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■生活習慣病の予防、ミネラルのバランスにも注意を [健康ダイジェスト]

 生活習慣病の予防に重要なことの一つは、栄養バランスのよい食事を心掛けること。これまで炭水化物、たんぱく質、脂肪という3大栄養素のバランスが重視されてきましたが、最近の研究で食事や飲み物に含まれるミネラルのバランスも健康管理に重要な役割を果たすことがわかってきました。
 炭水化物、たんぱく質、脂肪の3大栄養素は有機物とも呼ばれ、主に炭素、水素、酸素、窒素の4元素で構成されています。これ以外の元素のうち、食事などによって摂取することが必要な元素がミネラル(無機質)。ミネラルは多すぎても少なすぎても、健康の保持や増進には好ましくありません。専門家は成分ごとに1日当たりの目安量、推奨量、目標量を設定してきましたが、最近、摂取したミネラルが体内で相互に影響し合うことが知られてきました。
 国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)食品保健機能研究部の石見佳子部長は、「近年の研究成果の一つとして、ミネラルのバランスを考えなければならないことがわかってきた。例えばナトリウムとカリウムの関係がある」と話しています。
 どちらも組織や細胞を満たしている体液の浸透圧を調節するミネラルで、血圧の維持、神経や筋肉の働きに欠かせません。しかも、食事で摂取したカリウムは、体内で増えすぎたナトリウムの量を減らすなど、体の機能を正常に保つためのバランスを取っていることもわかってきたのです。
 日本は世界的にみても食塩摂取量の多い国民で、厚生労働省が食事から摂取する1日当たりの目標量として定めている男性9グラム未満、女性7・5グラム未満をなかなか達成できていません。そこにカリウム不足が加わるとバランスが崩れ、高血圧を発症しやすくなります。そのため、最近では、「塩分控えめ」の努力とともに、カリウムを豊富に含む野菜、大豆など豆類、果物を積極的に取ることが勧められるようになっています。
 同様のミネラルバランスはカルシウムとリンの間にもあり、どちらも骨を構成する重要な成分。石見部長は、「骨の健康のためにはちょうどいいバランスが大切だが、日本人はカルシウムが不足がち。それに対して、リンは通常の食事ではまず不足しない栄養素である上、取りすぎるとカルシウムの吸収を阻害することがわかってきた」と話しています。
 日本人にとっては、牛乳などでカルシウムをしっかり摂取し、リンは控えめにするのがよいバランスの取り方で、リンは食品添加物に多く含まれるため、加工食品、レトルト食品、インスタント食品、清涼飲料水に頼った食生活を改めることは骨の健康の維持にも役立つといいます。 
 栄養素として摂取することが欠かせないミネラル成分として、現在16種類が知られています。そのうち1日の摂取量が100ミリグラム以上のものを主要ミネラルと呼び、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウムがあります。それに対して100ミリグラム未満のものを微量元素と呼び、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素があります。
 これまで多くの微量元素は、通常の食事を取っていれば不足することが少ないと考えられてきました。しかし、現代では伝統的食材が減ったり、化学肥料に頼った農業が微量元素不足をもたらし、糖尿病などの生活習慣病になりやすい体質を作っていると考えられています。
 石見部長は、「これら微量ミネラルをバランスよく含む、ワカメ、ヒジキなどの海草や、カキ、アサリ、小魚などの魚介類を積極的に取ることで、健康の保持増進に役立ててほしい」と話しています。
 健康の秘訣は1日3食をきちんと食べることですが、ミネラルバランスの視点を加えることが、体調の改善にもつながりそうです。ミネラルは体に不可欠な微量栄養素でありながら、生物体内で作ることができないため、食物あるいはその他の形態で摂取しなければ、生命を維持することができません。

 2012年1月10日(火)




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