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■用語 慢性副鼻腔炎 [用語(ま行)]

[iモード]鼻腔の周りにある副鼻腔に炎症が起こり、膿がたまる疾患
 慢性副鼻腔(ふくびくう)炎とは、鼻腔の周りの骨の中にある大小の空洞である副鼻腔に炎症が起こり、膿(うみ)がたまる疾患。蓄膿(ちくのう)症とも呼ばれます。
 鼻の穴である鼻腔の周囲には、骨で囲まれた空洞部分である副鼻腔が左右それぞれ4つずつ、合計8つあり、鼻腔とつながっています。4つの副鼻腔は、目と目の間にある篩骨(しこつ)洞、その奥にある蝶形骨(ちょうけいこつ)洞、目の下にある上顎(じょうがく)洞、鼻の上の額にある前頭(ぜんとう)洞です。
 4つの副鼻腔は、強い力が顔面にかかった時に衝撃を和らげたり、声をきれいに響かせたりするといわれますが、その役割ははっきりとはわかっていません。鼻腔や副鼻腔の中は、粘膜で覆われており、粘膜の表面には線毛と呼ばれる細い毛が生えています。線毛は、外から入ってきたホコリや細菌、ウイルスなどの異物を粘液と一緒に副鼻腔の外へ送り出す働きを持っています。
 副鼻腔炎になると、こうした機能が働かなくなり、副鼻腔の中に膿がたまってきて、分泌液の量が増えたり、鼻が詰まったりします。この状態が急性副鼻腔炎に相当し、こうした状態が長引いたり、繰り返したりすることによって3カ月以上続くと、慢性副鼻腔炎と見なされます。
 炎症が慢性化するとと、副鼻腔の分泌液の量が増えたり、その粘度が高くなったりして、鼻腔とつながる自然孔より排出されずにたまり、状態を悪くすることにつながります。さらに、たまった膿や分泌液により粘膜の肥厚が起こると、排出がより困難となる悪循環に陥ります。
 慢性副鼻腔炎の症状には、鼻詰まり、鼻水、頭重感などがあります。鼻水は粘液性のものや、膿性のこともあります。また、後鼻孔からのどへ鼻水が多く回り、これを後鼻漏と呼びます。朝起きて、せきや、たんがやたらに出る人は、その可能性が高くなります。鼻詰まりのため口呼吸となり、のどへ回った鼻水が気管支へ入り、気管支炎を起こすこともあります。
 頭重感は前頭部に起こることが多いのですが、頭全体が重苦しいこともあります。このほか、嗅(きゅう)覚障害を起こしたり、精神的に落ち着かず、集中力が低下することもあります。
 また、副鼻腔の粘膜の肥厚が長期間続くと、鼻ポリープとも呼ばれる鼻茸(はなたけ)が発生します。鼻茸は、肥厚した粘膜の上に新たに肥厚した部分が突き出して、タケノコ状に大きくなっていきます。慢性化するほど、鼻茸は大きくなり、たくさんできてくるので、鼻詰まりなどの症状がますます悪化します。
 炎症によって起こる一般的な慢性副鼻腔炎とは別に、咽頭(いんとう)炎や扁桃(へんとう)炎などののどの炎症、カビの仲間である真菌、虫歯なども、慢性副鼻腔炎の原因となることがあります。また、細菌感染のないアレルギー性鼻炎や気管支喘息(ぜんそく)、アスピリン喘息などのアレルギーによって起こる病気が、慢性副鼻腔炎の原因となることもあります。
 一般的な慢性副鼻腔炎では、急性副鼻腔炎になった時に症状を軽くみないで、早めに耳鼻咽喉科、耳鼻科を受診することが大切です。特に、粘液性の鼻水や膿性の鼻水が1カ月ほど続いたら、受診することが勧められます。この時点で、炎症を抑えれば、慢性化することを防げるはずです。
[iモード]慢性副鼻腔炎の検査と診断と治療
 耳鼻咽喉科、耳鼻科の医師による診断では、自覚症状を問診した上で、X線(レントゲン)検査を行います。通常であれば、空洞であるはずの副鼻腔は黒く映り、骨は白く映りますが、副鼻腔炎になると、黒く映るはずの副鼻腔が白く映ります。これは、粘膜が肥厚したり、膿がたまったりして空洞が埋まっているためです。
 さらに、病変の部位や程度をより詳しく調べために、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行うこともあります。
 内視鏡を使って、粘膜が肥厚して鼻腔が狭くなっていないか、副鼻腔から膿が出ていないかなど、副鼻腔の状態を確認する場合もあります。
 耳鼻咽喉科、耳鼻科の医師による治療では、副鼻腔の粘液を排出しやすくして、粘膜の肥厚をとるために、鼻腔内に血管収縮薬をスプレーします。次いで、粘液を出してきれいになった鼻腔、副鼻腔に抗菌薬、副腎(ふくじん)皮質ホルモン薬などの薬液を吸入するネブライザー療法を行い、炎症やはれを抑えます。
 また、蛋白(たんぱく)分解酵素薬を内服することで、粘液、膿汁を少なくします。
