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■新型コロナウイルスのワクチン臨床試験を一時的に中断 アストラゼネカ [健康ダイジェスト]

 イギリスの製薬大手アストラゼネカは9日、オックスフォード大学とともに開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンの最終段階の臨床試験を一時的に中断したことを明らかにしました。
 イギリスの臨床試験の参加者が原因不明の病気を発症したことから、臨床試験を停止して調査を進めているといいます。アストラゼネカは中断について、「臨床試験中に原因不明の症状が起きる可能性がみられた場合に、試験の完全性を確保するために取られる所定の措置であり、現在調査を行っている。開発の工程への影響を最小限にするよう努める」と説明しています。
 新型コロナウイルスのワクチン開発は中国やアメリカなど各国で続けられていますが、アストラゼネカとオックスフォード大学が開発中のワクチンは、その中でも最も進んでいるものの1つです。
 日本政府は、アストラゼネカが開発に成功した場合、来年初めから1億2000万回分、2回接種で6000万人分の供給を受けることで基本合意しています。
 一方で、新型コロナウイルスのワクチン開発は、各国が実用化を急ぐ中、過去に例のないスピードで進められており、専門家からは、安全性を十分検証するよう求める声が出ています。
 アストラゼネカは、新型コロナウイルスのワクチンの開発に向けてイギリスやアメリカ、ブラジルで臨床試験を実施しており、日本でも8月下旬からを始めています。
 アストラゼネカによりますと、国内の複数の施設で、18歳以上のおよそ250人を対象に臨床試験を行う計画で、ワクチンを接種した人と接種していない人を比較して安全性や有効性を検証します。
 しかし、日本で行っていた臨床試験も、安全性を確認するために中断したということです。
 アストラゼネカが新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験を一時的に中断したことについて、ワクチン開発に詳しい東京大学医科学研究所の石井健教授は「どのような事情で止まったのかわからないが、臨床試験が止まることは時々あることで、一喜一憂すべきではない。ワクチンは一度打つと、元には戻らない免疫反応を起こすので、安全性に問題があってはいけない。しっかり安全性を見るのがワクチンの臨床試験の基本で、有害事象が起きて止まること自体は何ら問題ないし、止めないで進めてしまうほうがリスクが高い」と話しています。
 そして、「最終段階に当たる第3相の臨床試験は、数カ月ではなく、何年も続くことが普通で、オリンピックやアメリカの大統領選挙までに終わらせないといけないという政治的な圧力がかかる事態のほうがリスクだ。このプレッシャーの中でしっかり止めて様子を見る決断をしたのは正しい判断だと思う」と述べて、中断した判断を評価しました。
 厚生労働省は、「症状が出た場合に安全性などを調査するのはワクチンに限らず臨床試験では一般的に行われることだ。安全対策などを詳しく検証した上で再開の可否を判断してもらう必要がある」としています。

 2020年9月9日(水)

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