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■用語 後天性陰茎湾曲症 [用語(こ)]



[喫茶店]生まれてから生じた異常によって、男性の陰茎が勃起した時に湾曲する状態
 後天性陰茎湾曲症とは、生まれてから生じた異常によって、男性の陰茎が勃起(ぼっき)した時に根元から、あるいは途中から湾曲する状態。
 上下に曲がる場合や左右に曲がる場合、両方が混在した場合などがあり、陰茎の中ほどから下方向にへの字型に折れ曲がる場合が一番多くみられます。
 勃起していない時はほとんど目立たない場合が多いのですが、勃起すると明らかな曲がりが確認できます。湾曲が強いと勃起自体に陰茎の痛みが伴うことがあるものの、勃起していない状態では陰茎の痛みはありません。
 陰茎の湾曲のほか、勃起弱化が起こることもあります。
 ほとんどの男性の陰茎はどこかの方向に曲がっているものの、大半は真っすぐといえる範囲に収まっています。陰茎湾曲症でも軽度の湾曲は問題ないものの、陰茎の湾曲が強ければ、性行為の際にペニスを挿入しにくかったり、挿入後にすぐに抜けてしまったり、パートナーの女性が痛がったり、男性自身も亀頭部の摩擦が多くて痛みを生じるなどという問題が生じやすくなります。
 変形によるコンプレックスや、勃起に伴う陰茎の痛みに対する不安など、精神的なストレスから勃起不全(インポテンツ)に陥ることもあります。
 後天性陰茎湾曲症は、陰茎形成性硬結症(ペロニー病)や、外傷による陰茎折症(陰茎折傷)によって生じます。
[喫茶店]陰茎形成性硬結症は陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患
 陰茎形成性硬結症は、陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患。疾患名は1743年に最初に報告したフランスの医師フランソワ・ジゴ・ラ・ペロニーにちなみ、ペロニー病、パイロニー病、ペイロニー病、陰茎硬化症などとも呼ばれます。
 30~70歳代の男性に多く、陰茎海綿体を包む白膜(はくまく)という結合組織に、線維性のしこり(硬結)ができます。白膜は伸び縮みする弾性線維と硬い膠原(こうげん)線維の組み合せでできていて、ある程度伸びると止まる構造になっていますが、膠原線維が増えてしこりになります。しこりは陰茎の陰嚢(いんのう)と反対側の面にできることが多く、すじ状のものから板状で骨のようなものまで、さまざまな形があります。
 勃起すると陰茎がしこりのある方向に曲がり、疼痛(とうつう)が起こることもあります。曲がり具合にもよりますが、十分な勃起が得られず、性交に支障を来すこともあります。
 平常時は痛くもかゆくもなく、しこりそのものは無害と考えられ、自然によくなることもあります。逆に、徐々に進行することもあります。
 詳細な原因は、まだよくわかっていません。慢性陰茎海綿体炎、糖尿病、痛風、外傷などとの関連が疑われています。
 手の小指や薬指の内側の腱(けん)が引きつって内側に曲がったり、手のひらや足の裏が短縮したりするデュプイトラン拘縮という疾患と一緒に現れることもあります。デュプイトラン拘縮は中年以降の男性に多くみられ、長期にわたるアルコール摂取が危険因子の一つと見なされ、糖尿病に合併することもあります。
 陰茎形成性硬結症らしいと思い当たり、性生活に支障を来すようであったり、ほかの疾患、例えば陰茎がんなどとの見極めが困難な場合は、泌尿器科などの医師に相談することが勧められます。
[喫茶店]陰茎折症は陰茎に過度の力が加わり、著しく変形したり、はれ上がった状態
 陰茎折症は、勃起した陰茎に過度の力が加わったために、あるいは事故などによる外傷のために、陰茎海綿体を包む白膜が断裂して、陰茎が折れ曲がる状態。陰茎折傷とも呼ばれます。
 陰茎白膜のみにとどまらず、陰茎海綿体に裂傷が生じたり、尿道海綿体や尿道に損傷が生じることもあります。
