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■重い熱性けいれんは、てんかんの原因に 脳の一部で神経回路が未発達 [健康ダイジェスト]

 幼い時に風邪やインフルエンザなどで重い熱性けいれんになると、脳の一部で神経回路が発達せず、てんかん(無熱性けいれん)を発症しやすくなるとする研究結果を、東京大学のグループがネズミを使った実験を基にまとめました。
 東京大学薬学系研究科のグループは、てんかんのうち、脳の海馬と呼ばれる部分で神経回路に異常が生じているタイプの「側頭葉てんかん」に着目し、ネズミを使って発症の仕組みを調べました。
 神経回路が発達するのは、風邪やインフルエンザなどで熱性けいれんになりやすい幼い時期のため、人間の乳幼児期に当たる生後11日目のネズミ16匹の体温を40~42度まで上げ、人工的に重い熱性けいれんを起こしたところ、成長後、いずれも脳波に異常が現れ、半数で側頭葉てんかんの発作を確認しました。
 さらに、海馬では、成長とともに移動する神経細胞が特定の神経伝達物質に過剰に反応し、本来の場所に到達できていないことがわかったとしています。
 研究グループでは、人間でも乳幼児期に重い熱性けいれん経験すれば、成人になってから同様の現象が生じる可能性もあると指摘。「重い熱性けいれんになると海馬で神経回路が発達せず、てんかんを発症しやすくなる。海馬の障害を防ぐことが、てんかん予防につながるかもしれない」と結論付けています。
 その上で、重い熱性けいれんの治療で使う薬の大半に、この神経伝達物質の働きを強める作用があることから、薬の投与でてんかんのリスクが高まる恐れがあると指摘しています。
 研究を行った池谷裕二准教授は、「熱性けいれんの患者の追跡調査を行い、治療法の見直しを検討することも必要ではないか」と話しています。
 今回の研究について脳神経外科が専門で、てんかんに詳しい東北大学の中里信和教授は、「てんかんが起きる仕組みを解明しただけでなく、熱性けいれんと治療薬の関連についても分析を進めた点で、画期的といえる。研究の進展によっては、熱性けいれんの治療を見直さなければならない可能性があるので、よりよい治療法の開発に向け、患者の追跡調査や別の薬を使った臨床研究を進める必要がある」と話しています。
 グループの研究結果は、15日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表されました。

 2012年7月16日(月)




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