■病気 ナルコレプシー [病気(な行)]
突然に起きる強い睡眠発作を中核症状とする神経疾患
ナルコレプシーとは、突然に眠り込んでしまう激しい睡眠発作を中核症状とする神経疾患。過眠症、居眠り病とも呼ばれます。
夜の睡眠は十分に取れていても、昼間、急に睡魔が襲ってきて自分では抑制できず、眠ってしまいます。会話中、車の運転中、食事中、はたまたセックスの最中など、通常では考えられない状況で、突然、すーっと眠り込んでしまうといった具合です。
睡眠発作は1日に何度も起こることもあれば、ほんの数回しか起こらないこともあります。1回の発作で眠っている時間は、普通30分以下。意図的に短い仮眠を取った時には、すっきりと目覚めます。この睡眠発作は、ノンレム睡眠を経過せずに、いきなりレム催眠に入るのが特徴です。
ナルコプレシーのもう1つの特徴は、脱力発作(情動脱力発作、カタプレキシー)です。笑ったり、喜んだり、怒ったり、驚いたり、自尊心がくすぐられたりなどの突発的な感情が誘因となって、全身の脱力発作が起こって力が抜け、物を落としてしまったり、ろれつが回らなくなったり、数秒~数分間、筋肉がまひしてその場に崩れ込んでしまったりします。
意識ははっきりしているし、見たり聞いたりもできますが、ただ動けないだけです。この脱力発作は、レム睡眠に入ると筋肉の緊張が完全に消えることと似ています。
ほかに、睡眠まひ、入眠時幻覚を伴います。睡眠まひでは、寝入ったばかりや目が覚めた直後に、体を動かそうとして動かせない状態になります。いわゆる金縛りと呼ばれる状態で、開眼し意識はあるものの随意筋を動かすことができません。本人は非常な恐怖に駆られますが、他の人に体に触れてもらうと治ります。周りに人がいなくても、まひは数分後には自然に治まります。
入眠時幻覚では、睡眠発作により眠り込んだ際や、夜間に寝入った直後、まれに目覚めた際に、現実感の強い幻覚、幻聴を経験します。これらの幻覚、幻聴は正常な夢に似ていますが、もっと強烈で鮮明です。
夜間は、頻回の中途覚醒(かくせい)や、睡眠まひ、幻覚を体験するなどのため、睡眠も妨げられます。
日本人のナルコレプシーの有病率は、1万人当たり16人~18人といわれています。すべての人種において発病がみられる中で、日本人の有病率は世界で最も高く、欧米では1万人に2~4人といわれています。
家族内に起こる傾向がありますが、原因は不明です。ナルコプレシーのほとんどは通常、思春期から青年期にかけて発症するため、脳の性的成熟と関係があるとも考えられています。また、オレキシンという視床下部から分泌される神経伝達物質の欠乏と関係があるとも考えられています。
症状は一生涯続きますが、症状のすべてが現れる人は全体の約10パーセントにすぎず、大部分の人は2、3の症状が出るだけです。
ナルコレプシーの検査と診断と治療
昼間に強い眠気を感じる時は、内科や睡眠外来、神経内科を受診します。
診断は症状に基づいて行われますが、別の疾患が原因で同じ症状が起こることもあります。睡眠まひと幻覚は、特に問題がない健康な成人にも起こり得ます。診断が確定しない時は、脳波検査を行って脳の電気活動の記録を取ります。ナルコレプシーがあると、寝入りばなにレム睡眠の活動が起きていることを示す典型的な波形が現れます。正常であれば、レム睡眠は睡眠サイクルの後のほうで起こります。画像診断で見付かるような異常によっては、ナルコレプシーは起こりません。
根治的治療方法はありませんが、対症的療法でかなりよくなります。中枢神経刺激剤を使用することで眠気を抑制することができ、メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリンアンフェタミン、デキストロアンフェタミンなどが使用されます。中で、モダフィニルは他より副作用の少ない薬剤です。
脱力発作や睡眠まひの症状を軽くするためには、イミプラミン、クロミプラミンなどの三環系抗うつ剤、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が使用されます。