 年間の発生率は10万人に0・3人との報告もあり、まれです。20〜40歳の性的活動性の高い年齢層に多く発生し、その原因として、自分の手で曲げる行為、性行為、自慰、寝返り、転倒などが挙げられます。
 陰茎白膜が断裂する部位は、陰茎中央部が最も多く、陰茎根部、亀頭近接部にもみられます。勃起した陰茎が無理やり曲げられた場合などでは、ほとんどのケースで、伸展して薄くなった陰茎白膜が穀物の茎の折れる音、あるいはガラス棒の折れる音と形容されるようなブチッという異常音を立てて、断裂します。
 その瞬間から、激しい痛みが起こります。陰茎は勃起状態から普通の状態に戻るとともに、激痛は持続的な鈍痛あるいは刺痛に変わり、浅陰茎背静脈などの血管の破裂による内出血のために、徐々に皮下血腫(けっしゅ)ができてきます。そして、破裂した部位とは反対側に、陰茎が折れ曲がります。陰茎は著しくはれ上がり、陰茎の皮膚は暗紫色をみせます。
 皮下血腫の圧迫により排尿困難を起こしたり、尿道に損傷が生じた場合には、外尿道口からの出血、血尿、尿閉を伴うこともあります。
 陰茎根部に接する陰嚢の鞘膜(しょうまく)も破裂すると、鼠径(そけい)部、会陰(えいん)部、恥骨(ちこつ)部に斑状(はんじょう)の皮下血腫ができることもあります。
 誘因として尿道炎、尿道周囲炎、尿道狭窄(きょうさく)、陰茎白膜の硬化性変化、陰茎海綿体の変性が挙げられ、陰茎にわずかに異常な外力が加わっただけで陰茎折症が起こりやすく、尿道の損傷などの合併症が起こる危険性が増すともいわれています。
 陰茎折症の症状が出たら、早期に泌尿器科、ないし外科の医師を受診する必要があります。放置すると、勃起力の減退、勃起時の陰茎の湾曲、有痛性勃起、勃起障害、排尿障害などが起こり得ます。軽度の場合のはれ上がりがない状態でも、受診は必要になります。
[喫茶店]後天性陰茎湾曲症の検査と診断と治療
[喫茶店]陰茎形成性硬結症の検査と診断と治療
 泌尿器科の医師による陰茎形成性硬結症(ペロニー病)の診断では、特徴的なしこり(硬結)の症状の視診、触診で確定できます。以前に打撲などによる外傷や炎症があったかどうかが、参考になります。超音波検査やMRI検査を行うと、しこりの厚さや大きさを観察でき、しばしば石灰化が確認できます。陰茎知覚異常がある場合には、振動覚測定を行います。
 この陰茎形成性硬結症ががんになることはありませんが、しこりや痛みが同じように現れる陰茎がんとの見極めは難しく、正確に診断するためにしこりの一部を切除して組織検査を行うこともあります。
 陰茎形成性硬結症に特に有効な根本的な治療法はありませんが、勃起障害の原因となったり、痛みが起こる場合には、超音波治療(体外衝撃波治療)、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射ないし内服、コラーゲン分解酵素の局所注射、ビタミンEの内服、ヘパリン類似物質や非ステロイド系消炎鎮痛薬の軟こうの塗布などが試みられますが、あまり有効ではないようです。痛みが起こる場合には、放射線照射が有効とされています。
 性交渉に障害が出るような場合、本人が希望すれば手術を行うこともあります。手術には、しこりがある反対側の白膜を切り詰めて湾曲を矯正する縫縮法(プリケーション法)と、白膜のしこり自体を切除し、欠損部に皮膚や静脈を移植する移植法の2つがあります。
 通常、軽い場合は縫縮法、症状が進んでいれば移植法が行われます。縫縮法は湾曲の改善のみを目的とした方法で、移植法に比べて簡単ですが、しこりや痛みの改善はできないことと陰茎の短縮が問題となります。移植法も、手術後の瘢痕(はんこん)組織が硬化して手術前より悪化したり、切除しても再発することがあるのが問題となります。
 いずれも2時間ぐらいの手術で、3日間程度の入院が必要です。糖尿病のある人の場合は、血糖コントロールが必要のため入院期間が少し長くなります。縫縮法を局所麻酔で行う場合は、日帰り手術も可能です。
