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■用語 有痛性筋けいれん [用語(や行)]

[ー(長音記号2)]運動中や睡眠中に、ふくらはぎの筋肉が突然、けいれんして激しい痛みを伴う状態
 有痛性筋けいれんとは、ふくらはぎの筋肉が突然、けいれんして激しい痛みを伴う状態。腓腹(ひふく)筋けいれん、こむら返り、こぶら返り、筋クランプとも呼ばれます。
 同じような有痛性の筋肉のけいれんは、太もも、足の裏、首、腹などにも起こります。有痛性筋けいれんが起こりやすいのは、登山や水泳などの運動中や睡眠中。立ち仕事の多い人や、高齢者に多くみられます。局所的けいれんは無痛なケースが多いものの、一般的には激痛を伴います。
 原因の多くは筋肉の疲れや冷え、運動不足、いつもと違う動きをしたことなどによるものです。血液の電解質異常、腎臓(じんぞう)や心臓の病気、糖尿病、腰椎(ようつい)の病気などが原因で起こる場合もあります。
 人間の体は、筋肉の収縮と弛緩(しかん)を調節することによって、バランスのとれた動きをします。この筋肉の調節の仕組みは、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経からの信号が末梢(まっしょう)神経を通って筋肉に送られて、筋肉の収縮が起こり、次に筋肉や腱(けん)のセンサーから逆方向に信号が中枢神経に送られ、どれくらい収縮するか弛緩するかが決められています。
 有痛性筋けいれんは、この仕組みの中で起こる異常収縮で、ふくらはぎの腓腹筋が異常な緊張を起こし、収縮したまま弛緩しない状態になり、激しい痛みを伴います。
 筋肉の異常収縮が起こる理由は、2つ考えられます。1つは、神経や筋肉が刺激を受けやすい状態になっていることです。運動などで多量の汗をかいた時は、血液中のナトリウムやカリウムなどの電解質のバランスが崩れ、神経や筋肉が興奮しやすくなります。
 もう1つは、筋肉や腱のセンサーがうまく作動しないことで、立ち仕事の後や、久しぶりに運動した後、加齢とともに夜に起こりやすくなる有痛性筋けいれんなどに相当します。足の筋肉が緊張した状態が長時間持続すると、センサーが常に刺激された状態に置かれ、やがてセンサーがうまく働かなくなります。この時に、ふくらはぎに余分な力がかかるとセンサーが過剰に反応し、異常な収縮が引き起こされ有痛性筋けいれんが起こります。
 高齢者では、慢性の運動不足のために常に腓腹筋が緊張した状態にあり、少し脚を伸ばしたりふくらはぎを打っただけでも、有痛性筋けいれんを起こすことがあります。
 また、寝ている時は脚の温度が低下し、センサーの感度が鈍くなることも理由に挙げらます。布団の重みや重力のため足先が伸びた状態になっていることも、有痛性筋けいれんを起こしやすくします。寝ていて伸びをする時に、かかとを前に出すようにすると少なくなります。
 ほとんどの有痛性筋けいれんは病気とは無関係に起こるものですが、健康な人でも夏に多量の汗をかいた時に水だけ飲んで電解質が補給されないと、熱けいれんと呼ばれる有痛性筋けいれんを起こすので危険です。妊娠中のカルシウム不足、下痢によるカリウム不足などでも起こりやすくなります。
 利尿剤やある種の漢方薬、民間薬などの薬剤も、電解質バランスを崩すことがあります。アルコール依存症や胃摘出後数年たってからビタミン欠乏によって起こることもあり、近年では、若者の食生活の偏りによるビタミンB1不足によって起こることも増加しています。
 腎臓や心臓の病気、糖尿病のほか、ある種の筋肉や神経の病気、甲状腺の病気でも、有痛性筋けいれんが起こりやすくなることがあります。腰椎の変形が原因で、脊髄神経を圧迫するために神経の異常な興奮が起こりやすくなり、有痛性筋けいれんを起こすこともあります。
[ー(長音記号2)]有痛性筋けいれんの対策と軽減策
 頑固な有痛性筋けいれんや、足以外の筋肉にけいれんが起こる場合は、整形外科、内科、内分泌代謝科、老人科などの医師による診察が必要です。
