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■用語 膣壁裂傷 [用語(ち)]



[iモード]性交時や分娩時に、膣壁の裂傷を生じて出血する状態
 膣壁(ちつへき)裂傷とは、無理な力が加わった時に女性の膣壁が裂けて出血する状態。性交による膣壁裂傷と、分娩(ぶんべん)時に発生する膣壁裂傷とがあります。
 女性生殖器系の器官である膣は、骨盤内にあって子宮と体外とをつなぐ管状の器官で、伸び縮みできる構造をしています。腟の前方には膀胱(ぼうこう)や尿道があり、後方には直腸があります。
 腟壁は粘膜に覆われ、その粘膜面には横に走るひだがあります。このひだは正中部で集合し、前壁と後壁で中央に縦に走るひだになっています。このひだは出産の経験のない人に、多く認められます。
 性交による腟壁裂傷は、まだ経験の浅い女性に多く、特に粗暴な行為や器具を使用した場合に多くみられます。腟入口部から最深部の腟円蓋(えんがい)まで幅広い腟壁の裂傷の形をとりますが、その多くは腟壁内の縦に走る裂傷として認められており、特に腟の前壁と後壁のひだの薄い粘膜に裂傷が起こりやすい傾向があります。
 症状は、性交時の痛みと出血。出血は、鮮血で多量の場合が多くみられます。膣の入口部にある処女膜が裂傷を起こして出血する場合もありますが、こちらはすぐに止血する場合がほとんどなのに対して、膣壁が男性の陰茎などによって機械的に刺激を受けて裂傷を招いた場合には、生々しい血が流れ出し、出血の量も多くなる傾向があります。
 止血しにくい際は縫合が必要ですので、すぐに婦人科、産婦人科で治療を受ける必要があります。恥ずかしさのため、受診をためらっていると危険な場合もあります。
 性交経験の長い経産婦でも、不自然な体位や粗暴な行為により、腟壁に裂傷を起こすことがあります。また、更年期や閉経以降の女性は、女性のホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の消退とともに、腟壁の委縮が起こって伸縮性が乏しくなるため、性交渉によって腟壁に裂傷を生じることがあります。
 一方、分娩時に発生する腟壁裂傷は、胎児が産道である膣を通って出てくる際に、会陰(えいん)裂傷とともに生じることがあります。腟は厚くて伸展性に優れていますが、胎児の頭の大きさと産婦の腟や外陰部の伸び具合のアンバランスで一般的に起こります。
 ほかに、急速な分娩進行、胎児の姿勢の異常、大きな児頭などでも起こります。特に、高年初産の産婦では産道の伸展が悪くなっていることが多いため、腟壁裂傷、会陰裂傷を生じやすくなります。
 腟壁裂傷は膣の下3分の1に生じやすく、かすり傷程度から、時には肛門(こうもん)から直腸の裂傷を伴う重症な場合もあります。分娩直後から、腟壁裂傷を生じた部位からの持続的な出血があり、時には急速出血、多量出血となり、極端に血圧が下がるなどのショックとなる場合もあります。
 産婦人科の医師の管理の下で分娩する場合には、直ちに縫合、止血などの適切な処置が講じられます。
[iモード]膣壁裂傷の検査と診断と治療
 婦人科、産婦人科の医師による診断では、膣鏡を用いた視診によって腟壁の裂傷の部位、裂傷の程度を確認します。分娩時に発生する腟壁裂傷に対しては、直腸診によって直腸の裂傷の有無も確認します。
 医師による治療では、裂傷の程度にもよりますが、出血が断続的に起こり止まらない場合は縫合、止血処置を行います。局所麻酔でも可能ですが、裂傷が広範な場合は全身麻酔にて、吸収糸という抜糸しなくても自然に吸収される糸で、裂傷の部位を縫い合わせます。処置後は、抗菌薬の投与を数日間行います。
 縫合処置ができない場合は、ガーゼで裂傷の部位を圧迫したり、裂傷の部位にドレーン(誘導管)という合成樹脂性のゴムを留置し、貯留する血液や浸出液を体外へ排出することもあります。


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