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■用語 橈骨神経まひ [用語(た行)]

[手(グー)]腕に走る橈骨神経が圧迫されて、腕がしびれたり、動かなくなる障害
 橈骨(とうこつ)神経まひとは、腕の骨を巻くように、鎖骨の下からから手首、手指まで走っている神経が、外から圧迫されることで起こる障害。腕がしびれたり、手首や手指が動かなくなったりします。
 橈骨神経は腕に走る大きな神経の1つで、主に肘(ひじ)関節を伸ばしたり縮めたり、手首や手指を伸ばしたりするなどの動きを支配している神経です。感覚領域は手の背部で、親指、人差し指とそれらの間の水かき部を支配しています。
 腕に走る大きな神経はほかに、正中(せいちゅう)神経、尺骨(しゃくこつ)神経がありますが、橈骨神経は障害を受けやすく、腕の神経まひのほとんどを占めます。
 この橈骨神経は鎖骨の下からわきの下を通り、上腕の外側に出てきて上腕中央部で上腕骨のすぐ上を走り、肘のあたりで腕の内側を走り、手首の近くでまた表面に出てきます。このようにいろいろな方向に走っていますので、いろいろな部位で圧迫を受ける可能性があります。中でも、橈骨神経が障害されやすい部位は2カ所あります。
 1カ所はわきの下での圧迫、もう1カ所は上腕の外側での圧迫です。特に上腕の外側、いわゆる二の腕の部位は、上腕骨に接するように橈骨神経が走行し、筋肉が薄い部位であるために、上腕骨に橈骨神経が圧迫されやすい状況にあり、最も障害を受けやすい部位です。
 橈骨神経まひの原因は、大きく分けて2つあります。一番多いのが、腕の橈骨神経を体外から強く圧迫したことで起こる末梢(まっしょう)性の神経まひです。
 典型的には、前夜から腕枕をして寝ていた、ベンチの背もたれにわきの下を挟むような姿勢を続けていた、電車で座席の横のポールに腕を当てて寝ていた、飛行機で肘掛けに寄り掛かるように寝ていた、浴槽でわきの下を圧迫するようにうたた寝していたなど、わきの下や上腕の外側を強く圧迫するような姿勢を一定時間続けると、気付いた時には腕はしびれ、動かなくなっていたというように発症するケースが多く認められます。飲酒後、寝て起きたら、橈骨神経まひになっていたというケースも多く認められます。
 何らかの思い当たる原因があって手が動かなくなったのであれば、まず末梢性のもので一時的な神経まひと考えられます。逆に、全く何の覚えもなく発症した時は、腫瘤(しゅりゅう)などほかの原因から起きている場合もありますので、要注意です。
 橈骨神経まひのもう1つの原因は、骨折、脱臼(だっきゅう)などの外傷による外傷性の神経まひで、外からの圧迫で神経を傷付けたり、骨折した骨が神経を傷付けたりといったケースです。
 橈骨神経が上腕の中央部で傷害されると、手首と手指の付け根の関節に力が入らず伸ばしにくくなり、手首と手指がダランと垂れる下垂手になります。親指、人差し指、中指の伸ばす側を含む手の甲から、前腕の親指側の感覚の障害も生じます。
 橈骨神経が肘関節の屈側で傷害されると、手首を伸ばすことは可能ですが、手指の付け根の関節を伸ばすことができなくなり、指のみが下がった状態になる下垂指になります。手の甲から前腕の感覚の障害がありません。
 橈骨神経が前腕から手首にかけての親指側で傷害を受けると、障害の部位によりいろいろな感覚の障害が起こりますが、下垂手にはなりません。
 共通する症状は、グーが握れなくなる、パーに開けなくなる、しびれです。まひの程度が重いほど、パーに開けなくなる症状が顕著です。
 手首の筋力が著しく弱くなるため、ちょっとした物でも持ち上げられなくなります。また、感覚の鈍さが現れ、親ペンなどをうまく持てず、字もうまく書けません。親指と人差し指の水かき部分のしびれ、腕のだるさや痛み、腕や手のひらのむくみなどがよくみられる症状です。
 まひの状態が長く続くと、筋肉の委縮が起こり、腕の筋肉がやせ細ってきます。
 手がしびれ、動かなくなった場合のほとんどは、末梢性のもので一時的な神経まひと考えられますが、中には重症の場合があるので、念のために整形外科、ないし神経内科を受診することが勧められます。
[手(グー)]橈骨神経まひの検査と診断と治療
 整形外科、神経内科の医師による診断では、上腕の中央部の傷害で下垂手を示して感覚障害があり、チネルサインがあれば、傷害部位が確定できます。チネルサインとは、破損した末梢神経を確かめる検査で、障害部分をたたくと障害部位の支配領域に放散痛が生じます。
 知覚神経が傷害されていれば、チネルサインと感覚障害の範囲で、傷害部位の診断が可能です。確定診断には、筋電図検査、X線(レントゲン)検査、MRI検査、超音波検査など必要に応じて行われます。
 整形外科、神経内科の医師による治療では、回復の可能性のあるものや原因が明らかでないものに対しては、局所の安静、薬剤内服、必要に応じ装具、運動療法などの保存療法を行います。薬剤内服では、発症早期にメチルコバラミンや副腎(ふくじん)皮質ステロイド剤などを服用することが有用です。
 予後はおおむね良好で、多くの場合1~3カ月で完治します。
 3カ月ほど様子を見て全く回復しないもの、まひが進行するもの、骨折などの外傷で手術が必要なもの、腫瘤のあるものでは、手術が必要になります。
 神経損傷のあるものでは、神経剥離(はくり)、神経縫合、神経移植などの手術が行われます。神経の手術で回復の望みの少ないものは、ほかの筋肉で動かすようにする腱(けん)移行手術が行われます。




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