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■ゲノム編集した中国の研究者、「もう1人妊娠の可能性」 国際会議は非難声明 [健康ダイジェスト]

 「ゲノム編集」と呼ばれる技術で遺伝情報を書き換えた双子の女児を誕生させたと主張している中国の研究者が28日、香港で国際会議に出席し「もう1人、妊娠した可能性のある女性がいる」と述べました。しかし、ゲノム編集を行ったとする施設などの具体的な情報や証拠は、依然、示しませんでした。
 中国の南方科技大学(広東省深圳市)の賀建奎准教授は28日、香港で開かれている国際会議に出席し「今回のことを誇りに思っている。技術を必要とする人がいるなら助けるべきだ」と述べ、ゲノム編集で遺伝情報を書き換えた双子の女児が産まれたと改めて主張した上で、自らの行為は正当だという考えを示しました。
 また、「合わせて7組の男女の受精卵でゲノム編集を行った。もう1人、妊娠した可能性のある女性がいる」と述べ、遺伝情報を書き換えた胎児がいる可能性を示唆しました。
 賀准教授は、会場のスクリーンにグラフや写真を映しながら説明しましたが、ゲノム編集などを行ったとする施設名のほか、男女の同意をどのように取ったのか、ゲノム編集を行う必要性をどう検討したのかなど、第三者が医学的な正当性や妥当性を検証できるような具体的な情報や証拠は示しませんでした。
 一方、国際会議は最終日の29日、組織委員会名で声明を発表しました。声明では、賀准教授が主張する人の受精卵の遺伝情報の書き換えや、それを女性の子宮に戻して実際に赤ちゃんが産まれたとされる行為について、「実際に行われたのか独立した機関で調べる必要がある」とした上で、「事実とすれば無責任な手続きで、医学上の必要性は乏しいものだ。倫理上の基準を満たしておらず透明性も欠けている」と非難しました。
 さらに、ゲノム編集など急速な進歩を遂げる科学技術を人に応用する場合には、安全上や倫理上の問題が伴うため議論を深めていく必要があるとし、「研究者は開かれた場で議論し、人々の理解を得ながら共通の規制や基準を作る役割を果たすとともに、国際的に登録する仕組みを作るよう働き掛けていく必要がある」としています。
 香港で開かれていた国際会議に出席した研究者からは、批判や疑問の声が相次ぎました。このうち、埼玉医科大学ゲノム医学研究センターの三谷幸之介教授は、「発表を聞く限り、信頼性は高いと感じた。遺伝情報の操作は世代を超えて影響が続くので非常に責任が重い。研究者の間では、現時点での人への応用はまだ早いという認識だったが、それを無視して進めてしまったものでショックだ」と話していました。
 また、オーストラリアの研究者は、「ゲノム編集は大きな可能性を秘めた技術なので、今回の問題で研究が後退しなければいいと思う」と話していました。このほかイタリアの研究者は、「子供がどこで産まれたのかや倫理委員会の承認を得たのかなどわからないことが多く、本当なのかもう少し検証することが必要だ」と話していました。

 2018年11月29日(木)

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