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■用語 癒着性中耳炎 [用語(や行)]

[耳]外耳と中耳の境界にある鼓膜がへこんで、中耳の壁にくっつくために、難聴を来す疾患
 癒着性中耳炎とは、外耳と中耳の境界にある鼓膜がへこんで、中耳の壁にくっつくために、難聴を来す疾患。
 滲出(しんしゅつ)性中耳炎が治り切らない場合に、この癒着性中耳炎に移行することが多くみられます。滲出性中耳炎は真珠腫(しゅ)性中耳炎の原因にもなりますが、真珠腫性中耳炎よりも、癒着性中耳炎に移行することのほうが多くみられます。
 滲出性中耳炎では、中耳の内圧が下がって、鼓膜がややへこみます。癒着性中耳炎に移行すると、耳管の空気の通りが悪いため、中耳の内圧が低くなって、鼓膜がひどくへこみ、中耳の主体である鼓室の裏側の粘膜と接着し、そのうちに癒着が起こります。癒着が長期間続くと、鼓膜がほとんど中耳を覆う形になります。
 症状としては、聴力が低下する難聴があります。鼓膜が鼓室に張り付いているため、外から音が入ってきても、鼓膜がきちんと振動することができません。その上、音を鼓膜から内耳に伝える働きをする耳小骨も鼓膜に押さえ付けられるので、振動が内耳に伝わらず、かなり強い伝音難聴が起こります。  
 ただし、癒着性中耳炎は片側だけに起こることが多いので、両方の耳が聞こえなくなることは、ほとんどありません。また、耳垂れや痛みなどの症状はあまりありません。
 音の聞こえ方がいつもと比べ違うなどの症状が数日続く場合は、癒着性中耳炎を来している可能性があるので、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診して下さい。
[耳]癒着性中耳炎の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼓膜の観察、聴力検査を行うほか、CT(コンピューター断層撮影)検査を行って、鼓膜の癒着の程度、耳小骨の破壊の程度、障害の程度を調べます。
 この検査結果から、接着期、癒着初期、癒着中期、癒着後期、癒着末期の5段階に分類し、段階に合わせた治療を行います。
 耳鼻咽喉科の医師による接着期の治療では、顕微鏡で鼓膜を観察し、鼓膜切開を行って鼓膜を吸引すると、鼓室から鼓膜を持ち上げることができます。次いで、鼓膜チューブを長期間留置すると、へこんだ鼓膜が正常な位置にまで戻ることが多いのですが、治るまで年単位の期間が必要です。
 癒着初期の治療では、一度癒着が起こると鼓膜を正常な位置に戻すことはできないため、聴力が正常であれば、特に治療をせず、経過を観察します。滲出性中耳炎を伴う場合は、さらに悪化しないように鼓膜チューブ留置を行います。風邪を引いた後は滲出性中耳炎が必ず起こるため、鼓膜チューブ留置と耳管通気療法を併用して行い、耳小骨が破壊されないようにします。
 癒着中期の治療では、鼓膜が癒着してさらに長期間が経過し、耳小骨が破壊されて中等度の伝音難聴が起こっている段階のため、入院して、癒着した鼓膜を剥離(はくり)挙上するとともに、耳小骨連鎖の再建を行う聴力改善手術を行います。
 癒着後期の治療では、さらに長期間が経過し、中耳の炎症が内耳にも波及して混合難聴が起こっている段階のため、耳小骨の離断が明らかであれば、鼓室形成術を行います。
 癒着末期の治療では、普通の会話の10倍以上の音が聞こえない高度難聴である聾(ろう)になっている段階のため、鼓室形成術による聴力改善の望みはありません。左右両方が聾になった場合は、人工内耳を入れる手術を行います。




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■用語 薬剤性難聴 [用語(や行)]

[耳]病気の治療のために使用している薬剤の副作用により、内耳が障害を受けて発症する難聴
 薬剤性難聴とは、病気の治療のために使用している薬剤の副作用によって、耳の奥にある内耳が障害を受けたことで発症する難聴。
 正常な場合よりも聴力が低下した状態である難聴は、伝音(でんおん)難聴(伝音性難聴)、感音(かんおん)難聴(感音性難聴)、混合難聴(混合性難聴)の3つに大きく分けられます。
 伝音性難聴は、空気の振動として耳に入ってくる音が外耳の一部である外耳道や、外耳と中耳の境目にある鼓膜、中耳内にある耳小骨を震わせて振動を伝えていく部分に、障害が生じたために起こります。音が十分に伝わっていかないため、音が鳴っていること自体を把握することが難しい性質を持っています。
 感音難聴は、音を感じる内耳から聴覚中枢路にかけて障害が生じたために起こる難聴。突発性難聴や騒音性難聴の場合も、感音難聴に含まれます。
