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■用語 羊水過多症 [用語(よ)]

[牡牛座]妊婦の羊膜中の羊水の量が極端に多くなる疾患
 羊水過多症とは、胎児を包んで保護する羊膜の中の羊水の量が極端に多くなる疾患。羊水の量が800ミリリットルを超えることが、目安となります。
 羊水は妊娠中、胎児がその中で自由に運動し、伸び伸びと発育することを助ける働きがあります。また一方、胎児が活発に動き回っても、直接母体に強く響くのを防ぎ、外からの刺激から胎児を守る役目も果たしています。
 出産の際には、子宮筋の収縮による強い圧迫が直接、胎児に加わることを防ぐとともに、破水した後は胎児が通る道、つまり子宮頸管(けいかん)から膣(ちつ)などの軟産道を潤して滑らかにし、胎児を通りやすくします。
 このように胎児にとっても母体にとっても重要な働きをしている羊水の量が極端に多くなるのは、妊婦に腎臓(じんぞう)病、糖尿病、梅毒、ウイルス感染、胎盤腫瘍(しゅよう)などがある場合に、羊水を分泌している羊膜の分泌機能が異常に高まって、羊水がどんどん分泌されるために起こりやすいといわれています。
 また、胎児に中枢神経系や消化器系などの先天異常があったり、巨大児、双生児などの多胎妊娠である場合にも、羊水の量が増える傾向があります。しかし、羊水過多の半数以上は、原因が不明です。
 この羊水過多症には、妊娠5カ月ごろから徐々に増える慢性型と、8~9カ月ごろになって急に増える急性型とがあります。
 急性型の場合は、妊婦の腹部が急に大きくなって、腹痛、腰背部痛、吐き気、足のむくみ、時には呼吸困難、動悸(どうき)、嘔吐(おうと)などが起こります。自然に陣痛が始まるか、早期破水を起こして流産することもあります。
 慢性型の場合は、急性型と同様の自覚症状が25週ごろから現れますが、症状は軽いのが普通です。前期破水を来し、早産に至ることもあります。
 羊水過多症になると、胎児の位置もわかりにくく、心音も聞き取りにくくなります。他の妊娠トラブルと同様、産科、産婦人科の医師を受診し、慎重に経過を診てもらう必要があります。
[牡牛座]羊水過多症の検査と診断と治療
 産科、産婦人科の医師による診断では、軽度、中度の羊水過多症の場合は、巨大児や糖尿病の合併を推測して、胎児計測や血糖検査を行います。重度の羊水過多症については、胎児の消化器系の奇形などの可能性を探るため、超音波検査、染色体検査を行います。
 羊水過多症の多くは、特別な治療を要しません。ただし、母体に持続的な腹痛が現れる時には、腹部の圧迫症状を軽くするため、水分を制限したり、利尿剤を処方したりします。
 母体に持続的な呼吸障害も現れる時には、入院して腹部に針を刺して羊水を抜くこともあります。1~2時間をかけて1~2リットルの羊水を除去するのが一般的ですが、この際に子宮の収縮を伴って腹部が張る場合には、子宮収縮抑制剤を投与する場合もあります。
 このほか、羊水過多症の合併症に注意します。合併症としては、早産や前期破水、常位胎盤剥離(はくり)、産後の弛緩(しかん)出血などが挙げられます。胎児が骨盤位(逆子)になっているケースも多いので、なるべく破水などの起こらないように、慎重に過ごすごすように妊婦に注意を促します。
 羊水過多症の妊婦の分娩(ぶんべん)に際しては、子宮が大きく伸びている状態のため微弱陣痛になりやすい傾向もあり、通常の経腟分娩では合併症も起こしやすいため、帝王切開が行われることが多くなります。




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■用語 羊水塞栓症 [用語(よ)]

