■用語 慢性心不全 [用語(ま行)]
心臓の機能が低下して、十分な血液を送り出せない状態が長期間続く症候群
慢性心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態が長期間にわたって続き、進行していく症候群。
時に、安定した状態から急激に悪化する急性心不全に移行することを繰り返して、徐々に進行していくことがあります。加齢に伴って増える疾患で、また生活習慣病の一つでもあります。
さまざまな原因で慢性心不全が起こりますが、急性心筋梗塞(こうそく)と高血圧がよくみられる原因です。拡張型心筋症や弁膜症も原因になります。拡張型心筋症はどの年齢でもみられますが、高齢者で増えています。弁膜症は、虚血性心疾患や動脈硬化に伴って起こるものが増えています。
そのほか、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈も慢性心不全の原因になります。慢性腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群も心不全を引き起こす危険因子です。
症状の面からは、全身に血液が滞るうっ血を起こす右心不全と、肺に血液が滞るうっ血を起こして全身へ送られる血液が減る左心不全に分けられますが、通常は右心不全と左心不全の両方が同時に起こって両心不全となります。しばしば、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。
全身に血液が滞る右心不全の症状として、足を中心とするむくみが現れ、体重が増加します。むくみは夕方強くなり、靴がきつくなることで気付くことがあります。
左心不全の症状としては、呼吸困難、せき、白っぽい泡のようなたんです。呼吸困難は階段昇降や坂道で起こり、 動悸(どうき)を感じることもあります。
心不全で特徴的な呼吸困難は、就寝後しばらくして現れる息苦しさです。この夜間発作性呼吸困難症と呼ばれる症状は、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をすることで軽減します。夜間の多尿も、初期の症状として現れます。重症になると尿量は減少します。
全身的な症状としてよく現れるのは、倦怠(けんたい)感、疲れやすさですが、消化器症状として食欲不振、腹部膨満感も起こります。
初期の慢性心不全は症状も軽く、診断が難しいことがありますので、専門医に相談をしてください。
慢性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、慢性心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーや除細動器を植え込むということもあります。
一般的な治療としては、症状が軽い場合は内服薬による治療を行います。
体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動、禁煙、減酒を行います。
症状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓の植え込み手術や心臓移植といった治療を行います。
慢性心不全とは、心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった末期的な状態が長期間にわたって続き、進行していく症候群。
時に、安定した状態から急激に悪化する急性心不全に移行することを繰り返して、徐々に進行していくことがあります。加齢に伴って増える疾患で、また生活習慣病の一つでもあります。
さまざまな原因で慢性心不全が起こりますが、急性心筋梗塞(こうそく)と高血圧がよくみられる原因です。拡張型心筋症や弁膜症も原因になります。拡張型心筋症はどの年齢でもみられますが、高齢者で増えています。弁膜症は、虚血性心疾患や動脈硬化に伴って起こるものが増えています。
そのほか、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈も慢性心不全の原因になります。慢性腎臓病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群も心不全を引き起こす危険因子です。
症状の面からは、全身に血液が滞るうっ血を起こす右心不全と、肺に血液が滞るうっ血を起こして全身へ送られる血液が減る左心不全に分けられますが、通常は右心不全と左心不全の両方が同時に起こって両心不全となります。しばしば、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を合併します。