 混合難聴は、伝音難聴と感音難聴の両方の特徴を併せ持った難聴。多くの老人性難聴は混合難聴ですが、どちらの度合が強いかは個人差が大きいといえます。
 また、難聴の度合は一般的に、平均聴力レベルが20デシベルまでを、ささやき声もよく聞こえる正常聴力として、40デシベルまでを、小声が聞きにくい軽度難聴、70デシベルまでを、普通の声が聞きにくい中度難聴、70デシベル以上を、大きな声でも聞きにくい高度難聴、90デシベル以上を、耳元での大きな声でも聞こえない重度難聴、100デシベル以上を、通常の音は聞こえない聾(ろう)に分けます。
 こうした難聴を引き起こす薬剤は耳毒性薬剤とも呼ばれ、結核の治療に用いられる抗生剤(抗生物質)のストレプトマイシンやカナマイシン、ゲンタマイシンなどが代表として挙げられます。
 ストレプトマイシンなどは、アミノ配糖体系というグループに属する薬剤で、普通の炎症に用いる薬剤にもこのグループに属している薬が多く、アミノ配糖体系の薬剤は程度の差はあれ、すべて耳毒性(聴器毒性)を持っています。しかも、注射で全身的に使用した場合だけではなく、点耳薬のように局所的に使用した時にも難聴が起こることがあります。
 抗生剤のほかにも、利尿剤のフロセミド、抗がん剤のシスプラチンやアルキル化薬、リウマチ治療剤のサリチル酸などが、難聴を引き起こす薬剤として挙げられます。その耳毒性は、アミノ配糖体系薬剤よりは軽度です。
 いずれの薬剤でも、内耳の感覚細胞の障害が発生します。また、薬剤の種類により、音を感じる蝸牛(かぎゅう)に主に障害が起こる難聴と、体の平衡感覚に関係する前庭・三半規管に主に障害が起こる難聴とに分けられます。
 薬剤性難聴の症状としては、蝸牛に主に障害が起これば、耳鳴りから始まり、続いて難聴に気付くパターンが多いのですが、耳鳴りはない場合もあります。
 初期段階では高い周波数の難聴から始まり、次第に会話で使うような低い周波数の難聴へと進行してゆきます。難聴は両方の耳に同時に起こることが多く、症状が進むと、両耳とも全く聞こえなくなることもあります。
 また、薬剤によって前庭・三半規管に主に障害が起これば、めまい感やふらつきが生じ、時には吐き気、頭痛が現れるケースもあります。特に、両側の前庭・三半規管が高度に損なわれた場合には、歩行時に景色がぶれるようになり、歩行障害や転倒の原因になります。
 難聴を引き起こす薬剤には耳毒性があるため、難聴以外の症状が出ることがあり、注意が必要です。薬剤の使用開始後に耳鳴り、難聴、めまい感、ふらつきが現れたら、すぐに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し早期発見することが必要です。
[耳]薬剤性難聴の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、純音聴力検査により難聴の程度、平衡機能検査により平衡障害の程度を評価します。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、副作用の症状を認めた場合、原因となる薬剤の特定を行い、中止してもよい薬剤であれば、直ちに使用を中止します。ほかの薬に切り替える場合もあります。
 薬剤の使用を中止しても難聴が治らないばかりか、さらに悪化する場合があります。ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)、ビタミン剤などによる治療を行っても、治療効果が期待できない場合がほとんどです。
 従って、アミノ配糖体系の薬剤など耳毒性のある薬剤を病気の治療に使う前には検査を行い、使用中も定期的に聴力検査を繰り返し、日常生活に支障を来すほどの難聴が起こらないように予防することが大切になります。
 アミノ配糖体系の薬剤で難聴が起こるかどうかは個人差が大きく、長期間使用しても難聴にならない人もいますし、短期間の使用で難聴になる人もいます。このため、薬の使用量から難聴の起こる時期を予測することはできません。
 日常会話で難聴を自覚していなくても、耳鳴りが起こったら、高い音から聞き取れなくなる内耳障害が起こっていないか、聴力検査を受ける必要があります。
 なお、アミノ配糖体系の薬剤には、耳毒性だけではなく、腎(じん)毒性もあり、利尿剤のフロセミドを併用すると内耳と腎臓に対する毒性が増強します。また、腎機能が低下している人や高齢者は薬が体内に蓄積しやすく、難聴が起こりやすくなることを念頭においておく必要があります。




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■用語 指曲がり症 [用語(や行)]