 症状が進んで陰茎海綿体にまで影響するなど重い勃起障害がある場合は、陰茎の中に支柱材を埋め込むプロステーシス手術も検討されます。デュプイトラン拘縮が一緒に現れている場合は、 基本的に薬物療法や注射は治療効果がなく、手術による治療になります。
[喫茶店]陰茎折症の検査と診断と治療
 泌尿器科、ないし外科の医師による陰茎折症(陰茎折傷)の診断は、発症時のブッチという断裂音の問診と、陰茎白膜の断裂部位と反対側への陰茎の屈曲、陰茎の暗紫色のはれ上がりなど独特な形態変化から、臨床的に下します。
 皮下血腫が広範であれば、陰茎白膜などの断裂部位の確定は触診のみで困難なことも多く、MRI検査が行われることもあります。尿道の損傷の発生率が高いため、陰茎尿道X線撮影(逆行性尿道造影)が行われることもあります。
 泌尿器科、ないし外科の医師による治療は、尿道の損傷がない場合や軽い尿道断裂と見なした場合、保存的に治療することもあります。局部の安静、陰茎および陰嚢の挙上などにより血腫の吸収を促進し、圧迫包帯、湿布、止血剤、消炎鎮痛剤などを使用して治療します。
 しかし、保存的治療だけでは、陰茎の変形、勃起障害などの後遺症が生じる割合が高いため、陰茎白膜の断裂が高度で出血が著しい場合や尿道損傷のある場合は、手術が行われるのが一般的です。まず血腫がある場合にはこれを取り除いて、最小限の皮膚切開で陰茎白膜の断裂部分を縫い合わせます。早期に適切な手術を行えば、後遺症はまず生じません。
 早期に適切に対応しないと、後遺症が残る可能性が高くなります。また、尿道断裂に至るなど重度なものは予後はよくなく、陰茎形成術、尿道形成術などを要します。


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■用語 口唇裂 [用語(こ)]

[キスマーク]上唇の一部に裂け目が現れる先天性異常
 口唇裂とは、上唇(うわくちびる)の皮膚の一部に裂け目が現れる先天性異常。唇裂、兎唇(としん)とも呼ばれ、三つ口とも俗称されます。
 妊娠初期に複雑な発生の過程をへて、胎児の顔面が形成されます。胎生期第4~7週ころに、前頭突起(内側鼻隆起)と左右の上顎(じょうがく)突起が癒合して上唇ができます。この癒合が障害されると、口唇裂になります。口唇裂といえば通常、上唇の皮膚の一部に裂け目が現れる上唇裂をいい、下唇の皮膚の一部に裂け目が現れる下唇裂は非常にまれです。
 この口唇裂は、裂け目が鼻まで達する完全口唇裂、裂け目が鼻まで達しない不完全口唇裂、左右の唇のどちらか一方に裂け目がある片側口唇裂、左右両側に裂け目がある両側口唇裂、さらに、唇の縁の小さなへこみや、唇から鼻の穴までの傷跡のように見える軽微な口唇裂である痕跡(こんせき)口唇裂に分けられます。
 口唇裂は、さまざまな要因が複雑に絡み合って現れると考えられており、特に特定の原因があるわけではありません。口腔(こうくう)の発生にかかわる遺伝子の変異が関係したり、妊娠中の喫煙、胎内での風疹(ふうしん)感染、胎児脳内圧の異常高進、薬物などの環境要因が関係していると考えられています。染色体異常に伴う場合は、内臓疾患や生後の発育、発達の遅れがみられる場合があります。
 口唇裂は単独でみられることもありますが、口と鼻を隔てている上顎(うわあご)に先天性に破裂が現れる口蓋裂(こうがいれつ)と合併した口唇口蓋裂が多くみられます。さらに、歯を支えている顎骨である歯槽骨の破裂が現れる顎裂を合併することもあります。
 口唇裂の発生頻度は、全出産の0・08パーセントといわれています。口唇裂、口蓋裂、口唇口蓋裂、顎裂を含めた発生頻度は、全出産の0・2パーセントといわれています。
 胎児の顔面の口や鼻が形成された後、胎生期第7~12週ころの間に、口の中では口蓋がつくられます。口腔と鼻腔の間に口蓋突起が左右から伸び、前方から後方へと癒合が進んで上顎(口蓋)が形成されます。この過程が障害されると、口蓋突起が最期まで癒合せずに口腔と鼻腔が破裂したままになり、口蓋裂ができます。
