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■用語 ローアーチ [用語(ろ)]

[足]足の裏の土踏まずのくぼんだ部分がなくなり、扁平化した足の変形
 ローアーチとは、足の裏の土踏まずのくぼんだ部分がなくなって、足の縦、横の軸とも扁平(へんぺい)化した足の変形。扁平足、フラットフットとも呼ばれます。
 起立時や歩行時には足の裏のアーチがつぶれていて、足の裏全体が地面にくっつきます。
 乳幼児では足底の脂肪が多いため、土踏まずがないのは当たり前のことで、8歳ごろで形成される足の裏のアーチができていないものをいいます。遺伝によるローアーチもありますが、生活の中で改善していけるものでもあります。スポーツ選手などでも土踏まずがなく、ローアーチに見える人もいますが、足の裏にも筋肉がついているのでそう見えるだけです。
 本当のローアーチは、立ち仕事を長時間する人に最もよくみられます。体重をかけていない時には土踏まずがある軟らかいローアーチと、体重をかけていない時にも土踏まずがない硬いローアーチがあり、多くの場合は前者です。前者では体重をかけて立ったり、歩いたりすると土踏まずがなくなります。
 ローアーチの障害としては、起立時や歩行時の足の痛みが主なものです。 ほかに、歩きにくい上に変な歩き癖がついてしまい、すぐに疲れやすいという難点があります。足の裏のアーチがないために、歩く際の足の一連の動きの中で地面をけり上げるという行為が足への負担となって、疲れやすくなるのです。
 歩き癖によって、膝(ひざ)が痛くなったり、腰痛や外反母趾(がいはんぼし)を招く場合もあります。足の裏のアーチがないために、足の裏全体の血管が圧迫されることになり、血流も悪くなります。結果的には、むくみや冷えなどの症状も出てきます。神経も立っている間中、圧迫されるために、痛みが出ることもあります。
 痛みがあって、歩行が困難な場合もあります。土踏まずの上にある舟状骨が出ている場合で、靴が土踏まずの部分に当たり、痛みが生じます。ひどい症状になると、骨が離れて出っ張った状態になって、激しい痛みが生じます。
[足]ローアーチの検査と診断と治療
 整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による診断では、外観上の変形から容易です。骨の状態を把握して重症度を判定するためには、X線(レントゲン)検査が必要で、通常、立って体重をかけた状態で撮影します。
 整形外科、ないし形成外科、足の外科の医師による治療は、もっぱら保存的に行われ、土踏まずの形をつけるように足底に装具を入れた治療靴を用いたり、足の筋肉の強化練習などが行われます。舟状骨が出ている場合には手術が必要になりますが、こうしたケースはごくまれです。
 乳幼児のローアーチを改善するには、靴下や靴を履かせずに、裸足(はだし)で砂場を歩かせて足の裏を刺激するという方法があります。子供、大人に限らずに、望ましいのは部屋の中では裸足でいることです。
 大人のローアーチを改善するのにも、足の裏を刺激することが最善の方法であり、痛みがあるからといって歩くのをためらっていてはいけません。靴の中敷きに、アーチサポートという、土踏まずが当たる部分の盛り上がっているものを使うと、歩行が楽になります。近年では、矯正するためのテーピングが内蔵された靴下も販売されています。
 歩く時は、足の指をしっかり使って歩くようにして、足の裏の筋肉を鍛え、血行促進を図ります。日ごろの生活の中で、意識してつま先立ちをするのもお勧めです。




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■用語 老人性円背 [用語(ろ)]

