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■アレルギー治療の副作用を大幅に軽減、原因タンパク質を膜で包み服用 九州大などが手法開発 [健康ダイジェスト]

 花粉症などのアレルギーの治療に伴う副作用を大幅に軽減する方法を開発したと、九州大大学院などの研究チームが発表しました。アレルギーの原因タンパク質を特殊な膜で包んで服用することで、免疫細胞のディフェンスを上手にかわして副作用を防ぎます。治療にかかる期間も短縮できると期待されます。
 花粉症などの治療には長年、点鼻薬などで症状を抑える対症療法が採られてきました。2010年ころには、原因タンパク質を少量ずつ服用し、体を慣れさせる免疫療法が実用化。体内に入った異物の情報を「学習」する樹状細胞が、原因タンパク質を繰り返し取り込むうちにアレルギーを根治するもので、2014年には花粉症の薬剤が保険適用されました。
 だが、原因タンパク質はわずかな量でも免疫細胞を刺激し、舌下から服用する場合なら、のどのはれやかゆみなどの副作用を招くことがあります。そのため、副作用のつらさから治療を途中で断念するケースも多くみられます。
 九州大大学院と同大病院、慶応義塾大でつくる研究チームは、免疫細胞を刺激せずに原因タンパク質を服用できる方法を模索。寒天やセルロースなどと同じ多糖類の「マンナン」で原因タンパク質を包んだ直径約100ナノ・メートル(1ナノ・メートルは10億分の1メートル)の粒子をマウスに投与したところ、副作用を起こさずに体に慣れさせることができたといいます。
 マンナンは樹状細胞にとりつきやすい性質を持つ一方、免疫細胞は反応が鈍いため、原因タンパク質をマンナンで包んで服用すると、副作用をほとんど起こさず、治療の負担が大きく軽減されるといいます。
 原因タンパク質を効率的に服用できることで、花粉症なら3年以上かかる治療期間を短縮できることも期待されます。研究チームは昨年11月、国際電子版科学誌「Biomaterials」に論文を掲載。10年以内の実用化に向け、人での臨床研究を行う方針です。
 卵や小麦などの食物アレルギーの治療にも応用できる可能性があり、チームの中心メンバーの森健・九州大大学院工学研究院准教授は「さまざまなアレルギーに悩む人々によい知らせを届けられるよう、研究や治験を急ぎたい」としています。

 2024年2月29日(木)

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