[牡牛座]羊水や胎児成分が母体の血液中に混入して、血管が詰まる疾患
 羊水塞栓(そくせん)症とは、胎児を包んで保護する羊膜の中の羊水や、その中に存在する胎児成分が母体の血液中に混入して、血管が詰まる疾患。胎児成分とは、胎児のうぶ毛、髪の毛、皮膚の細胞、胎便、胎児の皮膚に付着している胎脂などです。
 発症率は2万~3万人に1人と極めて低いものの、死亡率は6~8割と非常に高く、低血圧や呼吸不全を起こしてショック状態に陥ります。
 従来、肺塞栓症の特殊な型と考えられ、子宮の静脈などから混入した羊水や胎児成分が母体の肺動脈系などの血管に塞栓を作り、血液の流れを遮断してしまうことが原因だといわれてきました。 しかし、子宮の血管を詰まらせ異常出血を引き起こするケースが多いことも判明していますし、羊水や胎児成分に含まれるある種の化学活性物質による、アレルギー反応のような化学的な反応が起こっているのではないかともいわれています。
 典型的な経過は、特に何の合併症もない妊婦が分娩(ぶんべん)中もしくは分娩直後に、突然の呼吸困難と胸痛を訴えて、あっという間に全身が黒くなってショック状態に陥り、意識を回復することなく、1時間以内に死亡するというものです。 ただ、初発症状の呼吸困難や胸痛が必ずあるわけではなく、急激な血圧低下などから発症することもあります。
 肺の塞栓が軽度の場合には、血液が固まらず血が止まらなくなる播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)を続発し、著しく出血します。分娩中に起こった場合などは、胎盤の剥離(はくり)面から大出血を起こすこともあります。
[牡牛座]羊水塞栓症の検査と診断と治療
 産科、産婦人科、婦人科の医師による治療は、急性ショック状態に対する救急処置、播種性血管内凝固症候群に対する薬物療法が主体となります。
 呼吸困難で酸素が足りなくなるので、まず迅速に酸素投与が行われます。重症化している場合には、気管にチューブを入れる気管内挿管により、人工換気が行われます。 ショック状態に対しては輸液や循環改善薬の投与などが行われます。
 発症すると急速に症状が進行するので、高次医療への搬送が必須になるものの、手を尽くしても救命できないことも多いのが現状です。
 確定診断にはバフィーコート法といって、妊婦の心臓の右心系の血液を採取して、胎児の皮膚や胎脂に由来する成分が含まれていないか調べる方法が用いられることもあります。
 一般的には、羊水塞栓症で確定診断となるのは、そのほとんどが死亡した妊婦の剖検例です。剖検例では、肺の細かな血管の中に胎児成分が証明されます。生存例では迅速な診断法がないため、その特徴的な症状から推定して診断され、治療が行われます。




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■用語 腰部脊柱管狭窄症 [用語(よ)]

[クリスマス]腰椎の脊柱管が狭くなって中の神経が圧迫され、腰痛や下肢のしびれが起こる疾患
 腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症とは、腰椎(ようつい)の脊柱管の内部が狭くなり、中を通る神経が圧迫されて、腰痛や下肢のしびれが起こる疾患。
 脊柱管の後方を構成する椎間関節や椎弓、靭帯(じんたい)などは、加齢により変性、肥厚します。また、脊柱管の前方を構成する椎間板も突出してきます。この結果、脊柱管に収められている馬尾(ばび)神経や、座骨神経の根本である神経根が、慢性的に圧迫を受けて、腰部や下肢に痛みやしびれが出てきます。
 腰部脊柱管狭窄症は椎間板ヘルニアとともに腰痛の二大疾患の一つで、ヘルニアと異なり、加齢とともに症状を訴える人が増加し、病状も進行する傾向があります。生まれ付き脊柱管が狭いことも素因になりますが、必ずしも症状が出るというものではありません。こうした素因に、加齢による変形性腰椎症や腰椎すべり症などが加わると、腰椎の脊柱管の狭窄状態が起こることになります。
 特に、若いころから腰に負担がかかる職業に携わってきた人や、逆にあまり筋肉を使わずにいたために筋力が低下している人が、なりやすい傾向があります。
 また、腰部脊柱管狭窄症には脊柱管の狭窄の場所などにより、脊柱管の中心部で圧迫を受ける中心型と、脊柱管の外側で圧迫を受ける外側型、一本一本の神経が出て行く椎間孔というトンネルで圧迫を受ける椎間孔型の三タイプがあります。中心型は馬尾神経が圧迫され、外側型と椎間孔型は神経根が圧迫されます。
 中心型の典型的な症状は、歩行とともに下肢のこわばりやしびれ、脱力が出現します。歩けなくなるほどですが、しばらく座ったり、しゃがんだりして休むとまた歩けるようになるという間欠性跛行(はこう)の症状を繰り返すことが特徴です。
 間欠性跛行は立ったり、歩いたりことで構造上、腰椎の脊柱管が一層狭くなって神経を圧迫するために起こり、体が前かがみになると脊柱管がやや広くなり、神経圧迫は解除されて症状はなくなります。背筋を伸ばして歩けなくなっても、自転車ならいくらでもこげるという場合もあります。
 中心型では、足にまひを起こしたり、排尿障害、排便障害を伴う場合もあります。 外側型と椎間孔型では、片方の下肢に中心型と同じような症状が現れ、椎間板ヘルニアでみられるような座骨神経痛も現れます。通常は、三タイプが単独、または複合して神経症状が出てきます。
 間欠性跛行がある場合は、整形外科を受診することです。年齢のせいと考えて放置すると、どんどん症状が進行することがあります。とりわけ、両脚のしびれや、まひがある場合は、重い症状であると認識することが必要です。
 整形外科の医師による診断では、主にX線検査やCT、MRIで腰部の脊柱管狭窄があるかどうかを検査しますが、狭窄があるから症状が必ず出るとは限りません。本当に腰部脊柱管狭窄症が原因であるかどうかを確かめるためには、他の疾患と鑑別する必要があります。
 この疾患は高齢者に多いために、変形性膝(しつ)関節症のような脚の関節の疾患や、閉塞(へいそく)性動脈硬化症のような血管の疾患でも、同様な症状が出ます。これらの疾患を除外し、さらに腰椎の神経に麻酔薬を注入する神経ブロック注射を行うことにより、一過性にでも症状がなくなることが認められれば、診断の確定が可能となります。
 整形外科の医師による治療では、まぜ姿勢や日常生活の指導を行い、神経を圧迫するような姿勢や動作を避けてもらいます。例えば、背中を反らせる姿勢は脊柱管をより狭くして、神経を圧迫するため、脊柱管を少し広くするために、歩く際に前かがみの姿勢を心掛けてもらいます。杖(つえ)やカートを使ったり、自転車に乗るなど日常生活を少し工夫することでも、かなり症状を軽減できます。
 痛みを除くためには、消炎鎮痛薬や血流改善薬などを使用します。薬で痛みが改善しない場合は、神経ブロック注射が有効です。神経ブロック注射を数回行うことで症状が消えることもあります。加えて、コルセットを装着したり、腰の牽引(けんいん)療法や温熱療法、腰痛体操などの運動療法を併用して治療します。
 このような保存的治療を3カ月ほど行っても症状が改善しない場合や、排尿障害や排便障害を伴う場合には、手術的治療が考慮されます。手術的治療の基本は、脊柱菅を狭くしている部分の骨を背中側から削り、神経の圧迫を取り除くこと。手術方法には、開窓術、椎弓切除術、脊柱管拡大術などがあり、神経の圧迫の受け方により選択されます。




