■用語 漏斗胸 [用語(ろ)]
胸板が陥没し、あたかも漏斗のような外観を示す胸郭の変形
漏斗胸(ろうときょう)とは、胸板が陥没し、あたかも漏斗のような外観を示す胸郭の変形。先天的に変形を認めるもので、小児期に発症します。
脊椎(せきつい)から左右に12本の肋骨(ろっこつ)が出ていますが、この肋骨は前の方で肋軟骨となり、前胸部の中心にある胸骨につながっています。この胸骨が陥没しているのが漏斗胸ですが、先天的に肋軟骨が後方に過剰発育するのが原因と考えられています。
それゆえ、幼児期にはそれほど目立たなかったものが、成長とともに陥没がひどくなることがあります。
数百人に1人の頻度で発生し、男女比は4対1で男子に多いとされています。女性は胸の膨らみで隠せるため、実際にはそれほど差はないと見なされています。
遺伝が関係している場合もあり、マルファン症候群、くる病、骨形成不全症などさまざまな疾患の一症状として出現することがありますが、その一方で全く遺伝的関係のない場合もあります。
また、まれではありますが、鳩胸(はとむね)と呼ばれ、胸板が前方に突出し、あたかも鳩の前胸部を思わせるような胸郭の変形と、漏斗胸による胸郭の変形を併発する場合もあります。例えば、右側の胸板が鳩胸で、左側の胸板が漏斗胸のような状態を示します。
外観上の胸の変形が主だったものであり、一般的には無症状です。しかし、高度な漏斗胸においては、心臓や肺が圧迫されて肺活量が減ったり、風邪、気管支炎、喘息(ぜんそく)などの呼吸器障害を起こしやすかったり、運動時に心臓の圧迫による循環障害を起こす場合があります。
また、扁桃腺(へんとうせん)のはれと漏斗胸が合併することがあり、扁桃腺による呼吸器症状が漏斗胸の陥没を増す可能性があります。この場合、扁桃腺を治療すると陥没が改善するケースもあります。
高度な漏斗胸においては、治療の重要性が改めて評価されつつあります。身体的症状よりも、むしろ美容上の著しい変形を気にすることによる精神的苦悩のほうが問題になり、プールに入るようになると悩む小児もいますので、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科の医師を受診することが勧められます。
漏斗胸の検査と診断と治療
小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科の医師による診断は、その特異な胸郭の変形から容易ですが、胸骨の状態、心臓、肺への影響を調べるためにX線検査、CT検査、MRI検査、心電図検査などを行うことがあります。
小児科、小児外科などの医師による治療は、新生児、乳児期の漏斗胸の場合、胸の変形は時に自然治癒することがあるとされているため、ほとんどは経過観察します。
3、4歳以降になると自然治癒は期待できず、変形を矯正するためには手術を行うことになります。軽度の漏斗胸では、扁桃腺の治療や、水泳などの運動、筋肉トレーニングで胸筋を鍛え上げるとカバーできる可能性がありますが、補助的な役割であり、胸の陥没そのものが治ることはありません。
手術をするかしないかは、身体的障害の程度、機能的障害の程度、変形の程度、精神的障害の程度などを総合的に判断して、主治医、発症者本人、家族と相談の上、決定することになります。手術の時期は、骨が軟らかい小学校低学年前後が最適とされています。
漏斗胸の手術法としては、変形した部分の胸骨を引っくり返す胸骨翻転(ほんてん)術や、肋軟骨を切除して胸骨を上に持ち上げる胸骨挙上(きょじょう)法があります。
胸骨挙上法には、骨と軟骨に骨切りを加えて持ち上げる方法と、金属プレートによって骨切りをすることなく胸骨を持ち上げる方法の2種類があります。いずれの方法も利点と欠点がありますが、最近では後者が一般的に行われるようになってきました。
後者は開発したアメリカの医師にちなんでナス法と呼ばれ、胸の両わきを小さく切開し、そこから金属製の弓形のバーを陥没している胸骨の裏側に入れ、裏側から前方へと胸骨を押し出して矯正し、子供で約2年、成人で約3年程度胸骨をよい位置で固定し、再手術でバーを抜き取る方法です。
手術時間も短縮でき、胸に残る傷跡が小さいので、漏斗胸の手術の標準的なものになってきています。
ナス法による手術は、公的医療保険が使え、入院は10日前後で、再手術のための入院は3、4日ほど。手術後は3カ月ほどの運動制限が必要で、金属製のバーが入っている間は空手などのコンタクトスポーツはできません。
