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■ALS嘱託殺人、医師の男に懲役18年判決 京都地裁 [健康ダイジェスト]

 難病の筋委縮性側索硬化症(ALS)患者に対する嘱託殺人罪や、共謀したとされる元医師の父親への殺人罪などに問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)の裁判員裁判で、京都地裁(川上宏裁判長)は5日、懲役18年(求刑・懲役23年)の実刑判決を言い渡しました。
 大久保被告は、元医師の山本直樹被告(46)(控訴中)と共謀し、2019年11月、ALS患者の林優里さん(当時51歳)が住む京都市中央区のマンションを訪ね、林さんに頼まれ、薬物を投与して殺害したとして起訴されました。2011年に山本被告の父親(当時77歳)を殺害したとする殺人罪などにも問われています。
 大久保被告は事件前、SNSで「安楽死」を肯定する持論を展開。寝たきりで眼球と瞼まぶた)しか動かせなかった林さんとSNSで「安楽死」の計画をやり取りしており、公判では「林さんの願いを 叶(かな)えるためにやった」と述べました。
 公判では医師である被告が林さんの依頼に応じて命を奪った行為の正当性が争点となりました。
 検察側は、被告が林さんに報酬として130万円を送金させた上、詳細な検査もせず短時間で殺害したとし、「死にたいと願う難病患者は積極的に殺害するとの思想を実践するため、医療知識を悪用した。ビジネスとして殺害を実行しており、正当行為に当たるはずがない」と訴えました。
 一方、弁護側は「被告の行為を刑法で処罰すると、林さんは国家によって『望まない生』を強いられる結果となり、自己決定権を保障する憲法に反する」と無罪を求めていました。
 山本被告の父親に対する殺人罪に関しては、検察側が「主導的に計画を立案し、主犯として実行した」と主張したのに対し、弁護側は「殺害は山本被告らが実行し、大久保被告は関与していない」と反論していました。

 2024年3月6日(水)

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