■用語 反復性耳下腺炎 [用語(は)]
耳の下にある耳下腺がはれて、痛みが起こることを繰り返す疾患
反復性耳下腺(じかせん)炎とは、唾液(だえき)腺の一つで、耳の下にある耳下腺がはれて、痛みが起こる疾患。おたふく風邪とも呼ばれる流行性耳下腺炎とは異なり、耳下腺が繰り返しはれます。
普通、 片方の耳下腺だけがはれ、もう片方の耳下腺や顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺など、ほかの唾液腺がはれることはありません。発熱はなく、はれは2~3日でひいてきます。痛みはそれほど強くありません。
まれに、両方の耳下腺がはれたり、顎(あご)の下にある顎下腺がはれることもあります。
5~10歳の男子に多くみられ、数カ月から数年置きに耳下腺が繰り返しはれ、回数は一定していません。
反復性耳下腺炎の原因は、現在のところはっきりとはわかっていません。耳下腺の先天性異常、耳下腺の中で作られた唾液の停滞、アレルギー反応、ウイルス感染が関与していると推定されています。
まれに、自己免疫の異常によって発症する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群などと関係していることもあります。
耳下腺がはれる疾患としては流行性耳下腺炎が最も多いのですが、2番目に反復性耳下腺炎が多く、初めて発症して片方のみの耳下腺がはれた場合には、流行性耳下腺炎と区別ができないことが往々にしてあります。
ほかの人に移ることはありませんので登校禁止にはなりませんが、初回は流行性耳下腺炎と見分けが付かないめ、学校は休んで様子をみることになります。初回以降に生じた時は血液検査をして、流行性耳下腺炎の抗体があることがわかれば、次から学校を休む必要はありません。
何度も反復性耳下腺炎を繰り返す場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科、ないし小児科、内科を受診するとよいでしょう。
反復性耳下腺炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、小児科、内科の医師による診断では、問診や視診で、耳下のはれなど特有の症状がないか確認します。しかし、流行性耳下腺炎と症状が非常に似ているため、初診では判断できない場合も多く、血液検査が非常に有効になります。
血液検査では、血沈、CRP(C反応性蛋白〔たんぱく〕)、アミラーゼ、LDH(乳酸脱水素酵素)などの値を調べることで、ほかの同様の症状が現れる疾患との区別ができます。
耳鼻咽喉科、小児科、内科の医師による治療では、反復性耳下腺炎に特別有効な治療法がないため、痛みが強い場合は痛み止めを用います。発熱がある場合、はれに熱感がある場合には、細菌感染合併を考えて抗生剤(抗生物質)を投与することがあります。
数年間にわたり何回も繰り返しますが、ほとんどが学童期で自然に治癒します。
家庭での注意としては、唾液分泌を促す酸っぱい食品は痛みの原因になるので避け、硬い食品、塩辛い食品も避けます。入浴はかまいません。
反復性耳下腺(じかせん)炎とは、唾液(だえき)腺の一つで、耳の下にある耳下腺がはれて、痛みが起こる疾患。おたふく風邪とも呼ばれる流行性耳下腺炎とは異なり、耳下腺が繰り返しはれます。
普通、 片方の耳下腺だけがはれ、もう片方の耳下腺や顎下(がくか)腺、舌下(ぜっか)腺など、ほかの唾液腺がはれることはありません。発熱はなく、はれは2~3日でひいてきます。痛みはそれほど強くありません。
まれに、両方の耳下腺がはれたり、顎(あご)の下にある顎下腺がはれることもあります。
5~10歳の男子に多くみられ、数カ月から数年置きに耳下腺が繰り返しはれ、回数は一定していません。
反復性耳下腺炎の原因は、現在のところはっきりとはわかっていません。耳下腺の先天性異常、耳下腺の中で作られた唾液の停滞、アレルギー反応、ウイルス感染が関与していると推定されています。
まれに、自己免疫の異常によって発症する自己免疫疾患であるシェーグレン症候群などと関係していることもあります。
耳下腺がはれる疾患としては流行性耳下腺炎が最も多いのですが、2番目に反復性耳下腺炎が多く、初めて発症して片方のみの耳下腺がはれた場合には、流行性耳下腺炎と区別ができないことが往々にしてあります。