[手(パー)]手指の関節軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形する疾患
 指曲がり症とは、手指の関節軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形する疾患。手指の変形性関節症とも呼ばれます。
 手指の先端の第1関節(DIP関節)に生じる指曲がり症はへバーデン結節と呼ばれ、手指の中央の第2関節(PIP関節)に生じる指曲がり症はブシャール結節、親指の付け根の第1手根中手骨(しゅこんちゅうしゅこつ)関節(母指CM関節、MP関節)に生じる指曲がり症は母指CM関節症です。
 一番多いのがヘバーデン結節で、指が節くれ立って、しかも第1関節のところで曲がってくる疾患。約200年前に、英国の医師ヘバーデンが初めて報告しました。
 かつては珍しい疾患でしたが、最近は日本でも患者が増えています。しばしばリウマチと間違われますが、実体は変形性関節症です。
 程度の差こそあれ、親指から小指にかけてどの指も、第1関節の部分が節くれ立ちます。また、その関節で変形し、横に曲がります。変形の型は屈曲変形、側方への曲がりと多様で、変形の程度もいろいろです。
 痛みを伴うこともあり、第1関節の動きも悪くなります。また、痛みのために強く握ることが困難になりますが、ある時期になると、痛みがなくなります。
 同時に、第1関節の背側に骨の変形によってできる盛り上がりである結節ができ、時に柔らかいはれを伴うことがあります。それぞれ骨棘(こっきょく)、粘液のう胞(ミューカスシスト)とも呼ばれています。
 原因は不明です。一般に40歳代以降の女性、特に更年期後の女性に多く発症します。男女比は1対10と圧倒的に女性に多く、男性には発症の平均年齢が高くなる傾向があります。
 手をよく使う人には、なりやすい傾向があります。遺伝性は証明されてはいませんが、母や祖母、姉妹がヘバーデン結節になっている人は、体質が似ていることを考慮して、指先に負担をかけないように注意する必要があります。
 全身の関節に変化が起きることがあるリウマチと違って、ヘバーデン結節がほかの部分の関節に波及することはありません。
 手指の中央の関節である第2関節に生じる類似の指曲がり症がブシャール結節で、はれ、痛み、こわばり、変形などの症状が現れます。
 長年の指の使用や繰り返される過度の負担のために、加齢に伴って第2関節の軟骨が擦り減って、周囲の骨が変形するために、ブシャール結節を発症します。
 進行すると、手指の曲げ伸ばしができなくなったり、手指が横に曲がった状態で固まってしまったりします。同時に、指関節の背側の一部がこぶのように盛り上がってしまうことがあります。ぞうきんを絞ることができなかったり、字を書くことが不便になったりすることもあります。
 通常、ブシャール結節は一つの手指から始まり、次第に両側の手指の第2関節に広がっていく特徴があります。
 中高年、特に女性に多く発症します。また、手指の第1関節に現れるへバーデン結節の20パーセント程度に合併して、ブシャール結節が現れます。
 手指の第2関節のはれ、痛み、こわばり、変形が続く場合には、関節リウマチやほかの膠原(こうげん)病の可能性もあるため、整形外科を受診し、関節リウマチなどと見分けた上で、対処することが勧められます。
 さらに、親指の付け根の第1手根中手骨関節に生じる指曲がり症が母指CM関節症で、関節軟骨が擦り減り、骨同士が直接ぶつかり合うことで痛みを覚える疾患。
 第1手根中手骨関節は、手指の手前の甲の骨である第1中手骨と、手首の小さい骨である大菱形骨(だいりょうけいこつ)の間にある関節で、親指が他の指と向き合って、物をつまんだり、握ったりなどの動作をする上で、大きな働きを担っています。
 そのぶん使いすぎや老化に伴って、関節軟骨の摩耗が起きやすく、進行すると関節がはれ、第1中手骨の基部が外側に亜脱臼(あだっきゅう)してきて、親指が変形してきます。
 母指CM関節症を発症すると、物をつまむ時や瓶のふたを開ける時など親指に力を必要とする動作で、親指の付け根付近に痛みが出ます。進行すると、この付近が膨らんできて、親指が横に開きにくくなります。また、親指の指先の関節が曲がり、手前の関節が反った白鳥の首と呼ばれる変形を示してきます。
 ひどくなると安静時にも痛かったり、変形が気になるようになってきます。
 中高年女性に多く見られ、手芸や園芸など手をよく使う趣味を持つ人だけでなく、特に何もしていない人でも発症します。近年は高齢化により、発症者数は急増しています。
[手(グー)]指曲がり症の検査と診断と治療
