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■用語 ハイアーチ [用語(は)]

[足]足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足
 ハイアーチとは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足。凹足と呼ばれたり、足の甲が高く盛り上がっていることから甲高と呼ばれることもあります。
 足の裏にはアーチと呼ばれる緩やかな盛り上りがあり、踵(かかと)から親指の付け根を通る土踏まず、すなわち内側の縦アーチ(内側縦足弓)、踵から小指の付け根を通る外側の縦アーチ(外側縦足弓)、親指の付け根から小指の付け根を通る横アーチ(横足弓、メタタザールアーチ)の3つから構成されています。3つのアーチは、足が地面に着地する際にスプリングの役目を果たし、体に加わる衝撃を和らげる働きをしています。
 ハイアーチでは、アーチの湾曲が強く、しなやかさに欠けるために、スプリング機能の働きが悪く、足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収や、力の分散がうまく発揮できず、さまざまな症状が現れます。
 まず、体の重みを踵や親指と小指の付け根の点で支えることになるため、足の指の付け根や踵に、皮膚表面の角質層が部分的に厚くなるたこや、魚の目ができます。
 足の甲の部分に5本存在する中足骨(ちゅうそくこつ)の骨頭の太くなっている部分にかかる圧力が高くなるため、中足骨骨頭部痛を起こすこともあります。足の甲の部分にある第1中足骨の骨頭下部にある種子骨の周囲に炎症が起き、足の親指の裏側に痛みが生じることもあります。
 親指が圧迫を受けて変形する外反母趾(がいはんぼし)と逆に、小指が圧迫を受けて変形する内反小趾(ないはんしょうし)を起こすこともあります。足の指、特に第2指と第3指が曲がってハンマートゥの状態になり、浮き指になる傾向もあります。
 足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収がうまく発揮できない場合は、足の裏のアーチを支えている足底筋膜に炎症が起こる足底筋膜炎や、脛(すね)に沿った筋肉に損傷が生じて痛むシンスプリント(脛骨〔けいこつ〕疲労性骨膜炎)を起こすこともあります。
 さらに、足の裏の縦アーチが高いために、いつも足底筋が縮んだままで、足の裏全体で均一なバランスをとれないので、ふくらはぎや足の裏が極めて疲れやすく、たくさん歩いたり運動をすると、ふくらはぎや足の裏がつるような痛みを感じることもあります。
 そして、常にバランスをうまくとれない状態になることで、足裏だけではなく、膝(ひざ)や腰、背筋にも負担がかかり痛みが出てくることもあります。
 ハイアーチの原因の多くは遺伝によるもので、筋力の不均等さが主に挙げられます。末梢(まっしょう)神経に原因があり、かつ遺伝性の疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病では、特徴的な甲高の足がみられます。
 後天的にハイアーチを発症するケースもあり、遺伝性で進行性に筋力が低下してくる筋ジフトロフィーや神経のまひなどが原因で発症するものと、ハイヒールなどの踵が高い靴を長期間にわたって履き続けることにより、筋肉のバランスが崩れるなどの習慣が原因で発症するものとがあります。
 ハイヒールを履き続けてハイアーチを発症するケースでは、つま先立ちの状態が長期間にわたって続くために、脛前面の筋肉である前脛骨筋と足の裏の筋肉である足底筋群のバランスが崩れ、徐々に足のゆがみが起こり、ハイアーチへと進行していきます。
 一度、ハイアーチになると、スニーカーなどの踵の低い靴よりも踵の高い靴を履いていたほうが楽なので、好んで踵の高い靴を履くようになります。こうなるとさらに足のゆがみが進行し、重度のハイアーチになることもあります。
[足]ハイアーチの検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、足の土踏まずが地面に付かずに不自然にアーチを描いている特徴的な骨の変形であるため、見た目ですぐに状態がわかります。
 骨の変形の状態を詳しく知るために、X線(レントゲン)検査を行って足の状態を撮影し、骨の変形が影響している別の部分の状態も調べます。
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、骨の変形の程度が軽い場合は、日常生活の中での心掛けや意識した足指の運動を行うことにより、症状の改善を図ります。
 骨の変形の程度の重い場合は、足の裏のアーチを緩めるために足底筋膜や中足骨を切るといった手術を行うこともあります。
 日常生活の中での心掛けには、必ずといっていいほどできているたこ、魚の目を取り除くことと、正しい歩き方をすることがあります。正しい歩き方は、踵が地面に接触したら足の裏全体をつけるような感じで体重移動させ、足の親指で地面をけるように意識するものです。
 足指の運動には、弱くなった下腿(かたい)の腓骨(ひこつ)筋群を鍛え、緊張している足底筋群の緩和を目的として、両方の足のひらをバンドで巻き付け、つま先の開閉をゆっくり行うといった方法があります。また、つま先立ちを繰り返すなど、足の裏の縦アーチが伸びるようなストレッチ運動をするのも効果的です。
 必要に応じ、靴での圧迫部分の保護と痛みの軽減を目的として、一人一人に合った足形を取り、中敷き(インソール)を作るのも効果的です。縦アーチを保護する大きめの中敷きで、足の指の付け根や踵だけに掛かる荷重を分散して、足底部でも受け止めるようにします。これで足底筋群への負担を少なくして、痛みや疲労感を軽減できますし、中敷きと組み合わせて、たこ、魚の目ができにくい足にすることもできます。




