■がん細胞を近赤外線で退治 マウスで成功、副作用なし [健康ダイジェスト]
近赤外線を当てる方法で、他の細胞を傷つけずにがん細胞だけを退治することに、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆主任研究員らのチームがマウスを使った実験で成功、6日付の米医学誌ネイチャーメディシン(電子版)に発表しました。
がん治療には外科手術のほか、放射線照射や抗がん剤投与などがありますが、チームが開発した方法は正常な細胞は傷つけず、効率的にがん細胞だけを破壊できて副作用が小さいとして、2~3年以内の臨床応用を目指しています。
チームは、主にがん細胞に存在するタンパク質と結び付きやすい「抗体」に注目。この抗体に、特定の波長(0・7マイクロメートル)の近赤外線で発熱する化学物質を取り付け、悪性がんを移植したマウスに注射しました。
翌日と翌々日に、がんがある部位に体外から近赤外線を15~30分間照射しました。これを1週間おきに4回、計8回繰り返すと、がん細胞の細胞膜が破壊され、10匹中8匹でがんが消滅し、1年以上も生存しました。がんの再発もなかったといいます。
一方、抗体注射と近赤外線照射のどちらかだけを施したマウスや何もしなかったマウスは、すべてが3週間以内にがんで死にました。複数の種類のがんで同様の効果を確認。注射された抗体ががん細胞と結び付き、照射によって化学物質が発する熱で衝撃波が発生、がん細胞だけを壊したと結論付けました。
がんに対する光治療には、今回と波長の異なる光を当てる方法がありますが、やけどをしたり、光を受け止める物質ががん細胞以外にも結び付いたりするなど、健康な細胞への影響が避けられませんでした。
近赤外線を使う新しい方法では、抗体がわずかに正常細胞に結び付いても、光の強さを調節することでがん細胞だけ破壊できます。また、テレビなどのリモコンや携帯電話の通信に使われる近赤外線自体が無害なため、繰り返し照射でき、体表から5~10センチ程度の深さまで届くといいます。
チームの小林主任研究員は、「抗体は、肺、乳、前立腺、大腸、卵巣、白血病、悪性リンパ腫などさまざまながんに使えるものが承認されており、数年以内に臨床応用を実現させたい。がん細胞が血中を移動する転移がんでも、それに結び付く抗体が見付かれば応用できる」と話しています。
2011年11月8日(火)
がん治療には外科手術のほか、放射線照射や抗がん剤投与などがありますが、チームが開発した方法は正常な細胞は傷つけず、効率的にがん細胞だけを破壊できて副作用が小さいとして、2~3年以内の臨床応用を目指しています。
チームは、主にがん細胞に存在するタンパク質と結び付きやすい「抗体」に注目。この抗体に、特定の波長(0・7マイクロメートル)の近赤外線で発熱する化学物質を取り付け、悪性がんを移植したマウスに注射しました。
翌日と翌々日に、がんがある部位に体外から近赤外線を15~30分間照射しました。これを1週間おきに4回、計8回繰り返すと、がん細胞の細胞膜が破壊され、10匹中8匹でがんが消滅し、1年以上も生存しました。がんの再発もなかったといいます。
一方、抗体注射と近赤外線照射のどちらかだけを施したマウスや何もしなかったマウスは、すべてが3週間以内にがんで死にました。複数の種類のがんで同様の効果を確認。注射された抗体ががん細胞と結び付き、照射によって化学物質が発する熱で衝撃波が発生、がん細胞だけを壊したと結論付けました。
がんに対する光治療には、今回と波長の異なる光を当てる方法がありますが、やけどをしたり、光を受け止める物質ががん細胞以外にも結び付いたりするなど、健康な細胞への影響が避けられませんでした。
近赤外線を使う新しい方法では、抗体がわずかに正常細胞に結び付いても、光の強さを調節することでがん細胞だけ破壊できます。また、テレビなどのリモコンや携帯電話の通信に使われる近赤外線自体が無害なため、繰り返し照射でき、体表から5~10センチ程度の深さまで届くといいます。
チームの小林主任研究員は、「抗体は、肺、乳、前立腺、大腸、卵巣、白血病、悪性リンパ腫などさまざまながんに使えるものが承認されており、数年以内に臨床応用を実現させたい。がん細胞が血中を移動する転移がんでも、それに結び付く抗体が見付かれば応用できる」と話しています。
2011年11月8日(火)
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