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■用語 溶血性貧血 [用語(よ)]

[トイレ]赤血球の寿命が短くなり、骨髄が赤血球を作る代償機能が追い付かずに現れる貧血
 溶血性貧血とは、何らかの理由で赤血球の寿命が短くなり、骨髄が赤血球を作る代償機能が追い付かなくなることで現れる貧血。先天性の溶血性貧血と後天性の溶血性貧血とに分かれます。
 正常な人の赤血球は、流血中で約120日の寿命があります。赤血球の寿命が短くなっても、骨髄には普通の状態の6~8倍に当たる赤血球を作る能力があるため、その程度が軽い場合には貧血は起こりません。赤血球の寿命が15~20日より短くなって、初めて貧血が起こり、動悸(どうき)、息切れ、疲れやすいなどの症状がみられます。
 加えて、赤血球が壊れると、血色素(ヘモグロビン)が多量に血球外に出される溶血という現象が発生し、これから黄色いビリルビン(胆汁色素)ができるため、皮膚や眼球粘膜が黄色く見え、尿の色も濃くなります。このため、溶血性黄疸(おうだん)とも呼ばれ、しばしば脾臓(ひぞう)がはれてきます。脾臓は胃の左側にある小さな臓器で、白血球の一部を作り、不用の血球を壊しています。
 先天性の溶血性貧血は、赤血球そのものの異常が溶血の原因となって起こります。その中で代表的な疾患は、遺伝性球形赤血球症。正常な人の赤血球は、中央部がへこんだ円盤状をしていますが、この疾患では球形に近い形をしていて溶血しやすく、貧血と黄疸がみられます。溶血が慢性化すると、ビリルビンが胆嚢(たんのう)にたまるため、胆石症を合併する頻度が高くなります。
 一方、後天性の溶血性貧血は、発作性夜間血色素尿症など一部を除いて、赤血球に対する抗体や血管壁の異常など、赤血球以外の異常が溶血の原因となって起こります。その中で代表的な疾患は、自己免疫性溶血性貧血で、自己の赤血球に対する抗体が体の中に作られて、赤血球が早期に壊されます。
 ウイルス感染や、薬剤の使用に引き続いて起こることもありますが、ほとんどの例で誘因は不明です。全身性エリテマトーデスのような膠原(こうげん)病や、悪性リンパ腫(しゅ)を合併している例もあります。
 医師による溶血性貧血の診断では、血液の検査が最も重要です。これによって、貧血とともに、ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)といわれる物質の上昇が認められれば、溶血が強く疑われます。
 身内に溶血性貧血の人がいる場合、先天性の溶血性貧血の可能性があり、遺伝子や蛋白(たんぱく)の異常を生化学的に検査していきます。また、赤血球に対する自己抗体を検出する検査はクームス試験といわれ、これが陽性であれば自己免疫性溶血性貧血と診断できます。
 先天性の溶血性貧血の代表的な疾患である遺伝性球形赤血球症の治療では、適当な薬物療法がないため、赤血球を取り込んで破壊する脾臓を手術で摘出します。これによって赤血球の形は変わりませんが、黄疸や貧血は著しく改善します。脾臓の摘出手術は、学齢期以後の小児や成人に行った場合、何らの障害も残しません。胆石症の合併の恐れがある場合には、胆嚢の摘出をすることもあります。
 後天性の溶血性貧血の治療は、その原因によって異なります。自己免疫性溶血性貧血の場合は、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の投与が有効です。ステロイド剤の第一選択薬であるプレドニンにより、約9割の発症者が改善します。
 プレドニンが無効の場合には、シクロホスファミド(エンドキサン)やアザチオプリン(イムラン)などの免疫抑制薬が投与されます。近年では、抗体を作っているBリンパ球に対するモノクローナル抗体製剤のリツキサンが、難治性の自己免疫性溶血性貧血に有効であることが示されています。




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