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■用語 ハグランド病 [用語(は)]

[足]踵の後ろ上部に、骨性の隆起や軟部組織の肥厚を認め、痛みが生じる疾患
 ハグランド病とは、アキレス腱(けん)が付着する踵(かかと)の骨である踵骨(しょうこつ)後ろ上部に、骨性の隆起や軟部組織の肥厚を認め、痛みが生じる疾患。ハグランド変形、ハグルンド病と呼ばれることもあります。
 ハグランド病では、まず踵骨後ろ上部に骨性の隆起が生じ、この突出した部分が靴の内側とこすれるために、ほとんどの場合は、アキレス腱の付着部と踵骨後部との間にある踵骨後部滑液包と呼ばれるゼリー状の滑液の入った袋状の軟部組織が炎症を起こし、踵骨後部滑液包炎を引き起こします。
 踵骨後部滑液包炎が起こると痛みが生じ、滑液の分泌量が多くなって滑液包の中に過剰な滑液がたまります。また、炎症が続くと、滑液包自体が肥厚することもあります。
 ハグランド病の多くは、踵骨後部が圧迫や摩擦を受けやすいパンプスやハイヒールなど踵の部分が硬い靴や、足のヒールカーブの形状と合わない靴を履いていることが原因となって、生じています。靴が原因となるのは、20~30歳代の女性に多く、両足の踵に発生する傾向があります。
 また、足関節のオーバーユース(使いすぎ)を起こしやすい長距離走のランナーなどのスポーツ選手、扁平足(へんぺいそく)の人、ハイアーチ(凹足)の人にも、生じてます。
 扁平足は、土踏まずのくぼんだ部分がなくなって、起立時や歩行時に足の裏のアーチがつぶれ、足の裏全体が地面にくっ付く足です。ハイアーチは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない足です。
 ハグランド病の急性期には、踵の後ろ上部に発赤、はれを認め、押すと痛みが生じます。靴を履いた状態で足首を反らすと、靴の踵の部分の内側から圧迫されて痛みが強くなる場合もあります。
 慢性期になると、踵骨後部滑液包は肥厚し、皮膚に色素沈着を認めます。痛みは、歩行時や長時間の立ち仕事時、運動時に増悪し、下腿(かたい)が疲れやすくなります。
 靴を普通に履くことが困難になり、革靴や踵の部分のある靴を避けて、サンダルを履いたり、スニーカーの踵の部分を踏んで使用することが多くなります。
 踵の後部に突出した部分があり、痛みがある場合には、早く痛みを取るためにも、整形外科などを受診することが勧められます。 
[足]ハグランド病の検査と診断と治療
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、X線(レントゲン)検査や超音波(エコー)検査を行うと、踵骨後ろ上部の骨性突出、踵骨後部滑液包のはれや肥厚などを確認できます。
 整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、原因となっスポーツ活動があるなら中止し、適合性の悪い靴の使用を避けます。
 日常の歩行時などに痛む場合は、踵を高くするヒールパッド(ヒールウエッジ)を靴に挿入するか、後縁の軟らかい靴など圧迫や摩擦が少なく踵との適合性が高い靴と交換します。
 また、痛みや炎症を鎮めるために、アイシング、電気療法、超音波療法を行います。さらに、アキレス腱への負担を減らす目的で、踵にソルボという衝撃吸収のゴムを装着することもあります。
 保存療法で症状が改善しない場合や、踵や足部の形状に異常があり慢性化の傾向を示す場合は、踵骨後ろ上部の骨性隆起を切除し、踵骨後部滑液包を摘出する手術などを行います。