 近年、マクロライド系抗菌薬を3~6カ月間、少量飲み続けることが、効果的と判明し行われています。この薬は、細菌を殺すではなく、免疫機能を向上させたり、鼻からの粘液の分泌を抑えたり、粘膜の線毛の働きをよくしたりすることで、炎症を改善します。
 これらの治療が有効なのは軽度の場合で、程度によっては手術をします。手術には、鼻腔内から副鼻腔を開放して、膿や粘膜を取り除く方法、上唇の内側と歯肉の境目の口腔粘膜を切開し上顎洞を開放する方法があります。篩骨洞や前頭洞では、鼻外からの手術も行われます。多くは局所麻酔で行われ、1~2週間の入院が必要です。最近では、内視鏡を用いる手術が盛んになっています。
 手術後は、少量のマクロライド系抗菌薬を長期服用し、再発を予防します。
 子供の場合、副鼻腔は発達段階にあり、手術をすると歯の発育や顔の形に影響を与えることもあり、原則として手術は行いません。どうしても手術が必要な場合は、15歳ぐらいになってからがよいでしょう。




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■用語 無頭蓋症 [用語(ま行)]

[喫茶店]胎児の頭蓋骨半球、大脳半球が正常に発達しない奇形症
 無頭蓋症(むとうがいしょう)とは、脳の先天的な発育不全により、頭蓋骨半球、大脳半球、小脳の欠如を伴う奇形症。無脳症とも呼ばれます。
 人間の脳は、脊髄(せきずい)の先端が膨らんで発達してきたものです。脊髄の上には、延髄、中脳、間脳があり、その上には両側に大脳半球が存在しています。延髄の後方には小脳があり、後頭部に位置しています。
 脊髄や脳は、胎児の神経管と呼ばれる管状の細胞から形成されます。無頭蓋症の症状が現れた胎児では、妊娠4週間程度までの超初期の段階で、神経管前部の閉鎖不全などが起こって神経管の発達が阻害されることで、後々の脊髄や脳の成長が妨げられます。妊娠4カ月ころまでは脳のある程度の発育がみられるものの、妊娠5カ月ころから一度は形成されたはずの大脳、小脳のほか、生命の維持に重要な役割を果たす延髄などの脳幹が突然退化したり、発育が止まったります。
 原因については、詳しく解明されていません。人種によって発現の頻度に差があるため遺伝的な要因が関係すると考えられているほか、妊娠初期における母体の栄養摂取の不足との因果関係も指摘され、飲酒や喫煙、薬剤、放射能被曝(ひばく)、ダイオキシなどが関与しているとも考えられています。
 発現の頻度は、国によって異なり、アメリカでは出産1000人当たり1人程度、日本では出産10000人当たり10人程度となっています。
 無頭蓋症の胎児が母胎内で死亡して流産となるケースは少なく、脳以外の臓器には異常がない場合がほとんどなので、出産の時までは生命を維持します。しかし、脳幹も欠損して死産となる確率が約75パーセントで、残る新生児も出生直後に死亡し、ある程度脳が残存している場合は生後数日間生存します。
 部分的に大脳皮質が形成されて機能し脳波が測定される場合は、生後1週間~2週間程度生存するものの、まれです。海外では、奇跡的に1年以上生存しているケースもありますが、日本では、そのようなケースはありません。
 無頭蓋症の新生児では、大脳半球は通常欠如して全くないか、小さな塊に縮小しているため、頭で帽子をかぶる部分に相当する頭蓋骨や頭頂部が欠如し、頭蓋の基底面が露出するとともに、基底面に付着するように変性し、表面が薄い皮膜で覆われた脳の一部が露出しています。
 顔貌(がんぼう)は特徴的で、前から見ると蛙(かえる)状です。そのほか、眼球の突出や欠如、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)を合併していることもあります。口唇口蓋裂は三つ口と俗称され、唇に部分的な裂け目が現れたり、口腔(こうくう)と鼻腔が直接つながっていたりします。
 嚥下(えんげ)、唾液、呼吸、循環、消化の中枢を担っている延髄の下半分が存在していれば、嚥下や啼泣(ていきゅう)がみられ、音刺激、痛覚に反応を示します。正常な幼児が特有の刺激に応えて示す原始反射は、存在しており、腱(けん)反射は高進しています。
 無頭蓋症の胎児を身ごもった妊婦に関しては、妊娠中期までは母体に自覚症状があることはほとんどありませんが、妊娠後期に入ると羊水過多になる傾向があります。これは無頭蓋症により脳幹にまで障害があり、嚥下運動ができなくなるためといわれています。