[スキー]加齢が原因となって、脊椎のうちの胸椎部の後方への湾曲が極端に大きくなる状態
 老人性円背(えんぱい)とは、加齢が原因となって、背骨、すなわち脊椎(せきつい)のうちの胸椎部の後方への湾曲が極端に大きくなっている状態。老化性円背、老人性後湾症、老人性亀背(きはい)、老人性猫背(ねこぜ)とも呼ばれます。
 人間の脊椎は、7個の頸椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で成り立っています。正常な脊椎は体の前から見ると真っすぐですが、横から見ると、緩やかなS字の形をしています。すなわち頸椎部は前湾(前に向かって湾曲している)、胸椎部は後湾(後ろに向かって湾曲している)、腰椎部は前湾を示しています。
 このように脊椎は本来、後湾している部分があるのですが、老人性円背では、胸椎部の後湾している角度が極端に大きくなったり、腰椎部の前湾が失われて後湾になったりしています。
 加齢が原因で老人性円背は起こり、女性に多くみられます。脊椎の椎体と椎体の間にある円板状の軟骨組織で、骨に対するクッションの役割を果たしている椎間板の多くが変性したり、骨粗鬆(こつそしょう)症で骨のカルシウム分が少なくなり骨が弱くもろくなるために多くの椎体、とりわけ胸椎部と腰椎部の椎体が押しつぶされるように圧迫骨折したり、背中の筋肉が衰えることなどによって、背中が丸く曲がります。
 1回の圧迫骨折などで背中が丸く曲がるのではなく、数回の圧迫骨折を繰り返して次第に丸く曲がるケースがほとんどです。
 重い物を持つ、立ち上がる、しりもちをつくといった切っ掛けで圧迫骨折が起こったケースでは、本人も気付くことが多く、痛みやしびれを感じたりしますが、骨が弱くもろくなっている人では、衝撃が加わらなくてもいつの間にか圧迫骨折を起こしているケースもあり、痛みやしびれもあまり感じません。
 老人性円背になると、胸椎部の後湾が本来の生理的な後湾の範囲を超えるため、頭の荷重が適切に胸椎部に負担されず、頭の重心は胸椎部の軸よりも前方に位置し、前かがみの姿勢になります。この状態で頭を安定させるために、後頭部から背中全体を覆う僧帽筋や、背中の中心部あたりを縦に細長く走っている脊柱起立筋に過剰な負荷がかかることとなり、持続的な背中の痛みや肩凝りとして自覚されます。 
 重度になると、腰が慢性的に強く傷んだり、神経の障害を生じて手足のしびれ、震えに悩まされることもあります。
 また、体に不自然な前かがみの姿勢で、起立を保ったり歩いたりすることで、負担がかかった筋肉が痛んだり、疲れやすくなります。前かがみの姿勢で、視野が狭くなって転倒につながることもあります。
 また、前かがみの姿勢になっているために、肺や胃が圧迫されて、肺活量の低下や胃腸の障害が起こりやすくなります。血流の悪化も起こりやすくなります。
[スキー]老人性円背の検査と診断と治療
 整形外科の医師による診断では、脊椎の変形から老人性円背を疑い、次にX線(レントゲン)検査を行って、画像で椎体の変形が見付かれば、比較的簡単に判断できます。
 原因を知るために、さらに詳しい検査が必要な際は、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査が有用です。また、加齢が原因で骨粗鬆症が疑われる際は、踵(かかと)の骨に超音波を当てて骨量を測定する超音波法、X線検査、血液検査、尿検査などを合わせて、総合的に検査します。
 整形外科の医師による治療では、腰椎の湾曲が胸椎や頸椎の湾曲を強めていることも多いため、全身の骨格の矯正を行います。ただし、加齢とともに矯正も難しくなってきます。
 それ以外では、軽く背筋を伸ばす体操や軽めのマッサージなどを行います。ただし、急激に後ろに反らすなどの動作や強いマッサージなどは禁物。
 なお、老人性円背によって発症している腰痛や背部痛などの改善はできますが、円背そのものが改善されることはまれです。
 骨粗鬆症が基礎にあって老人性円背が重度となった場合は、安静を守り、鎮痛剤を内服します。骨の吸収を防ぎ骨量を増やす薬剤や、骨の形成を促進し骨量を増やす薬剤、あるいは骨の代謝を助ける薬剤も内服し、栄養価の高い食品を摂取するようにします。
 転倒したり、しりもちをついたりすると、脊椎の椎体がつぶされて痛みやしびれを招くので注意を要します。

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■用語 老人性難聴 [用語(ろ)]