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■用語 鼻ポリープ [用語(は)]

[パンチ]炎症が原因で、鼻腔粘膜が増殖してポリープができる疾患
 鼻ポリープとは、鼻の奥の副鼻腔(ふくびくう)などに起こった炎症が原因で、鼻腔粘膜が異常増殖してポリープができる疾患。鼻茸(たけ)とも呼ばれます。
 軽症のものを含めると、発症者数は推定100万人以上と考えられています。
 鼻風邪や、花粉症などのアレルギー性鼻炎にかかり、膿(うみ)のような黄色い鼻水が出て、鼻詰まりが長期間治り切らない急性副鼻腔炎から、さらに副鼻腔が繰り返し炎症を起こしてなかなか治らない慢性副鼻腔炎、一般的にいう蓄膿(ちくのう)症の時に、鼻腔粘膜が茸(きのこ)状に水膨れになった鼻ポリープがしばしばできます。
 鼻ポリープができると、まず左右の鼻腔に交代性の鼻詰まりが起こります。次第に両方の鼻腔に鼻詰まりが起こり、膿性の鼻水が長期にわたって出続けます。
 また、嗅覚(きゅうかく)が鈍感になるのも鼻ポリープの特徴で、においを感じる細胞が影響を受けることが多いため、しょうゆやコーヒーなどのにおいを感じにくくなります。
 鼻ポリープは一般的に両側の鼻腔に複数でき、大きいものだと直径5センチ以上にもなるため、鼻の穴から出てきたり、ひどくなると鼻で息が全くできなくなったり、鼻が変形したりします。頭痛、記憶力減退、耳管狭窄(きょうさく)などの症状が起こることもあります。
 風邪や鼻炎に長期間かかったり、アレルギー性鼻炎を放っておいたりした後に発症することが多く認められますが、すべての人が発症するわけでなく、体質や環境要因が加わって悪化することが一般的です。
 特に、アレルギー体質の人は花粉症や成人型気管支ぜんそくと関連して、副鼻腔炎を起こし、鼻ポリープを起こしやすいといわれています。
 長く症状が続いた場合は、早めに耳鼻咽喉(いんこう)科を受診することが勧められます。一般的に両側の鼻腔にできる鼻ポリープが片側のみにできている場合は、まれに悪性腫瘍(しゅよう)のこともあります。
[パンチ]鼻ポリープの検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼻鏡を用いて鼻の入り口から鼻腔内を調べます。視診で多くの場合、容易に判断ができます。
 周囲の粘膜と区別できなかったり、慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎を合併していたり、鼻中隔(びちゅうかく)湾曲症があって奥の鼻ポリープを見逃したりする恐れがある場合は、軟性ファイバースコープ、顔面X線(レントゲン)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査などを行って詳しく調べます。
 CT検査を行うと、鼻ポリープと症状が似ている上顎(じょうがく)がんと見分けることもできます。
 耳鼻咽喉科の医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)剤を噴霧すると、約半数のケースで鼻ポリープが小さくなります。
 副腎皮質ホルモン剤の局所治療を1カ月続けても、鼻ポリープが小さくなる様子がみられない場合は、鼻ポリープを切除する手術を行います。
 手術では、局所麻酔をして鼻ポリープの茎部を含めて摘出して、副鼻腔を開放し、空気の通り道を作ります。慢性副鼻腔炎を合併している場合には、顕微鏡や内視鏡を用いた副鼻腔手術を同時に行います。
 鼻ポリープは深い関連性がある慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、成人型気管支ぜんそくが治り切らない限り、再発する可能性があります。鼻ポリープの治療と平行して、慢性副鼻腔炎などの治療を行っていくことが、再発の防止になります。

