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■筋萎縮性側索硬化症の治療に有効物質 iPS細胞使い京大など発見 [健康ダイジェスト]

 全身の筋肉が委縮し、動かなくなる筋委縮性側索硬化症(ALS)の患者からiPS細胞を作り、発症のメカニズムの一部を解明することに、京都大学のiPS細胞研究所の井上治久准教授らの研究グループが成功しました。
 研究グループでは、病気の進行を抑える効果がある物質も見付け出したとしており、新たな治療薬の開発に結び付くと期待されています。
 ALSは、遺伝子変異で生じる遺伝性と原因がわからない弧発性があります。研究グループは遺伝子TDP43に変異がある50歳代の遺伝性ALS患者3人の皮膚細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製、運動神経細胞に分化させて実験しました。
 作られた運動神経細胞は突起が通常より短く、変異のあるTDP43が作るタンパク質の塊が細胞内にたまり、死滅しやすいなどのALSの病態を再現しました。この細胞にタンパク質の合成で働くリボ核酸(RNA)の代謝を調節するアナカルジン酸を投与すると、突起が約2倍に伸び、タンパク質の塊ができにくくなることを確認しました。
 ALSは運動神経細胞が働かなくなることで、50~60歳代を中心発症することがわかっていますが、これまで病態を再現することは難しく、新薬の開発は進んでいませんでした。
 多くの弧発性患者の運動神経細胞でもタンパク質の塊ができることから、井上准教授は「アナカルジン酸を治療薬に応用できるか、今後、安全性や人への効果について慎重に調べていきたい」と話していました。
 難病の代表的なものといえるALSを1年間で新たに発症する人は、人口10万人当たり約1人で、男女比は約2:1と男性に多く認めます。一般的には、手指の筋肉が次第に委縮し、力が入らなくなります。時には、足先から委縮が始まります。
 委縮は次第に体の上のほうに進んで全身に及び、ついには舌の筋肉も委縮して、嚥下困難、発語困難となり、さらに進行すると呼吸筋もまひして、呼吸も十分にできなくなります。
 進行性に悪化するために、多くは平均3〜5年で死亡します。時には、数十年に渡って徐々に進行するものもあります。
 研究成果は、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)で2日に発表されました。

 2012年8月3日(金)




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