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■発達障害の相談、2016年度は7万4024件 全国91カ所の支援センターは人員不足に [健康ダイジェスト]

 発達障害を抱える人やその家族への支援を行う専門機関「発達障害者支援センター」に寄せられた相談件数が2016年度、7万4000件を超え、過去最多となったことが厚生労働省のまとめで明らかになりました。
 障害への理解や支援の不足は、本人の不登校や仕事上のトラブル、親による虐待などにつながりかねないとされますが、相談件数の増加に伴って支援の担い手不足が目立ってきており、各自治体は対策を急いでいます。
 厚労省によると、乳児期から幼児期にかけての発達過程が何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された発達障害の人は、その疑いがある人も含めると全国に約700万人いると推定されます。小中学生の6・5%程度に発達障害の可能性があるとの調査結果もあります。
 厚労省のまとめでは、2016年度に全国に91カ所ある発達障害者支援センターに寄せられた相談は計7万4024件で、47カ所でスタートした2005年度から4倍以上に増えました。相談の多くは親から寄せられた子供に関するもので、発達障害への認知度の高まりが影響しているとみられます。
 それぞれの支援センターでは、障害の検査や生活に関する助言、就労支援、病院など関係機関の紹介、啓発活動などを行っていますが、急増する相談に伴い、臨床心理士などの専門家を十分確保できない地域も出ています。
 関東地方のある支援センターでは、来所による相談が数カ月待ちの状態が続いているほか、電話相談も多く、受話器を取れないことも珍しくないといいます。支援センター長は、「病院などと連携して対応できれば効果的だが、連携先が少なく、支援センターで抱え込まざるを得ない。人員も不十分で、迅速で丁寧な対応が難しくなっている」と話しています。
 四国のある支援センター幹部も、「相談件数は右肩上がりだが、職員の人数は増えず、負担が大きくなっている」といい、啓発活動や就労支援まで手が回らないのが実情だと明かしています。
 支援センターを中心とする対応が「ニーズ」に十分応えられなくなっている中で、自治体が新たな支援策に乗り出すケースも増えています。
 その一つが「ペアレント・プログラム」と呼ばれる取り組みで、専門知識がない市町村などの職員でも、専門家の研修を受けることで助言などを担当できるのが特徴。子供の障害などに悩む親らに、自分や子供の「できる」ことに着目し、これを褒めることで前向きに生活できるよう促します。
 厚労省も、都道府県や市区町村に補助金を出して後押ししており、毎年250~300の自治体が利用。昨年度から導入した千葉県柏市では、研修を受けた児童センター職員が助言役となる会合が毎月数回のペースで開かれており、3歳と1歳の娘の育児に悩んで今年4~7月に参加した母親(36歳)は「褒めると子供が自信を持って動いてくれることがわかり、心に余裕ができました」と語っています。
 このほか、発達障害の子供を育てた経験者が、同じ悩みを抱える子育て家庭に助言をする「ペアレントメンター」を育成する取り組みも広がっています。昨年度は全国で計41の都道府県や政令指定都市が導入し、事業が始まった2010年度と比べて約2倍になりました。
 発達障害者の支援に詳しい杉山登志郎・福井大客員教授(児童青年精神医学)は、「発達障害への支援の必要性は年々高まっているが、拠点となるべき支援センターの態勢は脆弱(ぜいじゃく)だ」と指摘。「国や自治体は、地域の実情に合わせて支援センターの態勢強化を進めるとともに、支援の裾野を広げる取り組みにも力を入れる必要がある」と話しています。

 2017年9月9日(土)

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