ほかの人に移ることはありませんので登校禁止にはなりませんが、初回は流行性耳下腺炎と見分けが付かないめ、学校は休んで様子をみることになります。初回以降に生じた時は血液検査をして、流行性耳下腺炎の抗体があることがわかれば、次から学校を休む必要はありません。
何度も反復性耳下腺炎を繰り返す場合は、耳鼻咽喉(いんこう)科、ないし小児科、内科を受診するとよいでしょう。
反復性耳下腺炎の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科、小児科、内科の医師による診断では、問診や視診で、耳下のはれなど特有の症状がないか確認します。しかし、流行性耳下腺炎と症状が非常に似ているため、初診では判断できない場合も多く、血液検査が非常に有効になります。
血液検査では、血沈、CRP(C反応性蛋白〔たんぱく〕)、アミラーゼ、LDH(乳酸脱水素酵素)などの値を調べることで、ほかの同様の症状が現れる疾患との区別ができます。
耳鼻咽喉科、小児科、内科の医師による治療では、反復性耳下腺炎に特別有効な治療法がないため、痛みが強い場合は痛み止めを用います。発熱がある場合、はれに熱感がある場合には、細菌感染合併を考えて抗生剤(抗生物質)を投与することがあります。
数年間にわたり何回も繰り返しますが、ほとんどが学童期で自然に治癒します。
家庭での注意としては、唾液分泌を促す酸っぱい食品は痛みの原因になるので避け、硬い食品、塩辛い食品も避けます。入浴はかまいません。
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■用語 ハイパートロフィー [用語(は)]
爪の甲の表面の中央部分が肥大化し、極端に盛り上がる状態
ハイパートロフィーとは、爪(つめ)の甲の表面の中央部分が肥大化し、極端に盛り上がる状態。巨爪(きょそう)症、爪肥厚症、オニキクシスとも呼ばれます。
爪の甲は先端に向かって押し進むように長く伸びますが、何らかの原因で圧迫されて伸びが妨害されると、成長する部分が厚くなったりします。厚くなった部分は、後から伸びてくる爪の甲の成長を阻害し、さらに盛り上がってくるという悪循環になります。
ハイパートロフィーの原因は、遺伝、物理的圧迫、けが、糖尿病、内臓の疾患、細菌感染、血行不良、栄養不足などさまざまです。
中でも、長期間にわたって爪に何らかの物理的圧迫が加わって、ハイパートロフィーになることが多く、手の爪よりも足の爪でしばしばみられます。
原因となる物理的圧迫としては、足の形に合っていない靴が挙げられます。特に、先端が細くなったハイヒールを履き続けた時、足の指先に体重がかかりやすく、足先に持続的に圧力がかかることになり、爪の甲がはがれてしまうことがあります。これを何回も繰り返した場合に、ハイパートロフィーが起こることがあります。
同様の理由で、足の形に合っていないシューズで長距離ランニングした場合に、ハイパートロフィーや、爪の両端が指の肉に食い込む陥入爪が起こることがあります。陥入爪、深爪が原因で、正常な爪の成長が妨げられ、ハイパートロフィーが起こることもあります。
ハイパートロフィーがあると、爪が割れやすくなったり、はがれやすくなったりします。そのため、割れた爪が衣服や布団に引っ掛かり、はがれた部分から細菌が入って化膿(かのう)などのトラブルを起こすことがあります。
この場合、盛り上がった部分に触ると、激しい痛みがあり、ほかの爪にも移ります。靴を履くのが困難になるのはもちろんのこと、布団がこすれても痛みを感じます。また、ハイパートロフィーの症状として、爪の変色も挙げられます。
このハイパートロフィーはたまに、爪白癬(そうはくせん、つめはくせん)と間違えられることががあります。白癬菌と呼ばれる一群の真菌(カビ)が感染して起こる爪白癬は、いわゆる水虫、足白癬や手白癬が爪に発生したもので、爪が白く濁り、爪の下が厚く、硬くなります。
症状が似ていても違う疾患ですので、水虫用の治療を独自で行うと、ハイパートロフィーが完治するまでに時間がかかるなど、さらに厄介なことになる可能性があります。
ハイパートロフィーの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、ハイパートロフィーの原因がかなり多岐にわたっているため、その原因を見極めることがポイントになります。