 医師による治療では、基礎疾患があればその改善を図るのが原則で、有痛性筋けいれんがひどい時には、筋弛緩薬、抗不安薬、漢方薬などを用い、電解質を改善する薬、タウリン、糖尿病の合併症に使用する薬を用いることもあります。一般的には、ビタミンEを摂取すると効果的といわれています。
 薬の内服で症状が改善すれば、薬は減量または中止することが望ましく、再発するようであればその都度内服するようにします。
 スポーツや立ち仕事の後では、筋肉の疲労をとることが予防に大切。血行をよくする意味からスポーツマッサージや指圧などを早めに行い、スポーツドリンクなどで水分と電解質の補給を心掛けます。
 また、慢性的な有痛性筋けいれんでは運動不足の注意信号と考え、ふだんから脚のストレッチやマッサージをすることが予防になります。寝る前に、軽いストレッチやマッサージをするのもお勧めです。
 カリウムやカルシウム、マグネシウムなどの電解質を補給するために、野菜や果物、海藻類、牛乳、小魚などをバランスよく食べることも、予防に役立ちます。ビタミンB1も筋肉代謝には重要な成分といえるので、多くを含む卵や豚肉、ぬか漬けなどを食べるようにします。
 予防に心掛けても有痛性筋けいれんが起きてしまった時は、片方の手で痛いところを優しくさすって、もう片方の手で足のつま先をゆっくり顔の方へ曲げるようにして、ふくらはぎの筋肉をよく伸ばします。そうすれば、少しずつ痛みは治まります。




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■用語 有痛性分裂膝蓋骨 [用語(や行)]

[ー(長音記号2)]運動中などに、膝の皿に相当する膝蓋骨のやや外側上方がズキズキと痛む障害
 有痛性分裂膝蓋骨(しつがいこつ)とは、運動中などに、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋骨のやや外側上方がズキズキと痛む障害。
 成長期の10~17歳の男子に多くみられる障害で、何らかの原因により分裂した膝蓋骨に痛みが生じ、運動や歩行に障害を来すものです。
 膝蓋骨の分裂部分は、外側に多く、特に大腿(だいたい)四頭筋の外側広筋が付着している外側上方で最も多く認められます。また、2分裂だけではなく、3分裂やそれ以上の多分裂も認められることがあります。膝蓋骨の分裂が認められる人のうち、約40パーセントの人は両膝に分裂が認められるといわれています。
 正常では1つの骨である膝蓋骨が2つ以上に分裂する分裂膝蓋骨の原因は、まだはっきりわかっていません。先天性異常、後天的癒合不全、外傷性癒合不全など諸説があります。
 ただし、分裂膝蓋骨は、無症状の場合も多く、必ず障害をもたらすわけではありません。痛みや機能障害を生じる分裂膝蓋骨を、特に有痛性分裂膝蓋骨と呼びます。
 膝蓋骨は、成長軟骨より骨が形成される元になる部分である小さな骨核(こつかく)と、大部分の成長軟骨から始まり、成長とともに徐々に成長軟骨部分の骨化が進み、成人と同様の形に形成されていきます。その過程で、外側上方の骨形成が最も遅いのが起因となって、有痛性分裂膝蓋骨が外側上方に発症する確立が高くなると考えられています。
 また、骨形成が完成する前の成長軟骨部分は耐久性に劣るため、外力に対する抵抗力が完成された骨と比較して物理的にもろく、さらに、膝蓋骨の外側上方には強力な大腿四頭筋の外側広筋が付着し、その外側広筋の張力の影響を受けやすいことから、骨形成が部分的に阻害された結果、有痛性分裂膝蓋骨が外側上方に発症する確立が高くなると考えられています。
 有痛性分裂膝蓋骨は、その多くで事故や転倒などの外傷や、スポーツによる過剰負荷など何らかの外力がさらに加わることで 、分裂骨片と膝蓋骨本体の間をつなぐ軟骨や線維を損傷し、症状が出現します。