漏斗胸(ろうときょう)とは、胸板が陥没し、あたかも漏斗のような外観を示す胸郭の変形。先天的に変形を認めるもので、小児期に発症します。
脊椎(せきつい)から左右に12本の肋骨(ろっこつ)が出ていますが、この肋骨は前の方で肋軟骨となり、前胸部の中心にある胸骨につながっています。この胸骨が陥没しているのが漏斗胸ですが、先天的に肋軟骨が後方に過剰発育するのが原因と考えられています。
それゆえ、幼児期にはそれほど目立たなかったものが、成長とともに陥没がひどくなることがあります。
数百人に1人の頻度で発生し、男女比は4対1で男子に多いとされています。女性は胸の膨らみで隠せるため、実際にはそれほど差はないと見なされています。
遺伝が関係している場合もあり、マルファン症候群、くる病、骨形成不全症などさまざまな疾患の一症状として出現することがありますが、その一方で全く遺伝的関係のない場合もあります。
また、まれではありますが、鳩胸(はとむね)と呼ばれ、胸板が前方に突出し、あたかも鳩の前胸部を思わせるような胸郭の変形と、漏斗胸による胸郭の変形を併発する場合もあります。例えば、右側の胸板が鳩胸で、左側の胸板が漏斗胸のような状態を示します。
外観上の胸の変形が主だったものであり、一般的には無症状です。しかし、高度な漏斗胸においては、心臓や肺が圧迫されて肺活量が減ったり、風邪、気管支炎、喘息(ぜんそく)などの呼吸器障害を起こしやすかったり、運動時に心臓の圧迫による循環障害を起こす場合があります。
また、扁桃腺(へんとうせん)のはれと漏斗胸が合併することがあり、扁桃腺による呼吸器症状が漏斗胸の陥没を増す可能性があります。この場合、扁桃腺を治療すると陥没が改善するケースもあります。
高度な漏斗胸においては、治療の重要性が改めて評価されつつあります。身体的症状よりも、むしろ美容上の著しい変形を気にすることによる精神的苦悩のほうが問題になり、プールに入るようになると悩む小児もいますので、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科の医師を受診することが勧められます。
漏斗胸の検査と診断と治療
小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科の医師による診断は、その特異な胸郭の変形から容易ですが、胸骨の状態、心臓、肺への影響を調べるためにX線検査、CT検査、MRI検査、心電図検査などを行うことがあります。
小児科、小児外科などの医師による治療は、新生児、乳児期の漏斗胸の場合、胸の変形は時に自然治癒することがあるとされているため、ほとんどは経過観察します。
3、4歳以降になると自然治癒は期待できず、変形を矯正するためには手術を行うことになります。軽度の漏斗胸では、扁桃腺の治療や、水泳などの運動、筋肉トレーニングで胸筋を鍛え上げるとカバーできる可能性がありますが、補助的な役割であり、胸の陥没そのものが治ることはありません。
手術をするかしないかは、身体的障害の程度、機能的障害の程度、変形の程度、精神的障害の程度などを総合的に判断して、主治医、発症者本人、家族と相談の上、決定することになります。手術の時期は、骨が軟らかい小学校低学年前後が最適とされています。
漏斗胸の手術法としては、変形した部分の胸骨を引っくり返す胸骨翻転(ほんてん)術や、肋軟骨を切除して胸骨を上に持ち上げる胸骨挙上(きょじょう)法があります。
胸骨挙上法には、骨と軟骨に骨切りを加えて持ち上げる方法と、金属プレートによって骨切りをすることなく胸骨を持ち上げる方法の2種類があります。いずれの方法も利点と欠点がありますが、最近では後者が一般的に行われるようになってきました。
後者は開発したアメリカの医師にちなんでナス法と呼ばれ、胸の両わきを小さく切開し、そこから金属製の弓形のバーを陥没している胸骨の裏側に入れ、裏側から前方へと胸骨を押し出して矯正し、子供で約2年、成人で約3年程度胸骨をよい位置で固定し、再手術でバーを抜き取る方法です。
手術時間も短縮でき、胸に残る傷跡が小さいので、漏斗胸の手術の標準的なものになってきています。
ナス法による手術は、公的医療保険が使え、入院は10日前後で、再手術のための入院は3、4日ほど。手術後は3カ月ほどの運動制限が必要で、金属製のバーが入っている間は空手などのコンタクトスポーツはできません。