全身に血液が滞る右心不全の症状として、足を中心とするむくみが現れ、体重が増加します。むくみは夕方強くなり、靴がきつくなることで気付くことがあります。
左心不全の症状としては、呼吸困難、せき、白っぽい泡のようなたんです。呼吸困難は階段昇降や坂道で起こり、 動悸(どうき)を感じることもあります。
心不全で特徴的な呼吸困難は、就寝後しばらくして現れる息苦しさです。この夜間発作性呼吸困難症と呼ばれる症状は、上体を起こして前ががみの姿勢で呼吸をすることで軽減します。夜間の多尿も、初期の症状として現れます。重症になると尿量は減少します。
全身的な症状としてよく現れるのは、倦怠(けんたい)感、疲れやすさですが、消化器症状として食欲不振、腹部膨満感も起こります。
初期の慢性心不全は症状も軽く、診断が難しいことがありますので、専門医に相談をしてください。
慢性心不全の検査と診断と治療
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、心臓のどこに異常が起きているのか、その原因になっている疾患は何かをまず突き止めてから、慢性心不全の状態や程度を調べます。
一般の診察で心不全の有無を診断し、場合によっては心臓超音波検査(心エコー)で心臓の働き具合をみる検査をします。
循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、心臓の働きを鈍らせている原因を取り除ける場合は、まずその治療をします。
例えば、高血圧に対する降圧療法、狭心症や心筋梗塞に対する風船治療や冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁形成術や弁置換術などを行います。不整脈が原因の場合には、ペースメーカーや除細動器を植え込むということもあります。
一般的な治療としては、症状が軽い場合は内服薬による治療を行います。
体内の余分な水分を取り除く利尿剤、心臓の働きを手助けするジギタリス剤、心臓にかかる負担を軽くするアンギオテンシン変換酵素阻害剤などの血管拡張剤、長期的には心臓に障害を与えやすい神経やホルモンの作用を抑制するベータ遮断剤などがあります。
また、再発の予防のため、内服薬での治療のほか、塩分制限を含めた食事療法、適度な運動、禁煙、減酒を行います。
症状が重くなると入院となり、安静の確保、酸素吸入、点滴による治療が必要になります。末期重症心不全の場合には、補助人工心臓の植え込み手術や心臓移植といった治療を行います。
■用語 モントゴメリー腺 [用語(ま行)]
妊娠中や産後に、乳頭の周辺に目立つようになるブツブツと小さく隆起した突起物
モントゴメリー腺(せん)とは、乳首、すなわち乳頭の周囲を取り囲む輪状の部位である乳輪の中に、にきびやいぼのようにブツブツと小さく隆起した突起物として認められる皮脂腺。モンゴメリー腺、乳輪腺とも呼ばれます。
呼称は、これを最初に定義したアイルランドのウィリアム・フェザーストーン・モントゴメリー産科医にちなんでいます。
このモントゴメリー腺は、一種のアポクリン汗腺であり、男性、女性を問わず誰(だれ)にでも10 個ほど存在し、乳頭と乳輪を乾燥や刺激から保護するための皮脂を分泌しています。皮脂腺にしては非常に珍しく、表皮に近い位置に存在するので、その大きさや数の多い少ないに個人差こそあれ、多くの人に目で見てわかるくらいのブツブツとした突起物として認められます。乳頭を刺激すると、モントゴメリー腺はより隆起し、突出します。
妊娠中や産後の授乳中の女性では、今まで気にも留めていなかったのに、いきなりブツブツとした突起物が目立つようになるということが、よくみられます。
妊娠すると、女性の体は少しずつ、産後の授乳のための準備を始めます。乳房や乳頭もそれに伴い、変化していきます。乳輪の中にブツブツとした突起物が目立つようになるのも、授乳のための準備の一つです。
個人差もありますが、特に妊娠初期から妊娠中期は、卵巣で分泌される女性ホルモンの影響で母乳(乳汁)を作る乳腺が肥大し、乳腺を支える脂肪組織も増えて乳房が次第に大きくなっていきます。乳房が大きくなるとともに、モントゴメリー腺も大きくなります。
出産後の授乳中には、モントゴメリー腺から分泌される皮脂がにおいを発して、視覚がまだ未発達で明暗を認識することができるだけの新生児に、乳頭の位置を知らせる役割を果たしているといわれています。