 症状としては、膝蓋骨の外側上方もしくは下端に痛みを生じます。痛みは運動で誘発され安静で軽快しますが、ひどくなると階段の昇降や歩行で痛みが誘発され、日常生活に支障を来すことがあります。膝蓋骨の盛り上がりを触知することがあり、指で押すと痛みます。
 有痛性分裂膝蓋骨を生じやすいスポーツとしては、野球、サッカー、バレーボール、バスケットボール、陸上競技が挙げられます。
[ー(長音記号2)]有痛性分裂膝蓋骨の検査と診断と治療
 整形外科、ないし形成外科の医師による診断では、触診で膝蓋骨の分裂部分に骨性の盛り上がりを感知することがあります。また、癒合不全により骨の位置のずれ(転位)がある場合は、異常可動性を感知することもあります。
 X線(レントゲン)検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査を行うと、分裂した膝蓋骨が確認できます。
 整形外科、ないし形成外科の医師による治療では、症状が軽度の場合は、痛みが治まるまでスポーツを中止して安静を保つことで、自然と痛みは治まります。
 症状がより積極的な治療を必要とする場合は、炎症を抑える目的で、膝蓋骨を温める温熱療法、消炎鎮痛剤入りのシップ薬や塗り薬による薬物療法を行います。膝への負担を軽くするには、膝をテーピングやサポーターで固定する装具療法、外側広筋を中心に筋肉を鍛え、柔軟性をつける運動療法を行います。
 これらで症状が改善しない場合は、膝蓋骨の分裂部分への局所麻酔剤の注射や、副腎(ふくじん)ステロイド剤の注射を行います。
 それでも痛みなどの症状が改善しない場合や、何度も再発を繰り返す場合は、膝蓋骨の分裂骨片の摘出、分裂骨片の接合、外側広筋や外側支帯という腱(けん)の切離などの手術を行います。外側広筋や外側支帯を切離する手術によって、膝蓋骨の外側上方にかかる筋肉の張力を除外することで、痛みが消失したり、分裂した部分の癒合が起こるなどの改善がみられることもあります。
 予防法としては、膝への負担を減らすことが第一です。運動前後のウォームアップとクールダウンはしっかり行い、膝を急激に動かしたり、ジャンプ動作を繰り返したり、長時間のランニングを行うなど、膝を酷使する無理な運動は避けるようにします。




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■用語 有鉤骨骨折 [用語(や行)]

[野球]手のひらの根元部分にある有鉤骨の突起部分に生じる骨折
 有鉤骨(ゆうこうこつ)骨折とは、手のひらの中央からやや下、小指寄りにある有鉤骨の体部から、手のひら側にマストのように突出した鉤に生じる骨折。有鉤骨鉤骨折とも呼ばれます。
 有鉤骨は手のひらの根元部分にある手根骨の一つであり、野球、ゴルフ、テニス、体操、自転車レースなどのスポーツで手のひらに衝撃が加わった場合や、スポーツ中や交通事故で転倒して手のひらを強く突いた場合に、手根部の横アーチに強い緊張がかかって有鉤骨骨折が生じます。
 野球ではしばしばみられ、打者がボールを打つ時に直接手のひら、特に小指側の手のひらの筋肉の膨らみである小指球に強い衝撃を受けたり、バットを強く握った手の中でグリップエンドがずれることで、有鉤骨の鉤状に突出した部分を骨折することがあります。
 中でもファールチップをした時は、バットを振った力がボールに伝わらずバットを持った手のひらに負荷がかかるため、骨折しやすくなります。
 ゴルフでは、ゴルフクラブで芝生を打ち付けたりした際に、手のひらに強い衝撃を受けるため、有鉤骨の鉤を骨折することがあります。
 ボールとラケットの質量が小さいテニスでは、手のひらへの1回の衝撃というよりも繰り返し衝撃を受けることが原因となって、有鉤骨の鉤を疲労骨折することがあります。
 野球やゴルフでも、バットやゴルフクラブを長期間にわたって熱心に振り続けた結果、有鉤骨の鉤を疲労骨折することもあります。
 有鉤骨骨折を生じると、手のひらの根元部分のやや小指側に痛みとはれが出現します。小指のしびれや握力の低下が出現することもあります。
