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■山形大、皮膚の傷を早く、安価に治す粉末を発見 3~5年での製薬化を目指す [健康ダイジェスト]

 山形大学は11日、皮膚の傷を治癒する効果のある物質を発見したと発表しました。半導体としての性質を持つ酸化亜鉛粉末を製造する過程で生じる「シモンコライト」という粉末で、傷口を覆う医療用被覆剤に比べ、癒着も起きず深い傷でも早く正常な皮膚に再生させることを動物実験で確認しました。
 今後3~5年かけて医療現場などでの実用化を目指します。
 シモンコライトに皮膚の傷を治す効果があることを発見したのは、山形大学大学院理工学研究科の山本修教授(生体機能修復学、医工学)。機能素材の開発・製造メーカーJFEミネラル(東京都港区)との共同研究の過程で、発見しました。
 ラットを使った実験では、シモンコライトが亜鉛イオンを徐々に放出してタンパク質分解酵素を活性化させ、新たな血管をつくり出して皮膚を再生させることを確認しました。毛を生む毛包という器官もでき、実際に体毛も生えました。現在、より人体に近いブタでの実証を進めています。
 通常、軽い傷なら自然に治癒するものの、表皮の下にある真皮や皮下組織におよぶ深い傷には、湿潤ゲルやポリマー製の医療用創傷被覆剤を使って治療するのが一般的。ただ、治療は長期におよんで、完全に治すことは難しく、傷跡や引きつれが残るなどの課題もあります。
 シモンコライトは、生体とほぼ同じpH値で、水に溶かして軟こう状になるため使いやすく、ごく微量ですみ、治癒後、皮膚にも残りません。長期間同じ姿勢で寝たきりになってできる床擦れ治療には直ちには難しいものの、切り傷、すり傷、裂傷には効果があるとみています。
 シモンコライトは、太陽電池やタッチパネル、抗菌剤などに幅広く使われる酸化亜鉛をつくる前段階で生じる物質で、すでに工業生産されて家畜飼料やpH調整剤などに用いられているため、製造法は確立しています。新たな設備投資が不要なため、製造コストが安価ですむメリットもあります。
 研究成果は、11月20日から東京都で開かれる日本バイオマテリアル学会や、11月30日から岡山市で開かれる国際会議「アジアン・バイオセラミックス・シンポジウム2017」で発表します。
 創傷治癒剤として特許5件を出願、新規治療薬としての承認・製造・販売に向けて、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と事前相談なども進めています。ばんそうこうなどとして製品化が可能といい、医療現場での使用のほか、将来は家庭でも使われることも視野に研究開発を進めます。

 2017年10月13日(金)

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