このようにモントゴメリー腺は機能的にも本来必要なもので、授乳期が終わると自然にブツブツとした突起物が目立たなくなることもありますので、気にならなければ何もしなくて構いません。しかし、女性ホルモンの分泌が過剰になると、モントゴメリー腺の働きが促進されて皮脂が多く分泌され、かゆみが出ることがあります。
また、分泌された皮脂を、にきびのような感覚で無理やり絞って押し出したり、つぶしたりすると、白い皮脂が出ることがあります。その際に手についていた細菌に感染してしまうと、炎症を起こして痛みを感じたり、膿(うみ)が出てきたりすることにつながります。
分泌された皮脂の薄黄色の残りカスが乳頭や乳輪に付着した場合は、ガーゼやタオルで優しくふき取りましょう。風呂やシャワーの際に、そっと洗い流すだけでもかまいません。洗浄した後は、保湿をしましょう。乳首専用のケアクリームなどを塗って保湿することで、かゆみ対策にもなります。
モントゴメリー腺が必要以上に発達して、乳頭より大きくなったり、乳輪が膨らんで見た目が気になるなどの症状がある場合は、健康上に害がない範囲で目立つものだけ除去することができますので、乳腺外科、形成外科、整形外科、あるいは美容整形外科を受診し、手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
モントゴメリー腺の検査と診断と治療
乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。
乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による治療では、いぼやほくろを除去するような手術で、モントゴメリー腺を切除します。入院の必要はなく、30分程度の通院手術で取り除くことが可能です。傷跡もほとんど残りません。切除手術はモントゴメリー腺1個ずつの治療となり、大きさや数によって費用は異なります。
手術後、麻酔が切れると若干痛みが出る場合があり、痛み止めの薬を内服します。患部はガーゼで保護しますが、その上から締め付けの少ないブラジャーを使えます。
患部を保護するガーゼは手術の翌日に外し、以後、せっけんを使いシャワーで洗い流すことができます。微量の出血が数日程度続く場合は、シャワー後に交換用のガーゼを患部に当てます。湯船の入浴は、1週間後から可能です。
日常生活や家事、事務仕事は、翌日から可能です。飲酒や運動は1週間控え、激しい運動や乳首への強い刺激は1カ月間程度避けます。1週間後に抜糸の通院があります。
切除縫合した部分が一時的に感覚が鈍くなる場合も、傷がいえるにつれて元の感覚に戻ります。モントゴメリー腺を切除した後でも、妊娠や授乳には影響はありません。
モントゴメリー腺(せん)とは、乳首、すなわち乳頭の周囲を取り囲む輪状の部位である乳輪の中に、にきびやいぼのようにブツブツと小さく隆起した突起物として認められる皮脂腺。モンゴメリー腺、乳輪腺とも呼ばれます。
呼称は、これを最初に定義したアイルランドのウィリアム・フェザーストーン・モントゴメリー産科医にちなんでいます。
このモントゴメリー腺は、一種のアポクリン汗腺であり、男性、女性を問わず誰(だれ)にでも10 個ほど存在し、乳頭と乳輪を乾燥や刺激から保護するための皮脂を分泌しています。皮脂腺にしては非常に珍しく、表皮に近い位置に存在するので、その大きさや数の多い少ないに個人差こそあれ、多くの人に目で見てわかるくらいのブツブツとした突起物として認められます。乳頭を刺激すると、モントゴメリー腺はより隆起し、突出します。
妊娠中や産後の授乳中の女性では、今まで気にも留めていなかったのに、いきなりブツブツとした突起物が目立つようになるということが、よくみられます。
妊娠すると、女性の体は少しずつ、産後の授乳のための準備を始めます。乳房や乳頭もそれに伴い、変化していきます。乳輪の中にブツブツとした突起物が目立つようになるのも、授乳のための準備の一つです。
個人差もありますが、特に妊娠初期から妊娠中期は、卵巣で分泌される女性ホルモンの影響で母乳(乳汁)を作る乳腺が肥大し、乳腺を支える脂肪組織も増えて乳房が次第に大きくなっていきます。乳房が大きくなるとともに、モントゴメリー腺も大きくなります。
出産後の授乳中には、モントゴメリー腺から分泌される皮脂がにおいを発して、視覚がまだ未発達で明暗を認識することができるだけの新生児に、乳頭の位置を知らせる役割を果たしているといわれています。