 羊水は胎児にとって絶対に必要なものですが、多すぎると母体への負担が多くなります。ひどい場合は、腹が異常に膨らみ、呼吸器が圧迫されて呼吸困難にるケースもあります。妊娠後期の羊水過多症は早産の原因にもなるため、母体への負担を考えて、多くの場合で人工的に出産を誘発する措置が行われます。
[喫茶店]無頭蓋症の検査と診断と治療
 産科、産婦人科の医師による診断は通常、分娩(ぶんべん)の前に超音波断層法を用いて行われます。胎児の超音波検査により、妊娠4カ月以降であれば、出生前診断が可能となります。また、羊水あるいは母体の血清から血清蛋白(たんぱく)α-フェトプロテインが検出されます。
 胎児が無頭蓋症と確定した場合、多くはその時点で妊娠を継続するかどうかを選択することになります。その致死性の高さから、人工中絶を選択する妊婦が多く、出産まで進むケースはごくまれな状況となっています。
 また、診断が確実に可能となる妊娠4カ月以前でも、胎児の頭が丸くない場合には無頭蓋症が疑われ、人工中絶は早い時期であるほうが母体への負担も少なく、妊娠3カ月までに選択されることも多いようです。
 産科、産婦人科の医師による治療に関しては、残念ながら無頭蓋症を母体の中で治療する方法はなく、自然治癒したケースもありません。
 予防に関しては、原因に多因性があることと、遺伝子研究がその段階に至っていないことから、確実なものは発見されていません。
 日本では、ビタミンB群の一種である葉酸が遺伝子の合成や細胞分裂に不可欠で、その摂取が無頭蓋症や二分脊椎(せきつい)症などの神経管閉鎖障害という先天性異常になるリスクを低減するとして、厚生労働省が2000年に、妊娠を希望している女性に対して、1日当たり0・4ミリグラム以上摂取することを推奨しています。
 ホウレン草などの緑黄色野菜、果物、レバー、卵黄、胚芽(はいが)、牛乳などに多く含まれる葉酸は、水溶性ビタミンで熱に弱く、5割が調理でなくなってしまうので、サプリメントなどから摂取するのが効率的です。
 ただ、葉酸の不足だけが原因ではないため、理想的に摂取していたとしても絶対に無頭蓋症にならないというわけではありません。妊娠前から妊娠初期に、ピル(経口避妊薬)やアスピリン(解熱鎮痛剤)、抗炎症薬、抗生物質、抗てんかん薬、睡眠薬、抗がん剤の服用があっても、葉酸が不足してしまうこともあります。




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■用語 無脳症 [用語(ま行)]

[喫茶店]胎児の頭蓋骨半球、大脳半球が正常に発達しない奇形症
 無脳症とは、脳の先天的な発育不全により、頭蓋骨(とうがいこつ)半球、大脳半球、小脳の欠如を伴う奇形症。無頭蓋症とも呼ばれます。
 人間の脳は、脊髄(せきずい)の先端が膨らんで発達してきたものです。脊髄の上には、延髄、中脳、間脳があり、その上には両側に大脳半球が存在しています。延髄の後方には小脳があり、後頭部に位置しています。
 脊髄や脳は、胎児の神経管から形成されます。無脳症の症状が現れた胎児である無脳児は、妊娠4週間程度までの超初期の段階で、神経管前部の閉鎖不全などが起こって神経管の発達が阻害されることで、後々の脊髄や脳の成長が妨げられます。妊娠4カ月ころまでは脳のある程度の発育がみられるものの、妊娠5カ月ころから一度は形成されたはずの大脳、小脳のほか、生命の維持に重要な役割を果たす延髄などの脳幹が突然退化したり、発育が止まったります。
 原因については、詳しく解明されていません。人種によって発現の頻度に差があるため遺伝的な要因が関係すると考えられているほか、妊娠初期における母体の栄養摂取の不足との因果関係も指摘され、飲酒や喫煙、薬剤、放射能被曝(ひばく)、ダイオキシなどが関与しているとも考えられています。
 発現の頻度は、国によって異なり、アメリカでは出産1000人当たり1人程度、日本では出産10000人当たり10人程度となっています。
 無脳児が母胎内で死亡して流産となるケースは少なく、出産の時までは生命を維持します。しかし、脳幹も欠損して死産となる確率が約75パーセントで、残る新生児も出生直後に死亡し、ある程度脳が残存している場合は生後数日間生存します。部分的に大脳皮質が形成されて機能し脳波が測定される場合は、生後1週間~2週間程度生存するものの、まれです。海外では、奇跡的に1年以上生存しているケースもありますが、日本ではそのようなケースはありません。
 無脳児では、大脳半球は通常欠如して全くないか、小さな塊に縮小しているため、頭で帽子をかぶる部分に相当する頭蓋骨や頭頂部が欠如し、頭蓋の基底面が露出するとともに、基底面に付着するように変性し、表面が薄い皮膜で覆われた脳の一部が露出しています。