 口蓋裂は、口蓋の奥の部分の軟口蓋に破裂があるもの、口蓋の前方3分2の部分の硬口蓋に破裂があるもの、軟口蓋と硬口蓋の両方に破裂があるものに分けられます。
 生後すぐ、あるいは胎児期の超音波検査で、口唇裂が認められます。
 口唇口蓋裂があると、歯の形態異常、欠損、歯列不正などが認められます。口蓋裂があると、授乳障害があり、母乳やミルクが鼻から逆流しやすくなったり、発音が鼻に抜けたりする症状がみられ、中耳炎、誤嚥(ごえん)性肺炎を合併することが多くみられます。
 出生後、口唇裂のほか、口蓋裂、口唇口蓋裂、痕跡口唇裂が認められた場合は、口唇口蓋裂を専門に治療し、発育、発達の定期的なフォローも含め、総合的に診療している口腔外科、形成外科を紹介してもらい、受診することが望まれます。
 痕跡口唇裂の場合、外見上は軽微な変化であっても、その下にある口輪筋への影響があり、深刻度を判断してもらう必要があります。
[キスマーク]口唇裂の検査と診断と治療
 口腔外科、形成外科の医師による治療は、矯正歯科、小児歯科、耳鼻咽喉(いんこう)科、言語聴覚士、小児科など各科の医師とのチーム医療で行われることが一般的です。
 口腔外科、形成外科の医師による治療は、手術が主体で、手術前にはホッツ床という柔らかい樹脂でできた入れ歯のようプレートを上顎にはめて、授乳しやすくします。
 手術時期は、口唇裂と口蓋裂で異なり、発音機能と上顎の発育の両面を考えながら決めます。一般的には、口唇裂はミラード法などで生後3カ月以後、体重5キログラムを目安に実施し、裂けた口唇の閉鎖と再建、変形した鼻の位置の適正化、口輪筋の連続性の再建を図ります。
 口蓋裂は1歳以降に、ファーロー法などの手術を実施し、口蓋部分における口腔と鼻腔の閉鎖、軟口蓋における口蓋帆挙筋などの左右に分かれた筋群の再建を図ります。
 高度な完全口唇裂では、初回の手術だけで完全な形態の再建が完成するとは限らず、就学前あるいは青年期に、口唇や鼻の修正手術を必要とすることがあります。言語聴覚士による発音の訓練も必要です。

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■用語 口唇口蓋裂 [用語(こ)]

[キスマーク]上唇の一部に裂け目が現れたり、上顎に破裂が現れたりする先天性異常
 口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)とは、上唇(うわくちびる)の皮膚の一部に裂け目が現れる状態の口唇裂と、口と鼻を隔てている上顎(うわあご)に破裂が現れる状態の口蓋裂との総称。唇裂口蓋裂とも呼ばれ、先天性異常の一つです。
 妊娠初期に複雑な発生の過程をへて、顔面が形成されます。胎生期第4~7週ころに、前頭突起(内側鼻隆起)と左右の上顎(じょうがく)突起が癒合して上唇ができます。この癒合が障害されると、口唇裂になります。口唇裂といえば通常、上唇の一部に裂け目が現れる上唇裂をいい、下唇の一部に裂け目が現れる下唇裂は非常にまれです。口唇裂は、唇裂、兎唇(としん)とも呼ばれ、三つ口とも俗称されます。
 この口唇裂は、裂け目が鼻まで達する完全口唇裂、裂け目が鼻まで達しない不完全口唇裂、左右の唇のどちらか一方に裂け目がある片側口唇裂、左右両側に裂け目がある両側口唇裂、さらに、唇の縁の小さなへこみや、唇から鼻の穴までの傷跡のように見える軽微な口唇裂である痕跡(こんせき)口唇裂に分けられます。
 口唇裂は、さまざまな要因が複雑に絡み合って現れると考えられており、特に特定の原因があるわけではありません。口腔(こうくう)の発生にかかわる遺伝子の変異が関係したり、妊娠中の喫煙、胎内での風疹(ふうしん)感染、胎児脳内圧の異常高進、薬物などの環境要因が関係していると考えられています。染色体異常に伴う場合は、内臓疾患や生後の発育、発達の遅れがみられる場合があります。
