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■健康コラム 高血圧症と付き合う [健康コラム]

[牡羊座]三千万人がかかっている高血圧症
 日本で現在、約三千万人がかかっているとされている高血圧症について触れてみたい。実に、成人男性の約四十五パーセント、成人女性の約三十五パーセントは高血圧症であり、年齢とともに罹患率は上昇しているのである。
 高血圧症とは、血圧の値が高いためにいろいろな症状が現れてくる状態である。高血圧とは血圧が高いという一つの兆候を表すものであるが、心臓の心室が収縮する際の最高血圧(収縮期血圧)と心室が拡張する際の最低血圧(拡張期血圧)の両方、あるいはいずれかの血圧が一定以上高い場合を指す。
 血管壁に及ぼす血液の圧力であるところの血圧は、寒暖、季節、精神活動、肉体活動などの変化によって容易に揺れ動く。そのため、医師が高血圧と診断するには、「いつ血圧を測っても高い」ことを証明する必要がある。初めて来院した患者が高血圧の範囲に入る血圧値を示したとしても、すぐには降圧薬を出さない。日を変えて何回か血圧を測定し、いつも最低血圧が九〇mmHG以上、あるいは最高血圧が一四〇mmHG以上であることを、高血圧の診断目安としている。
 高血圧の血圧値の基準は、しばしばガイドラインで示され、世界共通に用いられている。この現在の基準によると、正常血圧は最高血圧が一二〇mmHG未満、かつ最低血圧が八〇mmHG未満とされている。一二〇〜一三九/八〇〜八九mmHGは、高血圧前状態と定義されている。
 高血圧では一般に自覚症状はない場合が多く、健康診断や病気で病院に行った時、たまたま血圧を測って発見されるというのが普通である。症状が現れやすいのは、血圧が高くなり始めた初期。主な症状は、脳神経症状である頭痛、頭重感、めまい、耳鳴り、肩凝り、手足のしびれと、循環器症状である動悸、脈の乱れ、心臓部の圧迫感などである。
 これらの症状は、ある程度の期間、高血圧が持続すると、むしろ軽減するか、消失することが多いといえる。ところが、血圧の治療を受けずに放っておくと、高血圧が引き金となっていろいろな重大な疾患が起こってくる。
 例えば、いつもの血圧値より大幅に、しかも急激に血圧が上昇し、激しい頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐などに見舞われることがある。高血圧性脳症といわれるもので、最高血圧は二〇〇mmHGを超えていることも少なくない。
 血圧の高い状態をそのまま放置すると、脳や心臓の合併症を起こし、この合併症によって死亡する頻度も高くなる。日本人の死亡原因の第一位はがんだが、第二位は心筋梗塞や狭心症などの心臓病、第三位は脳出血や脳梗塞などの脳血管障害である。この第二位と第三位の疾患はいずれも、その原因に高血圧が大きく関与しているのである。
 また、高血圧が長く続くと、腎臓の細い動脈に動脈硬化が起こって腎臓の機能が失われ、人工腎臓や腎臓移植を必要とすることもある。動脈硬化は眼底の細動脈にも出現し、眼底出血を起こして突然目が見えなくなることも少なくない。
 なお、高血圧には大きく分けて、本態性高血圧と二次性高血圧といわれる二つのタイプがある。九〇パーセント程度が原因となる疾患がない本態性高血圧で、残りの約一〇パーセントが何らかの疾患が原因で高血圧になっている二次性高血圧である。
 本態性高血圧は、生活習慣の乱れや遺伝素因、加齢などが相互に関連し合って発症すると考えられている。通常、三〇歳代の後半、ないし四〇歳代に始まり、一〇年以上の長い経過をたどって心血管臓器の障害を来し、合併症を起こしてくるもの。
 二次性高血圧は、腎臓の疾患によって起こるものが最も多く、急性腎炎、慢性腎炎、糖尿病性腎症などによるものが挙げられる。さらに、腎血管性高血圧、腎実質性高血圧、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、大動脈炎症候群、大動脈縮窄症などによるものがある。二次性高血圧では、原因により特徴的な症状を示すものもある。
[牡牛座]血圧を時々測ることが予防のために大切
 高血圧症を予防ためには、症状がないからといってそのままにしておかず、血圧を時々でもよいので測るということが大切である。最近は、簡便な自動血圧測定器が市販されているので、家庭でも血圧測定が可能になっている。健康診断などで高血圧と指摘された場合や、自己測定した血圧値がガイドラインの高血圧の範囲に入る場合は、循環器専門医の診察を受け、治療方法などについて相談することを勧めたい。
 なお、自己測定する場合は、測定精度の面から上腕にカフを巻いて測定できる血圧計がよい。家庭の自己の測定値は、診察室での測定値より低めになる傾向がある。広く合意された家庭血圧の基準はないが、一三五/八五mmHG以上は高いと考えるべきである。
 医師による高血圧症の検査と診断では、正確な血圧測定のために、水銀血圧計を用いて聴診法で測定する。最低五分間、座位安静にして足を床に置き、腕を心臓の高さに保って測定する。
 高血圧と診断されれば、生活習慣のチェック、高脂血症や糖尿病などの他の心血管危険因子の合併確認、二次性高血圧の精密検査、高血圧の影響を強く受ける心臓、脳、腎臓、目などの臓器の障害の程度を評価するための検査が行われる。これらの評価は、治療方針を決める上で非常に重要である。