症状が似ている爪白癬と鑑別するためには、皮膚真菌検査を行うのが一般的。ピンセットやメスで採取した爪を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察します。時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。爪では皮膚と違って菌を見付けにくく、菌の形態が不整形で判定しにくいことが多いので、注意が必要です。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ハイパートロフィーの症状が軽い場合、保湿してマッサージすることで少しずつ改善します。また、爪やすりで厚い部分を滑らかに磨いたり、磨き粉で仕上げ磨きしたりして、爪の成長を阻害する盛り上がっている部分を平らにすれば、正常な爪の甲が再生してきます。
原因となる菌が同定されれば、その増殖を止めたり、死滅させる抗生物質(抗生剤)を用います。
栄養不足が原因でハイパートロフィーを生じている場合、栄養バランスのとれた1日3食の食生活を心掛け、爪の健康に必要な栄養素である蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類などをしっかり摂取してもらいます。
内臓などの疾患が原因でハイパートロフィーを生じている場合、その原因となる疾患を治療することが先決です。
自分でできる対処法としては、むやみにハイパートロフィーになった患部を触らないようにします。刺激を与えないことはもちろん、ほかの隣接する指と接しないように気を付けます。
ハイパートロフィーにならないためには、いつも清潔を心掛け、正しい爪の切り方をしていることが大切で、自分の足に適した履きやすい靴を選ぶことも予防となります。どうしてもハイヒールを履く必要がある時は、なるべく長く歩かないようにします。
ハイパートロフィーとは、爪(つめ)の甲の表面の中央部分が肥大化し、極端に盛り上がる状態。巨爪(きょそう)症、爪肥厚症、オニキクシスとも呼ばれます。
爪の甲は先端に向かって押し進むように長く伸びますが、何らかの原因で圧迫されて伸びが妨害されると、成長する部分が厚くなったりします。厚くなった部分は、後から伸びてくる爪の甲の成長を阻害し、さらに盛り上がってくるという悪循環になります。
ハイパートロフィーの原因は、遺伝、物理的圧迫、けが、糖尿病、内臓の疾患、細菌感染、血行不良、栄養不足などさまざまです。
中でも、長期間にわたって爪に何らかの物理的圧迫が加わって、ハイパートロフィーになることが多く、手の爪よりも足の爪でしばしばみられます。
原因となる物理的圧迫としては、足の形に合っていない靴が挙げられます。特に、先端が細くなったハイヒールを履き続けた時、足の指先に体重がかかりやすく、足先に持続的に圧力がかかることになり、爪の甲がはがれてしまうことがあります。これを何回も繰り返した場合に、ハイパートロフィーが起こることがあります。
同様の理由で、足の形に合っていないシューズで長距離ランニングした場合に、ハイパートロフィーや、爪の両端が指の肉に食い込む陥入爪が起こることがあります。陥入爪、深爪が原因で、正常な爪の成長が妨げられ、ハイパートロフィーが起こることもあります。
ハイパートロフィーがあると、爪が割れやすくなったり、はがれやすくなったりします。そのため、割れた爪が衣服や布団に引っ掛かり、はがれた部分から細菌が入って化膿(かのう)などのトラブルを起こすことがあります。
この場合、盛り上がった部分に触ると、激しい痛みがあり、ほかの爪にも移ります。靴を履くのが困難になるのはもちろんのこと、布団がこすれても痛みを感じます。また、ハイパートロフィーの症状として、爪の変色も挙げられます。
このハイパートロフィーはたまに、爪白癬(そうはくせん、つめはくせん)と間違えられることががあります。白癬菌と呼ばれる一群の真菌(カビ)が感染して起こる爪白癬は、いわゆる水虫、足白癬や手白癬が爪に発生したもので、爪が白く濁り、爪の下が厚く、硬くなります。
症状が似ていても違う疾患ですので、水虫用の治療を独自で行うと、ハイパートロフィーが完治するまでに時間がかかるなど、さらに厄介なことになる可能性があります。