イライラ、異常行動、体重減少などの副作用が起こらないように薬剤の量の調整が必要なため、薬物療法を行っている人の体調は慎重に監視されます。
抗うつ剤によって夜の眠りを安定させ、中枢神経刺激剤を朝と昼に服用することにより、日中の睡眠発作をほとんどなくすことができます。しかし、根気よく治療を続けることが必要で、長い年月がたつと症状がかなり軽くなり、多くのケースでは薬剤の量を減らすことができるようになります。
治療では、薬剤によって症状を軽減するとともに、生活習慣の改善も図ります。大事なのは規則正しく生活をし、夜にしっかり睡眠を取ることで、睡眠表をきちんとつけることにより、自分の睡眠生活が理解できるようになります。日中に15〜20分程度の短い昼寝をこまめに取ると、睡眠発作の予防効果があります。
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ナルコレプシーとは、突然に眠り込んでしまう激しい睡眠発作を中核症状とする神経疾患。過眠症、居眠り病とも呼ばれます。
夜の睡眠は十分に取れていても、昼間、急に睡魔が襲ってきて自分では抑制できず、眠ってしまいます。会話中、車の運転中、食事中、はたまたセックスの最中など、通常では考えられない状況で、突然、すーっと眠り込んでしまうといった具合です。
睡眠発作は1日に何度も起こることもあれば、ほんの数回しか起こらないこともあります。1回の発作で眠っている時間は、普通30分以下。意図的に短い仮眠を取った時には、すっきりと目覚めます。この睡眠発作は、ノンレム睡眠を経過せずに、いきなりレム催眠に入るのが特徴です。
ナルコプレシーのもう1つの特徴は、脱力発作(情動脱力発作、カタプレキシー)です。笑ったり、喜んだり、怒ったり、驚いたり、自尊心がくすぐられたりなどの突発的な感情が誘因となって、全身の脱力発作が起こって力が抜け、物を落としてしまったり、ろれつが回らなくなったり、数秒~数分間、筋肉がまひしてその場に崩れ込んでしまったりします。
意識ははっきりしているし、見たり聞いたりもできますが、ただ動けないだけです。この脱力発作は、レム睡眠に入ると筋肉の緊張が完全に消えることと似ています。
ほかに、睡眠まひ、入眠時幻覚を伴います。睡眠まひでは、寝入ったばかりや目が覚めた直後に、体を動かそうとして動かせない状態になります。いわゆる金縛りと呼ばれる状態で、開眼し意識はあるものの随意筋を動かすことができません。本人は非常な恐怖に駆られますが、他の人に体に触れてもらうと治ります。周りに人がいなくても、まひは数分後には自然に治まります。
入眠時幻覚では、睡眠発作により眠り込んだ際や、夜間に寝入った直後、まれに目覚めた際に、現実感の強い幻覚、幻聴を経験します。これらの幻覚、幻聴は正常な夢に似ていますが、もっと強烈で鮮明です。
夜間は、頻回の中途覚醒(かくせい)や、睡眠まひ、幻覚を体験するなどのため、睡眠も妨げられます。
日本人のナルコレプシーの有病率は、1万人当たり16人~18人といわれています。すべての人種において発病がみられる中で、日本人の有病率は世界で最も高く、欧米では1万人に2~4人といわれています。
家族内に起こる傾向がありますが、原因は不明です。ナルコプレシーのほとんどは通常、思春期から青年期にかけて発症するため、脳の性的成熟と関係があるとも考えられています。また、オレキシンという視床下部から分泌される神経伝達物質の欠乏と関係があるとも考えられています。
症状は一生涯続きますが、症状のすべてが現れる人は全体の約10パーセントにすぎず、大部分の人は2、3の症状が出るだけです。
ナルコレプシーの検査と診断と治療
昼間に強い眠気を感じる時は、内科や睡眠外来、神経内科を受診します。
診断は症状に基づいて行われますが、別の疾患が原因で同じ症状が起こることもあります。睡眠まひと幻覚は、特に問題がない健康な成人にも起こり得ます。診断が確定しない時は、脳波検査を行って脳の電気活動の記録を取ります。ナルコレプシーがあると、寝入りばなにレム睡眠の活動が起きていることを示す典型的な波形が現れます。正常であれば、レム睡眠は睡眠サイクルの後のほうで起こります。画像診断で見付かるような異常によっては、ナルコレプシーは起こりません。