 有鉤骨の鉤を骨折すると、折れた骨が有鉤骨の近くにあるギヨン管(尺骨〔しゃくこつ〕神経管)の中を通る尺骨神経を圧迫することもあり、この場合にはギヨン管(尺骨神経管)症候群を起こし、手首の手のひら側から小指、薬指の小指側に痛み、しびれが出現します。
 進行ととともに、筋肉の委縮、握力の低下、巧緻(こうち)運動障害、小指が曲がったままになる鉤爪(かぎづめ)変形と呼ばれる現象も起こります。
 有鉤骨骨折はまれに起こる骨折ですが、1回の強い衝撃がなくても、小さい負荷が繰り返し長期間かかり続けて疲労骨折することもあるため、骨折と気が付かず手首の捻挫(ねんざ)と勘違いすることもあります。
 スポーツのスイングなどで手首が痛くなり、痛みがなかなか引かないような場合は、重篤な症状になる前に整形外科を受診し、正確な診断を受けることが勧められます。
[野球]有鉤骨骨折の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、まずX線(レントゲン)検査を行います。ただし、有鉤骨の鉤の構造上の位置関係から、普通に正面や横から撮影しただけでは骨折が判別できず、手関節を最大背屈位や軽度回外位にし、特殊撮影を行うことで明らかになる場合もあります。
 より正確に診断するには、CT(コンピュータ断層撮影)検査、またはMRI(磁気共鳴画像撮影)検査が有効で、完全に骨折していないヒビの入った状態でも判別できます。
 整形外科の医師による治療では、受傷直後に診断され、骨の位置のずれ(転位)が少ない場合には、6週間の前腕以下のギプス固定で骨癒合することも考えられます。骨癒合すれば、十分にスポーツ活動への復帰は可能です。
 骨の位置のずれ(転位)が大きい場合や、早期にスポーツ活動や社会生活への復帰を希望する場合には、手術が行われます。有鉤骨は血流の乏しい部位であるために骨癒合しにくく、手術をしたほうが復帰が早くなる上に、ギヨン管(尺骨神経管)症候群などの合併の防止にもつながるからです。
 手術の方法には、骨接合術と鉤切除術の2つがあります。ただし、有鉤骨の鉤の断面が湾曲していることや、骨そのものが小さいこともあり、骨接合術はかなり難しくなります。うまくいかなかった場合は、骨折部の血流が悪いために骨がくっつかないまま、関節部ではないのに関節のようになる偽関節形成や、屈筋腱(けん)の皮下断裂を起こす可能性もあるため、鉤切除術を第1選択とし、有鉤骨の鉤部分を取り除きます。
 鉤切除術を行った場合、1週間のギプス固定の後に手の使用を開始できますが、4~6週間は手のひらの根元部分の小指側に力をかけないように注意します。有鉤骨骨折から復帰するためには、6~12週間の安静とリハビリテーションが必要となります。




タグ:有鉤骨骨折 用語(や行) 用語 健康創造塾 カーパルトンネル症候群 手首トンネル症候群 肘トンネル症候群 インピンジメント症候群 ぶつかり症候群 挟まり症候群 骨髄線維症 椎間板変性症 滑膜骨軟骨腫症 橈骨遠位端骨折 化膿性骨髄炎 ドケルバン病 変形性母指手根中手関節症 サルコペニア 橈骨茎状突起痛 内側型野球肘 漏斗胸 肘離断性骨軟骨炎 上腕骨小頭骨軟骨障害 外側型野球肘 捕捉性ニューロパチー 絞扼性神経障害 肩峰下滑液包炎 石灰沈着性腱炎 肩腱板断裂 肩石灰沈着性腱炎 反復性肩関節脱臼 動揺性肩関節症 肩関節脱臼 肩関節不安定症 回旋筋腱板損傷 上腕二頭筋腱断裂 変形性肘関節症 指曲がり症 手指の変形性関節症 骨化性筋炎 異所性骨化 骨系統疾患 脊椎後湾症 円背 老人性円背 ミリタリーネック 脊柱靭帯骨化症 後骨間神経まひ 前骨間神経まひ 回外筋症候群 腱板断裂 フォレステイル病 デュプレー病 骨軟骨骨折 手指伸筋腱損傷 ボクサー骨折 中手骨頸部骨折 母指CM関節脱臼骨折 第1中手骨基底部骨折 中手骨骨幹部骨折 加齢性筋肉減弱症 胸椎黄色靭帯骨化症 若木骨折 アーミーネック 強直性脊椎肥厚症 遅発性尺骨神経まひ 橈骨頭亜脱臼 肘関節脱臼 リトルリーグ肘 コーレス骨折 橈骨遠位端伸展型骨折