 顔面の口や鼻が形成された後、胎生期第7~12週ころの間に、口の中では口蓋がつくられます。口腔と鼻腔の間に口蓋突起が左右から伸び、前方から後方へと癒合が進んで上顎(口蓋)が形成されます。この過程が障害されると、口蓋突起が最期まで癒合せずに口腔と鼻腔が破裂したままになり、口蓋裂ができます。
 口蓋裂は、口蓋の奥の部分の軟口蓋に破裂があるもの、口蓋の前方3分2の部分の硬口蓋に破裂があるもの、軟口蓋と硬口蓋の両方に破裂があるものに分けられます。
 口唇裂と口蓋裂は別々にみられることもありますが、両者が合併した口唇口蓋裂が多くみられます。さらに、歯を支えている顎骨である歯槽骨の破裂が現れる顎裂を合併することもあります。口唇裂、口蓋裂、顎裂を含めると、発生頻度は全出産の0・2パーセントといわれています。
 生後すぐ、あるいは胎児期の超音波検査で、口唇裂が認められます。
 口唇口蓋裂があると、歯の形態異常、欠損、歯列不正などが認められます。口蓋裂があると、授乳障害があり、ミルクが鼻から逆流しやすくなったり、発音が鼻に抜けたりする症状がみられ、中耳炎、誤嚥(ごえん)性肺炎を合併することが多くみられます。
 出生後、口唇口蓋裂、口唇裂、口蓋裂、痕跡口唇裂が認められた場合は、口唇口蓋裂を専門に治療し、発育、発達の定期的なフォローも含め、総合的に診療している口腔外科、形成外科を紹介してもらい、受診することが望まれます。
 痕跡口唇裂は外見上は軽微な変化であっても、その下にある口輪筋への影響があり、深刻度を判断してもらう必要があります。
[キスマーク]口唇口蓋裂の検査と診断と治療
 口腔外科、形成外科の医師による治療は、矯正歯科、小児歯科、耳鼻咽喉(いんこう)科、言語聴覚士、小児科など各科の医師とのチーム医療で行われることが一般的です。
 口腔外科、形成外科の医師による治療は、手術が主体で、手術前にはホッツ床というプレートを上顎にはめて、授乳しやすくします。
 手術時期は、口唇裂と口蓋裂で異なり、発音機能と上顎の発育の両面を考えながら決めます。一般的には、口唇裂はミラード法などで生後3カ月ころに実施し、裂けた口唇の閉鎖と再建、変形した鼻の位置の適正化、口輪筋の連続性の再建を図ります。
 口蓋裂は1歳以降に、ファーロー法などの手術を実施し、口蓋部分における口腔と鼻腔の閉鎖、軟口蓋における口蓋帆挙筋などの左右に分かれた筋群の再建を図ります。
 多くの場合、年齢が大きくなってから、形成や矯正の手術が必要になります。言語聴覚士による発音の訓練も必要です。

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■用語 ゴナドトロピン依存性思春期早発症 [用語(こ)]

[バー]性腺刺激ホルモンの影響を受けて性ホルモンの分泌が盛んになり、二次性徴が早く起こる疾患
 ゴナドトロピン依存性思春期早発症は、下垂体(脳下垂体)から性腺(せいせん)刺激ホルモンであるゴナドトロピンが分泌され、それにより性腺からの女性ホルモンまたは男性ホルモンの分泌が盛んになり、二次性徴の成熟が通常の思春期よりも2〜3年程度早い年齢で起こる疾患。
 中枢性思春期早発症、真性思春期早発症、脳性思春期早発症とも呼ばれます。
 女子では、乳房が少しでも膨らんできた時が、思春期の開始です。この乳房の発育が7歳6カ月以前に起こった時、ゴナドトロピン依存性思春期早発症の可能性が高いといえます。8歳より前に陰毛が生えてくる、10歳6カ月より前に月経が発来するなどの症状も認めます。
 乳房発育だけがみられる時は、女性ホルモンの分泌の一過性の高進によると考えられる乳房早期発育症との区別が必要です。
 男子では、精巣( 睾丸〔こうがん〕)が4ミリリットル以上の大きさになった時が、思春期の開始です。この精巣の発育が9歳未満で起こった時、ゴナドトロピン依存性思春期早発症の可能性が非常に高いといえます。10歳より前に陰毛が生えてくる、11歳より前にひげが生えたり、声変わりするなどの症状も認めます。