 顔貌(がんぼう)は特徴的で、前から見ると蛙(かえる)状です。そのほか、眼球の突出や欠如、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)を合併していることもあります。
 延髄の下半分が存在していれば、嚥下(えんげ)や啼泣(ていきゅう)がみられ、音刺激、痛覚に反応を示します。正常な幼児が特有の刺激に応えて示す原始反射は、存在しており、腱(けん)反射は高進しています。
 無脳児を身ごもった妊婦に関しては、妊娠中期までは母体に自覚症状があることはほとんどありませんが、後期に入ると羊水過多になる傾向があります。ひどい場合は、腹が異常に膨らみ、呼吸器が圧迫されて呼吸困難になるケースもあります。
[喫茶店]無脳症の検査と診断と治療
 産科、産婦人科の医師による診断は通常、分娩(ぶんべん)の前に超音波断層法を用いて行われます。胎児の超音波検査により、妊娠4カ月以降であれば、出生前診断が可能となります。また、羊水または母体の血清から血清蛋白(たんぱく)α-フェトプロテインが検出されます。
 胎児が無脳症と確定した場合、多くはその時点で妊娠を継続するかどうかを選択することになります。その致死性の高さから、人工中絶を選択する妊婦が多く、出産まで進むケースはごくまれな状況となっています。
 産科、産婦人科の医師による治療に関しては、残念ながら無脳児を母体の中で治療する方法はなく、自然治癒したケースもありません。
 予防に関しては、原因に多因性があることと、遺伝子研究がその段階に至っていないことから、確実なものは発見されていません。
 日本では、ビタミンB群の一種である葉酸が遺伝子の合成や細胞分裂に不可欠で、その摂取が無脳症や二分脊椎(せきつい)症などの神経管閉鎖障害という先天性異常になるリスクを低減するとして、厚生労働省が2000年に、妊娠を希望している女性に対して、1日当たり0・4ミリグラム以上の摂取を推奨しています。
 ホウレン草などの緑黄色野菜、果物、レバー、卵黄、胚芽(はいが)、牛乳などに多く含まれる葉酸は、水溶性ビタミンで熱に弱く5割が調理でなくなってしまうので、サプリメントなどから摂取するのが効率的です。




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■用語 慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症 [用語(ま行)]

[バー]エプスタイン・バーウイルスが特定のリンパ球に感染し、ウイルスが慢性的に増殖する疾患
 慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症とは、ヘルペスウイルス科に属するエプスタイン・バーウイルスが特定のリンパ球に感染することにより、ウイルスが体内で慢性的に増殖する疾患。慢性活動性EBウイルス感染症、CAEBV(Chronic Active Epstein-Barr Virus infection)とも呼ばれます。
 通常、エプスタイン・バーウイルスは、白血球の一種で、免疫をつかさどるリンパ球のBリンパ球に感染します。慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の場合は、Bリンパ球以外のリンパ球であるTリンパ球、NK細胞にも感染することが発症の原因だと考えられています。
 慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症と同様にエプスタイン・バーウイルスに起因し、症状も酷似している疾患としてエプスタイン・バーウイルス感染症(EBウイルス感染症、伝染性単核球症、キス病)が挙げられますが、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症で感染するウイルス量はエプスタイン・バーウイルス感染症の100〜1000倍以上多い点で異なります。
 エプスタイン・バーウイルスに感染したTリンパ球、NK細胞の増殖が、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の原因ですが、増殖の原因はわかっていません。