根治的治療方法はありませんが、対症的療法でかなりよくなります。中枢神経刺激剤を使用することで眠気を抑制することができ、メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリンアンフェタミン、デキストロアンフェタミンなどが使用されます。中で、モダフィニルは他より副作用の少ない薬剤です。
脱力発作や睡眠まひの症状を軽くするためには、イミプラミン、クロミプラミンなどの三環系抗うつ剤、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が使用されます。
イライラ、異常行動、体重減少などの副作用が起こらないように薬剤の量の調整が必要なため、薬物療法を行っている人の体調は慎重に監視されます。
抗うつ剤によって夜の眠りを安定させ、中枢神経刺激剤を朝と昼に服用することにより、日中の睡眠発作をほとんどなくすことができます。しかし、根気よく治療を続けることが必要で、長い年月がたつと症状がかなり軽くなり、多くのケースでは薬剤の量を減らすことができるようになります。
治療では、薬剤によって症状を軽減するとともに、生活習慣の改善も図ります。大事なのは規則正しく生活をし、夜にしっかり睡眠を取ることで、睡眠表をきちんとつけることにより、自分の睡眠生活が理解できるようになります。日中に15〜20分程度の短い昼寝をこまめに取ると、睡眠発作の予防効果があります。
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タグ:ナルコレプシー 脳、脊髄、神経の病気 病気(な行) 病気 健康創造塾 有痛性筋けいれん 筋クランプ 寝違え 不眠症 ノンレム睡眠 レム睡眠 過眠症 睡眠改善薬 早朝覚醒 薬原性不眠 レム睡眠行動障害 居眠り病 歯ぎしり 熟眠障害 いびき 中途覚醒 睡眠時無呼吸症候群 周期性四肢運動障害 夜驚症 夢遊病 遺尿症 成人夜尿症 睡眠時遺尿症 夜尿症 下肢静止不能症候群 レストレス・レッグス症候群 むずむず脚症候群 概日リズム睡眠障害 睡眠相後退症候群 腓腹筋けいれん 入眠障害 こむら返り 睡眠薬 夜間頻尿 RBD(レム睡眠行動障害) 睡眠時遊行症 RLS(レストレス・レッグス症候群) PLMD(周期性四肢運動障害)
■病気 日光過敏症(光線過敏症) [病気(な行)]
普通量の日光に当たっただけで皮膚に異常が起こる反応
日光過敏症とは、普通の人では何でもない程度の日光の紫外線が当たっただけで、皮膚に異常が引き起こされる免疫システムの反応。光線過敏症とも、日光アレルギーとも呼ばれています。
外部から起こる外因性のものと、体の内部から起こる内因性ものがあります。
外因性の日光過敏症は、日光に当たると敏感になるような化学物質が皮膚に接触して起こります。ある種の薬や化学物質を内服したり、ある種の薬や化粧品などを皮膚に塗った後、日光に当たった場合にのみ現れます。
日光過敏を助長させる可能性がある内服剤には、経口糖尿病食、降圧利尿剤、精神安定剤、ある種の抗生物質などがあり、光エネルギーにより活性化される物質(光感作物質)が何らかの経路で皮膚に達し、光エネルギーを吸収して皮膚に異常を起こします。
内因性の日光過敏症は、小児期では色素性乾皮症、ポルフィリン症などで起こります。大人では、ペラグラ(ニコチン酸欠乏症)や、肝臓の疾患からくるポルフィリン症などで起こります。
色素性乾皮症というのは、遺伝性の疾患で、日光が当たった部分が日焼けを繰り返し、皮膚が乾燥してくる疾患です。ポルフィリン症は、ポルフィリンという物質の先天性の代謝異常で、皮膚、歯、骨などにこの物質が沈着し、日光に敏感になる疾患です。ペラグラは、ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患です。
