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■震災の疑似体験で心身不調 被災地以外でも注意を [健康ダイジェスト]

 東日本大震災が人々の心に与えるストレスの影響が、被災地以外のところでも現れ始めています。若者から高齢者まで世代を問わず、不眠や気分の落ち込みといった心身の不調を訴える人が出てきました。
 災害心理学の専門家によると、津波が街をのみ込む映像をテレビなどで長時間視聴して「災害の疑似体験」をしたと考えられ、まじめで感受性の高い人ほどストレスにさらされやすいといいます。
 「映像が悲惨で、家で見ることができないんです」。京都大1年の女子学生(20歳)は不安を口にしました。関東に友人がおり、今回の震災直後からニュースを見続けました。「スマトラ沖地震でも津波の映像はあったけど、今回はよりリアルに感じた」。
 京都新聞社では3月18日、京都市内で大学生50人にアンケートをしました。その結果、半数を超える31人が震災後に何らかの心身の不調を感じたと答えました。具体的には、複数回答で「被災地の人に申し訳なく思う」が18人、「テレビを見るのが苦痛」が14人、「不眠」が2人、「訳もなくイライラする」「集中力がなくなった」が各1人でした。
 高齢者にも影響が出ています。東山区の養護老人ホーム「洛東園」に入居する舞能美佐子さん(81歳)は、「昔の空襲を思い出す。被災地の人達が気の毒で、気になって夜も眠れなくなった」と話しています。
 中京区の高木神経科医院では、震災前から通院する患者約400人のうち3割に、震災後、不眠やうつ症状の悪化がみられました。浜垣誠司院長(50歳)は、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)よりは軽いが、明らかに震災ストレスが影響している。特に子供は注意が必要」と指摘しています。
 災害時の心理に詳しい東京女子大の広瀬弘忠教授は、「映像を繰り返し視聴することで、あたかも自分の身に起きたような錯覚を起こす」と説明。「無理に震災を忘れようとしても難しい。それよりも、義援金や応援メッセージを送るなどの行動で、被災地支援に貢献したと感じることが心の安定につながる」と助言しています。
 一方、岩手医大などの調査では、東日本大震災で被災した岩手県沿岸で、不安や不眠などで早期に精神的ケアが必要な被災者がいる避難所が6割あることが判明しています。調査担当者は、「自殺や深刻なトラブルにつながる前に対処が必要だ」と訴えています。
 被災地で本格的なケアを行う前の基礎調査として、同医大と県精神科医会の要請で、宮古市の三陸病院と宮古山口病院が行いました。3月18~22日に宮古市など4市町村の73の避難所で、保健師らから聞き取りました。
 その結果、今後の不安が16カ所、イライラするが11カ所、不眠が9カ所などを訴え、心のケアが必要な被災者がいる避難所を44カ所確認しました。薬が切れるなどして精神疾患のある人の症状が悪化、家族を亡くした人が夜間に徘徊、認知症の人が心配などの避難所もありました。
 調査を担当した三陸病院の三浦正之・院長代行は、「大きな避難所は多数の人が詰め込まれ、精神健康状態が悪い印象だった。スタッフの疲労が濃い、小さな子供が多いといった場所も優先的に手を打つべきだ」と話しています。

 2011年3月28日(月)




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