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■HIV感染者、増加傾向が続く 短期で発症のウイルスも増加 [健康ダイジェスト]

 今日12月1日は、世界保健機関(WHO)が定めた世界エイズデー。日本のHIV(エイズウイルス)感染者は依然として増加傾向が続き、中でもエイズ発症後に感染に気付く人が増えています。
 HIVに感染しても、エイズ発症前、それもできるだけ早い時期に治療を開始することで予後がよいことがわかっており、治療に取り組む医師らは保健所やクリニックでの自発的な検査を呼び掛けています。
 厚生労働省エイズ動向委員会によると、今年9月末までの9カ月間の新たなHIV感染者は747人、エイズ患者は334人。エイズ発症前に感染が確認、報告された人は発症時にエイズ患者として国に報告が上がらないため、約3割がHIV感染に気付かないままエイズを発症したことになります。
 しらかば診療所(東京都新宿区)の井戸田一朗院長(感染症内科)は、「HIVに感染しても、治療がエイズ発症前か発症後かのタイミングの違いで、その後の生存期間が大きく異なることがわかっている。ただ、感染者の半数以上が一般医療機関の術前検査などで見付かっており、長い間感染に気付かないままでいる人が少なくない」と指摘する。
 HIV感染後に全く症状がない人もいますが、6週間後ぐらいで約6割に発熱や発疹、咽頭痛、下痢、リンパ節腫大などの症状が出ることが知られています。症状が多彩で、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染症との区別が付きませんが、切っ掛けとなった出来事が6週間前にあった人はとりあえず検査を受けたほうがいいといえます。
 また、クラミジアや梅毒などの性感染症にかかると、HIV感染の感受性が5~10倍に高まることもわかっています。性感染症と診断されたら、同時にHIV検査も受けるべきでしょう。
 HIV検査は保健所や自治体の特設検査施設なら、無料、匿名で受けることができます。ただ、検査は感染機会があってから60日以上たたないと、正確な結果が得られません。即日(迅速)検査では90日以上としている保健所もあるので、受ける時は事前に電話などで確認が必要。
 保健所などでの無料検査、相談件数は2007〜2008年に20万件を超えましたが、2009年は新型の豚インフルエンザへの対応に保健所が追われたほか、関心が移ったことなどから19万件台に減少。今年は、昨年をさらに下回りそうです。
 これまでHIV感染から10年は発症しない人が多いといわれてきましたが、近年、数年で治療が必要になる新タイプのウイルスが国内外で増加しています。井戸田院長も、「最近の研究で、HIVに感染してからエイズ発症までの期間が以前より短くなっているという報告があり、臨床の場でもそうした傾向を実感している。感染を広げないためだけでなく、自身の健康のためにも自発的に検査を受けてほしい」と呼び掛けています。
 エイズ治療薬は20種類を超え、複数の薬を組み合わせて服用する多剤併用療法(ART)により、発症前に治療を始めれば約40年発症しないと考えられるようになってきました。ただし、どんな薬にも、効かない耐性HIVが必ず登場します。
 注目されているのは、07年に発売が始まったヤンセンファーマの「プリジスタ(一般名:ダルナビル)」。従来の薬は標的が一つでしたが、プリジスタは標的が二つ。標的の片方が変異を起こして薬の攻撃を逃れても、もう一つ標的が残り、耐性が起きにくくなります。開発した熊本大の満屋裕明教授は、「いわば二刀流の薬」と話しています。

 2010年12月1日(水)




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