このようにモントゴメリー腺は機能的にも本来必要なもので、授乳期が終わると自然にブツブツとした突起物が目立たなくなることもありますので、気にならなければ何もしなくて構いません。しかし、女性ホルモンの分泌が過剰になると、モントゴメリー腺の働きが促進されて皮脂が多く分泌され、かゆみが出ることがあります。
また、分泌された皮脂を、にきびのような感覚で無理やり絞って押し出したり、つぶしたりすると、白い皮脂が出ることがあります。その際に手についていた細菌に感染してしまうと、炎症を起こして痛みを感じたり、膿(うみ)が出てきたりすることにつながります。
分泌された皮脂の薄黄色の残りカスが乳頭や乳輪に付着した場合は、ガーゼやタオルで優しくふき取りましょう。風呂やシャワーの際に、そっと洗い流すだけでもかまいません。洗浄した後は、保湿をしましょう。乳首専用のケアクリームなどを塗って保湿することで、かゆみ対策にもなります。
モントゴメリー腺が必要以上に発達して、乳頭より大きくなったり、乳輪が膨らんで見た目が気になるなどの症状がある場合は、健康上に害がない範囲で目立つものだけ除去することができますので、乳腺外科、形成外科、整形外科、あるいは美容整形外科を受診し、手術によって整えることを考えてみてもよいのではないかと思われます。
モントゴメリー腺の検査と診断と治療
乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による診断では、視診、触診で判断します。
乳腺外科、形成外科、整形外科、美容整形外科の医師による治療では、いぼやほくろを除去するような手術で、モントゴメリー腺を切除します。入院の必要はなく、30分程度の通院手術で取り除くことが可能です。傷跡もほとんど残りません。切除手術はモントゴメリー腺1個ずつの治療となり、大きさや数によって費用は異なります。
手術後、麻酔が切れると若干痛みが出る場合があり、痛み止めの薬を内服します。患部はガーゼで保護しますが、その上から締め付けの少ないブラジャーを使えます。
患部を保護するガーゼは手術の翌日に外し、以後、せっけんを使いシャワーで洗い流すことができます。微量の出血が数日程度続く場合は、シャワー後に交換用のガーゼを患部に当てます。湯船の入浴は、1週間後から可能です。
日常生活や家事、事務仕事は、翌日から可能です。飲酒や運動は1週間控え、激しい運動や乳首への強い刺激は1カ月間程度避けます。1週間後に抜糸の通院があります。
切除縫合した部分が一時的に感覚が鈍くなる場合も、傷がいえるにつれて元の感覚に戻ります。モントゴメリー腺を切除した後でも、妊娠や授乳には影響はありません。
■用語 魔乳 [用語(ま行)]
生後間もない新生児の乳頭から乳汁様の液体が分泌される現象
魔乳(まにゅう)とは、生後2~3日ころから1週間ころの間に、新生児の胸が膨らむとともに、乳頭(乳首)から乳汁様の半透明から白色の液体が分泌される状態。奇乳、鬼乳とも呼ばれます。
妊娠中、母体では女性ホルモンの一つである卵胞ホルモン(エストロゲン)が卵巣から多量に分泌され、これが乳腺(にゅうせん)を発達させるとともに、脳下垂体に作用して乳汁分泌を促すプロラクチンの分泌を抑制しています。ところが、出産とともに、卵胞ホルモンの分泌が急速に低下し、プロラクチンの分泌の抑制がなくなるために、プロラクチンの分泌が増加し、乳汁(母乳)の分泌が開始されます。
妊娠中、母体の卵胞ホルモンは胎盤を通じて胎児の血液にも移行していますが、出生後、臍帯(さいたい)が切断され、母体との関係が絶たれると、卵胞ホルモンが急激に減少して、その影響が急速に失われるため、母体と同様な機構でプロラクチンが少量分泌され、これが作用して乳腺が刺激され、新生児の乳頭から乳汁様の液体が分泌されるのです。乳汁様の液体の成分は、乳汁と同一です。
魔乳は生後2~3日ころから分泌され始めることが多く、搾ったりせずに放置すれば数日から1週間程度で出なくなります。中には、5~6週間にわたって分泌がある場合もあります。新生児の体質や、母体から移行していたホルモンの量で、期間は変わってきます。
成熟した新生児では、生まれた当初から左右の乳房が大きな場合がありますが、これも胎盤経由のホルモンと自分自身のホルモンによって乳腺が発達したものと考えられています。
この時期の乳腺の発達には男女差はなく、男の子の新生児でも乳房が膨らんだり、魔乳が見られたりすることがあります。
ヨ-ロッパでは昔、魔女信仰の影響から、新生児の乳頭から分泌される乳汁様の液体が魔女の薬の材料になるとされて「Witch’s milk(魔女のミルク)」と呼ばれていたことから、日本では魔乳と呼ばれるようになったようです。
