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■肺がん治療、9割に効果 がん化を妨げる新薬へ期待 [健康ダイジェスト]

 がんでは最多の年間7万人が日本国内で亡くなる肺がんの治療に、有望な新薬が生まれそうです。
 がんの原因となる遺伝子の働きを妨げる薬を飲んだ6割近くの患者の腫瘍が小さくなったことが、治療薬の承認に向けた米韓豪での臨床試験(治験)で確かめられ、大きさが変わらなかった例も加えると9割に効果がありました。試験には日本人の患者も参加しました。
 がんの原因となる遺伝子は、間野(まの)博行自治医科大学・分子病態治療研究センター教授(東京大学・大学院医学系研究科・特任教授を兼務)が発見したEML4―ALK。これは細胞の骨格たんぱくを作るEML4という遺伝子と、キナーゼと呼ばれる蛋白質リン酸化酵素を作るALK遺伝子の一部が入れ替わってできたものです。EML4―ALKができることで、がん化した酵素が作られ、ますますがんが増殖します。
 臨床試験では、EML4―ALKを持つ82人の患者を対象に1日2回、がん化を促す酵素の働きを抑えるALK阻害剤という薬を飲んでもらいました。その結果、57パーセントの患者の腫瘍が消えるか小さくなり、33パーセントは腫瘍の大きさが変わらず安定していました。副作用の多くは軽い吐き気や下痢。
 治験は昨年末から、日本でも行われています。
 間野教授によると、この遺伝子を持つのは肺がん患者全体の約5パーセントですが、50歳以下の若年層に限ると、患者の3人に1人が持っています。たばこを吸わない人に多いのも、特徴といいます。
 また、間野教授は、治療を始めてから6カ月後に、ALK阻害剤が効かなくなった患者のがん細胞の遺伝子を解析し、薬剤耐性の原因とみられる変異を2カ所見付けました。変異を起こすEML4-ALKに対しても働きを妨げ得る構造を持ったALK阻害剤を開発すれば、今後の肺がん治療において薬剤耐性を誘導しにくい分子標的治療法が実現すると考えられます。
 「今回の発見で、薬に耐性ができた患者向けの薬の開発もスタートできる」と、間野教授は話しています。
 成果は28日付で、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表されました。

 2010年10月28日(木)




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