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■マダニ感染症を予防するワクチン開発が進行 国立感染症研究所 [健康ダイジェスト]

 草地や野山に生息するマダニにかまれることで主に感染し、致死率が20%ほどとされる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、国立感染症研究所はワクチンの開発に取り組んでおり、動物での有効性を確認するなど開発を急いでいます。
 重症熱性血小板減少症候群は、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるSFTSウイルスを持つマダニにかまれることで主に発症する感染症で、ワクチンや有効な治療法はなく、昨年は全国で57人の患者が報告されうち8人が死亡、今年は7月26日までに西日本を中心に51人の患者が報告されうち少なくとも8人が死亡しています。
 国立感染症研究所の西條政幸部長のチームは、遺伝子を操作したSFTSウイルスを使ったワクチンと、感染しないよう処理したSFTSウイルスを使ったワクチンの2種類の方法で開発を進めています。
 今後はマウスなどの動物を使い、免疫力が高まるか実験を行うということで、チームでは動物での有効性を確認し、人のワクチンの開発につなげたいとしています。
 西條部長は、「このウイルスをなくすことはできないので、患者を救うために早急にワクチンの実用化を目指したい」と話しています。
 重症熱性血小板減少症候群を媒介するマダニは、フタトゲチマダニやオウシマダニなどのマダニで、固い外皮に覆われた体長3~4ミリと比較的大型の種類。食品などに発生するコナダニや、衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、家庭内に生息するイエダニとでは種類が異なります。広くアジアやオセアニアに分布し、日本国内でも青森県以南の主に森林や草地などの屋外に生息しており、市街地周辺でも見られます。
 このマダニにかまれることで、重症熱性血小板減少症候群は主に感染し、6日から2週間とされる潜伏期間を経て、発症します。
 発症すると、発熱や、食欲低下、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢、腹痛といった消化器症状が現れます。時に、頭痛、筋肉痛や、意識障害、けいれん、昏睡(こんすい)といった神経症状、リンパ節腫脹(しゅちょう)、せきといった呼吸器症状、紫斑(しはん)、下血といった出血症状を起こします。重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓(じんぞう)の機能が低下したりして死亡することもあります。
 発症時期は、マダニの活動が活発になる4月中旬から11月下旬の春から晩秋にかけて。
 重症熱性血小板減少症候群の予防ワクチンはないため、マダニに刺されないことが、唯一の感染予防法です。
 ポイントは、レジャーや農作業などで、草むらややぶなどマダニが多く生息する場所に入る時は、肌をできるだけ出さないように、長袖(ながそで)、長ズボン、手袋、足を完全に覆う靴などを着用すること。また、肌が出る部分には、人用の防虫スプレーを噴霧し、地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりしないように、敷物を敷くこと。帰宅後は衣類を家の外で脱ぎ、すぐに入浴し体をよく洗って、新しい服に着替えることです。
 万が一マダニにかまれた時は、マダニをつぶしたり、無理に引き抜こうとせず、できるだけ病院で処置してもらうことが大切です。マダニの多くは、人や動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、数日から長いもので10日間、吸血します。無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまうことがあるので、吸血中のマダニに気が付いた時は、病院で処置してもらって下さい。

 2017年8月12日(土)

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