SSブログ

■胃ろう中止も選択肢に 高齢者の終末期医療の原則、学会が改定 [健康ダイジェスト]

 日本老年医学会は高齢者の終末期医療とケアについて、胃に管で栄養を送る胃ろうなどの人工栄養や人工呼吸器の装着は慎重に検討し、差し控えや中止も選択肢として考慮するとの立場表明をまとめた。
 学会の立場表明の改定は11年ぶりで、最新、高度な医療をすべて注ぎ込むことは必ずしも最善の選択ではないと判断しました。
 終末期医療の手続きなどを定めた法的ルールはありません。この立場表明にも拘束力はありませんが、高齢者医療に携わる医師が治療方針を考える際の基本原則とするもの。具体的な手順などを定めたガイドライン(指針)を作る際のもとになります。
 まず、高齢者の終末期における「最善の医療およびケア」を「必ずしも最新もしくは高度の医療やケアの技術すべてを注ぎ込むことを意味するものではない」と明記。高齢者の心身の特性に配慮し「残された期間の生活の質(QOL)を大切にするものだ」との考えを示しました。
 その上で、高齢者が最善の医療およびケアを受ける権利の一環として「(おなかに穴を開け、管を通して水分や栄養剤を胃に送る)胃ろう造設を含む経管栄養や気管切開、人工呼吸器装着などの適用は慎重に検討されるべきだ」と指摘しました。具体的には、「本人の尊厳を損ねたり、苦痛が増えたりする可能性がある時は、差し控えや撤退を考慮する必要がある」と記しました。
 患者本人の意思表示、確認が難しい場合は、以前の言動などを家族などからよく聞いて十分に話し合い、可能な限り尊重することが重要と指摘。
 また、苦痛を緩和したり、死への恐れを軽減したりして、残された期間のQOLを高めるためにも、がんで用いられる緩和医療やケアの技術が用いられるべきだとしました。痛みや苦しみを和らげるための麻薬や最低限度の点滴の使用などを想定しています。高齢者はがん以外に、認知症、心不全、呼吸不全などの病気を患うことが多く、「死の最終局面では、がんと同じように苦痛を伴うことが少なくない」からです。
 学会は、終末期の考え方、定義についても整理しました。終末期は従来通り「病状が不可逆的かつ進行性で、近い将来の死が不可避となった状態」としています。ただし、「高齢者は複数の病気や障害を併せ持つことが多く、余命の予測が困難」として、期間は設けていません。加齢による心身の変化は個人差が大きいため、年齢による高齢者の定義もしていません。

 2012年2月14日(火)




nice!(10)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0