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■用語 無症候性脳梗塞 [用語(む)]

[禁煙]梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞
 無症候性脳梗塞(こうそく)とは、梗塞する部分が極めて小さいために、自覚症状が全くない脳梗塞。隠れ脳梗塞、微小脳梗塞とも呼ばれます。
 自覚症状は全くないけれど、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)などの画像診断の普及に伴って、脳の病変が見付かることが多くなっています。高齢者に多く、脳ドック受診者のうち、50歳代は約1割、60歳代は約2割、70歳代は約3割の人に、無症候性脳梗塞が見付かっています。
 その約80パーセントは、ラクナ梗塞と呼ばれるタイプの脳梗塞です。ラクナ梗塞は通常、高血圧による動脈硬化が原因となって、脳の深部にある0・4ミリ以下の極めて細い血管である穿通枝(せんつうし)動脈が狭くなり、この部位に血の固まりである血栓が形成されて、最終的に血管が閉塞して生じるとされています。
 極めて細い血管の閉塞により生じる脳梗塞なので、病変の大きさは直径15ミリ以下です。直径15ミリを超える梗塞は、ラクナ梗塞とはいいません。
 血管の閉塞のほかに、不整脈や心臓の疾患で心臓内で血栓が形成され、この血栓が流れて飛んで、脳の深部の極めて細い血管を閉塞させることもあります。血管の閉塞により、脳の組織の一部が壊死して脱落し空洞を残します。
 ラクナ梗塞の場合は、小さな梗塞であるため、脳梗塞の中では最も症状が軽症です。ほかの種類の脳梗塞であるアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓と違い、大きな発作が起こることはありません。
 その症状はラクナ症候群といい、運動まひ、しびれなどの感覚障害が主に起こります。そして、症状は段階的に現れて、少しずつ進行していきます。ラクナ梗塞が発症することが多いのは、安静時で、特に睡眠中です。朝起きた時にも、起こることが多くみられます。
 また、ラクナ梗塞では梗塞する部分が極めて小さいので、症状が出ないことがあります。これが無症候性脳梗塞で、運動障害や感覚障害などの自覚症状を全く感じないまま、小さな脳梗塞が起こります。高齢者に多くみられ、高血圧、高脂血症、糖尿病などがあると発症する確率が高くなります。
 ほとんどが直径15ミリ以下の小さな梗塞ですが、そのまま無症候性脳梗塞を放置しておくと、梗塞の数が増えたり、梗塞が脳のいろいろなところに発生して、多発性脳梗塞になります。
 多発性脳梗塞になると、手足や顔面のしびれ、軽いまひ、言語障害、歩行障害、食べ物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害などの症状がみられます。また、認知症の原因となることもあります。
 多発性脳梗塞の一番の危険要因は、高血圧です。高血圧は、血管の内側の壁に強い圧力を加えます。そのために、血管の内側の壁が傷付いて、どんどん硬くもろくなり、動脈硬化が発症します。動脈硬化が起こると、血管の血液が通る部分が狭くなり、血流が途絶えて脳梗塞になる危険が増すのです。
[禁煙]無症候性脳梗塞の検査と診断と治療
 脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による診断では、MRI(磁気共鳴画像)で脳血管の様子を調べるほか、超音波検査で首を通る頸(けい)動脈が動脈硬化を起こして狭くなっていないかどうかを調べます。頸動脈で血栓ができて脳に流れると、脳血管が詰まる恐れがあるためです。
 脳神経外科、脳外科、神経内科の医師による治療では、血管が狭くなっていれば、血液を固まりにくくするアスピリン、塩酸チクロピジン、シロスタゾールなどの抗血小板剤を使用します。
 脳血管がこれ以上詰まらないようにするには、血圧の管理が大切です。塩分を控え、過カロリー、脂質過多の食生活を見直して、魚や植物性蛋白(たんぱく)質中心の日本食を取り入れるなど食生活に気を配り、50歳代であれば、上は130未満、下は80未満を目標にします。
 毎日30分程度歩くこともお勧め。水分はしっかり補給し、節酒や禁煙も必要です。
 適正な血圧は、年齢や心臓病や糖尿病の有無、コレステロール値などによって変わってきます。掛かり付け医を持ち、指導を受けるといいでしょう。
 また、無症候性脳梗塞のある人は、ない人に比べて約4倍脳梗塞になりやすいことがわかっています。脳梗塞を発症すると、突然、片側の手足や顔半分のまひやしびれ、言語障害などの症状が出現します。
 発症時には119で救急車を呼び、専門的治療のできる病院に発症から2時間以内に搬送してもらうことが重要です。t-PAという薬剤を静脈内に点滴して、血管に詰まった血栓を溶かす治療を受けると、後遺症が残らない人が1・5倍に増えますが、発症から2時間以内の病院到着が必須条件だからです。
 ラクナ梗塞が進行した多発性脳梗塞で起こりやすい認知症には、根本的な治療はありません。デイケア、デイサービスへの通所や、家族の協力のもとでの散歩や、食事、テレビ、清掃、おやつ、会話など、生活習慣を規則正しく続けることで、脳を活性化させ、症状が改善したり、進行が遅れたりということがあります。