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■用語 ロキタンスキー症候群 [用語(ろ)]
子宮の発育が不完全で、膣が全くない先天性の障害
ロキタンスキー症候群とは、先天的に女性の腟(ちつ)全部が欠損し、機能性子宮を持たない疾患。ロキタンスキー・キュストナー・ハウザー症候群、メイヤー(マイヤー)・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー症候群とも呼ばれます。
ロキタンスキー症候群は、先天的に女性の腟の一部、または全部が欠損した腟欠損症の一種で、その中で最も頻度の高いものです。
腟欠損症の女性では、先天的な原因により腟や子宮の異常がさまざまな程度に起こります。染色体は正常女性型で、卵巣はほとんど正常にあり、女性ホルモンも正常に出ています。外陰部も正常で、女性としての二次性徴も正常です。
母親の子宮の中にいる胎児の時には、卵巣、腟・子宮・卵管、外陰部は別々に発生してきて、本来はこれらがうまくつながります。このうち、腟・子宮・卵管はミュラー管という組織が分化して形作られますが、たまたま分化が行われずに発生不全が起きると、子宮はわずかに痕跡(こんせき)を残す程度にしか発育せず、腟も長さが2~3センチと短いか、全くない状態になります。これが腟欠損症です。
はっきりした原因はまだわかっていませんが、血管に異常が起こってミュラー管へ血液が流れなくなり、正常な発生ができなくなると推測されています。
腟欠損症は、医学的には上部腟欠損、下部腟欠損、全腟欠損に分類されます。頻度は4000~5000人に1人とされ、そのうち95パーセントは月経を起こし得る機能性子宮を持ちません。
機能性子宮を持たず、全腟が欠損しているロキタンスキー症候群は、月経機能を失っている状態で、月経血の貯留による症状はみられず、無月経がほぼ唯一の症状となります。
卵巣からの排卵はありますが、体内で死滅して吸収され、体外に排出されるということはありません。また、先天的に腟全部が欠損していますので、普通の性行為はできません。まれに、骨の異常があることもあります。
自然妊娠はできませんが、ロキタンスキー症候群では膣や子宮に問題があっても、卵巣機能に異常はなく正常に機能している場合がほとんどですので、当然卵子は正常に作られています。つまり、卵子を採取して体外受精を行い、代理出産すれば、遺伝的につながった自分の子供を持つことは可能です。
倫理的な問題や、代理出産に伴うリスクなど課題を残しながらも、不妊に悩む人にとって代理出産は最後の切り札ともいえます。
ロキタンスキー症候群に気付いたら、婦人科医、ないし産婦人科医を受診してください。
ロキタンスキー症候群の検査と診断と治療
婦人科、産婦人科の医師による診断は、内診のほか、超音波検査、MRI検査、基礎体温の測定、血液中ホルモン検査、腎臓(じんぞう)と尿管の検査、骨のレントゲンなどを行います。
婦人科、産婦人科の医師による治療では、性行為ができるように人工的に膣を造る造腟手術を行います。子宮に異常を伴うため自然妊娠は不可能で、造腟手術により性行為を可能にして患者の精神的不具感をいやすことが治療の主眼となります。手術は、思春期以降の性的関係を持つ時期を目安に行われます。
造腟手術には数多くの術式があり、今なおさまざまな工夫が試みられています。主な術式は、フランク法、マッキンドー法、ダビドフ法、ルーゲ法の4つです。
フランク法は、腟前庭(ぜんてい)をヘガール持針器などで圧伸して腟腔(ちつくう)を形成したのち、その腟腔を拡張する方法。マッキンドー法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、皮膚移植により腟壁を形成する方法。ダビドフ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、骨盤腹膜を利用して腟壁を形成する方法。ルーゲ法は、出血を余儀なくされる処置で腟腔を形成したのち、開腹してS状結腸を切り離し、腟管として利用する方法。
以上4つの方法が従来行われてきましたが、近年では腹腔鏡下手術が行われることも増えてきました。患者の体にかかる負担を軽減し、骨盤腹膜やS状結腸を使った手術が可能となっています。
