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■認知症患者、2050年に世界で1億人以上 WHO予測 [健康ダイジェスト]

 世界保健機関(WHO)は11日、認知症に関する初の報告書で、地球全体の高齢化に伴い、世界の患者数が20年後に今の2倍、40年後には3倍に増えるという予測を発表しました。
 国連の人口推計に当てはめると、2050年の人類は100人に1人以上が認知症患者という時代を迎えます。WHOは今後、認知症対策が多額の予算を必要とする大きな政治課題になると警告しています。
 認知症は、脳血管や脳細胞の障害で記憶力、判断力が低下し、日常生活に支障が生じる程度にまで至った状態を指す言葉。日本では以前は「痴呆症」と呼ばれていましたが、侮蔑的で誤解を招きやすいとの理由で2004年12月、厚生労働省が行政用語を変更しました。最近は40~50歳代の発症も増えています。
 WHOの報告書によると、世界の認知症患者は2010年時点で3560万人。世界人口70億人の約0・5パーセント、200人に1人の割合です。
 今後は世界的に平均寿命が延びるのに伴い、毎年770万人ずつ新たな患者が発症し、2030年に6570万人と1・8倍になり、2050年には1億1540万人と3・2倍になる見通し。国際アルツハイマー病協会は2001年に、年460万人ずつ新たに発症すると予測していましたが、WHOが2010年のデータを基に大幅に上方修正しました。
 国連推計の2050年の世界人口は約91億人(うち60歳以上が20億人)なので、患者の割合も約1・27パーセントに上昇する計算です。
 これは新興国で急激に高齢化が進んでいくためで、特に中国、インド、中南米諸国で急激に増えると見られ、2050年時点の患者の7割は、新興国に偏る見通しです。
 データに差はありますが、認知症の2~10パーセントは60歳未満で発症し、65歳以上では5年ごとに倍々で増加します。
 医療や介護、働けなくなることに伴う所得の損失を含めて、認知症がらみの世界全体のコストは2010年の推計で約6040億ドル(約50兆円)。そのうち医療費は16パーセントだけで、低所得国ではコストの大半が家族など無報酬の介助に依存している現状です。
 世界ではまだ認知症への理解が浅く、介助者は非常な困難を強いられているため、WHOは、さらに社会啓発を進め、多くの財政支援、成年後見制度など法律の制度作りが必要だと指摘しています。
 認知症対策で国レベルの戦略や計画があるのは日本やフランス、韓国など8カ国に限られるとも指摘しました。日本が2000年に始めた介護保険を「長期的に認知症をケアする保険の仕組み」として紹介し、先進的な取り組みと評価しています。ただし、日本で多くの認知症患者が入院していることは問題とし、必要性の低い入院を減らすべきだとの認識を示しています。
 WHOのマーガレット・チャン事務局長は報告書で、「世界は老い始めた。認知症は世界の保険制度にも大きな負担となる。患者を抱える家族を貧困ライン以下に押しやりかねない。社会全体で対応策を考える必要がある」と訴えています。

 2012年4月12日(木)




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