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■用語 無酸症 [用語(む)]

[喫茶店]胃で分泌される胃液の中に、胃酸とも呼ばれる塩酸がほとんどない状態
 無酸症とは、食べ物を消化するために胃で分泌される胃液の中に、胃酸とも呼ばれる塩酸がほとんどないか、全くない状態。胃酸欠如症とも呼ばれます。
 胃液は、強酸性で、pHは通常1〜1・5程度。胃酸とも呼ばれる塩酸、および酸性条件下で活性化する蛋白(たんぱく)分解酵素のペプシンが含まれており、これによって蛋白質を分解して、小腸での吸収を助けています。同じく酵素のリパーゼは、主に脂肪を分解しています。
 胃液はまた、感染症の原因になる細菌やウイルスを殺菌したり、一部の有害物質を分解したりすることで、生体防御システムとしての役割も担っています。例えば、コレラ菌は胃酸によってほとんどが死滅してしまうため、大量の菌を摂取しない限り感染は起こりませんが、胃酸の分泌がほとんどない無酸症の人、あるいは胃酸の分泌量が少ない低酸症の人などでは少量のコレラ菌でも発症します。
 胃液中に本来含まれるはずの胃酸がほとんど含まれない無酸であっても、何も症状がない時には疾患というわけではなく、何らかの症状が無酸のために現れる場合に初めて無酸症とされます。
 厳密な意味での無酸症は、詳細な胃液検査をしても胃酸とも呼ばれる塩酸が認められない状態をいいます。ガストリン、またはヒスタミンを注射して、チューブから胃液を採取する胃液検査で塩酸の分泌状態を見る方法が行われていますが、これによると完全な無酸は少ないことがわかりました。 
 それゆえ、胃液の塩酸濃度の低い低酸症も一括して、低無酸症と呼ぶこともあります。これは、低酸の程度の強いものは無酸とほとんど同じような症状を示すからです。
 無酸症を示す疾患の代表的なものは、慢性胃炎の中の委縮性胃炎。これは多くの日本人にみられますが、高齢になるに従い胃粘膜に委縮性変化が生じ、胃酸を分泌する壁細胞という細胞の数が減ってくるために、まず低酸症の状態となり、これが高度になると無酸症になると考えられています。
 そのほかに、ビタミンB12の欠乏によって生じる悪性貧血や、進行した胃がんなどで、胃粘膜に委縮性変化が生じた場合に、無酸症がみられます。手術によって胃を切除した時にも、無酸症が当然起こります。
 また、膵臓(すいぞう)に腫瘍(しゅよう)があって水様性下痢、低カリウム血症、胃酸分泌障害を示すWDHA症候群などでは、胃粘膜には特に形態学的な変化が生じないにもかかわらず、機能障害のため無酸症をみることがあります。この場合は機能障害の原因を除去すれば、無酸症は一過性に終わります。
 無酸症の症状としてjは、胃液に塩酸がほとんどないか、全くないために胃における消化不良が起こり、食欲の低下、食後の胃もたれや膨満感、下痢などがみられます。しかし、それらの症状がみられることは案外少なく、膵液がよく分泌されていれば、たとえ胃において消化がよく行われなくても、腸で十分消化が行われるからです。
 無酸症の症状は、常に一定しているものではなく、起きたり起きなかったりして、変化するのが一般的です。特に暴飲暴食などによって悪化し、過労や気候の変化も影響します。
 無酸症を放置しておいても特に重大な合併症は起こりません。しかし、食欲がなくて、栄養の低下が起こった時には注意が必要です。悪性貧血に合併した無酸症は、直ちに治療を受けることが大切です。
[喫茶店]無酸症の検査と診断と治療
 内科、胃腸科、消化器科の医師による診断では、ガストリン、またはヒスタミンを注射し、チューブから胃液を採取する胃液検査で、胃酸分泌能を測ります。
 また、血中ペプシノーゲン値、特にペプシノーゲンのⅠ/Ⅱ比は、胃粘膜の委縮度と相関しているので、これを測ることによって胃酸分泌能を推測できます。
 慢性胃炎や胃がんの診断には、X線検査や内視鏡が必要となります。WDHA症候群の診断には、VIP(血管作用性腸ペプチド)を始めとする血中ホルモンの測定やホルモン産生腫瘍の検索が必要です。
 内科、胃腸科、消化器科の医師による治療では、検査によって他の疾患が除外され、単に無酸症で胃酸とも呼ばれる塩酸がほとんどないか、全くないために、食べ物の消化作用に支障が起きている場合は、塩酸リモナーデなどの消化剤を服用します。
 慢性胃炎による胃の粘膜の委縮も、胃腺(いせん)の委縮も、元に戻すことはできません。安静を心掛ける、ストレスを避ける、消化のよい食事を取る、コーヒーや香辛料などの刺激物の摂取を避けるなど、日常生活の中で注意をしていきます。
 悪性貧血の治療は、基本的に鉄欠乏性貧血と同じで、不足しているビタミンB12か葉酸を補給すれば治ります。