 このゴナドトロピン依存性思春期早発症は、脳内視床下部よりも中枢にある成熟時計と呼ばれる体内時計により、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン〔GnRH〕または 黄体形成ホルモン放出ホルモン〔LHーRH〕)の分泌が高進し、これが下垂体からの性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピン(黄体形成ホルモン〔LH〕および卵胞刺激ホルモン〔FSH〕)の分泌を促進し、さらにこのゴナドトロピンが女性の性腺である卵巣からの女性ホルモンであるエストロジェンの分泌、男性の性腺である精巣からの男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促進することで引き起こされ、二次性徴が早く起こります。
 また、ゴナドトロピン依存性思春期早発症は、胚芽腫(はいがしゅ)・過誤腫・星状細胞腫などの脳腫瘍(しゅよう)や脳炎後遺症、水頭症などによる器質性思春期早発症と、明らかな原因が認められない特発性思春期早発症の2つに大きく分けられます。
 女子に起こるものの多くは、原因不明の特発性思春期早発症ですが、男子に起こるものは脳腫瘍などによる器質性思春期早発症が多くみられます。
 女性ホルモンであるエストロジェン、または男性ホルモンであるテストステロンが早期に分泌されることにより、成長のスパート(急激な進行)が起こります。女子に男子の約3〜5倍多く、起こります。
 原因が脳腫瘍による場合は、腫瘍の圧迫症状による頭痛、視野狭窄(きょうさく)などが起こることがあります。
 未治療で放置すると、実際の年齢に対して、実際のその人の体の年齢を現す骨年齢が促進して、骨が成長する骨端(こったん)が早期に融合するため、一時的に身長が伸びた後、最終的に低身長で成長が終わります。
 低年齢で乳房が大きくなってきた場合や、急に背が伸びてきた場合には、小児内分泌科などを受診することが勧められます。
[バー]ゴナドトロピン依存性思春期早発症の検査と診断と治療
 小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による診断では、問診でいつごろから、どのような症状が始まったかを聞き、視診と触診で全身および外性器の性成熟の状態をチェックします。
 また、ホルモン検査で血液中の性腺刺激ホルモンや性ホルモンの分泌状態、頭部MRI(磁気共鳴画像撮影)検査で脳腫瘍などの病変の有無、腹部超音波(エコー)検査で副腎や卵巣の腫瘍の有無を調べることもあります。手と手首のX線(レントゲン)検査を行い、骨年齢を判定して骨の成熟の有無を調べることもあります。
 ホルモン検査では、性腺刺激ホルモンと性ホルモンの基礎値の上昇が認められるとともに、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)負荷試験(黄体形成ホルモン放出ホルモン〔LHーRH〕テスト)では、性腺刺激ホルモンの思春期レベルの反応が認められます。また、骨年齢が促進し、成長率も高くなります。
 小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による治療では、GnRHアナログ(LHーRHアナログ)という薬剤で選択的に性腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。月に1回の皮下注射を行うことで、多くの場合は著しい効果を示し、二次性徴の進行停止、退縮がみられ、骨年齢の進行が緩やかになります。
 器質性思春期早発症の場合、脳腫瘍が原因であれば、外科手術により腫瘍を摘出します。手術により切除が難しい場合は、放射線治療や化学療法(抗がん剤)を行います。
 しかし、過誤腫が原因であれば、腫瘍そのものによる圧迫症状などがなければ、薬物療法を行います。また、脳炎後遺症、水頭症が原因であれば、薬物療法を行います。




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