ヨーロパでは魔法使いの女が採りに来る前に早く搾ってしまわなくてはならないと信じられていたそうですが、近年では搾ったり、触ったりすると、かえって乳腺が刺激されていつまでも液体が出続けたり、細菌が入って感染を起こすことがあるため、搾ったり、触ったりしてはいけないものとされています。
新生児の魔乳は自然に止まるのを待てばよく、特別な処置は必要ありません。
乳汁とは少し違うような色の液体が出てくる場合は、乳腺などが傷付いている可能性がありますので、一度、産科、または小児科を受診し診察を受けてください。
魔乳(まにゅう)とは、生後2~3日ころから1週間ころの間に、新生児の胸が膨らむとともに、乳頭(乳首)から乳汁様の半透明から白色の液体が分泌される状態。奇乳、鬼乳とも呼ばれます。
妊娠中、母体では女性ホルモンの一つである卵胞ホルモン(エストロゲン)が卵巣から多量に分泌され、これが乳腺(にゅうせん)を発達させるとともに、脳下垂体に作用して乳汁分泌を促すプロラクチンの分泌を抑制しています。ところが、出産とともに、卵胞ホルモンの分泌が急速に低下し、プロラクチンの分泌の抑制がなくなるために、プロラクチンの分泌が増加し、乳汁(母乳)の分泌が開始されます。
妊娠中、母体の卵胞ホルモンは胎盤を通じて胎児の血液にも移行していますが、出生後、臍帯(さいたい)が切断され、母体との関係が絶たれると、卵胞ホルモンが急激に減少して、その影響が急速に失われるため、母体と同様な機構でプロラクチンが少量分泌され、これが作用して乳腺が刺激され、新生児の乳頭から乳汁様の液体が分泌されるのです。乳汁様の液体の成分は、乳汁と同一です。
魔乳は生後2~3日ころから分泌され始めることが多く、搾ったりせずに放置すれば数日から1週間程度で出なくなります。中には、5~6週間にわたって分泌がある場合もあります。新生児の体質や、母体から移行していたホルモンの量で、期間は変わってきます。
成熟した新生児では、生まれた当初から左右の乳房が大きな場合がありますが、これも胎盤経由のホルモンと自分自身のホルモンによって乳腺が発達したものと考えられています。
この時期の乳腺の発達には男女差はなく、男の子の新生児でも乳房が膨らんだり、魔乳が見られたりすることがあります。
ヨ-ロッパでは昔、魔女信仰の影響から、新生児の乳頭から分泌される乳汁様の液体が魔女の薬の材料になるとされて「Witch’s milk(魔女のミルク)」と呼ばれていたことから、日本では魔乳と呼ばれるようになったようです。
ヨーロパでは魔法使いの女が採りに来る前に早く搾ってしまわなくてはならないと信じられていたそうですが、近年では搾ったり、触ったりすると、かえって乳腺が刺激されていつまでも液体が出続けたり、細菌が入って感染を起こすことがあるため、搾ったり、触ったりしてはいけないものとされています。
新生児の魔乳は自然に止まるのを待てばよく、特別な処置は必要ありません。
乳汁とは少し違うような色の液体が出てくる場合は、乳腺などが傷付いている可能性がありますので、一度、産科、または小児科を受診し診察を受けてください。
■無月経・ 乳汁分泌症候群 [用語(ま行)]
妊娠や授乳期以外に無月経と乳汁分泌が起こる状態
無月経・ 乳汁分泌症候群とは、妊娠や授乳期以外の時期に、無月経と乳頭からの乳汁分泌がみられる状態。乳汁分泌性無月経とも呼ばれます。
主に20~30歳代の性成熟期の女性において、大脳の下部にある小さな分泌腺(せん)である下垂体(脳下垂体)から分泌されるプロラクチンというホルモンが増加して、血液中のプロラクチン値が上昇した状態である高プロラクチン血症が生じると、通常、無月経と乳汁分泌が起こります。
下垂体はプロラクチンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの6つのホルモンを分泌し、プロラクチンは乳腺の発育促進、乳汁産生・分泌促進、排卵や卵胞の成熟抑制にかかわるホルモンです。
下垂体から分泌されるプロラクチンが増加すると、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌が低下するので、プロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下し、無排卵、無月経などの月経異常の原因になります。
無月経・ 乳汁分泌症候群を招く高プロラクチン血症は、種々の原因によって起こります。妊娠した女性では、妊娠の進行とともにプロラクチン値が高くなります。
高プロラクチン血症の原因としては、下垂体におけるプロラクチン産生腫瘍(しゅよう、プロラクチノーマ)が最も多くみられます。
