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■iPS細胞でパーキンソン病の症状を改善 京大がサルで確認 [健康ダイジェスト]

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製したドーパミン神経細胞を、パーキンソン病のカニクイザルの脳に移植し、1年以上の長期にわたって有効性と安全性を確認したと、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らの研究チームが31日、イギリスの科学誌ネイチャー(電子版)で発表しました。
 今回の成果などをもとに、2018年度中にもパーキンソン病患者を対象にした再生医療の臨床試験(治験)を申請する方針を示しました。
 パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンを作る神経細胞の変性が主な病因で、手足の震えから進行し、体の運動機能が失われていきます。国内には約16万人の患者がいるとされ、既存薬や電極を脳に埋め込む治療法などでは症状の改善はできても、根治はできていません。
 高橋教授らは、これまでにも人のiPS細胞由来のドーパミン神経細胞を、パーキンソン病の症状を再現したカニクイザルの脳に移植する実験を行ってきましたが、今回は移植する細胞の作製法や量などを治験での計画と同一にして、詳細に評価しました。
 実験では、パーキンソン病患者などのiPS細胞から作製したドーパミン神経細胞を、8匹のカニクイザルの脳に移植。移植が原因とは考えられない病気を発症した1匹を除いて移植後約1年にわたり、徐々に手足の震えが減り、表情が豊かになったり、行動が活発になったりすることが確認できました。また、カニクイザルの脳の組織を磁気共鳴画像装置(MRI)などを使って調べ、移植した細胞の一定量が生着してドーパミンを作り出していることや、1年半から2年は脳内に腫瘍を作らないことも確かめました。
 高橋教授は理化学研究所などとの別の研究で、パーキンソン病患者以外の健康な人のiPS細胞から作製したドーパミン神経細胞について、拒絶反応が起きにくいiPS細胞の型から作ったドーパミン神経細胞を、カニクイザルの脳に移植すると生着率が高く、炎症がほとんど起きないことも確かめました。
 2018年度中に申請する予定の治験では、拒絶反応が起きにくい人のiPS細胞を備蓄した「iPS細胞ストック」を使った移植を行う予定で、その有用性も確認できたとしています。
 高橋教授は、「基礎研究を実際の医療に応用するためには、そのプロセスが重要となる。治験の前に、人と同じ霊長類で有効性と安全性をしっかりと確認することができたと考える」と話しています。

 2017年9月1日(金)




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