また、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、単純性疱疹(ほうしん)のように、日光によって誘発されたり、悪化するものもあります。
症状としては、日焼けのひどい状態から、湿疹(しっしん)、皮膚炎のようなものまでさまざまですが、顔、うなじ、手の甲のように、露出部分に起こるのが特徴です。
普通は、強い日光に当たってから数時間で症状が現れます。中には、数日たってから出てくることもあり、日光照射との関係に気が付かない場合もあります。
日光過敏症の検査と診断と治療
日光過敏症を診断するための特別な検査はありませんが、それを取り除く必要があるいろいろな原因があるので、各種の検査や診断によって見付けます。
皮膚が露出した部分だけに発疹が出た場合は、日光過敏症を疑います。その他の疾患、服用した薬、皮膚に塗った薬や化粧品などを詳しく調べると、日光過敏症を起こした原因を特定するのに役立ちます。全身性エリテマトーデスなど一部の発症者で、この反応の感受性を高める疾患を除外するための検査を行うこともあります。
全身性エリテマトーデスによる日光過敏の発症者などでは、ヒドロキシクロロキンやステロイドを内服すると効果があることがあります。日光過敏のタイプによっては、皮膚を紫外線に対し敏感にする薬剤であるソラレンを併用して、紫外線を当てる光線療法を行うことがあります。この治療法はPUVA療法といいます。しかし、全身性エリテマトーデスの発症者は、この治療に耐えられません。
原因が何であれ、日光に過敏な人は、紫外線を防止できる衣類を着用し、日光を極力避け、日焼け止めを使います。日光過敏を引き起こす薬や化学物質などは、可能ならば中止します。
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日光過敏症とは、普通の人では何でもない程度の日光の紫外線が当たっただけで、皮膚に異常が引き起こされる免疫システムの反応。光線過敏症とも、日光アレルギーとも呼ばれています。
外部から起こる外因性のものと、体の内部から起こる内因性ものがあります。
外因性の日光過敏症は、日光に当たると敏感になるような化学物質が皮膚に接触して起こります。ある種の薬や化学物質を内服したり、ある種の薬や化粧品などを皮膚に塗った後、日光に当たった場合にのみ現れます。
日光過敏を助長させる可能性がある内服剤には、経口糖尿病食、降圧利尿剤、精神安定剤、ある種の抗生物質などがあり、光エネルギーにより活性化される物質(光感作物質)が何らかの経路で皮膚に達し、光エネルギーを吸収して皮膚に異常を起こします。
内因性の日光過敏症は、小児期では色素性乾皮症、ポルフィリン症などで起こります。大人では、ペラグラ(ニコチン酸欠乏症)や、肝臓の疾患からくるポルフィリン症などで起こります。
色素性乾皮症というのは、遺伝性の疾患で、日光が当たった部分が日焼けを繰り返し、皮膚が乾燥してくる疾患です。ポルフィリン症は、ポルフィリンという物質の先天性の代謝異常で、皮膚、歯、骨などにこの物質が沈着し、日光に敏感になる疾患です。ペラグラは、ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患です。
また、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、単純性疱疹(ほうしん)のように、日光によって誘発されたり、悪化するものもあります。
症状としては、日焼けのひどい状態から、湿疹(しっしん)、皮膚炎のようなものまでさまざまですが、顔、うなじ、手の甲のように、露出部分に起こるのが特徴です。
普通は、強い日光に当たってから数時間で症状が現れます。中には、数日たってから出てくることもあり、日光照射との関係に気が付かない場合もあります。
日光過敏症の検査と診断と治療
日光過敏症を診断するための特別な検査はありませんが、それを取り除く必要があるいろいろな原因があるので、各種の検査や診断によって見付けます。