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■用語 パトー症候群 [用語(は)]

[ダイヤ]染色体の異常により引き起こされる重度の先天性障害
 パトー症候群とは、13番目の常染色体が1本多い、3本あることが原因で引き起こされる重度の先天性障害。13トリソミー症候群とも呼ばれます。
 人間の体は、父親と母親からもらった遺伝子情報に基づいて作られます。遺伝子情報は、染色体という生体物質が担っています。一般の細胞の核には、1番から22番までの一対の常染色体が44本、それにXまたはYの性染色体の2本が加わって、合計46本の染色体がセットになって存在します。半数の23本ずつを父親と母親から継承しています。
 合計46本の染色体のうち、ある染色体が過剰に存在し、3本ある状態がトリソミーです。卵子や精子が作られる過程で染色体が分離しますが、分離がうまくいかないことがトリソミーを引き起こします。
 13番目の常染色体が3本あるトリソミーがパトー症候群で、パトー博士らのグループにより1960年に初めて確認されました。
 日本では現在、新生児約5000人に1人の頻度でパトー症候群が発生するといわれ、男児は流産する場合が多いため、女児に多くみられます。
 母親が高齢、特に35歳以上の場合は、若い母親よりも過剰な染色体が生じる原因となるため、パトー症候群の新生児を産む確率が高くなります。しかし、過剰な染色体が生じる原因は、父親にあることもあります。
 パトー症候群のうち、約80パーセントが染色体が3本独立している標準型トリソミー、約15~19パーセントが多い1本が他の染色体についている転座型、約1~5パーセントが正常細胞とトリソミーの細胞が混在しているモザイク型と見なされています。
 一部の転座型を除き、そのほとんどは細胞分裂時に起こる突然変異だと考えられており、遺伝的な背景は否定されています。
 パトー症候群の新生児は明らかな全身の発育不全で生まれ、精神発達遅滞のほか、前頭部の発育不良、無眼球症または小眼球症、虹彩(こうさい)欠損、両眼開離、口唇裂、口蓋(こうがい)裂、耳介の低位、多指、先天性心臓形態異常、臍帯(さいたい)ヘルニアなどの消化管の奇形、揺り椅子(いす)状の足、生殖器の異常、難聴、無呼吸発作、けいれんといった多彩な異常がみられます。
 誕生後の予後は一般的に悪く、生後1カ月以内に約半数、1年以内に90パーセント以上が死亡、平均寿命は3~4カ月となっています。
 モザイク型では、正常細胞とトリソミーの細胞の混在する割合や症状により、 生命予後、成長発達に恵まれる場合もあり、最高齢は日本では19歳、欧米では30歳代となっています。
[ダイヤ]パトー症候群の検査と診断と治療
 産婦人科の医師による出生前の診断では、超音波検査異常または母体血清スクリーニングの異常所見から、パトー症候群と確定します。
 小児科の医師による出生後の診断では、特徴的な外見から疑い、染色体検査で確定します。
 小児科の医師による治療では、根本的な治療法がなく予後の改善は見込めないため、さまざまな症状に対する対症療法を行います。症状が安定している場合は、口唇裂、多指、臍帯ヘルニアなどの手術に踏み切ることもあります。

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