 エプスタイン・バーウイルスは、乳幼児期には家庭内や保育所で、思春期以降では異性間の交流を中心に、キスや飲み物の回し飲みなどによる既感染者の唾液を介して、主にBリンパ球に感染しエプスタイン・バーウイルス感染症を発症させます。まれに、Bリンパ球以外のTリンパ球、NK細胞にも感染し、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症を発症させます。経口感染のほか、輸血により感染することもあります。
 Bリンパ球に感染したエプスタイン・バーウイルス感染症の症状の現れ方は、感染する時期によって異なります。日本人の70パーセントは2〜3歳までに初感染しますが、乳幼児期では病原菌に感染しても症状が現れない不顕性感染が多く、症状が現れても軽度です。
 思春期以降に感染すると、約50パーセントが発症します。ただし、感染してもほとんどが4~6週間で、症状は自然になくなるといわれています。20歳代では90パーセント以上が抗体を持っているといわれていますが、成人になってから初感染した場合、症状が重くなります。6カ月以上症状が続く場合は、重症化している可能性があります。
 エプスタイン・バーウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生にわたって共存します。そのため、急性感染症以外にもいろいろな疾患を引き起こすことがあります。再感染はしないものの、免疫力が低下した場合に発症することもあります。
 エプスタイン・バーウイルス感染症の主な症状は、発熱、頸部(けいぶ)リンパ節の腫脹(しゅちょう)、咽頭(いんとう)痛、肝臓と脾(ひ)臓が次第に大きくなる肝脾腫、肝機能異常。 症状が進行して、劇症肝炎や血球貪食(どんしょく)症候群などを併発すれば、生命の危険があります。
 15~30歳くらいの青年期に、エプスタイン・バーウイルス感染症は多くみられます。
 一方、Bリンパ球以外のTリンパ球、NK細胞にも感染した慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症では、発熱や頸部リンパ節の腫脹、咽頭痛、肝脾腫、肝機能異常、内臓や血管などの炎症、皮膚炎などエプスタイン・バーウイルス感染症と同じ症状を発症し、再燃を繰り返します。
 急変により、数年以内に約半数の人が、そして十数年の経過でほぼすべての人が、死に至ります。急変の代表例は、肝不全や心不全、腎(じん)不全などの多臓器不全、悪性リンパ腫、血球貪食症候群、上咽頭がん、胃がん、日和見感染です。
 10歳までの小児に、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の大半がみられますが、50歳以上で発症することもあります。男女差は認められません。
 乳幼児、小児の発熱が1週間続き、普通の風邪にしては変な症状を示した場合は、内科、あるいは耳鼻咽喉(いんこう)科の医師を受診し、精密検査を受けることが勧められます。
[バー]慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症の検査と診断と治療
 内科、耳鼻咽喉科、あるいは血液腫瘍(しゅよう)科の医師による診断では、血液検査を行って、末梢(まっしょう)血液中のエプスタイン・バーウイルスDNA量を計り、その増加を確認します。
 また、血液検査や、浸潤組織の一部を採取し、顕微鏡で調べる生検を行って、通常はBリンパ球に感染するエプスタイン・バーウイルスが、Tリンパ球、NK細胞にも感染していることが確認された場合に、慢性活動性エプスタイン・バーウイルス感染症と確定します。
 鑑別すべき疾患には、同じように発熱、リンパ節腫脹、肝脾腫などが持続する若年性関節リウマチ、リウマチ熱、川崎病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫などがあります。
 内科などの医師による治療では、発症メカニズムが不明で治療法が確立されていないため、免疫化学療法、悪性リンパ腫に準じた抗がん剤の多剤併用療法、抗ウイルス療法などを試みます。これらの療法はある程度有効ですが、その効果は一時的で、完全治癒には至りません。
 造血幹細胞移植(骨髄移植)が治癒可能な唯一の治療法で、大量の抗がん剤で感染細胞を含む自己の血液細胞を破壊するとともに、健常なドナーから提供された造血幹細胞を投与し、健全な造血を回復させます。
 しかし、合併症などのリスクを伴うことが多く、成功率は約50〜70パーセントで、進行してからの移植では成功率が低くなります。




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