 整形外科の医師による指曲がり症の一つであるヘバーデン結節の診断では、手指の第1関節の変形、突出、痛みがあり、X線(レントゲン)写真で関節の透き間が狭くなったり、関節を形成する軟骨が壊れたり、骨棘があることが認められれば、へバーデン結節と確定できます。
 整形外科の医師によるヘバーデン結節の治療では、保存的療法として局所の安静や固定、投薬、局所のテーピング、温熱療法、運動療法などが行われます。急性期では、局所の固定、非ステロイド消炎鎮痛剤の投与、軟こう塗布、少量のステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の関節内注射などが行われます。
 保存的療法で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す場合は、第1関節を固定する手術、骨棘と粘液のう胞を切除する手術が行われることもあります。
 対処法としては、第1関節が痛む時は安静を心掛けます。痛くても使わなくてはならない時は、テーピングがお勧めです。ふだんでも、指先に過度な負担が生じることを避けます。
 整形外科の医師による指曲がり症の一つであるブシャール結節の診断では、手指の第2関節のはれ、痛み、こわばり、変形、盛り上がりがあり、X線(レントゲン)検査で関節の透き間が狭くなったり、関節を形成する軟骨が擦り減ったり、骨棘があることが認められれば、ブシャール結節と確定できます。
 関節リウマチやほかの膠原病との鑑別のために、血液検査を行う場合もあります。関節リウマチでは、手指の第2関節のほか、手首、肘(ひじ)など全身の関節に症状が現れます。
 整形外科の医師によるブシャール結節の治療では、ヘバーデン結節の治療と同じく、保存的療法として局所の安静や固定、投薬、局所のテーピング、温熱療法、運動療法などが行われます。急性期では、局所の固定、非ステロイド消炎鎮痛剤の投与、軟こう塗布、少量のステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の関節内注射などが行われます。
 保存的療法で痛みが改善しない時や、変形がひどくなったり関節の動揺性がひどくなって日常生活に支障を来す場合は、手術療法として、第2関節の固定をする関節固定術や、骨棘を切除して関節を整える関節形成術などを行うこともあります。
 対処法としては、第2関節が痛む時は指を動かさないように安静を心掛けます。痛くても使わなくてはならない時は、テーピングがお勧めです。ふだんでも、指先に過度な負担が生じることを避けます。
 整形外科の医師による指曲がり症の一つである母指CM関節症の診断では、X線(レントゲン)検査を行います。X線写真で、第1手根中手骨関節の透き間が狭く、関節軟骨が擦り減って骨が直接ぶつかり合った部位に、小さな突起である骨棘があったり、時に亜脱臼が認められると、確定できます。
 区別しなければならない疾患には、手首の親指側の腱鞘(けんしょう)炎であるドケルバン病や、リウマチによる関節炎があります。
 整形外科の医師による母指CM関節症の治療では、痛みが軽いうちは消炎鎮痛剤入りの湿布剤などの外用薬を用います。関節保護用の軟性装具を着けるか、固めの包帯を親指から手首にかけて8の字型に巻いて動きを制限することもあります。
 それでも不十分な際は、消炎鎮痛剤の内服、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の関節内注射を行います。
 痛みが強く、亜脱臼を伴う高度な関節の変形や親指の白鳥の首変形が見られる際には、大菱形骨の一部を取り除いて関節を作り直す関節形成術、関節を動かないように固定する関節固定術、人工関節を使う人工関節置換術などの手術を行うこともあります。




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■用語 腰椎分離症 [用語(や行)]

[ダイヤ]腰に5つある腰椎の前方と後方の骨が分離して連続性が絶たれ、腰痛が生じる状態
 腰椎(ようつい)分離症とは、腰に5つある腰椎の前方部分と後方部分の骨が分離し、連続性が絶たれた状態。主な症状は、腰痛です。
 腰椎の椎間板の付いている前方部分の椎体と、椎間関節の付いている後方部分の椎弓との間にある椎弓根が割れて、椎体と椎弓、つまり腰椎の前方部分と後方部分の連続性が椎弓根の部分で絶たれて、離れ離れになった状態です。
 腰椎分離症には、先天性のものと後天性のものがあります。先天性の腰椎分離症は生まれ付きのもので、分離以外にも椎体や椎弓の形態異常を認めることが多く、腰椎の1つ、または複数が前後にずれて、腰椎の中の神経を圧迫し、腰痛や下肢の痛み、しびれが生じる腰椎すべり症を生ずることがあり、注意が必要です。
