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■脳機能障害、免疫関与か 子宮頸がんワクチン、患者8割が同じ遺伝子 [健康ダイジェスト]

 子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える少女らを診療している厚生労働省研究班代表の池田修一信州大教授(脳神経内科)は16日、脳機能障害が起きている患者の8割弱で免疫システムにかかわる遺伝子が同じ型だったとの分析結果をまとめました。
 事前に遺伝子型を調べることで、接種後の障害の出やすさの予測につなげられる可能性があるといいます。厚労省内で開かれた発表会で公表しました。
 研究班は信州大と鹿児島大で、ワクチン接種後に記憶障害や学習障害、過剰な睡眠などの脳機能障害が出た10歳代の少女らの血液を採り、遺伝子「HLA-DPB1」の型を調べました。
 その結果、「0501」の型の患者が信州大で14人中10人(71パーセント)、鹿児島大で19人中16人(84パーセント)を占めました。「0501」は一般の日本人の集団では4割程度とされ、患者の型に偏りが見られました。
 池田教授は、「ワクチンの成分と症状の因果関係はわからないが、接種前に血液検査でHLAを調べることで発症を予防できる可能性がある」と話しました。
 研究班は今後、対象を手足の痛みなど別の症状のある患者も含めて150人に広げ、発症の仕組みなどについて研究を続けます。
 子宮頸がんワクチンは2009年12月以降、小学6年から高校1年の少女を中心に約338万人が接種を受けましたが、副作用報告が相次いで2013年6月から接種の呼び掛けが中止されています。
 厚生労働省研究班の今回の分析は、子宮頸がんワクチンの接種を引き金に免疫機能が異常を来し、過剰な反応が起きている可能性を示しています。調査数が少なく「科学的に意味はない」との指摘もありますが、厚労省の専門家検討会が原因とみている接種時の痛みや不安に伴う「心身の反応説」とは異なる観点からの研究で、今後が注目されます。
 世界保健機関(WHO)は子宮頸がんワクチンの安全宣言を出し、接種を事実上中断している日本の対応を批判しています。名古屋市も昨年、7万人対象の調査で接種者と未接種者の間に発症差はなかったと発表しており、接種再開を求める声も強くなっています。
 ただ、患者らが訴える症状の原因は、解明の途上。研究班は、複数のワクチンをマウスに接種する実験で、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳だけに神経細胞を攻撃する抗体が作られたとしています。また、人種差があるHLA型に着目した研究は、国ごとに違う副作用発生率を比較するのに役立つ可能性があり、新たな知見が得られるかもしれません。
 接種再開の議論をする際は、こうした原因解明の取り組みや治療法の開発の状況を考慮することが求められます。
 HLAは、細胞の表面にある蛋白質で、体に入る異物を攻撃する目印になります。HLAを構成する遺伝子は複数あり、それぞれのHLA型は糖尿病やベーチェット病などさまざまな病気のなりやすさと関係しているとされます。研究者らが作る国際データベースによると、「HLA-DPB1」の型が「0501」の人は、日本や中国、オーストラリアなどで多い一方、欧州や北米では低い傾向があります。

 2016年3月17日(木)




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