皮膚が露出した部分だけに発疹が出た場合は、日光過敏症を疑います。その他の疾患、服用した薬、皮膚に塗った薬や化粧品などを詳しく調べると、日光過敏症を起こした原因を特定するのに役立ちます。全身性エリテマトーデスなど一部の発症者で、この反応の感受性を高める疾患を除外するための検査を行うこともあります。
全身性エリテマトーデスによる日光過敏の発症者などでは、ヒドロキシクロロキンやステロイドを内服すると効果があることがあります。日光過敏のタイプによっては、皮膚を紫外線に対し敏感にする薬剤であるソラレンを併用して、紫外線を当てる光線療法を行うことがあります。この治療法はPUVA療法といいます。しかし、全身性エリテマトーデスの発症者は、この治療に耐えられません。
原因が何であれ、日光に過敏な人は、紫外線を防止できる衣類を着用し、日光を極力避け、日焼け止めを使います。日光過敏を引き起こす薬や化学物質などは、可能ならば中止します。
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■病気 にきび(尋常性痤瘡) [病気(な行)]
皮膚の炎症性疾患で、思春期の生理的な現象
にきびとは、過剰な皮脂分泌により、額やほお、あご、胸、背中などに現れる皮膚の炎症性疾患。医学的には、尋常性痤瘡(ざそう)として知られています。
男性ホルモンの影響によって、思春期にできやすくなります。初期には、毛穴(毛包)の脂腺(しせん)が刺激され、脂腺が大きくなると同時に毛穴が脂肪や角質でふさがって、面皰(めんぽう)という脂肪の塊ができます。この状態が黒にきび、または白にきびと呼ばれるもので、黒にきびは毛穴が開いて中身が見えている状態であり、白にきびは毛穴が閉じている状態です。
ここに皮膚常在菌で多く存在するアクネ桿菌(かんきん)が繁殖して炎症を起こし、赤い小さなぼつぼつや膿(うみ)を持った発疹(はっしん)ができます。この状態が赤にきびと呼ばれるものです。
アクネ桿菌は、嫌気性の細菌のため酸素のない脂腺の奥に生息します。詰まった毛穴の中では、皮脂を栄養として過剰に増殖し、脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸にして面皰とします。また、紫外線や空気中の酸素が、皮脂を過酸化脂質に変化させます。このように皮脂が遊離脂肪酸へ変化し、さらに酸化されて過酸化脂質へと変化した結果、皮膚に炎症が起きて赤くなったり、膿がたまって黄色い部分ができるのです。
さらに進行すると、毛穴が破れて中身が流れ出し、炎症が広がることもあります。この場合は皮膚の深い部分を傷付けてしまうため、炎症が治っても瘢痕(はんこん)が残る場合が多くなります。
にきびは思春期の生理的な現象で、疾患ではありません。20歳代前半くらいになると、自然に治っていくか、少なくともその数が減ります。
しかし、一度よくなったにきびが、中年以後に再発したり、あごから首の前のほうにかけて、にきびに似た発疹ができることがあります。この場合には、にきびのような面皰がないのが特徴で、化粧法の誤りが原因となっていることが多いようです。
また、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)など、いろいろな薬剤の作用で、にきびに似た発疹ができることがあります。この場合にもやはり、にきびのように面皰がないので、区別できます。
にきびの検査と診断と治療
にきびのできた部分に瘢痕を残さないように治療することが、最も大切になってきます。
そのためには、毎日せっけんでよく洗顔し、皮脂を洗い流して毛穴が詰まるのを防ぎます。せっけんは、低刺激性のものが望まれます。抗菌せっけんやスクラブ入りせっけんの使用は、有用な皮膚常在菌を過剰に洗い流し、皮膚を過剰に刺激してにきびを悪化させる恐れがあります。ファンデーションやメーキャップ化粧品は、毛穴を詰まらせ、にきびを悪化させる場合があるので、使用しないようにします。
