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■働くがん患者、退職を急がないで 拠点病院で医師が呼び掛けへ [健康ダイジェスト]

 厚生労働省は本年度中に、働くがん患者に対し性急に仕事を辞めないよう医師が呼び掛ける取り組みを、全国のがん診療連携拠点病院で始めます。働くがん患者の支援に関する有識者検討会で、同省が23日に示した報告書案に盛り込みました。
 がんの告知を受けた人が治療に専念するため、退職を急ぐケースが少なくありません。しかし、退職後に経済的に困窮したり、生きがいを失ったりする患者の増加が、医療現場で指摘されています。
 病気の治療が医師の本来業務ですが、病状によっては仕事と治療の両立が十分可能であるなどと説明します。まず全国397カ所(4月1日時点)の拠点病院で始め、将来は他の病院にも広げる方針です。
 厚労省は2010年の国民生活基礎調査を基に、働くがん患者を約32万5000人と推計。男性14万4000人、女性18万1000人で、男性は60歳代、女性は50歳代が最も多くなっています。一方、がんと診断される人は年約80万人います。
 報告書案では、がんの早期発見や治療法が進歩し、がんの5年生存率は6割近くあるにもかかわらず、患者の約3割が自ら退職する実態を踏まえ、がん患者の就労支援の重要性を指摘し、拠点病院の医師が病状や仕事の状況などに応じて「今すぐに仕事を辞める必要がない」と助言し、治療の見通しを文書などで説明するべきだとしました。
 希望すれば、医師が勤務先と連絡を取り合えることを患者に伝えるべきだとした上で、患者が治療を続けながらできる業務などを勤務先に伝えることが重要だと指摘しました。企業には、働きながら治療や検診が受けられるように、半日単位や時間単位の休暇制度の導入検討を求めました。
 厚生労働省のがん患者の就労を支援する有識者検討会では、患者と企業の間で、情報共有が難しい実態が明らかになりました。
 副作用や通院のため、患者は仕事の内容や働く時間に制約を受けることがあります。しかし、同僚への遠慮や自身のキャリアに不利になることを恐れ、がんになっても職場に伝えていないケースが少なくないといいます。一方、上司に相談しても理解してもらえず、退職に追い込まれることもあるといいます。
 企業側も対応に苦慮しています。有識者検討会では、「個人的なことなので患者に尋ねにくい」「がんは原則的に業務に関連した病気ではないので、手厚い対応は取りにくい」などの声が紹介されました。
 有識者検討会の委員で、がん患者の就労支援をするNPOの理事長桜井なおみさん(47歳)は自身もがんを経験しており、「患者が相談したくても、病気や治療について理解している人事や労務の担当者が少なく、社外の相談窓口も限られている」と指摘しています。
 がんは2人に1人がかかる身近な病気ですが、医療の進歩で生存率は向上し、外来で放射線治療や化学療法を受けながら働く世代のがん患者は増えています。桜井さんは、「患者が可能な限り働き続けられるような体制の充実がもっと必要だ」と話しています。

 2014年6月26日(木)

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