SSブログ

■ES細胞から網膜生成 理化学研究所がマウスで成功 [健康ダイジェスト]

 いろいろな組織の細胞が作れる万能細胞のES細胞(胚性幹細胞)から、多種の細胞が重なっている目の網膜組織を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらの研究チームがマウスで成功しました。
 この網膜組織は、視細胞を含む6層の立体構造。人工網膜を作り、失明した患者に移植する再生医療につなげたいといいます。
 これまでES細胞は、筋肉や肝臓、心臓など1種類の細胞からできている組織の置換医療に利用できると主に考えられてきました。より複雑な構造を持つ組織や臓器全体の生成は、周辺組織との複雑な化学的相互作用によるため、受胎後の細胞分裂による自然な成長過程以外では不可能だと思われてきました。
 しかし、グループは「眼杯(がんぱい)」と呼ばれる目の元になる組織に注目し、マウスのES細胞を培養液の中で浮かせた状態に保ち、眼杯ができる時に必要な蛋白質を加え、マウスの胎児の眼杯にそっくりの組織を作り出しました。
 さらに、この組織の培養を続けた結果、6種類の細胞が層になり、直径2ミリほどで網膜そっくりの組織を作ることができました。今後は移植実験で働きを調べます。
 網膜のうち神経を守る「色素上皮細胞」は、すでにES細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作られ、動物実験が進められています。今回のように、光を受けて電気信号に変えて脳に伝える「神経網膜」も含む立体組織ができたのは初めてといいます。
 「ヒトやサルのES細胞で作った人工網膜をサルに移植する研究を始め、再生医療につなげたい」と、笹井さんは話しています。失明の恐れがある遺伝性疾患の「網膜色素変性症」の治療などにつながる可能性があります。

 2011年4月8日(金)




nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0