 後天性の腰椎分離症の多くは、骨も筋肉も成長途中で未熟な青少年期、特に10歳から14歳くらいで激しいスポーツなどを行い、繰り返し腰椎に負荷がかかったために、椎弓根が疲労骨折を起こしたために生じています。
 腰に重い負担がかかる激しい陸上運動や、激しい腰のひねり、強い屈伸や背屈を伴う運動が原因になることもあります。しかし、スポーツは原因の一つであり、体質的に骨が弱い要素もあります。
 この腰椎分離症は、積み木のように重なっている腰椎の第4、第5腰椎に特に多く発症します。分離した腰椎とその下の腰椎の連結が椎間板だけとなるために、腰椎が不安定になります。不安定の状態で、筋肉や靭帯(じんたい)に腰椎を支えるための重い負担がかかると、炎症も起こりやすくなります。
 最も多い症状は鈍く重い腰痛で、急性腰痛症(ぎっくり腰)のような急な痛みではありません。まれに、下肢の痛みやしびれを伴う場合があります。そのほかの症状としては、同じ姿勢を続けると腰が痛くなったり、背中を後ろに反らせる、座る、立つ、歩くのがつらいなどが一般的です。激しい運動中に腰が抜けるなどの症状も出ます。
 腰椎に分離が生じると、これを修復しようと生体反応が起こり、分離部には肥厚した骨や線維性組織が形成されます。これらの組織が椎弓の関節突起部の真下を通る神経根を圧迫すると、下肢に痛みやしびれを生じさせることになります。背中を後ろに反らせると、分離部に圧迫が加わるために、痛みの程度がかなり増すことになります。
 青少年で腰椎分離症を発症し、激しい痛みがないために安静にもせずに成人までほうっておいて、その後、痛みが出ることもあります。この成人の腰椎分離症の場合、同じ姿勢を続けたり、長時間の立ち仕事や重労働の後に腰の痛みが強くなります。痛みが強くなる原因は多くあり、場合によっては腰を曲げられなくなるほどの激しい痛みが強く出ることもあります。
 腰椎分離症は、日本人の5~7パーセントくらいにあるといわれています。青少年のスポーツ活動で腰痛が出現する場合は、腰椎分離症を疑ってみることも必要です。腰椎分離がたまたま撮られたX線(レントゲン)検査により発見されても、全く無症状で痛みがない場合もあり、症状が軽度であれば心配する必要はありません。
 しかし、腰痛とともに下肢の痛みやしびれがある場合は、整形外科で相談されることが勧められます。腰椎分離症を治療せず放置しておくと、大人になってから腰椎が前後にずれる腰椎すべり症などの慢性腰痛の原因になることもあるからです。
[ハート]腰椎分離症の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査を行えば、容易に腰椎分離症と確定できます。しかし、腰椎分離があっても、必ずしも症状を現しているとは限らないので、注意を要します。
 そのほかの画像検査としてCT(コンピューター断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像)検査がありますが、これらは主に手術を前提に神経の圧迫の状態を調べたり、腰椎分離部をはっきりと観察するために行うことが多くなっています。
 整形外科の医師による治療では、青少年の腰椎分離症の場合、急性期であれば6カ月ほどのコルセット着用で分離部の骨癒合が期待できます。この時に用いるコルセットは、整形外科で腰部の型をとって作るもので、市販のコルセットでの効果は確認されていません。
 成人の腰椎分離症の場合、仕事中にコルセットを着用することによって、労働による腰痛の予防効果があります。
 薬物療法では、痛みに対して消炎鎮痛剤や筋弛緩(しかん)剤などを用います。また、神経賦活剤や末梢(まっしょう)循環改善剤なども用いて、神経の修復を助ける働きを起こさせます。
 そのほかの保存療法には、腰痛に対しての温熱療法を主とした理学療法や、下肢痛やしびれに対しての神経ブロック療法などがあります。
 これらの保存治療でも症状が改善しない場合は、手術療法が選択肢に入ってきます。腰椎分離症では、椎体と椎弓の連絡性が途絶えた不安定な状態が原因なので、通常、脊椎固定術と呼ばれる手術が行われます。
 固定術は不安定な腰椎同士を固定して動きをなくす方法で、最近ではチタン合金の固定器具が補助的に用いられるようになっています。
 特殊な例として、椎間板変性のない青少年の腰椎分離症に対して、分離部をつなぐ分離部修復術と呼ばれる方法も行われつつあります。




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