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■老化の原因物質特定、がんや糖尿病予防に期待 阪大など [健康ダイジェスト]

 体の筋肉が衰えるなど老化の原因となるタンパク質を大阪大や北海道大、千葉大などの研究チームがマウスで特定し、8日付の米科学誌セル電子版に発表しました。高齢マウスの血液中や臓器で幼少マウスよりも増加しており、このタンパク質を作れなくすると動脈硬化などが起きにくくなりました。
 年を取ると、糖尿病やアルツハイマー病、がん、心不全などを発症しやすくなります。このタンパク質は人間にもあり、働きを抑える老化防止薬ができれば、これらの病気の予防や治療につながる可能性があります。だが、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退する免疫を担う物質でもあり、新薬開発には多くの課題もあります。
 研究チームは、生後2年の高齢マウス(寿命約2年半)において、生後2カ月の幼少マウスよりも血液中で「C1q(シーワンキュー)」というタンパク質の量が5倍以上に増え、心臓や肺など多くの臓器でも増加していることを発見。このC1qの働きで、全身の細胞の表面にある「LRP5」または「LRP6」というタンパク質が切断され、老化を促進していました。組織の再生に異常が起きるとみられます。
 そして、幼少マウスの足にC1qを注入したところ、筋肉の繊維化が進み、筋力が衰えるなどの老化を引き起こすことが確認できました。逆に、高齢マウスからC1qをなくしてしまうと、筋肉の細胞が再生され、幼少マウスのように繊維化した部分が少なくなることも確認されました。心不全や動脈硬化、糖尿病が改善する結果も得られました。
 C1qは免疫で重要な役割をする「補体」の一種ですが、過剰になると老化につながるとみられます。年を取るとともに増える理由は、はっきりしていません。
 米スタンフォード大のグループが、老いたマウスと若いマウスの皮膚を縫い合わせ、血液が行き来できるようにしたところ、若いマウスが老化することを2005年に発表。血液中に老化物質があると指摘されていました。
 研究チームの小室一成大阪大教授は、「C1qは心不全や動脈硬化など、老化に伴って起きるさまざまな病気に関係している可能性がある。免疫でも重要な役割を果たしているため、なくせばよいというものではないが、この物質の働きがさらにわかれば、老化に伴うさまざまな病気を治療できるかもしれない。実用化のハードルは高いが、老化を防ぐ人類の夢に一歩近付く成果」と話しています。

 2012年6月10日(日)




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