[電話]加齢に伴って進行する難聴で、両耳で大きな違いなく進行
 老人性難聴とは、加齢に伴って進行する難聴。生理的現象の一つとして起こってくる聴力の低下であり、生理的老人性難聴とも呼ばれます。
 人間の聴力は20歳くらいが最も鋭敏であり、その後は次第に低下し、20歳代から30歳代で聴力の老化が始まるといわれています。耳の聞こえが悪くなってきたと自覚するのは50歳くらいで、それまでは聴力の低下を気付くことなく過ごしています。これを無自覚性の難聴といいます。
 通常、50歳を超えると聴力が急激に低下し、60歳以上になると日常会話の面で不便になり始めます。しかし、老人性難聴の進行状況は個人差が大きいので、40歳代で聞き取りを補助する補聴器が必要になる人もいれば、80歳代を超えてもほとんど聴力が低下しない人もいます。
 若いころから日常的に大きな音で音楽を聞き続けていたり、大きな騒音を日常的に感じていると、早く老人性難聴になってしまいがちといわれています。
 老人性難聴による聴力の低下は、4000ヘルツを中心とした高音域から発生し、徐々に500〜2000ヘルツの会話音域、100ヘルツ以下の低音域へと広がっていきます。従って、早期には難聴の自覚がなく、耳鳴りだけを感じる場合があります。高音域ほど聞き取りにくいため、電話のベルや、ドアのチャイムが聞こえにくくなります。
 会話音域の聞こえが悪くなり、日常会話に支障が出るようになって、初めて難聴に気付きます。ただ単に日常会話が聞き取りにくくなるだけでなく、会話は聞こえても何をいっているかがわからず、聞き間違いや聞き返しが多いなどという状態が、しばしばみられます。これは言葉を聞き取る能力である語音弁別能の低下のために生じ、老人性難聴の特徴です。
 一方の耳だけではなく、両側の耳で大きな違いがなく進行していくのが、一般的です。男性は女性よりも、難聴の程度が高くなる傾向があります。
 加齢に伴い、内耳の蝸牛(かぎゅう)にあって音を感じ取る有毛細胞という感覚細胞が委縮したり、数が減少したり、内耳から脳へと音を伝える神経経路や中枢神経系に障害が現れたり、内耳の蝸牛の血管の障害が起こったり、内耳内での音の伝達が悪くなったりします。これらの原因が一つまたは複数組み合わされて、音が聞こえにくくなり、言葉を聞き取る能力も悪くなる老人性難聴が発生すると考えられています。
 体質も関係し、内耳の血流が悪くなるような動脈硬化、腎臓(じんぞう)病、糖尿病といった慢性の疾患は、老人性難聴を進行させる可能性があります。
 加齢に伴って聴力が低下したと自覚したら、早い段階で耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。難聴になると周囲の情報が耳から入ってくることが少なくなる結果として、脳まで老化させてしまう危険性もあります。あまりにも聞き取りづらいようなら、生活環境なども考えて自身に合った補聴器の装着を考えなくてはなりません。
 なお、難聴の程度に応じて身体障害者福祉法による補償、例えば補聴器の購入費補助が行われています。申請書類の記入は、耳鼻咽喉科で行われています。
[電話]老人性難聴の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼓膜の診察と純音聴力検査、語音明瞭度検査を行い、生活環境を考慮して補聴器を必要とするかどうかを判断します。聴力検査では、高音域が聞こえにくくなることから始まる感音難聴を示し、進行すると中低音域の聴力も低下します。
 難聴の度合は一般的に、500〜2000ヘルツの会話音域の聴力低下に応じて、平均聴力レベルが20デシベルまでを、ささやき声もよく聞こえる正常聴力として、40デシベルまでを、小声が聞きにくい軽度難聴、70デシベルまでを、普通の声が聞きにくい中度難聴、70デシベル以上を、大きな声でも聞きにくい高度難聴、90デシベル以上を、耳元での大きな声でも聞こえない重度難聴、100デシベル以上を、通常の音は聞こえない聾(ろう)に分けます。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、聴力をよくする決め手となる治療法はありません。コミュニケーション障害への対策として、補聴器の装用が勧められますが、本人に難聴の自覚があまりなく、使用されないことも多いようです。
 補聴器は、ポケットに本体を入れる箱形、耳たぶにかける耳掛け型、耳の穴に入れてほとんど外からはわからない耳穴型などがあります。使用時にピーピーという音が発生するハウリングが起こることがなく、自分で簡単に操作できるものが勧められます。ハウリング予防のためには、個人の耳の形に合わせたイヤーモールドと呼ばれる耳栓を作るのが有効です。
 残念ながら、補聴器を使用したとしても完全に元通りの聴力が戻ってくるとは限らず、依然として聞き取りづらい状態が続くこともあります。補聴器を有効に使用するためには、ある程度の聴覚訓練が必要です。
 老化を防ぐために、日常の健康管理と精神安定に気を付けることはいうまでもありませんが、耳に悪影響を与える騒音や薬剤の使用は、できるだけ避けるようにします。




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■用語 ロングフライト血栓症 [用語(ろ)]

