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■増える風疹の患者数 成人男性も注意、予防を [健康ダイジェスト]

 2011年の風疹の患者数は2008年以降で最多となり、特に予防接種政策の影響でワクチンを打たずにきた大人の男性が職場で集団感染するケースが目立ちました。
 風疹は妊娠初期の女性がかかると胎児に感染し、生まれた新生児の目や耳などに障害を残すことがあります。身近に妊娠を望む女性がいる場合、大人の男性もワクチンを接種して予防することが望まれます。
 風疹を引き起こすのは風疹ウイルス。感染者の唾液のしぶきなどに接触することで移ります。
 国立感染症研究所によると、14~21日の潜伏期間の後、発熱や全身の淡い発疹、耳の後ろや後頭部の下にあるリンパ節の腫れなどの症状が現れます。まれに脳炎などの重い合併症が起きますが、通常3日程度で発疹が消えて治るため、三日ばしかとも呼ばれます。感染しても無症状の人が約15パーセントいるとされます。
 怖いのは妊娠初期の女性が感染した場合で、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、生まれた新生児に先天性風疹症候群と呼ばれる形態異常を起こす確率が高くなります。症状や重さは感染時期によって異なり、妊娠2カ月以内だと白内障、先天性の心臓病、難聴のうち2つ以上の障害を抱えて生まれることが多くなります。妊娠3~5カ月でも難聴がみられます。
 こうした新生児は1965年に、沖縄県で400人以上生まれました。また1977~79年の全国的な大流行の際は、影響を恐れた多くの妊婦が人工妊娠中絶をしました。
 風疹は例年、春先に流行し始め、ピークは5、6月。かつてはほぼ5年ごとに全国的な流行を繰り返しましたが、1994年以降は局地的、小規模な流行にとどまっています。患者の全数把握が始まった2008年は294人。その後、2009年147人、2010年90人と減少しましたが、2011年は12月11日までの集計で362人と増加。
 国立感染症研究所の感染症情報センターの多屋馨子室長によると、「患者の多くが成人男性」であり、働き盛りの世代での職場集団感染も発生しました。
 新潟県内の事業所では4~5月、従業員6人と東京本社の2人の計8人が発症。全員が男性で、年齢は30歳代2人、40歳代5人、60歳代が1人でした。最初の患者は4月7日にタイから帰国し、16日に発熱、19日に発疹が出たため病院で受診したものの、原因がわからないまま22日には回復。その後、5月上旬に7人が次々に発熱や発疹を起こしました。最初の患者が4月15日に出張した際に、東京本社の2人と接触があったといいます。
 ほかにも北海道などで、成人男性の職場での集団感染が報告されました。全国でも患者数の多い福岡市は12月、ホームページで予防接種などの情報提供を開始しており、福岡市保健予防課は「減少傾向だったのに11月にまた増えた。成人男性が多い」と話しています。
 2011年の風疹患者に成人男性、特に30~40歳代が多かったのは、この年代の抗体保有率が70~80パーセント程度と低いため。風疹のワクチンは1977年から94年まで、女子中学生だけに定期接種が行われていたため、この世代の男性は以前に風疹にかかっていない限り、ほとんど抗体を持っていません。
 この世代の男性は妻や職場など周囲に、妊娠の可能性がある女性が多くみられます。多屋室長は、過去の傾向から2012年の流行規模は11年より大きくなる恐れがあると指摘。「妊娠初期の妊婦に移ると赤ちゃんに先天性風疹症候群の心配がある。ワクチン未接種で風疹にかかったことがない男性は、風疹とはしかを予防する麻疹・風疹混合ワクチンを接種してほしい」と呼び掛けています。
 また、妊娠を望むものの抗体がないか少ない女性もワクチン接種が望ましく、安全に妊娠するには接種から約2カ月が必要だといいます。

 2011年12月31日(土)




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