また、チョコレート、ピーナッツ、コーヒー、ココア、豚肉、糖分の多い物などでは、できるだけ避けます。ビタミンを含んだ新鮮な野菜や果物を十分に摂取して、便秘を予防します。睡眠不足、過労、ストレスには注意して、規則正しい生活を送ることも、治療上、忘れてはならないことです。
皮膚科での治療では、保険適用の範囲内である外用の抗菌剤、抗炎症剤、ビタミン剤が使われます。外用の局所抗菌剤としては、クリンダマイシン、ナジフロキサシンのほか、過酸化ベンゾイルや抗炎症剤が使われています。外用の抗菌薬が効かない場合、毛穴の詰まりを取る効果のあるトレチノイン、アダパレンなどが使われますが、これらは日光に対し過敏になる作用があり、慎重な処方が行われる必要があります。
重症なにきびでは、ミノサイクリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシンなどの経口用抗生物質が使われる場合もありますが、長期の服用が必要で重い副作用を引き起こす場合があります。内服薬では、皮膚の新陳代謝を促すビタミンB2、皮膚の抵抗力を高めるビタミンB6のほか、色素沈着などを防ぐためにビタミンCが使われます。
医師の処方なしで入手できる薬として、サリチル酸やレゾルシノール、硫黄を含んだクリーム状の軟膏が市販されています。これらは吹き出ものを乾かす効果がありますが、若干のかさつきが生じる場合もあります。
にきびとは、過剰な皮脂分泌により、額やほお、あご、胸、背中などに現れる皮膚の炎症性疾患。医学的には、尋常性痤瘡(ざそう)として知られています。
男性ホルモンの影響によって、思春期にできやすくなります。初期には、毛穴(毛包)の脂腺(しせん)が刺激され、脂腺が大きくなると同時に毛穴が脂肪や角質でふさがって、面皰(めんぽう)という脂肪の塊ができます。この状態が黒にきび、または白にきびと呼ばれるもので、黒にきびは毛穴が開いて中身が見えている状態であり、白にきびは毛穴が閉じている状態です。
ここに皮膚常在菌で多く存在するアクネ桿菌(かんきん)が繁殖して炎症を起こし、赤い小さなぼつぼつや膿(うみ)を持った発疹(はっしん)ができます。この状態が赤にきびと呼ばれるものです。
アクネ桿菌は、嫌気性の細菌のため酸素のない脂腺の奥に生息します。詰まった毛穴の中では、皮脂を栄養として過剰に増殖し、脂肪分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸にして面皰とします。また、紫外線や空気中の酸素が、皮脂を過酸化脂質に変化させます。このように皮脂が遊離脂肪酸へ変化し、さらに酸化されて過酸化脂質へと変化した結果、皮膚に炎症が起きて赤くなったり、膿がたまって黄色い部分ができるのです。
さらに進行すると、毛穴が破れて中身が流れ出し、炎症が広がることもあります。この場合は皮膚の深い部分を傷付けてしまうため、炎症が治っても瘢痕(はんこん)が残る場合が多くなります。
にきびは思春期の生理的な現象で、疾患ではありません。20歳代前半くらいになると、自然に治っていくか、少なくともその数が減ります。
しかし、一度よくなったにきびが、中年以後に再発したり、あごから首の前のほうにかけて、にきびに似た発疹ができることがあります。この場合には、にきびのような面皰がないのが特徴で、化粧法の誤りが原因となっていることが多いようです。
また、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)など、いろいろな薬剤の作用で、にきびに似た発疹ができることがあります。この場合にもやはり、にきびのように面皰がないので、区別できます。
にきびの検査と診断と治療
にきびのできた部分に瘢痕を残さないように治療することが、最も大切になってきます。
そのためには、毎日せっけんでよく洗顔し、皮脂を洗い流して毛穴が詰まるのを防ぎます。せっけんは、低刺激性のものが望まれます。抗菌せっけんやスクラブ入りせっけんの使用は、有用な皮膚常在菌を過剰に洗い流し、皮膚を過剰に刺激してにきびを悪化させる恐れがあります。ファンデーションやメーキャップ化粧品は、毛穴を詰まらせ、にきびを悪化させる場合があるので、使用しないようにします。