ハイパートロフィーの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、ハイパートロフィーの原因がかなり多岐にわたっているため、その原因を見極めることがポイントになります。
症状が似ている爪白癬と鑑別するためには、皮膚真菌検査を行うのが一般的。ピンセットやメスで採取した爪を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察します。時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。爪では皮膚と違って菌を見付けにくく、菌の形態が不整形で判定しにくいことが多いので、注意が必要です。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ハイパートロフィーの症状が軽い場合、保湿してマッサージすることで少しずつ改善します。また、爪やすりで厚い部分を滑らかに磨いたり、磨き粉で仕上げ磨きしたりして、爪の成長を阻害する盛り上がっている部分を平らにすれば、正常な爪の甲が再生してきます。
原因となる菌が同定されれば、その増殖を止めたり、死滅させる抗生物質(抗生剤)を用います。
栄養不足が原因でハイパートロフィーを生じている場合、栄養バランスのとれた1日3食の食生活を心掛け、爪の健康に必要な栄養素である蛋白質、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、さらにコラーゲン、野菜や海藻類に多く含まれるミネラル類などをしっかり摂取してもらいます。
内臓などの疾患が原因でハイパートロフィーを生じている場合、その原因となる疾患を治療することが先決です。
自分でできる対処法としては、むやみにハイパートロフィーになった患部を触らないようにします。刺激を与えないことはもちろん、ほかの隣接する指と接しないように気を付けます。
ハイパートロフィーにならないためには、いつも清潔を心掛け、正しい爪の切り方をしていることが大切で、自分の足に適した履きやすい靴を選ぶことも予防となります。どうしてもハイヒールを履く必要がある時は、なるべく長く歩かないようにします。
タグ:用語(は) ハイパートロフィー カンジダ性爪囲爪炎 黄色爪 巻き爪 二枚爪 爪甲白斑症 爪甲周囲炎(爪囲炎) 爪甲剥離症 爪白癬(爪の水虫) 匙状づめ 時計ガラスつめ(ヒポクラテスつめ) 爪甲横溝 爪甲軟化症 陥入爪 スプーンネイル コルゲーテッドネイル ボーズライン(爪甲横溝) 化膿性爪囲炎(ひょうそう) バロニキア 爪甲鉤弯症 湾曲爪 黄色爪症候群 爪甲層状分裂症 爪甲脱落症 オニコプトーシス ルコニキア オニコライシス 爪甲縦裂症 オニコレクシス 爪甲委縮症 オニカトロフィア 巨爪症 オニキクシス 卵殻爪 オニコマレーシア エッグシェルネイル 爪肥厚症 オニコファジー 咬爪症 爪かみ オニキア
■用語 反復性肩関節脱臼 [用語(は)]
外傷性の脱臼に続発して、肩関節の脱臼を繰り返す状態
反復性肩関節脱臼(だっきゅう)とは、初回の脱臼が明らかな外傷であり、再び同じような外傷が起こることによって、肩関節の脱臼を繰り返す状態。
いわゆる肩が外れた状態のことを一般に脱臼と呼びますが、肩関節は肩甲骨と上腕骨との間の関節で、人間の体の中で最も可動域が広く、ある程度の緩みがあるため反復性脱臼が最も多くみられるのが特徴です。
外傷による肩関節の脱臼は、ラグビー、アメリカンフットボール、柔道、相撲、レスリングなどのコンタクトスポーツ時の激しい接触などにより引き起こされることが多く、前下方脱臼がほとんどです。肩関節は一度脱臼を起こすと、その後は脱臼しやすくなり、前下方脱臼では、外転位、外旋位を強制されることによって起こります。
再度の脱臼から反復性肩関節脱臼に移行し、脱臼の回数を増すごとに軽微な外力で起こるようになり、スポーツ活動ばかりでなく、寝返りのような日常動作でも脱臼が起こりやすくなります。
脱臼すると上腕はバネ様固定となり、前下方脱臼では前下方に上腕骨骨頭を触れます。簡単に自分の力で整復できることもあります。
反復性肩関節脱臼の時の症状は、肩関節の痛み、変形、可動域制限が主な症状で、初回の脱臼の症状と同じです。