[飛行機]飛行機内などの座席で長時間、同じ姿勢を取り続けて発症する血栓症
 ロングフライト血栓症とは、飛行機内などで長時間、同じ座席で同じ姿勢を取り続けることにより、静脈内に血栓を生ずる疾患。ロングフライト症候群、旅行者血栓症、エコノミークラス症候群、静脈血栓塞栓(そくせん)症、深部静脈血栓症とも呼ばれます。
 飛行機のエコノミークラス以外の座席、飛行機以外の列車、バス、自動車などの交通機関や施設の座席でも、発症することがあります。
 飛行中の機内では乾燥した環境のため、長時間のフライトでは体の水分が失われ、血液が濃縮して固まりやすい状態にあります。さらに、狭い座席に同じ姿勢でずっと座り続けていることで、下肢や腰が圧迫され静脈血の心臓への巡りが徐々に悪くなり、体の深い組織内にある下腿(かたい)静脈や、大腿(だいたい)静脈、あるいは骨盤内の深部静脈内に、血の固まりである血栓ができやすくなります。
 そして、およそ6時間を超える長時間のフライトを経験した時には、血栓ができる傾向があります。
 血栓が左右両側の下肢の深部静脈内に同時にできることは極めてまれで、左右どちらかの膨らはぎなどの内部に不快感、鈍い痛み、はれなどを起こします。一般的には4対1の割合で、左側の下肢に発生します。  
 軽症の血栓が、さらに血液の流れに沿って心臓側に徐々に延び、成長していって、大腿部あるいは骨盤内の深部静脈までふさいでしまい、片方の下肢に強い痛みやむくみが出たり、チアノーゼを起こして青紫色に変色したりします。
 中等症の血栓が、座席から立ち上がった際などに血管壁からはがれ、血流に乗って大静脈を上行していったん心臓に入り、次いで、酸素を取り入れる器官でもあり、血液のフィルターでもある肺動脈に詰まると、肺塞栓症となります。
 肺動脈が詰まると、その先の肺胞には血液が流れずガス交換ができなくなる結果、換気血流に不均衡が生じ、動脈血中の酸素分圧が急激に低下し、呼吸困難を起こします。また、肺の血管抵抗が上昇して、全身の血液循環に支障を来し、脈の増加、失神などを起こします。
 軽度であれば胸焼けや発熱程度で治まりますが、最悪の場合は死亡に至ることもあります。
 血栓が心臓を経て肺動脈に詰まる重症例は、10時間以上の長時間のフライトで発症する傾向にあります。男性よりも女性にやや多く、40歳代後半から50歳代に発症しやすいと見なされています。
 とりわけ、下肢に静脈瘤(りゅう)のある人、下肢の手術をした人、血液の凝固能に異常のある人、経口避妊薬を服用している人、妊娠中や出産後の人などは、発症しやすいので注意が必要とされます。
 このロングフライト血栓症は、急性期に適切な治療がなされないと、慢性期に静脈血栓後症候群に悩まされることとなります。静脈高血圧のために、皮膚の浅い部分にある皮(ひ)静脈(表在性静脈)に静脈瘤ができたり、下肢の倦怠(けんたい)感、むくみが生じたり、栄養不足のために色素が沈着したり、皮膚炎や湿疹(しっしん)を起こしやすくなったり、治りにくい潰瘍(かいよう)ができたりすることもあります。
[飛行機]ロングフライト血栓症の検査と診断と治療
 循環器科、呼吸器科などの医師による診断では、皮膚の浅い部分にある皮(ひ)静脈(表在性静脈)に起こる血栓性静脈炎などの紛らわしい疾患と区別するため、静脈造影、超音波ドプラー法、造影CT、MRA(核磁気共鳴検査)、血流シンチなどを行います。
 また、原因となる血液凝固異常の有無や、血栓を生じたことを確認するために、血液検査も行われます。
 循環器科、呼吸器科などの医師による治療では、急性期においては、血栓の遊離による肺塞栓を予防するため、下肢のむくみや痛みが軽減するまで安静を保ち、下肢を高く上げておくことが必要です。
 痛みに対しては非ステロイド抗炎症薬を使い、血栓の治療と予防には抗凝固剤や血栓溶解剤を使います。
 下肢のチアノーゼがひどい場合や、症状が重く急を要する場合には、カテーテル治療や血栓摘除術によって直接血栓を除去します。将来、肺塞栓などの重症な疾患に発展したり、静脈血栓後症候群が生じる危険もあり、治療には十分な注意が必要とされます。
 なお、ロングフライト血栓症の予防には、血液が固まりにくいようにミネラルウオーターやお茶などで水分を補給したり、長時間に渡って同じ姿勢を取らないようにし、2~3時間ごとに通路を歩いたり、下肢の屈伸運動などをしたり、着席中にも足を少しでも動かしたり、ふくらはぎを軽くもむなどして、下肢の血液循環をよくすることが有効です。




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