このような手術の後には、膣管の状態を維持する必要があります。定期的な性交渉やプロテーゼ(腟ダイレーター)により、状態を保たなければいけません。プロテーゼ(腟ダイレーター)とは、筒状の拡張器具のことを指し、皮膚を伸展させて腟腔を形成する目的で使用されます。
タグ:用語(ろ) ロキタンスキー症候群
■用語 ロイコプラキー(白板症) [用語(ろ)]
舌や口腔粘膜の上皮が白濁、角化する疾患
ロイコプラキーとは、舌や口腔(こうくう)粘膜の表面が白く濁り、触れると硬い疾患。白板(はくばん)症とも、口腔白板症とも呼びます。
この粘膜上皮が白濁、角化する状態は、いろいろな原因で起こります。継続的に作用する物理的、化学的な刺激で起こるもの、粘膜苔癬(たいせん)など慢性の炎症があって起こるもの、カンジダがついて起こるもののほかに、がん前駆症としてのロイコプラキーもあります。原因不明なものも少なくありません。従って、ロイコプラキーのすべてが悪性というわけではありません。
継続的に作用する物理的、化学的な刺激としては、たばこ、アルコール飲料、刺激性食品、過度なブラッシングによる擦過、虫歯、不適合な補綴(ほてつ)物と充填(じゅうてん)物である金冠や金属の詰め物、入れ歯などが挙げられます。
このロイコプラキーは、女性の2倍と男性に多くみられ、年齢では50歳〜70歳代に多くみられます。好発部位は舌で、次いで歯肉、ほお、口蓋(こうがい)、口腔底などが続きます。
症状としては、舌や口腔粘膜の一部がさまざまな程度の白色になり、徐々に表面にしわができます。白色の程度も高度になり、いぼ状に隆起してくるものもあります。また、隆起はしないで、赤い部分が混在してくるものもあります。白斑(はくはん)のみでは痛むことはありませんが、紅斑が混在するものでは痛みを伴うようになります。
長期に経過すると、ロイコプラキーからがんが発生することもあります。ある確率で、がんに発展するような皮膚の異常をがん前駆症といいますが、がん前駆症としてのロイコプラキーは、舌の側面に最も起こりやすく、不規則な形をしています。その一部が崩れて、腫瘍(しゅよう)やびらんができたり、割れ目を生じたり、隆起してくる場合には、注意が必要です。口腔扁平(へんぺい)上皮がんに進展する確率が高く、すでにがんを発生している場合があります。
ロイコプラキーの検査と診断と治療
口の中に、白色あるいは白色と赤色の混在する病変を見付けた場合、あるいは長い間続いていた口の中の異常が急に変化して、びらん、潰瘍(かいよう)を生じたり、大きさが増したりした場合には、すぐに皮膚科、口腔外科の専門医の診断を受けます。
ロイコプラキーの診断のためには、実際の病変の一部を切り取って、顕微鏡で組織検査をする生検を行います。広範囲に病変が存在する場合は、複数の部位より切り取ります。
ロイコプラキーの病理組織像は多彩で、種々な程度の角化の高進、有棘(ゆうきょく)層の肥厚、上皮下への炎症性細胞浸潤、上皮の種々の程度の異形成などが認められます。特に、がん化との関連性においては、上皮異形成の程度は重要になります。
治療としては、まず刺激源になっているものがあれば、除去します。次に、ビタミンAを投与し、反応するか否かを観察します。ビタミンAによる薬物治療に反応せず、生検で上皮異形成と診断される病変があれば、病変の粘膜を手術で切除します。広範囲の病変では、切除すると機能障害が出ます。
なお、ロイコプラキーのすべてが悪性というわけではなく、良性の変化にとどまることも多く、必ず治療しなければならないというものではありません。また、ロイコプラキーから口腔扁平上皮がんに進展しても、経過観察を定期的に行えば、極めて早期に対処することも可能です。
ロイコプラキーとは、舌や口腔(こうくう)粘膜の表面が白く濁り、触れると硬い疾患。白板(はくばん)症とも、口腔白板症とも呼びます。
この粘膜上皮が白濁、角化する状態は、いろいろな原因で起こります。継続的に作用する物理的、化学的な刺激で起こるもの、粘膜苔癬(たいせん)など慢性の炎症があって起こるもの、カンジダがついて起こるもののほかに、がん前駆症としてのロイコプラキーもあります。原因不明なものも少なくありません。従って、ロイコプラキーのすべてが悪性というわけではありません。
継続的に作用する物理的、化学的な刺激としては、たばこ、アルコール飲料、刺激性食品、過度なブラッシングによる擦過、虫歯、不適合な補綴(ほてつ)物と充填(じゅうてん)物である金冠や金属の詰め物、入れ歯などが挙げられます。