脱臼する方向によるものの、前下方に脱臼する反復性肩関節脱臼では、気を付けの姿勢から下げた腕を横に上げる外転動作や、下げた腕を外側に回す外旋動作に不安感を持ち、肩関節前方の不安定感があり、同部に圧痛があることが多くみられます。
初回の肩関節脱臼の年齢が若いと、反復性脱臼に移行しやすいとされています。10歳代に初回脱臼したケースでは80~90パーセントが再発するのに対して、20歳以上では60パーセント、40歳以上では10〜15パーセントが再発しています。
若年者は肩関節を包む関節包や関節唇といった軟部組織に柔軟性があるため、次第に関節が硬くなってくる中高年者に比べると、どうしても脱臼を再発しやすくなるのです。
また、肩関節が脱臼すると多くの場合、軟部組織がはがれたり切れたりして、安静にしていてもうまく治らないのに、若年者は活動性が高く、初回の脱臼後も切っ掛けとなったスポーツを継続する傾向があり、その過程において繰り返し脱臼するリスクが高いことも原因の一つです。
反復性肩関節脱臼の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、脱臼時には上腕がばね様固定となっており、関節を無理に動かそうとすると痛みと抵抗があります。前下方脱臼時には、前下方に上腕骨骨頭を触れます。X線(レントゲン)検査を行い、脱臼していることと骨折のないことを確認します。
脱臼していない亜脱臼の時には、脱臼の既往があり、前下方に脱臼する反復性肩関節脱臼では、外転する動作、外旋する動作で不安感が増したり、肩関節前方の不安定感や圧痛があることで診断可能です。
X線検査では、肩の2方向撮影に加えて、内旋位前後方向撮影などで上腕骨骨頭のへこんだ状態などをみたり、関節造影検査(アルトログラフィー)やCT(コンピューター断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査で関節唇などの損傷の程度を診断します。
整形外科の医師による治療では、脱臼した骨を素手で元の位置に戻す徒手整復を行うと、とりあえずは普通に使えるようになります。
しかし、その後もスポーツ活動あるいは日常生活において脱臼を繰り返し、そのために活動が制限されるようならば、手術が必要です。
手術には、関節鏡視下手術と通常の直視下手術があります。関節鏡視下手術のほうが体に負担がかからず、手術後の痛みが少ないために普及してきています。
いずれの手術でも、はがれたり切れたりした関節包や関節唇などの軟部組織を元の位置に縫い付ける方法や、骨や腱(けん)で補強する方法などがあります。
手術後は、関節や筋肉の運動などの運動療法(リハビリテーション)が大切ですが、手術後約3カ月までは、再脱臼を来すような動作は日常生活でも避けることが必要で、肩甲骨の線よりも後ろで手を使わないことです。
物を取る際は、体を回して体の前で取るようにします。後ろに手をついて起き上がったり、ブラジャーのホックを後ろでかけたりしないようにします。
ラグビー、柔道などのコンタクトスポーツへの復帰までには、約6カ月が必要です。
反復性肩関節脱臼(だっきゅう)とは、初回の脱臼が明らかな外傷であり、再び同じような外傷が起こることによって、肩関節の脱臼を繰り返す状態。
いわゆる肩が外れた状態のことを一般に脱臼と呼びますが、肩関節は肩甲骨と上腕骨との間の関節で、人間の体の中で最も可動域が広く、ある程度の緩みがあるため反復性脱臼が最も多くみられるのが特徴です。
外傷による肩関節の脱臼は、ラグビー、アメリカンフットボール、柔道、相撲、レスリングなどのコンタクトスポーツ時の激しい接触などにより引き起こされることが多く、前下方脱臼がほとんどです。肩関節は一度脱臼を起こすと、その後は脱臼しやすくなり、前下方脱臼では、外転位、外旋位を強制されることによって起こります。
再度の脱臼から反復性肩関節脱臼に移行し、脱臼の回数を増すごとに軽微な外力で起こるようになり、スポーツ活動ばかりでなく、寝返りのような日常動作でも脱臼が起こりやすくなります。
脱臼すると上腕はバネ様固定となり、前下方脱臼では前下方に上腕骨骨頭を触れます。簡単に自分の力で整復できることもあります。
反復性肩関節脱臼の時の症状は、肩関節の痛み、変形、可動域制限が主な症状で、初回の脱臼の症状と同じです。