また、チョコレート、ピーナッツ、コーヒー、ココア、豚肉、糖分の多い物などでは、できるだけ避けます。ビタミンを含んだ新鮮な野菜や果物を十分に摂取して、便秘を予防します。睡眠不足、過労、ストレスには注意して、規則正しい生活を送ることも、治療上、忘れてはならないことです。
皮膚科での治療では、保険適用の範囲内である外用の抗菌剤、抗炎症剤、ビタミン剤が使われます。外用の局所抗菌剤としては、クリンダマイシン、ナジフロキサシンのほか、過酸化ベンゾイルや抗炎症剤が使われています。外用の抗菌薬が効かない場合、毛穴の詰まりを取る効果のあるトレチノイン、アダパレンなどが使われますが、これらは日光に対し過敏になる作用があり、慎重な処方が行われる必要があります。
重症なにきびでは、ミノサイクリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシンなどの経口用抗生物質が使われる場合もありますが、長期の服用が必要で重い副作用を引き起こす場合があります。内服薬では、皮膚の新陳代謝を促すビタミンB2、皮膚の抵抗力を高めるビタミンB6のほか、色素沈着などを防ぐためにビタミンCが使われます。
医師の処方なしで入手できる薬として、サリチル酸やレゾルシノール、硫黄を含んだクリーム状の軟膏が市販されています。これらは吹き出ものを乾かす効果がありますが、若干のかさつきが生じる場合もあります。
■病気 脳膿瘍 [病気(な行)]
脳に化膿菌が入って炎症を起こし、うみがたまった状態
脳膿瘍(のうよう)とは、脳に化膿菌が入って炎症を起こし、組織が壊されて、うみの塊ができる疾患。
膿瘍の形成過程は、まず、うみがたまっていない巣(そう)状の急性炎症が、脳のある部分に生じます。次に、明らかな化膿性の炎症が起こり、うみがみられるようになります。さらに、膿瘍周囲に被膜が形成され、限局性に膿瘍が完成します。膿瘍周囲の浮腫(ふしゅ)は、頭蓋(ずがい)内圧を高進させることがあります。
脳膿瘍の原因としては、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎双球菌、インフルエンザ菌、大腸菌などが血液の流れに乗って、あるいは、周囲の炎症、例えば中耳炎、蓄膿症などから直接侵入して起こってきます。そのほか、頭部の外傷、脳の手術に際して化膿菌が直接侵入することもあります。
症状としては、化膿に伴う発熱のほかに、化膿巣の生じた脳の部分の機能障害が現れます。けいれんや手足のまひなどの刺激症状、意識の障害、半盲、失語症、運動まひなど、脳の機能の脱落症状が起こってきます。
化膿巣が大きくなると、脳腫瘍と同じように脳圧の高進が著しくなり、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、視神経のうっ血、項部(こうぶ)強直などが現れてきます。
脳膿瘍の検査と診断と治療
抗生剤治療と外科的アプローチの進歩によって治癒し得るケースが増えていますが、診断の遅れによって予後が不良になることもあります。頭痛や発熱が持続する時には、すぐに脳神経外科や神経内科などの専門医の診察を受けます。
医師の側は、炎症症状と脳や脊髄(せきずい)の症状から、ある程度推定はできますが、脳脊髄膜に炎症が及ばないと確かめられないこともあります。ことに慢性の場合には、初期に気付かずに、多少性格が変わったといった程度で見過ごされてしまうことがあります。
検査法としては、脳脊髄液検査や脳の血管撮影などがありますが、頭部CT検査が診断に有力です。膿瘍の大きさや部位を正確に判定できますし、造影剤によって被膜はリング状に増強されるのが特徴です。また、中耳や副鼻腔(びくう)などの病変の有無をも、同時に観察することができます。
化学療法として、いろいろな抗生剤が用いられます。脳膿瘍はこれらの化学療法に比較的よく反応するので、診断が付き、原因となった菌さえ確かめることができれば、十分な治療ができ、完全に治癒することが多いものです。発病初期には原因となった菌が不明なことが多いので、広い範囲の細菌に有効な抗生剤が投与されますが、菌が確定した際には最もよく効く抗生剤に変更されます。
