ腫を移植したマウスに注入すると、リンパ腫の成長を抑えられ、生存期間が延びました。
 今回の成果は、遺伝子導入技術を用いずに、がんに特異的に反応するキラーT細胞を増やすことを可能にするもので、早期にがん治療へ応用できることが期待されます。また、免疫細胞に限らず神経細胞や生殖細胞など一般的な細胞の若返りの方法の開発とメカニズムの解明につながることも期待されます。
 北海道大学の清野研一郎教授(免疫生物学)は、「キラーT細胞の質を高める簡易な方法として意義がある。がんを認識したキラーT細胞を確実に採取して培養することが課題になる」と話しています。

 2017年9月24日(日)

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