脱臼する方向によるものの、前下方に脱臼する反復性肩関節脱臼では、気を付けの姿勢から下げた腕を横に上げる外転動作や、下げた腕を外側に回す外旋動作に不安感を持ち、肩関節前方の不安定感があり、同部に圧痛があることが多くみられます。
初回の肩関節脱臼の年齢が若いと、反復性脱臼に移行しやすいとされています。10歳代に初回脱臼したケースでは80~90パーセントが再発するのに対して、20歳以上では60パーセント、40歳以上では10〜15パーセントが再発しています。
若年者は肩関節を包む関節包や関節唇といった軟部組織に柔軟性があるため、次第に関節が硬くなってくる中高年者に比べると、どうしても脱臼を再発しやすくなるのです。
また、肩関節が脱臼すると多くの場合、軟部組織がはがれたり切れたりして、安静にしていてもうまく治らないのに、若年者は活動性が高く、初回の脱臼後も切っ掛けとなったスポーツを継続する傾向があり、その過程において繰り返し脱臼するリスクが高いことも原因の一つです。
反復性肩関節脱臼の検査と診断と治療
整形外科の医師による診断では、脱臼時には上腕がばね様固定となっており、関節を無理に動かそうとすると痛みと抵抗があります。前下方脱臼時には、前下方に上腕骨骨頭を触れます。X線(レントゲン)検査を行い、脱臼していることと骨折のないことを確認します。
脱臼していない亜脱臼の時には、脱臼の既往があり、前下方に脱臼する反復性肩関節脱臼では、外転する動作、外旋する動作で不安感が増したり、肩関節前方の不安定感や圧痛があることで診断可能です。
X線検査では、肩の2方向撮影に加えて、内旋位前後方向撮影などで上腕骨骨頭のへこんだ状態などをみたり、関節造影検査(アルトログラフィー)やCT(コンピューター断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査で関節唇などの損傷の程度を診断します。
整形外科の医師による治療では、脱臼した骨を素手で元の位置に戻す徒手整復を行うと、とりあえずは普通に使えるようになります。
しかし、その後もスポーツ活動あるいは日常生活において脱臼を繰り返し、そのために活動が制限されるようならば、手術が必要です。
手術には、関節鏡視下手術と通常の直視下手術があります。関節鏡視下手術のほうが体に負担がかからず、手術後の痛みが少ないために普及してきています。
いずれの手術でも、はがれたり切れたりした関節包や関節唇などの軟部組織を元の位置に縫い付ける方法や、骨や腱(けん)で補強する方法などがあります。
手術後は、関節や筋肉の運動などの運動療法(リハビリテーション)が大切ですが、手術後約3カ月までは、再脱臼を来すような動作は日常生活でも避けることが必要で、肩甲骨の線よりも後ろで手を使わないことです。
物を取る際は、体を回して体の前で取るようにします。後ろに手をついて起き上がったり、ブラジャーのホックを後ろでかけたりしないようにします。
ラグビー、柔道などのコンタクトスポーツへの復帰までには、約6カ月が必要です。
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■用語 バレット食道 [用語(は)]
食道炎が慢性に経過して、障害された食道粘膜がなくなり、胃の粘膜に似た別の粘膜で覆われる状態
バレット食道とは、胃と接している食道の部分に炎症が起こり、食道の粘膜が胃や腸の粘膜に似た別の粘膜に変質した状態。食道バレット上皮とも呼ばれます。
食道は、体表の皮膚に似た扁平上皮(へんぺいじょうひ)という粘膜で覆われています。一方、胃や腸は、円柱上皮(えんちゅうじょうひ)という別の粘膜で覆われています。その食道本来の扁平上皮の粘膜が、胃や腸の粘膜に似た円柱上皮の粘膜に置き換わった状態です。
さらに、置き換わった粘膜の80パーセントは、食道がんの発生に関係する腸上化生(ちょうじょうかせい)上皮を含んでいて、がんに対するリスクが高くなります。
欧米では、食道がんの約半数はバレット食道から発生する腺(せん)がんであり、食道本来の扁平上皮から発生する扁平上皮がんと同程度となっています。日本では、食道がんの90パーセント以上は扁平上皮から発生するがんで、バレット食道から発生する腺がんはまれです。
しかし、ライフスタイルの欧米化、肥満の増加、高齢者の増加などとともに、将来的にバレット食道から発生する腺がんの増加が危ぶまれています。