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■用語 無症候性キャリア [用語(む)]

[位置情報]病原性の細菌、ウイルスなどを体内に保有している人
 無症候性キャリアとは、 病原性の細菌、ウイルスなどを体内に保有している人のこと。キャリアは英単語carrierのカタカナ表記で、運び手、運ぶ者、保有者を意味します。
 無症候性キャリアは単にキャリア、無症候キャリア、無症候性保有者、健康保有者などとも呼ばれ、特に細菌を体内に保有している人は、無症候性保菌者、健康保菌者と呼ばれることもあります。
 さまざまな病原体が感染することで感染症が引き起こされますが、感染が成立しても、その感染症特有の症状がはっきりと現れない場合があります。免疫など感染に対する防御機構の働きによって発病に至らない場合や、病原体に特有の性状によって症状の出ない時期がある場合が、これに当たります。
 この状態の無症候性キャリアは、症状が現れないために外見上は健康で非感染者との見分けが付きませんが、病原体が体内で増殖して病気が進行したり、本人が気付かないままに他の人に感染させる可能性があります。
 例えば、エイズ(後天性免疫不全症候群)では、HIVウイルスに感染直後に一過性の風邪に似た症状が現れ、その後は長い場合では10年間以上も無症候の期間が続き、最終的にエイズを発症します。無症候の間も、HIVは血液中でT細胞に感染しながら、徐々に増殖しており、無症候性キャリアは血液や性交渉を介してHIVを感染させる可能性を持っています。
 また、ヒトT細胞白血病ウイルスや、慢性ウイルス性肝炎の原因となるB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど、潜伏感染や慢性感染を起こす病原体による疾患で、多くの無症候性キャリアが存在します。B型肝炎、C型肝炎では、乳幼児期に無症候性キャリアになったとしても、体の免疫機構が未完成なためにほとんが発症せず、成人になって慢性肝炎の状態になることが多いのです。
 エイズのように進行の遅い疾患以外でも、クラミジアや淋菌(りんきん)による性(行為)感染症では、女性に自覚症状が出にくいため、一種の無症候性キャリアとなり得ます。さらに、ノロウイルスによる食中毒などの流行においても、無症候性キャリアが関与している可能性が指摘されています。




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■用語 ムンプス(流行性耳下腺炎) [用語(む)]

[耳]耳下腺が腫れる合併症の多い感染症
 ムンプスとは、ムンプスウイルスによる急性ウイルス感染症。耳の前から下にかけての腫(は)れを特徴とします。
 しっかり腫れると、おたふくのお面のように下膨れするので、おたふく風邪とも、流行性耳下腺(じかせん)炎とも呼ばれます。
 感染者の唾液(だえき)から、飛沫(ひまつ)感染します。流行に周期性はなく、季節性も明確ではありませんが、春先から夏にかけて比較的多く発生します。かかりやすい年齢は1~9歳、とりわけ3~4歳。感染しても発病しない不顕性感染が、30~40パーセントの乳幼児、学童にみられます。
 耳の下の唾液腺の一種である耳下腺が腫れることで知られますが、ムンプスウイルスは、体中を回って、ほかのいくつかの臓器にも症状を起こします。
 突然、37~38℃の発熱が1~2日続いた後に、耳の下に痛みを訴え、片側の耳下腺が腫れてきます。子供は口を開けたり、触ったりすると痛がります。発熱せず、最初から耳下腺が腫れてくるケースもあります。
 一般的に、1~3日して、もう片方の耳下腺が腫れてきますが、4人に1人は片方の耳下腺しか腫れません。腫れは3日目ぐらいがもっともひどく、その後、徐々にひいて、5~7日で消えていきます。
 発熱がある間は、水分を十分に与え、静かに過ごさせましょう。耳下腺の腫れたところは、冷湿布などで冷やして痛みを和らげます。食事は流動食、ないし軟らかい物とし、刺激物は避けましょう。特に酸っぱい物や香辛料は、耳下腺からの唾液の分泌を増加させ、痛みが強くなります。
 一度下がった熱が再発し、腹痛、嘔吐(おうと)、頭痛、精巣の腫れなどを生じた場合、無菌性髄膜炎、膵(すい)炎、精巣炎などの合併症が起きた可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。
 ムンプスウイルスに効く薬はありませんが、精巣炎を起こしていれば副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬を使ったり、頭痛や耳下腺の痛みに対して鎮痛薬を使うことがあります。
 ムンプスは合併症の多い感染症ですから、全身状態がよくても安静、保温、栄養など、乳幼児、学童に対する基本的な看護が大切です。




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