ほかには、大脳の下部にある視床下部・下垂体系の腫瘍や炎症のため、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの下垂体への作用が阻害されると、下垂体からのプロラクチン分泌への抑制という調節がなくなり、血液中のプロラクチン値が増加します。
また、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫、 胚芽(はいが)腫などの脳腫瘍や、結核を始めとする感染症によく似た病巣を全身のいろいろな臓器に作る疾患であるサルコイドーシスなどでも、高プロラクチン血症が高頻度に出現します。
プロラクチン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモンの分泌が過剰になる原発性甲状腺機能低下症や、腎(じん)不全でも、高プロラクチン血症が出現することがあります。胸壁の外傷、手術や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの胸壁疾患でも、プロラクチンの分泌が促進されることがあります。
さらに、薬剤の副作用によることがあります。ある種の抗うつ剤や胃薬は、ドーパミンの作用を阻害することによりプロラクチンを増加させます。降圧薬の一種もプロラクチンを増加させます。低用量ピルなどの経口避妊薬も、視床下部のドーパミン活性を抑制するとともに下垂体に直接作用して、乳汁を産生するプロラクチンの産生や分泌を刺激させます。
高プロラクチン血症であっても、必ずしも症状を伴うものではありません。性成熟期の女性では、無月経と乳汁分泌が主要な兆候となります。下垂体のプロラクチン産生腫瘍が大きい場合には、腫瘍による視神経圧迫のため視野狭窄(きょうさく)、視力低下、頭痛を伴うことがあります。
無月経・ 乳汁分泌症候群の症状に気付いたら、婦人科 、内科、乳腺科を受診することが勧められます。
無月経・ 乳汁分泌症候群の検査と診断と治療
婦人科 、内科、乳腺科の医師による診断では、血中プロラクチン値を測定するとともに、出産経験や内服薬服用の確認を行います。
血中プロラクチンが高値の時は、下垂体のプロラクチン産生腫瘍の可能性が高いため、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査やCT(コンピュータ断層撮影法)検査を行い、下垂体病変を調べます。血中プロラクチン値が軽度から中等度の時には、内服薬服用の有無を重視し、下垂体のプロラクチン産生腫瘍以外の原因について検査を行います。
婦人科 、内科、乳腺科の医師による治療では、無月経・ 乳汁分泌症候群の原因がはっきりとしたら、その原因に応じた治療を行います。
内服している薬剤が原因と考えられる場合は、その薬剤を中止します。乳汁分泌がみられるだけで、ほかに特別な異常や兆候がなければ、経過観察も可能です。不快ならば、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの分泌を促すドーパミンアゴニスト製剤(ドーパミン受容体刺激薬)により、プロラクチンの分泌を抑えると症状は消えます。
無月経を伴う場合には、排卵や月経を誘発する処置を行います。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が原因と考えられる場合は、現在、薬物療法が第一選択となります。ドーパミンアゴニスト製剤の服用により、血中プロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。一方、腫瘍が直径1センチ以上と大きく、視野障害や頭痛などがあり、腫瘍サイズの縮小が急がれる場合は、手術が選択されることもあります。
原発性甲状腺機能低下症が原因と考えられる場合、甲状腺ホルモンの補充により血中プロラクチン値は正常化し、卵巣機能は回復します。
無月経・ 乳汁分泌症候群とは、妊娠や授乳期以外の時期に、無月経と乳頭からの乳汁分泌がみられる状態。乳汁分泌性無月経とも呼ばれます。
主に20~30歳代の性成熟期の女性において、大脳の下部にある小さな分泌腺(せん)である下垂体(脳下垂体)から分泌されるプロラクチンというホルモンが増加して、血液中のプロラクチン値が上昇した状態である高プロラクチン血症が生じると、通常、無月経と乳汁分泌が起こります。