バレット食道の原因については明らかではないものの、後天的なもので、食道への胃酸の逆流が関係するといわれています。例えば、食道へ胃液が逆流して胸焼けなどの症状が現れる逆流性食道炎、あるいは胃食道逆流症が長期的に続くことで、障害された食道の扁平上皮がなくなり、円柱上皮で覆われると考えられています。
このバレット食道は、本来の食道壁と胃壁の境界部である食道胃接合部から食道側への円柱上皮のはい上がりが3センチ未満のショートバレット食道と、円柱上皮のはい上がりが3セント以上のロングバレット食道とに大きく分けられます。
欧米ではロングバレット食道が多くなっていますが、日本ではほとんどがショートバレット食道で、ロングバレット食道まで進行するケースは少数です。その理由は、現在のところ明らかではないものの、一因としてヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の胃内での感染率の差が関係するといわれています。
つまり、日本ではヘリコバクター・ピロリの感染率が高いことが影響して、委縮性胃炎の頻度が高く、胃酸分泌領域が減少し食後の胃酸分泌量の絶対量も少なくなります。一方、欧米ではヘリコバクター・ピロリの感染率が低いことが影響して、委縮性胃炎のケースは少ない傾向にあります。
しかし、ヘリコバクター・ピロリを薬で除菌すると、胃酸分泌量が増えるために、逆流性食道炎を含む胃食道逆流症になりやすくなり、逆流性食道炎が長期的に続くとバレ ット食道になリやすくなります。
バレ ット食道の主な自覚症状は、胸がチリチリ焼けるように感じる胸焼けや、胸の痛み、口が酸っぱくなるように感じる呑酸(どんさん)感。全く無症状の場合も少なからずあり、胃の内視鏡検査でたまたま発見されるのが一般的です。
バレット食道が出現した場合には、内科、あるいは気管食道科を年1〜2回、定期的に受診して内視鏡検査を受けることが勧められます。バレット食道にも段階があり、定期的な検査を受けることで早期の治療が可能になります。
バレット食道の検査と診断と治療
内科、気管食道科の医師による診断では、内視鏡検査で、食道と胃の接合部から口の方向へ向かって観察します。食道の扁平上皮に比べて、赤っぽい円柱上皮が発見されたら、組織を採取して腸上化生上皮を含んでいるかどうかを調べる必要があります。
また、染色液を使って扁平上皮と円柱上皮の区別をして、病巣範囲を把握したり、食道がんに関連する腸上化生上皮の有無を調べることができます。
内科、気管食道科に医師による治療では、日本における腺がん発生の頻度が少ないことから、無治療、あるいは胃酸の逆流による食道粘膜の障害を減らすために、胃酸の分泌を抑える薬を使うだけで、経過をみます。
しかし、バレット食道がなくなることはありません。欧米では、バレット食道自体の治療として、変質した粘膜を内視鏡を使って焼き、食道本来の粘膜の再生を誘導するいくつかの方法が行われていますが、日本ではほとんど行われていません。
粘膜が変質した範囲が3センチ以上になるロングバレット食道の場合、腺がんが発生するリスクが通常より高率に上昇するため、年1〜2回、定期的な内視鏡検査が必要です。一方、粘膜が変質した範囲が3センチ未満のショートバレット食道の場合、リスクは低くなりますので、定期的な内視鏡検査の間隔を長めにできると考えられています。
バレット食道に腺がんが発生した場合には、現在のところ食道の扁平上皮がんに対する対応と同じです。内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法を主に、レーザー療法、電気凝固療法、温熱療法、免疫療法など、いくつかの治療法を適切に組み合わせて行われます。
バレット食道とは、胃と接している食道の部分に炎症が起こり、食道の粘膜が胃や腸の粘膜に似た別の粘膜に変質した状態。食道バレット上皮とも呼ばれます。
食道は、体表の皮膚に似た扁平上皮(へんぺいじょうひ)という粘膜で覆われています。一方、胃や腸は、円柱上皮(えんちゅうじょうひ)という別の粘膜で覆われています。その食道本来の扁平上皮の粘膜が、胃や腸の粘膜に似た円柱上皮の粘膜に置き換わった状態です。