このロイコプラキーは、女性の2倍と男性に多くみられ、年齢では50歳〜70歳代に多くみられます。好発部位は舌で、次いで歯肉、ほお、口蓋(こうがい)、口腔底などが続きます。
症状としては、舌や口腔粘膜の一部がさまざまな程度の白色になり、徐々に表面にしわができます。白色の程度も高度になり、いぼ状に隆起してくるものもあります。また、隆起はしないで、赤い部分が混在してくるものもあります。白斑(はくはん)のみでは痛むことはありませんが、紅斑が混在するものでは痛みを伴うようになります。
長期に経過すると、ロイコプラキーからがんが発生することもあります。ある確率で、がんに発展するような皮膚の異常をがん前駆症といいますが、がん前駆症としてのロイコプラキーは、舌の側面に最も起こりやすく、不規則な形をしています。その一部が崩れて、腫瘍(しゅよう)やびらんができたり、割れ目を生じたり、隆起してくる場合には、注意が必要です。口腔扁平(へんぺい)上皮がんに進展する確率が高く、すでにがんを発生している場合があります。
ロイコプラキーの検査と診断と治療
口の中に、白色あるいは白色と赤色の混在する病変を見付けた場合、あるいは長い間続いていた口の中の異常が急に変化して、びらん、潰瘍(かいよう)を生じたり、大きさが増したりした場合には、すぐに皮膚科、口腔外科の専門医の診断を受けます。
ロイコプラキーの診断のためには、実際の病変の一部を切り取って、顕微鏡で組織検査をする生検を行います。広範囲に病変が存在する場合は、複数の部位より切り取ります。
ロイコプラキーの病理組織像は多彩で、種々な程度の角化の高進、有棘(ゆうきょく)層の肥厚、上皮下への炎症性細胞浸潤、上皮の種々の程度の異形成などが認められます。特に、がん化との関連性においては、上皮異形成の程度は重要になります。
治療としては、まず刺激源になっているものがあれば、除去します。次に、ビタミンAを投与し、反応するか否かを観察します。ビタミンAによる薬物治療に反応せず、生検で上皮異形成と診断される病変があれば、病変の粘膜を手術で切除します。広範囲の病変では、切除すると機能障害が出ます。
なお、ロイコプラキーのすべてが悪性というわけではなく、良性の変化にとどまることも多く、必ず治療しなければならないというものではありません。また、ロイコプラキーから口腔扁平上皮がんに進展しても、経過観察を定期的に行えば、極めて早期に対処することも可能です。
タグ:用語(ろ) ロイコプラキー(白板症) 用語 用語(ら行) 先天性白皮症 薬疹 ラテックスアレルギー 皮膚の病気 脂漏性皮膚炎 皮膚結核 接触皮膚炎(かぶれ) 主婦湿疹(手湿疹) じんましん(蕁麻疹) 痒疹 多形滲出性紅斑 紅皮症(剥脱性皮膚炎) 紫斑病 せつ、よう やけど(熱傷) いんきんたむし(股部白癬) 単純性疱疹(単純性ヘルペス) しらくも(頭部白癬) 口腔カンジダ症(鵞口瘡) 匙状づめ 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 掌蹠膿疱症 蜂窩織炎、丹毒 爪甲横溝 爪甲軟化症 白皮症 白板症 乾皮症 陥入爪 あせも(汗疹) とびひ(伝染性膿痂疹) ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSS症候群) 虫刺され(虫刺症) シラミ症 色素性母斑 リール黒皮症 ボーエン病 青あざ 茶あざ 尋常性疣贅 ミルメシア 母斑細胞性母斑 母斑 悪性黒色腫 口腔白板症 炎症性角化症(乾癬) 血管性紫斑病 スピッツ母斑 ウンナ母斑 正中部母斑 慢性じんましん 黒あざ 紡錐細胞性母斑 シェーンライン・へノッホ紫斑病
■用語 ロイシン [用語(ろ)]
必須アミノ酸の一つで、主な役割は肝機能の強化、筋肉の増強と維持
ロイシンとは、体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならない必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸の中でも、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれる3種類のアミノ酸の1つに数えられます。