 医師による本態性高血圧の治療では、生活習慣改善と薬物療法の二本立てとなる。まず薬に頼らない生活習慣の改善が重要で、これだけで治療効果の上がらない場合に初めて降圧薬を使う。二次性高血圧の場合は、高血圧の原因となる疾患を治すことが主体になる。
 生活習慣改善では、食塩摂取の制限や肥満の解消など食事療法、ストレスの軽減や適度の運動など日常生活の改善、禁煙や深酒の禁止といった嗜好品の摂取の改善などを行う。
 以上の療法を一カ月以上行ってもなお血圧値が高い場合に、降圧薬が処方される。高い血圧を下げるための降圧薬の進歩は目覚ましく、今日ではいろいろの種類のものが用いられ、血圧のコントロールは多くの場合、可能となっている。
 しかし、降圧薬を内服しているからといって、生活習慣改善を軽んじることはできない。高血圧症治療はあくまでも食事療法と日常生活の改善などが中心であり、その効果を高めるために行われるのが薬物療法である。
 一般に降圧薬は長期に服用し続ける必要があり、発症者と高血圧症との戦いは短期決戦ではなく、長い戦いである。その戦いに勝つか負けるかは、発症者自身の生活態度にかかっているといっても過言ではない。
[双子座]食事療法、運動療法、日常生活の改善
 高血圧の予防や治療のための生活習慣改善では、毎日食べる食事がかなり重要になってくる。この食事で一番大事なのは、塩分の摂取量を制限すること。特に日本人の塩分の摂取量は平均十一〜十二グラムと多めであり、これを六グラム未満になるようにすべきである。
 なぜかというと、食塩を取り過ぎると、尿中へナトリウムを排出する腎臓の能力を上回り、血液中にナトリウムがたまる。ナトリウムがたまると、水分を体に蓄えてナトリウム濃度を調節しようとする働きがあるため、循環血流量が増加し、血圧が上がるからである。
 逆に、魚、いも、バナナといった食品の中に多く含まれるカリウムには、ナトリウムの排出を促す作用があるので、効率よく摂取すること。
 次に、肥満は血圧の上昇に影響するので、食事でエネルギーを取り過ぎないことも重要。とりわけ注意したいのは、穀類、菓子、嗜好飲料などの糖分と揚げ物、調理油などの油脂の取り過ぎである。
 高血圧の予防や治療のための生活習慣改善には、運動も大切。軽い高血圧症の状態だと、運動することによって安静時の血圧を低下させることができ、血圧が正常値に戻ることもある。
 中等症高血圧以上の高血圧の状態だと、運動により正常値に戻すことは不可能で、薬による治療もしなければならない。しかし、運動療法も併用することによって薬の量を減らすこともできる。そのほか、肥満や高脂血症の是正などいい点がかなりある。
 運動の中では、酸素を取り入れながら行う有酸素運動が効果的。この有酸素運動の代表的なものには、ウォーキング、水泳、サイクリングなどが挙げられる。こうした運動によって血行を促進することができて、血圧を下げる効果がある。逆に、筋肉トレーニングのような無酸素運動は、血圧を高めてしまうので危険である。くれぐれも無理をしない程度の運動というのが大切。
 運動量は一日三〇分以上、できるだけ毎日、定期的に行うのが適当である。なお、朝起きてすぐの時は、血圧が変動しやすくなっており運動は危険を伴う。始める時は、必ずゆっくりと準備運動をし、水分はこまめに摂取すること、体の調子が悪い時や、途中で異常を感じたら無理せず、すぐにやめることを心掛けたい。
 そのほかの生活習慣の改善点としては、人間は夜寝ている間は、血圧は低く安定しているため朝起きていきなり動き出すのは危険であるので、布団の中でゆっくり伸びなどをしてから起きたほうがいい。生態リズムを崩さないためにも、早寝早起きを心掛け、決まった時間に起きるようにする。
 寒さを感じると血圧が上がってしまうため、トイレの便座などは温かくしておいたり、冷たい水では顔を洗わず少し温かいぐらいの水にするなどの工夫をする。
 朝起きてから出勤の時間まではゆとりを持てるようにすると精神的に安定し、血圧も安定する。電車通勤を利用する場合などは、なるべく混雑を避けるために早めに起きてすいた時間に乗るなどして、満員電車などによるストレスを避けるようにするのもいい。
 適度な運動のため、歩いていけるところは歩いていったほうがいいだろう。車は運転しているだけで、緊張状態になり血圧が高くなるものである。
 会社での仕事では、人間関係や時間的な問題などでストレスを感じることが多く、血圧も高くなってしまう。ストレスが繰り返されると、交感神経の緊張状態が続いて血管は収縮し、血圧は高い状態を持続するようになる。いろいろなことでストレスを感じたら、少し外の風に当たったり、軽く体操するなどしてリラックスすること。あまり残業ばかりしないで、早めに帰宅することが望ましい。
 帰宅後の入浴では、四〇度ぐらいのお湯に、体にお湯をかけて慣らしてから入る。首のところまでつかると水圧で心臓に負担がかかるので、胸の高さぐらいまでにする。あまり熱いお湯に長時間つかるのは厳禁。
 アルコールは、適量を心掛けることが大切。アルコールは血管を広げる働きがあり、飲酒直後には血圧を低下させるが、飲みすぎると逆に血圧を上昇させる働きがある。また、エネルギーの取り過ぎにもつながり、肥満を助長させることにもなる。
 禁煙も望ましいことである。たばこに含まれるニコチンは、交感神経の緊張を高めるため、血管は収縮し、血圧が上昇しやすくなるためである。




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