下垂体はプロラクチンや副腎(ふくじん)皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、成長ホルモン、黄体化ホルモン、卵胞刺激ホルモンの6つのホルモンを分泌し、プロラクチンは乳腺の発育促進、乳汁産生・分泌促進、排卵や卵胞の成熟抑制にかかわるホルモンです。
下垂体から分泌されるプロラクチンが増加すると、黄体化ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌が低下するので、プロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下し、無排卵、無月経などの月経異常の原因になります。
無月経・ 乳汁分泌症候群を招く高プロラクチン血症は、種々の原因によって起こります。妊娠した女性では、妊娠の進行とともにプロラクチン値が高くなります。
高プロラクチン血症の原因としては、下垂体におけるプロラクチン産生腫瘍(しゅよう、プロラクチノーマ)が最も多くみられます。
ほかには、大脳の下部にある視床下部・下垂体系の腫瘍や炎症のため、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの下垂体への作用が阻害されると、下垂体からのプロラクチン分泌への抑制という調節がなくなり、血液中のプロラクチン値が増加します。
また、頭蓋咽頭(ずがいいんとう)腫、 胚芽(はいが)腫などの脳腫瘍や、結核を始めとする感染症によく似た病巣を全身のいろいろな臓器に作る疾患であるサルコイドーシスなどでも、高プロラクチン血症が高頻度に出現します。
プロラクチン分泌を促進する甲状腺刺激ホルモンの分泌が過剰になる原発性甲状腺機能低下症や、腎(じん)不全でも、高プロラクチン血症が出現することがあります。胸壁の外傷、手術や帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの胸壁疾患でも、プロラクチンの分泌が促進されることがあります。
さらに、薬剤の副作用によることがあります。ある種の抗うつ剤や胃薬は、ドーパミンの作用を阻害することによりプロラクチンを増加させます。降圧薬の一種もプロラクチンを増加させます。低用量ピルなどの経口避妊薬も、視床下部のドーパミン活性を抑制するとともに下垂体に直接作用して、乳汁を産生するプロラクチンの産生や分泌を刺激させます。
高プロラクチン血症であっても、必ずしも症状を伴うものではありません。性成熟期の女性では、無月経と乳汁分泌が主要な兆候となります。下垂体のプロラクチン産生腫瘍が大きい場合には、腫瘍による視神経圧迫のため視野狭窄(きょうさく)、視力低下、頭痛を伴うことがあります。
無月経・ 乳汁分泌症候群の症状に気付いたら、婦人科 、内科、乳腺科を受診することが勧められます。
無月経・ 乳汁分泌症候群の検査と診断と治療
婦人科 、内科、乳腺科の医師による診断では、血中プロラクチン値を測定するとともに、出産経験や内服薬服用の確認を行います。
血中プロラクチンが高値の時は、下垂体のプロラクチン産生腫瘍の可能性が高いため、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査やCT(コンピュータ断層撮影法)検査を行い、下垂体病変を調べます。血中プロラクチン値が軽度から中等度の時には、内服薬服用の有無を重視し、下垂体のプロラクチン産生腫瘍以外の原因について検査を行います。
婦人科 、内科、乳腺科の医師による治療では、無月経・ 乳汁分泌症候群の原因がはっきりとしたら、その原因に応じた治療を行います。
内服している薬剤が原因と考えられる場合は、その薬剤を中止します。乳汁分泌がみられるだけで、ほかに特別な異常や兆候がなければ、経過観察も可能です。不快ならば、プロラクチンの産生を抑制する脳内物質であるドーパミンの分泌を促すドーパミンアゴニスト製剤(ドーパミン受容体刺激薬)により、プロラクチンの分泌を抑えると症状は消えます。
無月経を伴う場合には、排卵や月経を誘発する処置を行います。
下垂体のプロラクチン産生腫瘍が原因と考えられる場合は、現在、薬物療法が第一選択となります。ドーパミンアゴニスト製剤の服用により、血中プロラクチン値は低下し、腫瘍も縮小します。一方、腫瘍が直径1センチ以上と大きく、視野障害や頭痛などがあり、腫瘍サイズの縮小が急がれる場合は、手術が選択されることもあります。
原発性甲状腺機能低下症が原因と考えられる場合、甲状腺ホルモンの補充により血中プロラクチン値は正常化し、卵巣機能は回復します。
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