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■用語 4pモノソミー [用語(や行)]

[ダイヤ]4番染色体の短腕の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害
 4p(よんぴー)モノソミーとは、22対ある常染色体のうち、4番染色体の短腕(4p)の一部分が欠損していること、また、それが原因で引き起こされる重度の先天性障害。4p欠失症候群、4pー(まいなす)症候群、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群とも呼ばれます。
 常染色体は性染色体以外の染色体のことであり、人間の体細胞には22対、44本の常染色体があります。それぞれの常染色体はX型をしていて、短腕(p)と長腕(q)という部分があり、4番染色体の短腕の一部分が欠損している状態が、4pモノソミーに相当します。
 4pモノソミーは、常染色体の一部分が欠けている常染色体部分モノソミーの一種で、常染色体部分モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれても知的障害を含む重い先天性障害を併発します。通常、2本で対をなしている常染色体が1本になる常染色体モノソミーが起こった場合は、胎児が生きて生まれることはできません。
 4pモノソミーの主な原因は、突然変異による4番染色体の変化が原因で、欠損が短腕の約半分に及ぶものから、欠損が微小なものまであります。なぜ突然変異が起こるのか、どの遺伝子がどの症状と関係しているのかまではわかっていません。
 まれに、両親からの遺伝が原因で起こります。転座といって、ほかの染色体の一部分が4番染色体の短腕に間違ってくっついていることにより起こり、この場合は両親の片方が染色体異常の保因者であることがあります。
 従来、5万人に1人程度の新生児に4pモノソミーが発症するとされてきましたが、医師に誤診されていたり、認識されていない発症者もいることから、頻度はもっと高いと推測されます。
 4pモノソミーの新生児は、鼻筋の高く通った幅広い鼻や、弓状の眉毛(まゆげ)、両眼隔離、小さい顎(あご)などを特徴とする顔立ちをしています。
 また、子宮内から始まる成長障害、重度精神遅滞、筋緊張低下、難治性てんかん、ほ乳障害、摂食障害を認めます。そのほかにも、骨格異常、先天性心疾患、聴覚障害、視神経異常、唇裂口蓋(こうがい)裂、尿路奇形、脳の構造異常などの症状を示します。
 体重の増加もゆっくりで精神と運動の発達遅滞がみられますが、個人差はあっても年齢とともに、食事、着衣、脱衣など日常の家庭内での単純な作業の分担もできるようになります。疾患自体による生命予後は比較的良好で、個々の予後は合併症の重症度によります。
[ダイヤ]4pモノソミーの検査と診断と治療
 小児科、遺伝科の医師による診断は、特徴的な顔立ち、成長障害、精神遅滞、てんかん発作により疑いを持ち、染色体検査により4番染色体の短腕欠損を検出することにより確定します。大人になってから4pモノソミーと診断されたり、子供のうちに診断される数は増えています。
 小児科、遺伝科の医師による治療は、対症療法が基本となります。てんかんのコントロールが最初の重要な治療で、抗けいれん薬(バルプロ酸など)を投与します。嚥下(えんげ)障害があれば、経管栄養や摂食訓練が必要となることもあります。
 精神遅滞のためにコミュニケーションが困難ですが、仕草や表情である程度の意思疎通は可能で、運動発達、認知、言語、社会性の能力を伸ばすための訓練を行います。
 骨格異常、先天性心疾患、聴力障害、眼科的異常などの合併症に対しては、標準的な対症療法を行います。

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