通常の感染症よりも抗生剤の投与量は多く、投与期間も長くなります。脳浮腫に対して脳圧降下剤、けいれんに対して抗けいれん剤なども用いられます。
外科的治療は、穿刺(せんし)吸引および排膿、ドレナージが一般的です。最近では、CTまたはMRIガイド下に、比較的安全に穿刺および排膿できるようになりました。
予防法としては、中耳炎や蓄膿症、気管支炎、骨髄炎などにかかったら、完全に治しておくことが大切です。ことに幼小児では、この点の注意が重要です。また、先天性の心臓病を持っている子供は、感染症にかかると脳膿瘍にかかりやすいため、注意が必要です。
脳膿瘍(のうよう)とは、脳に化膿菌が入って炎症を起こし、組織が壊されて、うみの塊ができる疾患。
膿瘍の形成過程は、まず、うみがたまっていない巣(そう)状の急性炎症が、脳のある部分に生じます。次に、明らかな化膿性の炎症が起こり、うみがみられるようになります。さらに、膿瘍周囲に被膜が形成され、限局性に膿瘍が完成します。膿瘍周囲の浮腫(ふしゅ)は、頭蓋(ずがい)内圧を高進させることがあります。
脳膿瘍の原因としては、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎双球菌、インフルエンザ菌、大腸菌などが血液の流れに乗って、あるいは、周囲の炎症、例えば中耳炎、蓄膿症などから直接侵入して起こってきます。そのほか、頭部の外傷、脳の手術に際して化膿菌が直接侵入することもあります。
症状としては、化膿に伴う発熱のほかに、化膿巣の生じた脳の部分の機能障害が現れます。けいれんや手足のまひなどの刺激症状、意識の障害、半盲、失語症、運動まひなど、脳の機能の脱落症状が起こってきます。
化膿巣が大きくなると、脳腫瘍と同じように脳圧の高進が著しくなり、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)、視神経のうっ血、項部(こうぶ)強直などが現れてきます。
脳膿瘍の検査と診断と治療
抗生剤治療と外科的アプローチの進歩によって治癒し得るケースが増えていますが、診断の遅れによって予後が不良になることもあります。頭痛や発熱が持続する時には、すぐに脳神経外科や神経内科などの専門医の診察を受けます。
医師の側は、炎症症状と脳や脊髄(せきずい)の症状から、ある程度推定はできますが、脳脊髄膜に炎症が及ばないと確かめられないこともあります。ことに慢性の場合には、初期に気付かずに、多少性格が変わったといった程度で見過ごされてしまうことがあります。
検査法としては、脳脊髄液検査や脳の血管撮影などがありますが、頭部CT検査が診断に有力です。膿瘍の大きさや部位を正確に判定できますし、造影剤によって被膜はリング状に増強されるのが特徴です。また、中耳や副鼻腔(びくう)などの病変の有無をも、同時に観察することができます。
化学療法として、いろいろな抗生剤が用いられます。脳膿瘍はこれらの化学療法に比較的よく反応するので、診断が付き、原因となった菌さえ確かめることができれば、十分な治療ができ、完全に治癒することが多いものです。発病初期には原因となった菌が不明なことが多いので、広い範囲の細菌に有効な抗生剤が投与されますが、菌が確定した際には最もよく効く抗生剤に変更されます。
通常の感染症よりも抗生剤の投与量は多く、投与期間も長くなります。脳浮腫に対して脳圧降下剤、けいれんに対して抗けいれん剤なども用いられます。
外科的治療は、穿刺(せんし)吸引および排膿、ドレナージが一般的です。最近では、CTまたはMRIガイド下に、比較的安全に穿刺および排膿できるようになりました。
予防法としては、中耳炎や蓄膿症、気管支炎、骨髄炎などにかかったら、完全に治しておくことが大切です。ことに幼小児では、この点の注意が重要です。また、先天性の心臓病を持っている子供は、感染症にかかると脳膿瘍にかかりやすいため、注意が必要です。