さらに、置き換わった粘膜の80パーセントは、食道がんの発生に関係する腸上化生(ちょうじょうかせい)上皮を含んでいて、がんに対するリスクが高くなります。
欧米では、食道がんの約半数はバレット食道から発生する腺(せん)がんであり、食道本来の扁平上皮から発生する扁平上皮がんと同程度となっています。日本では、食道がんの90パーセント以上は扁平上皮から発生するがんで、バレット食道から発生する腺がんはまれです。
しかし、ライフスタイルの欧米化、肥満の増加、高齢者の増加などとともに、将来的にバレット食道から発生する腺がんの増加が危ぶまれています。
バレット食道の原因については明らかではないものの、後天的なもので、食道への胃酸の逆流が関係するといわれています。例えば、食道へ胃液が逆流して胸焼けなどの症状が現れる逆流性食道炎、あるいは胃食道逆流症が長期的に続くことで、障害された食道の扁平上皮がなくなり、円柱上皮で覆われると考えられています。
このバレット食道は、本来の食道壁と胃壁の境界部である食道胃接合部から食道側への円柱上皮のはい上がりが3センチ未満のショートバレット食道と、円柱上皮のはい上がりが3セント以上のロングバレット食道とに大きく分けられます。
欧米ではロングバレット食道が多くなっていますが、日本ではほとんどがショートバレット食道で、ロングバレット食道まで進行するケースは少数です。その理由は、現在のところ明らかではないものの、一因としてヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の胃内での感染率の差が関係するといわれています。
つまり、日本ではヘリコバクター・ピロリの感染率が高いことが影響して、委縮性胃炎の頻度が高く、胃酸分泌領域が減少し食後の胃酸分泌量の絶対量も少なくなります。一方、欧米ではヘリコバクター・ピロリの感染率が低いことが影響して、委縮性胃炎のケースは少ない傾向にあります。
しかし、ヘリコバクター・ピロリを薬で除菌すると、胃酸分泌量が増えるために、逆流性食道炎を含む胃食道逆流症になりやすくなり、逆流性食道炎が長期的に続くとバレ ット食道になリやすくなります。
バレ ット食道の主な自覚症状は、胸がチリチリ焼けるように感じる胸焼けや、胸の痛み、口が酸っぱくなるように感じる呑酸(どんさん)感。全く無症状の場合も少なからずあり、胃の内視鏡検査でたまたま発見されるのが一般的です。
バレット食道が出現した場合には、内科、あるいは気管食道科を年1〜2回、定期的に受診して内視鏡検査を受けることが勧められます。バレット食道にも段階があり、定期的な検査を受けることで早期の治療が可能になります。
バレット食道の検査と診断と治療
内科、気管食道科の医師による診断では、内視鏡検査で、食道と胃の接合部から口の方向へ向かって観察します。食道の扁平上皮に比べて、赤っぽい円柱上皮が発見されたら、組織を採取して腸上化生上皮を含んでいるかどうかを調べる必要があります。
また、染色液を使って扁平上皮と円柱上皮の区別をして、病巣範囲を把握したり、食道がんに関連する腸上化生上皮の有無を調べることができます。
内科、気管食道科に医師による治療では、日本における腺がん発生の頻度が少ないことから、無治療、あるいは胃酸の逆流による食道粘膜の障害を減らすために、胃酸の分泌を抑える薬を使うだけで、経過をみます。
しかし、バレット食道がなくなることはありません。欧米では、バレット食道自体の治療として、変質した粘膜を内視鏡を使って焼き、食道本来の粘膜の再生を誘導するいくつかの方法が行われていますが、日本ではほとんど行われていません。
粘膜が変質した範囲が3センチ以上になるロングバレット食道の場合、腺がんが発生するリスクが通常より高率に上昇するため、年1〜2回、定期的な内視鏡検査が必要です。一方、粘膜が変質した範囲が3センチ未満のショートバレット食道の場合、リスクは低くなりますので、定期的な内視鏡検査の間隔を長めにできると考えられています。
バレット食道に腺がんが発生した場合には、現在のところ食道の扁平上皮がんに対する対応と同じです。内視鏡治療、手術、放射線治療、化学療法を主に、レーザー療法、電気凝固療法、温熱療法、免疫療法など、いくつかの治療法を適切に組み合わせて行われます。
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