ほかの必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるロイシン、バリン、イソロイシンの3種類は、筋肉で分解されるアミノ酸に相当し、運動時のエネルギー源となります。
成人の1日に必要な量は、体重1kg当たりロイシン39mg、バリン26mg、イソロイシン20mg(厚生労働省策定、日本人の食事摂取基準2010年版より)で、ロイシンの1日に必要な量は必須アミノ酸9種中では最大です。
レバーや牛乳、あじ、牛肉、米、小麦粉、とうもろこし、大豆、ほうれん草など、日ごろ、口にしている幅広い食品に含まれていますので、ロイシンはあまり不足するものではありません。
ロイシンの働きはいろいろありますが、分岐鎖アミノ酸の司令塔として、蛋白(たんぱく)質の分解の抑制と合成の促進の調整をしています。この働きは、ロイシンのインスリン分泌促進作用によるもの。ロイシンの不足によりインスリンの分泌が抑えられると、全身の活力の低下につながります。
ロイシンの働きには、肝機能の強化や、筋肉の増強と維持もあります。肝臓の働きが芳しくない人や、疲れやすく体調を整えたい人、筋肉をつけたい人には重要な栄養素です。風邪を引きやすい人、成長期の人にもお勧めです。免疫機能を強化する働きもあるので、体全体の力を底上げすることができるのです。
また、ロイシンは、ロイシン–エンケファリンという脳内に自然状態で分布している脳内麻薬様物質の構成成分になっています。ロイシン–エンケファリンには、苦痛とストレスによって生じる神経反応を緩和し、リラックスを促す作用があります。
どんな人にも必要で重要なロイシンですが、過剰に取ってもあまり意味はありません。必須アミノ酸は、バランスよくすべての種類がそろって、初めて有効な働きができます。どれか1種類だけをどんどん取り入れても、無駄なのです。
ロイシンを過剰に摂取してしまうと、ほかのアミノ酸とのバランスが崩れ、かえって体や毛髪に悪影響が出てしまうこともありますので、注意が必要です。
ロイシンとは、体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならない必須(ひっす)アミノ酸の一つ。必須アミノ酸の中でも、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれる3種類のアミノ酸の1つに数えられます。
ほかの必須アミノ酸が肝臓で分解されるのに対して、分岐鎖アミノ酸と呼ばれるロイシン、バリン、イソロイシンの3種類は、筋肉で分解されるアミノ酸に相当し、運動時のエネルギー源となります。
成人の1日に必要な量は、体重1kg当たりロイシン39mg、バリン26mg、イソロイシン20mg(厚生労働省策定、日本人の食事摂取基準2010年版より)で、ロイシンの1日に必要な量は必須アミノ酸9種中では最大です。
レバーや牛乳、あじ、牛肉、米、小麦粉、とうもろこし、大豆、ほうれん草など、日ごろ、口にしている幅広い食品に含まれていますので、ロイシンはあまり不足するものではありません。
ロイシンの働きはいろいろありますが、分岐鎖アミノ酸の司令塔として、蛋白(たんぱく)質の分解の抑制と合成の促進の調整をしています。この働きは、ロイシンのインスリン分泌促進作用によるもの。ロイシンの不足によりインスリンの分泌が抑えられると、全身の活力の低下につながります。
ロイシンの働きには、肝機能の強化や、筋肉の増強と維持もあります。肝臓の働きが芳しくない人や、疲れやすく体調を整えたい人、筋肉をつけたい人には重要な栄養素です。風邪を引きやすい人、成長期の人にもお勧めです。免疫機能を強化する働きもあるので、体全体の力を底上げすることができるのです。
また、ロイシンは、ロイシン–エンケファリンという脳内に自然状態で分布している脳内麻薬様物質の構成成分になっています。ロイシン–エンケファリンには、苦痛とストレスによって生じる神経反応を緩和し、リラックスを促す作用があります。
どんな人にも必要で重要なロイシンですが、過剰に取ってもあまり意味はありません。必須アミノ酸は、バランスよくすべての種類がそろって、初めて有効な働きができます。どれか1種類だけをどんどん取り入れても、無駄なのです。
ロイシンを過剰に摂取してしまうと、ほかのアミノ酸とのバランスが崩れ、かえって体や毛髪に悪影響が出てしまうこともありますので、注意が必要です。
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