SSブログ

■がん治療の副作用に対処、初の手引き書を作成 国立がん研究センター [健康ダイジェスト]

 抗がん剤などのがん治療を受けると髪の毛が抜けたり、顔に発疹ができたりするなどがん患者は、がんそのものの闘病のほかに外見にかかわる深刻な副作用とも闘わなければなりませんが、こうした副作用の治療法や日常的なケアの仕方をまとめた初の手引き書を7月27日、国立がん研究センターの研究班が作成しました。
 抗がん剤や放射線による治療を受けると、髪の毛や眉毛が抜けたり、手や足が水膨れを起こしたり、爪がひび割れたりするなどがん患者は、外見にかかわる深刻な副作用に悩むことが少なくありません。
 しかし、こうした副作用については、命にかかわるものではないため医師の側も対処法について十分、知識がないことも多く、患者の側も間違ったケアをして症状を悪化させてしまう人がいました。
 国立がん研究センター中央病院・アピアランス支援センター長で、臨床心理士の野澤桂子さんなどの研究班は、がんの専門医だけでなく、薬学、看護学、香粧品学、心理学という異なる専門領域の専門家も集めて、初めての手引き書を作成しました。
 この中では、脱毛や手足の水膨れなど50項目の副作用への対処法について、「強い科学的根拠があり行うことが強く勧められる」から「無効性あるいは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる」までA、B、C1a、C1b、C2、Dの6段階で評価しています。
 例えば、抗がん剤治療の影響で顔に染みができたり黒ずんだりして悩む患者は多く、予防のためとしてビタミンCが処方されることがあります。しかし、今回の手引き書ではC2判定、「科学的根拠がなく勧められない」とされました。
 また、放射線治療を受けると、肌が荒れて赤くなったりしますが、症状を悪化させるとして入浴の際、洗うのを避けるよう指導されることがありました。しかし、実際には洗ったほうが皮膚のかゆみや赤みが軽くなるという研究報告があり、手引き書ではB判定、「科学的根拠があり勧められる」とされています。
 さらに、抗がん剤治療で起きる脱毛は多くの患者が悩む問題で、特定のシャンプーが推奨されたりしていますが、手引き書では、「市販のシャンプーを使ってがん患者だから重い副作用が起きたという報告はなく、特定のシャンプーを推奨したり否定したりする根拠はない」とした上で、治療前から使っていたシャンプーを使うことについて勧められるとC1a判定としました。
 野澤さんは、「医学や看護学、心理学などの専門家が集まって、初の統一の意見として出せたことは大きい。医療者が最低限の基準を示すことで、患者さんが外見のことで社会から切り離されたりしないようサポートしていきたい」と話しています。

 2016年7月28日(木)

nice!(15)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 15

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0